小石一投、波紋を生ず   作:ヒョロヒョロ

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最終巻を、読みました。
結果として、表に出す気は全くなかった裏設定と奇跡的に噛み合い、辛抱たまらず書いちゃったのが、今話です。
色々許して。
特に(結果的な)タグ詐欺。

追記:章を新設したのは単に、本編でも番外でもねぇというあらわれであって、この続きを書く気はありません。
ゴーザンくんのお話は、これにて閉幕です。













蛇は己が尾を()み、飛び立つための翼を育む


“蛇足”を越えて
匙は離さず、小石を投じよ


「あ、ゲンさん!」

 大樹&杠、クロム&ルリの()()()()()二日目、ずいぶんと久しい顔を見つけて、ゴーザンは思わずその名前を呼んでしまった。

「わ~! ゴーザンちゃん、久しぶり~!」

 今や外交官として世界各国を飛び回っているメンタリストは、大きく笑って応えてくれる。──“二日に及ぶ結婚式”という現状は、彼を筆頭に多忙な関係者が多すぎて、日程を絞りきれなかった結果なのだろう。

「やー、しっかしビックリしちゃったよ! 大樹ちゃんと杠ちゃんの結婚式って聞いてたのに、来たらクロムちゃんとルリちゃんまで一緒に式挙げてるんだもん! とんでもないサプライズくらっちゃった!」

 ゲンの言葉に、ルリは困ったような笑みで沈黙し、クロムはとんでもない事実を()()()()宣った。

「いや、俺とルリの結婚決まったの、二週間前だからよ。単に連絡が間に合わなかったんだ、ワリーな」

「…………はい???」

 呆然と口と目を丸くするゲンに、頭痛をこらえるような顔でコクヨウが告げる。

「こやつ、久しぶりに村に帰ってきたと思ったら、『ルリ、良い機会だし、俺らも結婚しようぜ。大樹たちも「合同式にしていい」って言ってくれてるし』などと、突然ぬかしおったのだ……」

 普通に人がいる村の広場での出来事だったので、ゴーザンもその場面を見てしまったのだが──世間話のようなトーンでの唐突な申し出に、ルリも「はい? けっこんって……結婚!?」と聞き返してしまっていたくらいだ。

(……あれ、下手なカップルだったら、そのまま破局するレベルの暴挙だよな……)

 クロムとルリの絆強度がカーボンワイヤー並だったからビクともしなかっただけで。絶対マネしちゃいけないタイプのプロポーズだ。

「いや、急なのはマジで悪かったけどよ……『このタイミング逃したら“次の機会”は来ねぇ』って、なっちまったからさ」

 言い訳、というには、真摯な響きのクロムの声。

 首を傾げたのはゴーザンとゲンだけで、ルリとコクヨウ、そしてコハクも既に事情を知っている様子。

「──それより、式が終わったら一緒に研究所に行こうぜ、ゲン! 千空にもしばらく会ってねーだろ? ゴーザンも一緒に来いよ!」

 わざとらしく変えられた話の裏は、『この話の続きはここでは出来ない、後にしよう』ということだろう。

 

 ──そうして、その夜。案内された研究所の最奥で、ゴーザンは“ソレ”と対面したのだ。

 

『お、ゲンとゴーザンか! 1009回目の「はじめまして」だな! 俺はメカ千空! 時間遡航装置“オフューカス”の管理AIだ! ()()()()()よろしくな!』

 ドデカい機体についた、これまたデカい画面。

 そこに映った千空っぽいデザインのロボキャラは、千空によく似た電子音声で、奇妙な挨拶を述べた。

「…………1009かいめ?」

 声もないゴーザンの横で、ゲンがこぼした呟きに、機体のそばに立つ本物の千空が答える。

「こいつは、“今の俺ら”が作ったモンじゃねぇ。──俺らが『これからタイムマシンクラフト始めるぞ!』って時に、“未来”から送り込まれてきたんだよ」

 3分クッキングかってんだ、と彼はどこか苦々しく呻く。──『よし、やるぞ!』と意気込んだ次の瞬間に、『あらかじめ用意しておいた物がコチラになります』をされたのだ。無理もない。

『そう拗ねんなよ、1009周回目の千空! “オフューカス”の改良だって、十分唆る仕事だろ?』

 何でも、このメカ千空──というか“オフューカス”は、“千空とホワイマンが協力体制を築いた後の時間”をぐるぐると()()することで、機能を改良し続けているのだという。

