乙女ゲー主人公に憑依した転生者を霊能力者の主人公が祓う話。

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霊能力者の俺が乙女ゲーヒロイン乗っ取り憑依転生者を『破ァ!!』したらヒーロールート確定した話

科学が発展し、未知の怪異が既知の現象へと姿を変え、霊だとかそういう神秘への畏れが薄くなった現代。

しかし、何故か『そういうもの』が俺には昔から見えていた。

そしてそういうものの一部、『悪霊』みたいなのが、現代でも活動して人々を苦しめているのことも知っていた。

それを知っていながら怯えることしかできなかった小学生時代のある日、そんな俺に転機が訪れた。

それが『師匠』との出会いだ。

『師匠』との出会いは小学六年生の頃、卒業記念として学年全員で登った(あるいは登らされた)霊験あらたかなとある山でのことだ。

山と言っても割としっかり整備され、簡素ながら階段のようなものもあり、俺たちは、それをひたすら登り続けていた。

そしてたどり着いた山頂では、その絶景に心躍らす者、疲れ果ててそれどころではない者、一部高所恐怖症気味で震えている者など様々いた。

そんな中、俺は一人近くにあった小さな祠に目を奪われていた。

正確にはその祠の真ん中の光る渦に、だ。

その渦は、何か神聖なものを感じさせる光りを放っていて、俺はそれに手を触れた。

すると俺の魂はその渦の中に引っ張り込まれ、その中の空間で俺は師匠と出会った。

その中で俺と師匠は協力して山に封じられた怪異を浄化したのだが、まぁこの話は長くなるのでそのうちに。

 

そんなこんなで、俺は師匠にさまざまなことを教わり、学生生活の傍ら悪霊やら怪異を祓ったり、普通の霊を見送ったりしながら、無事に(?)中学生活を終えた。

 

そして高校生活初日、入学式の最中。

俺は今までにない恐るべきものを見た。

同じクラスの女子の列、並べられたパイプ椅子の上に、黒い闇そのもののようなナニカが座っていたのだ。

 

『し、師匠、アレは……』

俺は動揺しつつ師匠に頭の中で念を送る。

師匠は数百年前を生きた人物で、既に霊体であり、怪異退治の時の縁から、俺のそばで守護霊的なことをしてくれている。

『アレは、まずいのぅ……あの闇に肉体を乗っ取られておる。しかもその支配は魂にまで侵食しつつある。遠からず完全に存在ごと乗っ取られるぞ』

『……っ!! 何か方法は!? あの、女子?を助ける方法はないんですか!?』

まとわりつく闇が濃過ぎて性別すら俺にはわからないが、体を乗っ取られるなど他人事でもゾッとしない。

できることなら助けてやりたい。

『あぁ、まぁそうじゃな……儂も初めてみるけぇすなのでな、成功するかは半ば賭けじゃが、やるしかあるまい。あんなものをお主と同じ学舎にのさばらせておくのも胸糞悪い』

そうして、師匠はその方法を教えてくれた。正直かなりハードル高いし、実行できる自信もあまりなかったが、やるしかない!

 

◇◇◇

 

「〜♪ いやー、これから楽しみだなぁ〜」

私の名前は◯……おっと、夢咲花美。今日から高校一年生!

前世ではくだらない毒親に低俗な周りの人間にと悩まされて、苦しんでたところに運悪く交通事故!不幸な人生に最悪な幕を引いたかと思ったが、神さまは私を見捨ててはいなかった!! 目が覚めると何周もするくらい大好きだった乙女ゲーム、【ドリームブルーミング】略した【ドリブル】の主人公に生まれ変わっていたのだから!

春休み初日に生まれ変わってから実感したが、夢咲花美の人生は恵まれている。お兄ちゃんはステキだし子供にとっては邪魔なだけの両親はとっくにオダブツ、見た目も可愛くて所謂悪役令嬢ポジの先輩(笑)を除けば敵うものはいない。

まぁその先輩も遠からずざまぁ展開wで学校を退学することになるので、実質的には学園で一番可愛いのが夢咲花美ことこの私だ。

攻略対象のイケメン達の『オトし方』も完璧に暗記している。ゲームだと難易度の高めな逆ハーだって簡単に行ける筈だ。

なんたってこの世界は前世で苦労した私へのボーナスステージなのだから!

