やはり俺が吸血鬼なのは間違っている。続   作:角刈りツインテール

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骨董品店に置かれていた怪しげな猿の手の模型…一体誰が売りに出したんでしょうね。そんな頑張る感じの第七話、よろしくお願いします。

あと最近ウマ娘にハマっているので更新頻度があれです。セイちゃんかわええ。


007 せめてバスの車内くらいは落ち着いていたい。

土産屋でのあれこれを終えてついにホテルへ向かうぞ、というバスの中。

 

「なんでこれの可愛さが分からないかな…」

陽キャグループに包まれてでぶつぶつ呟いている由比ヶ浜を前方に確認しながら俺は窓の外に目を向けた。眠気のあまり欠伸を出しながら、しかし眠ってしまうのは何かもったいないような気がして景色を楽しむことにした。大分都会に近づいてきたのだろう、言われなければ京都だと分からないほどに近未来になっている。まぁ悪くないんじゃねぇの。千葉ほどじゃねぇけどな。うん。

 

「ねぇ、八幡」

横から聞こえた声は戸塚のものである。一瞬で目が覚めた俺は今日一番の柔和な表情で「なんだ?」と返事をした。我ながら気色悪い。ちょいちょい、と耳を寄越せとの合図があったのでそれに従う。

 

「デートはどうだった?」

 

女子のような可愛らしい囁き声とともに彼の口から漏れた生暖かい吐息が俺の耳をくすぐった。

「———っ!」

がばっ、と俺は咄嗟に退いてしまい、戸塚に「大丈夫?」と心配されるが割と大丈夫ではない。心臓の音がうるさすぎてもう何も聞こえないまである。なるほど。これが噂のASMRとやらか。

なんて恐ろしい兵器なのだろう。道理で流行るわけだ———俺は感心さえ覚えてしまった。

 

「八幡?」

「あ…あぁ、悪い。俺、耳弱いから」

「あっそうだったんだ…ごめんね?」

「そうなんだよ。そうそう耳といえばこの前な———」

「で、デートどうだったの?」

 

語尾を強めて問われた。むう、誤魔化せなかったか。俺の108の特技のうちの一つ『論点すり替え』でなんとかいけると思ったんだけどな…。おい、そんな目をキラキラさせながら聞くなよ。余計に断りずらくなっちゃうだろうが。あとちょっと顔赤くすんのもやめろ、うっかり手出しそうになるじゃねぇか。…冗談だよ?

 

「…オソロでこれ買った」

仕方なく俺はお土産屋で購入した京都仕様『しょぼん』を見せた。

ちなみにまだ開封していない。透明な袋に覆われた新品状態である。

「おぉ〜可愛い〜!」戸塚は自分の音のように嬉しそうな表情でそう言った。

お前のほうが———とは言わない。

「いいなぁ、僕にもいつかそういう人ができるのかなぁ…」

「は?できるに決まってるだろ」

「なんで怒ってるの?」

いい加減自分の魅力に気がつけという件について、である。彼の魅力というのは即ち『可愛さ』である。だが、もし女性たちが戸塚の外見しか見なければその『好き』は猫やハムスターに対するものと同じで———その点で言えば彼の本当の内面に気がついてくれる人が現れるかどうかだけが心配である。

いや、もういっそ俺が貰ってやろうかな…。「こいつとも付き合うことにしたわ」とか言って戸塚を紹介したら2人はどんな顔をするのか…少し気になったりもする。

 

  ———『ヒッキー…ごめん、もうついていけないや』

  ———『比企谷くん、失望したわ』

 

「……。」

苦虫を噛んだような気分になった。

最悪愛想を尽かされる可能性を考慮すると、来年のエイプリルフールにでもやるのが無難だろう。覚えていたらの話だが。恐らく忘れる。

「そういや戸塚誰と回ってたんだ?一回もすれ違ってない気がするんだが」

「うん、僕も記憶にないから多分すれ違って無いと思う。同じ部活の人と回ってたよ」

 

ほう、同じ部活の人とな。

 

「男子か?」

「いや、女子もいた……え、八幡!?どうして泣いてるの!?」

いかんいかん、嫉妬のあまり感情豊かになってしまった。抑えなければ。俺は「何でもねぇよ」と再び窓の外を見る。

丁度信号が赤になりバスも止まる。

「……あ」

偶然窓の外にある人物を目撃する。誰か、なんてわざわざ問う必要もないだろう。俺に京都の知り合いなんていない。千葉の知り合いすら少ないというのに。まぁそれは置いておき、その人物とは、俺に先程のお土産通りで被害を加えてきた哀川潤とやらだった。そしてもう1人の、俺にぶつかってきた(?)青年は———。

 

担がれている。

…まさか、気絶してんのか?

「はっ…まじで怪異じゃねぇだろうな…」

苦笑いを浮かべながらも、今後言葉を交わすことは無いだろうと気がつき、ついに全ての思考が面倒になった。

「悪い、寝るから着いたら起こしてくれるか」

「あ、うんいいよ」

 

これで安心、と俺はカーテンで目隠しをしてから睡眠に入った。その瞬間『よし、ではそろそろホテルに着くから荷物の準備をしておけ』という平塚先生の爆音が聞こえ、最悪の気分になった。

とりあえず聞かなかったフリをしようとカーテンを固く握りしめたのだが、数十秒後にいつの間にか俺の目の前に来ていた先生に土手っ腹を殴られて永遠の眠りに誘われそうになった。

 

 

 

 

頼むから、バスの中くらいは落ち着かせてくれ…。

 

 

 

 




ヒッキー、次回は修学旅行から帰還しています。『なんでこんな微妙なタイミングで終わるんだよ飽きたのかこのくそツインテールが』と言いたい気持ちはよく分かりますがゆーて特筆するような出来事は無いので…てかここでやめないと八雪結のイチャコラを書きすぎて怪異現象にまで持っていく自信がないんですよ。
修学旅行をもっと書くとしたら番外編かなぁという感じです。感想・評価などお願いします!

ちなみに

  • 前作から見てる。
  • 続から見てる。
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