「──タイムマシン作るぞ! って千空が言い出した時、『じゃあ、このクラフト終わったらルリと結婚しよう!』って思ったんだよ、俺」

 バツが悪そうに頭を掻きながら、クロムが“式場での話”の続きを告げる。

「なのに、作り出すより先に、モノが勝手に向こうから来るしよ。かといって、“本当の意味での完成”も──」

『“今周中”は、まあ無理だろうな。“情報送信”がやっと21世紀に届くようにはなったばっかだぞ。“計画”通りの“物理的時間遡航”を行うには、まだまだ出力が足りねぇ』

 そう言って、メカ千空は、画面の中で肩をすくめて見せた。

「それで、“次の機会”を待ってたら、“今の俺”は永遠にルリと結婚できねぇな、ってなって」

「──突然のプロポーズに至った訳ね……」

 呆れと納得が混じったようなゲンの呟き。

 ゴーザンも、同じ心境で苦笑し──

『ちなみに、“情報送信”機能でも50年程度しか遡れなかった最初期に、テメーに対しての“記憶干渉”が実行されたんだぜ、ゴーザン』

「はっ!?」

 不意打ちのようにメカ千空から名前を挙げられ、文字通り飛び上がった。

『アニメ“Dr.STONE”、“1周目”の流れを元にした力作だ。容量の関係で“対司帝国編”までが限界だったんだが──こっちの想定以上に、いい仕事してくれたぜ、テメーはよ』

 その言葉で──ゴーザンは悟る。

(……あの“アニメ”の、記憶は……)

 “前世の記憶”でも、“異世界からの電波”でもなく──“未来からの干渉”だったのか。

「──何で、“俺”(ゴーザン)だったんスか」

 反射のようにゴーザンの口から飛び出したのは、純粋な疑問。

「その、過去の人間に……情報? を、送る? なんてことができるなら──その相手は、千空さんとか、司さんとかの方が、良かったんじゃ……?」

 彼らの方が、自分などよりよほど()()に、与えられた“情報”を使えたはず──そう思ってのゴーザンの問いに、

『テメーが“干渉対象”になったのは、ぶっちゃけ消去法の結果だな』

 メカ千空は、きっぱりすっぱり、そう即答した。

『テメーに使った“情報送信”だが、使用に当たっての前提条件っつーか、制限があってな。人間相手に使う場合、対象が“石化した上で()()()()()状態”である必要がある』

 ──なるほど、それでは()()()()()()()()()()()()()()千空は、“受信者”になれない。

「……じゃあ、司さんは?」

『「“俺と千空の対立”が自然消滅する代わりに、“氷月の生存”が絶望的になる気がする」って、本人が言うからよ』

「──あぁ~……」

 司の声を再現して告げられたセリフに、ゴーザンは思わず呻いてしまった。

 ──自分()を殺す為に最愛の妹(未来)へと(凶器)を向け、妹の恩人(千空)拷問(暴力)でもって従わせようとする(した)男。

 そんな“危険分子”だと()()()上で、()()を選択しないでいられるか──司の立場で考えると、相当厳しい。

「……じゃあ、氷月本人──は、ねぇな」

 言いかけて自分で否定した。──“当時の氷月”に“未来知識”を与えたりした日には、自分たち(モヒカン軍団)の死亡フラグを折るどころか、千空や司の死亡フラグが立ちかねない。

 あと、ぱっと思いつくのは、ゲンくらいだが──彼は“1周目”の時点で、既にとんでもない難易度の綱渡りをこなしている。

「……アレ以上やること増えたら、さすがのゲンさんでも……」

『まあ、パンクすんだろ、ってなった』

 思わずこぼれたゴーザンの呟きから繋いで、メカ千空は告げる。

『んで、最終的に、「当事(被害)者に自力回避してもらって死傷者減らそうぜ」ってなって、テメーに決まった訳だ』

「──いや、だとしても、なんで俺?」

 最初の問いに戻ってきてしまった。──他にも候補は5人いたのに。

 しかし、メカ千空の答えは明瞭だった。

『6人の中で、テメーの石像が一番、“座標位置”がよかっただけだな』

「あ、そういう」

 極めて合理的な答えに、今度こそゴーザンは納得した。

「──今のよく分かんない話は後でゴーザンちゃんを問いつめるとして」

 さらっと恐ろしい宣言をしてから、ゲンはメカ千空へと問いを投げる。

「さっきちらっと“計画”って言ってたけど……それは、具体的にどういうものなの?」

『その説明の前に、まず前提を述べるが──現状のまま21世紀で起きた“人類総石化”を防ぐと、今ここで58世紀に生きてる“現代人”は()()()()()()()()()()()()