 

入学式を終え、その後のクラスでの説明を軽く聞き流した私は、せっかくなので生の攻略対象をかる〜くチェックすることにした。

積極的に関わりを持つのはゲームが開始するタイミングに合わせるつもりだけど、遠目に見るくらいいいでしょ♪

 

・・・ふぅ〜堪能した〜ぁ。

全員マジヤバ、ヤバいくらいカッコいい。二次元から三次元に移行した影響で劣化してねぇかな〜とか心配してたけど、いや〜杞憂だったね。

みんな光り輝いてた。輝いてたしなんなら一目見ただけでキャラソンが頭の中で鳴り響くレベルだったね。

アレが全部遠からず私にベタ惚れになると思うと・・・ジュルッ、やべ、変な涎出た。

私は制服の袖でゴシッと涎を拭って、家路に着くために正面玄関へ向かった。

周囲からはチラチラと視線を感じるし、家に帰れば優しいお兄ちゃんが待っている。

これだ。これこそが私が人生を送るにふさわしい環境なんだ。今までがきっと神さまの手違いだったんだ。

でもいいよ、お陰でこの環境の素晴らしさに気がつくことができたんだし♪

そんなふうに現状に感謝しつつ下駄箱まで辿り着く。

そして自分の下駄箱を開けると、中に───。

ふ、ふふふふ。くふふふふふふ。

 

その中には、一通の手紙が入っていた。

 

その内容を読むと、要するに私のことが気になって仕方がないのでお話がしたい、なので体育倉庫へ来てください。とのことだった。

破いたノートに走り書きで書かれているのは風情という点では0点も良いところだが、まぁ私にいち早く目をつけて行動したという点で帳消しにしてやってもいい。

こんなイベントは【ドリブル】ヘビーユーザーの私でさえ聞いたことがないので、ゲームには存在しないものなのだろう。攻略対象が関係してないのは恐らくまちがいない。

けどまぁ生まれて初めてもらったラブレターだ。記念に応えてやるのも美少女に生まれた私の勤めってやつかもしれない。

それに、男をこっぴどく振ってやるって一回やってみたかったんだよねぇ〜♪ぷぷぷっ。

ヒーローたちの攻略に入ったらそんな暇ないし、今回が最初で最後のチャンスかも。

そう考えると、行ってやってもいいか。

ま、そいつもいい記念になるでしょ笑

どこの誰とも知らないモブ男くんは残念っ、私のヒーローは予約済みの定員オーバーだからwww

 

 

◇◇◇

 

「しかし、あんまり内容練れなかったけど来るかな?」

俺は、体育倉庫裏でゴソゴソと下準備をしながら標的が来るのを待っていた。

『まぁ、そこが第一の賭けじゃな。気付かれればより警戒されるじゃろうが、現状を思うと少しでも早く手を打った方がいい』

との師匠の返答に、俺は念での会話に切り替える。

『師匠がそう思うってことはほんとにヤバい状況なのか?』

『まぁ、の。肉体は完全に支配され、その支配は脳にまで及んでおる。思考すらももうヤツのものじゃろう。仮に首尾よく取り除けたとして、操られていた頃の記憶は残る可能性が高い。

それに魂への侵食も気になる。それが進めば進むほど完全に切り離すのは難しくなる。

記憶を消せない。そこまできたからには見つけた時点でもう半ば手遅れじゃが、それでも切り離すのは早ければ早いほどいい。最速こそが最善じゃ』

今している下準備は悪霊を捕らえるための結界の構築だ。師匠は数百年間災厄と呼ばれた大怪異を封じてきた謂わば結界のプロフェッショナル。即席、出来合いの結界でも、人の精神をを乗っ取るレベルの悪霊すらなんとかなるらしい。

この結界は外に逃さない結界で、入るのは容易だ。ついでに存在感もかなり薄い。まず結界だとは気が付かれないだろう。

準備を終えた俺たちは、網にかかってくれることを祈りながら、その後の段取りについて最終確認をしながら獲物を待った。

 

 

(っ! 来た!)

悪霊が近づいてきたとき特有の肌が粟立つ感覚に、ヤツの到来を確信する。

俺は生唾を飲み込んでそいつが目の前に現れるのを待つ。

ザッザッと足音が徐々に近づいてくる。

そして、ソレは暗い夕暮れのなかですら目立つ、闇を纏って現れた。

 

 

◇◇◇

 

うわ何このイケメン、隠しキャラかな???

私がその男子生徒を見た感想は、概ねそんなところだった。

先程ウォッチングしてきた攻略対象達に勝るとも劣らない。烏の濡羽ともいうべき艶やかな黒髪に片方が紫、もう片方が赤の眼のオッドアイで、少し童顔めのミステリアスな雰囲気を纏った美形だ。

こんな目立つ容姿でただのモブはあり得ないだろ。公式も攻略サイトも役にたたねぇなぁ。隠しキャラはいないって言ってたじゃん。

このキャラは絶対攻略したい。なんというか、一目惚れ、そう一目惚れだ。

私は頬の紅潮を感じながら、その男子生徒に声をかけた。

 

◇◇◇

 

「あの、貴方が《コレ》の差出人でいいのかな?」

闇は俺が下駄箱の中に慌てて押し込んだノートのページを見せてきた。

「あぁ、それは俺がアンタに宛てて書いたものだ」

「へ、へ〜。私のことが気になるってどんなところが?」

闇はその見た目にそぐわない鈴の音のような心地いい響きの声でそう問いかけてきた。

しかし、その体は未だ結界の範囲外からだった。

どうすればヤツを結界内に引き摺り込める……?

