やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。続 作:角刈りツインテール
俺は今、危機的状況に立っている。
早速だがかの有名な(?)葉山隼人を具体例としてあげよう。彼は陽キャグループの中心のような人物で、誰にでも愛想良く振る舞う聖人君主の擬人化のような男だ。俺はその辺りが気に食わないと思っているのだがその話はおいおいしていくことにしよう。今大事なのは彼が陽キャグループに所属しているという部分だ。当然その中には女子もいて、俺の観察眼では恐らくそいつは葉山に好意を抱いており、加えて葉山もそれに気が付いている。しかし彼はそんなことで狼狽えない。それどころか2人で放課後にサーティワンへ向かう所を目撃したこともある。
だがしかしそれは『葉山だから』成せる技であり、クラスのぼっちが女子とサーティワンに行ったとしても気まずくなるだけだ。まぁそもそもぼっちに出かけれる友人がいるかどうかすら危ういところではあるが…その典型例が俺である。
女子とデートなんてしたことないのだ。なのに俺は今、なんの心の準備も無しにそれを行なっている。
「「…………。」」
気っっっっまずっっっっ!!!
嘘、こんなことになるの?付き合う前でも2人になることは時々あったけどここまで静かになるなんてことはなかったぞ。やっぱりリア充って大変だ。俺には向いていないらしい。
———そう思ったのも束の間のことで。
由比ヶ浜の耳が真っ赤に染まっているのを見て、一瞬にして手のひらを返してしまった。
悪くないじゃん、リア充。
「あのさヒッキー、あのあと、変なこととか無かった?」
「変なこと…とかはまぁ無ぇけど。何、心配してくれてんの?」
「〜〜〜ッ!!!べ、別にそんなんじゃないから!や、やだなぁもう!!勘違いしないでよ…ッ」
二次元でしか見たことないレベルの恐ろしいツンデレだった。やだ可愛い。
「…お前さ」
「ん?何?」
「…俺でいいのか」
俺の言葉を聞いたのち由比ヶ浜は暫く静止した。そして「ふふ」と小さく笑う。
「ヒッキー
普段通りを装って言ったのだろうが彼女の耳は更に真っ赤に染まっていた。無理して言わんでもいいのに…。
———俺がいい。
初めて言われたな、そんなこと。
「で、何すんの」
「そうだなぁ…あ、そうだ正月にサーティワンの福袋で貰った券があるから食べない?」
「何お前エスパーなの?」
「へ」
由比ヶ浜は不思議そうな顔でこちらを見つめてきた。まぁそりゃそうなるわな。俺のモノローグをこいつが聞いてる訳ないし「なんでもない」と返した。
行き先が決まったところで、俺たちはエスカレーターに乗った。
「ヒッキー何食べる?」由比ヶ浜が問う。
「チョコミント」俺は即答した。小町と行く時はいつもこの味を食べている。
「チョコミントか…私あんまり好きじゃないんだよね〜あれ」
「勿論歯磨き粉とか言ったらどうなるか分かってるよな?」
「うちら恋人だよね!?なんで日常会話で脅しかけてくるの!?」
俺は冗談冗談、と顔も見ずに返した。今由比ヶ浜の顔を見たら頬が緩むのは間違いない。
「…やっぱ楽しいなぁ」という独り言が聞こえたのは聞こえなかった事にした。
♦︎♦︎♦︎
ようやく目的のサーティワンに到着。久しぶりの店舗に年甲斐もなくついワクワクしてしまう。
「えっと…チョコミントと…ベルギーチョコと…モンブランで!」
「あ、すんません」
由比ヶ浜が慣れた様子でアイスを注文していき、言い終わろうとするその瞬間になって俺は「チョコミントじゃなくてマスクメロンで」と変更した。
由比ヶ浜がぽかんとしてこちらを見てくる。
べ、別に由比ヶ浜と分けられる味にしたとかじゃないんだからねっ!
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ちなみに
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前作から見てる。
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続から見てる。