やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。続   作:角刈りツインテール

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早く修学旅行行けよお前ら!!!(食い気味)
というわけで彼らは戸塚と合流して、まだまだららぽを満喫します。とはいえこの話でららぽ回は終わるので愛想尽かさないでください。そんな感じの第三話、更新遅くなりましたがよろしくお願いします。


004 比企谷八幡は、傷物たちの過去を物語る。

「……あ!八幡と由比ヶ浜さん!……ってあれ、どうしたの2人とも顔真っ赤にして。熱でもあるの?」

 

誰かに休日出勤を命じられるたびに風邪を理由に無視してきた俺だから信用度としてはゼロに近いのだが、別に熱があるわけではない。今回ばかりは本当だ。

簡単にいえば『なんか恋人っぽいことをやろう』という由比ヶ浜の浅はかな提案によってあーんされそうになったのだ。あと少しで、というところで俺が後ろのエスカレーターから戸塚が上ってくるのを目視し慌てて由比ヶ浜にアイコンタクト、今に至る。

 

なんというか……馬鹿だ。

 

危なかった、と安堵。流石に今の行動を目撃されてしまったら1週間は寝込んでしまいそうだ。あぁ、そのあとすぐ修学旅行か……なら修学旅行もいっそサボってしまったほうがいいかもしれん…って、足を蹴るな由比ヶ浜。痛い痛い痛い。俺何も言ってねぇだろ。エスパーかっての。

「あ、やっはろーさいちゃん!……別に何でもないよ?」

「うす……」

由比ヶ浜は明るく、俺は対照的に暗く挨拶をした。由比ヶ浜に肘で突かれる。

「そうならいいんだけど……いやぁ、メールで由比ヶ浜さんと会っただなんて聞いてびっくりしたよ。凄い偶然だよね!」

「———っ!」

戸塚は爽やかスマイルでそう言った。可愛い。そう思った瞬間に由比ヶ浜がこちらを睨んでくる気配を感じたのですかさず視線を逸らした。

ちなみにだが、戸塚は俺たちの関係性について知らない。……いや、由比ヶ浜の失態で知っているのかもしれない。だとすれば本当にやってくれたなお前。

「ヒッキー?」

「すみません」

まぁ冗談は置いておいて実際知っているのかどうなのか気になるものの、流石にわざわざ尋ねる勇気はない。何故なら俺はス○バの注文でさえキョドるレベルのコミュ障なのだから。

それよりも早速本題に入ろう。

 

 

………。

 

 

いやちょっと待て。そういえば何をするのかなんて聞いてすらいなくないか。———なんて言ったば『だったら事前にメールで聞けばいいのに』と思われてしまうかもしれないがぼっちを極め抜いた俺からするとそんなメールも一大事なのだ。聞いている、と一度言ってしまった手前、どうも送信ボタンを押しずらい。んで結局聞かずじまいで今日を迎えてしまったという訳である。

 

由比ヶ浜だけじゃない。俺もしっかり馬鹿だった。

人はこれを、バカップルと呼ぶ。……なんか違うか?

 

まぁ単純に考えれば何か買い物だろう。それもあのタイミングということは修学旅行関連の何かという可能性が高いが決めつけるのは良くない。まずは一度濁してから尋ねるのが最適解だ。

「で、何買うんだっけ」

「え?何が?」

既に最初から間違っていた。

 

「……八幡?」

「いや、その……すまん、聞いてなかったんだがもう一度用件を言ってくれないか」

全くもう、と拗ねる戸塚はアイドルをプロデュースする音ゲーに出てくる少女そのものだった。一体どんな家庭で育ったらこうなるの。

 

……そういや戸塚の両親ってどんな人なんだろうか。両者女性すぎてもはや百合に…流石にねぇな、うん。

「前に言ってたでしょ?全部終わったら話すって」

あぁ。その言葉によって記憶が呼び覚まされた。一週間前に約束したばかりではないか。鳥頭か俺は。

 

「なるほどな。それか……分かった、約束通り教える。あのとき俺に何が起きてたのか———長話になるけどいいか?」

「いいよ。最初からそのつもりだったし」戸塚はにこりと微笑む。

あのとき。

戸塚にドラマツルギーとの戦闘を目撃された時、あれほど酷い仕打ちをしてしまったというのに、どうして見放さずにいられるのだろうか。

 

———友達だから。

 

「……んなこと分かってんだよ」

はぁ、とため息をつく。

さて、わざわざ休日を利用してまで戸塚が聞きたがっている話だ。折角だから存分に語り尽くすこととしよう。

 

 

東西東西、お立ち合い。

俺が口を閉じたのは、それから20分後の話である。

 

♦︎♦︎♦︎

 

「……つーわけだ。南北」

「お疲れヒッキー」

南北は最後の挨拶ではねぇよというツッコミがどれだけ待っても誰からも来なかったので小っ恥ずかしくなりながら、あぁ疲れた、と由比ヶ浜から差し出されたコーヒーを口に含んだ。勿論マッ缶ではないのだが流石はス○バ、なかなか悪くない。

 

……あれ、なんか、赤いけど本当にこれ俺のか?

 

苺味は確か———。

「うそ……そんなことが本当に……?」

まぁ今更どうしようもない。それを喉に流し込んでからちらりと戸塚を見ると、彼の表情が呆気に包まれているのが伺えた。まぁあの非人間的なバトルを見てしまった以上信じないわけにはいかないのだがそうでなければ到底信じられる話ではないだろう。心配されるか無視されておしまいだ。

 

だが、彼は。

「なるほど、だから言えなかったんだね」呆気から復活した戸塚はそう言って微笑んだ。「なら仕方なかったな。ごめんね?迷惑かけちゃって」

その言葉を聞いた俺は即座に首を横に振る。

「迷惑とか一ミリたりとも思ってねぇよ。むしろ感謝すらしてるまであるぞ。お前の好意を悪く思うなんて天変地異が起きてもあるわけないじゃねぇか。誰だそんなことする奴。地獄に行ってしまえ」

「ひ、ヒッキーなんかキモい……」

「えぇ嘘……」

横から引き気味の声が聞こえてきた。関係は進展したのにそこをオブラートに包むつもりは毛頭ないんですね。

「ははは……それで、その……」

戸塚が妙に顔を赤らめ始めた。っつてもまぁ、全てを説明したわけだから3()()()()()についても勿論話したのだ。そりゃあ再確認したくなるのも当然であろう。てか可愛いなおい。

「2人、っていうか、その……本当に3人で付き合ってるの?」

3人———俺と由比ヶ浜と雪ノ下。改めて並べると凄いメンツだなぁと感心する。その輪の中にどうして俺のような存在がいるのか、今となっても不思議で仕方がない。

「まぁ、うん、そうだね、あははは……」

流石に第三者に知られるのには羞恥心があるのだろう、由比ヶ浜が戸塚同様に頬を赤めながら肯定した。可愛いなおい。

「そっか……色々聞きたいことはあるけどとりあえずおめでと、八幡!」

戸塚はとびきりの笑顔で俺たちを祝福した。

「おう」

「うんっ!ありがとさいちゃん!」

 

 

だが俺は———俺だけは気がついていた。

戸塚の表情が一瞬だけ陰ったことを。

あれはなんだったのだろうか。

 

 

 

俺たちはその後しばらく駄弁ってから買い物をして、ゲーセンで遊んだりもしてからそのまま帰路へ向かった。

時刻は午後3時。

修学旅行まで、あと約1週間。




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ちなみに

  • 前作から見てる。
  • 続から見てる。

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