やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。続 作:角刈りツインテール
変なところで話を切り替えてしまったので戸塚に何かがあるのだろうかと訝しんだ読者もいらっしゃるだろうが気にする必要はない。何故なら深い意味などないからだ。まぁ強いて言えば俺が戸塚の可愛さを強調したかったという一面はあったかもしれないが。ほら、体言止めとかあぁ言う感じの…。
「ちょっと八幡!聞いてる!?」
不意に戸塚の声で現実へと呼び覚まされる。
「ん?あ、あぁ……おう、聞いてるぞ。聞いてる聞いてる」
まずい、くだらないモノローグのせいで一ミリも聞いてなかった。恐らく修学旅行関連の話なのだろうが一体なにを言っていたのだろう……適当に返事してしまった記憶もあるんだが大丈夫だろうか。
「じゃあそういうことだから土曜日12時にららぽーと集合ね!」
「ちょ……」
戸塚はたたた、と立ち去ってしまった。
土曜日にららぽーと。
デートじゃね、それ。
まじかよ天才陽キャかよバイブス上がるじゃねぇの……!
「うっしゃ」と小さくガッツポーズを決め歓喜を表現した。本当はそれくらいで表現できるような喜びではないのだがここは公共の場だ。TPOは弁えている。その結果現在、外面は冷静を保っているが頭の中はお祭り騒ぎなのだ。戸塚とデートだ!戸塚とデートだ!と脳内神輿もひと段落ついたところでその場所について思い出す。
「……ららぽーと、か」
その場所といえば俺は彼を思い浮かべざるを得ない。
金髪で、常にニヒルな笑みを浮かべていた吸血鬼と人間のハーフにして吸血鬼ハンターのあの男———エピソードである。
そういえば、あいつらってどう生活を送っているんだろうか。まさか給料をくれる上司がいるわけではあるまい。だとすれば殺した吸血鬼から、とか……いや流石に吸血鬼に金銭を望むのは馬鹿だ。何せ血液以外の食事を必要としないのだから金も必要ない。
だったら本当にどうやって……ううむ、謎は深まるばかりだ。いつか忍野にでも聞いてみようか。そんなすぐに忘れてしまいそうなしょうもない疑問を胸に俺は次の授業の準備を始めた。
数2。
俺が最も嫌いな教科である。
つか俺、まだあいつらとさえデートしてねぇんだが……。
♦︎♦︎♦︎
さて、迎えた土曜日の朝。俺は約束時間の一時間前にららぽーとに到着していた。馬鹿じゃねぇの。まぁ開店時間前にならなかっただけマシだ。小町に引き止められていなかったら9時には家を出ていたはずだ。馬鹿じゃねぇの。
それにしても朝早くからとんでもない人数だ。流石我らがららぽ。そこに痺れる憧れる。とはいえその人だかりのほとんどは子供づれとカップルであり、俺の得意な透明化を試みようとしても目線が集中しているのを肌で感じてしまう。まぁこんな朝から腐った目をしてる奴が1人で椅子に座ってたら見るわ。俺だって見るもん。
「特にすることもないしなぁ……」
マッ缶でも買うか、と近くの自販機を脳内検索しつつ立ち上がろうとすると。
「あれ、ヒッキー?」
犬を連れた由比ヶ浜と目があった。
「えっちょっとなんで目逸らすの!?」
♦︎♦︎♦︎
「ふぅん……彩加ちゃんと買い物かぁ……」
じろりと睨まれた俺はウサギのように縮み上がる。
「いや、まぁその、すまん……」
「ヒッキーの初デート貰いたかったのに……それにあんな提案してきたことにだって私まだ怒ってるんだからね?」
「返す言葉もございません」
お前までただの買い物をデートって言い出しやがった。
ちなみにあんな提案、とは勿論二股のことである。近頃似たような設定の漫画があったために親近感すら感じるが普通に許されざる行為である。皆は真似しないようにしよう。俺みたいになんなよ。
いやでも、あの状況でどちらかを断り切れる男子なんて存在しないと思う。どちらを選んでも奉仕部内が気まずくなるし(だったらどっちも断れって感じだが)第一個人的にどちらも良い。
物凄く良いのだ。
雪ノ下は分かりやすいおしとやかな性格……と思わせておいての実は毒舌キャラ、というギャップが良い。体のある部分が少し足りないとは思うもののどこかのアニメで言っていたようにそれは希少価値でありステータスなのだ。
由比ヶ浜はそれとは対照的な快活な所謂誰にでも好かれる女の子という感じで良い。あの陽キャグループに属していることだけは気に食わんが彼女自身に欠点はほとんどない。精々バカなくらいだ。今更ながら何なんだやっはろーって。
「?どったのヒッキー」
顔を見すぎてしまったじゃらだろうか、由比ヶ浜が不思議そうに尋ねる。事実を伝えるわけにはいかないので「何でもねぇよ」と返す。心なしか不満げなのは見なかったことにしよう、うん。
「……あのさ、彩加ちゃんがくるまでまだ時間あるんだよね?」
口調を変え、恐る恐るといった感じで聞いてきた由比ヶ浜に俺は胸の鼓動を昂らせた。今心拍を測ったら確実に180くらいはある。
「……まぁ一時間くらいはあるな」
「どんだけ早くきたの……?」由比ヶ浜は引き気味に言葉を返した。「まぁぃいや。それでさヒッキー、良かったら、その……」
由比ヶ浜は頬を赤らめながら言った。
「今から私と、デ、デートしない?なんちゃって、あはは……」
「する」
俺は即答した。
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ちなみに
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前作から見てる。
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続から見てる。