 唐突に告げられたドギツイ言葉に、ぎょっと目を剥いてしまった。

 思わず、“現代人”であるクロムの方を窺えば──

「そうなっちまうのを防ぐために、()()()()()()()()だけのデカいタイムマシンが要るんだと」

「…………は?」

 言われた意味が飲み込めず、呆然と呻くゴーザンとゲンへ、千空が低く笑い、告げた。

「細かい理屈を省いて結果だけ言うと、タイムトラベルした()()は、その時点で本来の時間軸から切り離され、独立した存在になる。──そうなれば、“親殺しのパラドックス”も何もねぇ」

 

『“オフューカス”で()()()()()()()()I()S()S()()()()()()()()()()()()()()()した上で、()()()()()()()()()()()()()()()()する──そういう“計画”だ』

 

 “過去の犠牲者”の救済も、“現在の仲間”の存在も、決して()()()()──電子音声に確かな決意を宿して、彼はそう宣言したのだ。


 

【蛇足の設定】

(2023年7月6日、微修正)

 

・“へびつかい座(オフューカス)

ギリシャ神話曰く、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()医師・アスクレピオスが、星座になった姿。

“アスクレピオスの杖”は、蛇がグルグル巻き付いたヤツ。WHO(世界保健機関)のマークにもなってるよ。

 

・時間遡航装置“オフューカス”

電子情報のみを過去へ送る“情報送信”と、物質を伴った“物理的時間遡航”が可能。

上の二つは理論的には同じ技術なのだが、必要エネルギーにエグい差があるため(“物理的時間遡航”>>>(越えられない壁)>>>“情報送信”)、別枠扱いになっている。

そのコアは、実は“機械生物(ホワイマン)”そのものである。

周回する度に出力は上がっているが、“計画”を遂行するにはまだまだ足りない。

“計画”遂行後は、時間遡航機能を棄てた上で、ハイスペック宇宙船として運行できる機体を目指し、改良中。

 

・メカ千空

その正体は、“オフューカス”のコアになった“1周目のホワイマン”。

名乗りの通り、かなり千空に()()()感じになっている。こうなるまで色々あったが、本人に語る気はない。

動力的に21世紀への“情報送信”が可能になった1008周回目に、機能テストとして一通の電子メールを送信した。

“送ること”自体が重要であり、送信先も内容も何でもよかったのだが、諸々の協議の結果、『“宇宙作業に適した人工知能プログラム”のプレゼンを、“石神百夜宛”に送る』こととなった。

結果、この1009周回目で、REIと正真正銘の「はじめまして」をすることとなる。

 

・REI

上記の過去干渉により1009周回目の世界で爆誕した、超絶有能AI。

これ以降の周回では、“計画”達成のため、メカ千空と共に尽力してくれることとなる。

 

・“計画”

正式名称は“58世紀ISS子孫21世紀移住計画”。

某財閥御曹司「移住後の生活は、過去の俺を頼るがいい! その代わり、宇宙船“オフューカス”船長の座は、過去の俺がもらうぞ!!!」

 

・ゴーザンの前世()の記憶

前世の記憶などではなく、“未来からの干渉”によるもの。

最終話読んでから生やした訳ではなく、マジで本編一話の時点からあった裏設定でした。

「“ドクストがフィクションとして存在する異世界からの転生”よりも、“未来で確立された技術による過去干渉”の方が、世界観に合うべ!」というノリだけで決めて、それに沿った以下の“禁止事項”だけ地味に守って書いてた。

 

【ゴーザンパートでやってはいけないことリスト】

 ・“前世”の人生の描写(そんなものは存在しねぇ)

 ・OP、ED、声優ネタ

 ・何話、何クール、何期目というような表現

(“現実のドクストアニメ”≠“ゴーザンの脳内のアニメ”だ、忘れるな。どうしてもリアルアニメネタ吐きたい時は、あとがきで書け)

 

・“転生”タグについて

↑の裏設定的に、正しくは“転生”も“憑依”も当てはまらないため、投稿時、つけるか正直迷った。

最終的に「この裏設定を表に出す気はないし、“前世(?)の記憶”っていってんのに、“転生”タグつけない方がアカンのでは?」となって、つけた。

(あと、うっかり誤タップで“憑依”もついてたのに大分後で気づいて慌てて消した)

でも、最終話読んだら、今話を書かずにいられなかった。

だって、原作と噛み合ったら嬉しいじゃん?

公式から書けって言われたようなもんじゃん!?(そんな訳ねぇ)

結果的なタグ詐欺は本当に申し訳ないです。

でも、今更“転生”タグ外すのも何かアレな気がするしどうすればいいんだコレ???

となって、タグで謝る形になりました……

ゆるして……ゆるして……




アニメ3期後半、楽しみですね!!!(2023年7月6日)
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