俺は少し思案し、思いついた案を実行に移した。

ドカッと、俺は体育倉庫の壁に背中を預けて座り込む。

そして俺の手の届く範囲にある地面をポンポンと叩き。

「まぁ立ち話もなんだし、座ってくれ」

と、ソレに言った。

正直あんなものが触れるか触れないかの距離に来るなんてゾッとしない話だが、背に腹は変えられない。

なんの罪もない……かは分からないが、とにかく女子生徒を救うためには多少の嫌悪感は飲み込む。

「へぇー、なんだかぐいぐいくるね。アハっ、いいよ」

そう言って闇は俺の隣に腰掛けた。

予想以上に近くて思わず身震いするが、グッと堪える。

とにかく結界内には引き摺り込めた。あとは俺の度胸だけだ!

俺は、両の手を使ってガッと闇の肩あたりを掴むと自分の方により引き寄せる。そして頭と腰の辺りを腕と手で拘束し、ヤツの声から辺りをつけて、額同士を密着させ、待ってる間に体内で練りに練っておいた霊力を送り込んだ。

闇は抵抗してくるが、構わずに俺は霊力をヤツに送り込み続ける。

そして、大量の霊力で強引に女子生徒の魂と俺の魂の間にラインを繋げる!

来た!

俺はラインが繋がった感覚を得て、師匠に呼びかける。

『師匠、お願いします!』

『あいわかった!』

師匠が俺に憑依する。その暖かな感覚に安心感を覚えながら、俺の繋いだラインから師匠は自身の霊体と共に、俺の意識を女子生徒の魂に移した。

 

◇◇◇

 

『っ!なんて邪念の量だ!この狂った世界はなんなんだよ……』

俺が誰かしらの精神世界に入るのは初めての経験ではないが、その精神世界は大体当人の精神の影響を受ける。

この世界の中心には黒いイバラに絡め取られた純白の城があり、その城の上にはラフレシアのような毒々しい花が咲いていた。

その花の中心から吐き出される瘴気のような花粉か何かが、本来美しかったであろう足元の花々を枯らせていた。

『精神世界に入った時のセオリーは、まず一番目立つ場所の攻略だ』

俺はイバラの巻きついた城を目指して歩き出した。 

程なく城の正面に辿り着いた俺は、本来固く閉ざされていたであろう、イバラにこじ開けられた城門を、勝手にお邪魔することに対する少しの罪悪感とそれを無理矢理成したイバラに対する嫌悪感を抱きながらすり抜ける。

するとその中には、もともと飾られていたであろう家具や調度品が地面に散乱し、大量の大小異なるタイプもてんでバラバラなイケメンの人形が乱雑に飾られていた。

壁にも絵画のように幾つもイケメンのイラストが貼り付けられているが、誰一人として同じ顔の者はいない。

『随分とこう……気の多いヤツらしいな』

俺は込み上げてくる悪寒を抑えながらどうにか濁してそう言葉を紡いだ。

俺は全身の鳥肌を感じながら、1秒でも早くこの場からさりたいと言う思いを押し込めて、最上階へと駆け上がった。

上の階にも生えているイバラも、飾られていたイケメン人形たちも、何故か特に襲いかかってくることもなかった。

───妙だ。

ここがヤツの精神世界でもある以上、俺がここにいることは気がついているはずなのに……

 

そして最上階。

 

そこにはイバラに生気を吸われるように縛られた優しげな雰囲気の女の子と、外の世界で見た黒い陰が立っていた。

 

『イラッシャイ♡ ワタシノセカイヘヨウコソ ヨクキテクレタワネ♡』

 

『寝ぼけたこと言ってんじゃねぇよ、悪霊。とっととその娘にこの世界を返せ』

 

俺は、縛られた女の子を指差して宣言する。

 

『………? ナニイッテルノ? ココニハアナタトワタシシカイナイジャナイ?』

 

とぼけたことを……と、言おうとして気がつく。こいつほんとに気がついてない?

なら交渉の余地はあるかも知れない。

ヤツに自分が死に、他人の精神を乗っ取っていることを自覚させて、成仏してもらうのだ

 

『いや、悪いけどアンタもう死んでるんだよ。それで関係ない女の子の体を乗っ取ってるんだ。辛いとは思うけど、悪気がないんだったら返してやってほしい』

 

『ハー? ナニイッテンノアンタ? コンナイイカンキョウテバナスハズナイジャナイ。 アー、ワカッタワカッタ アンタカクシコウリャクキャラジャナクテカクシボスダッタワケネ。 ウンエイモクソナコトスルワー イケメンガイッキニニクタラシクミエテキタ。 ジャ、タオシチャオット!』

 

そういうと、周りのイバラが蠢き、一斉に俺に襲い掛かってきた!

俺は咄嗟に自分の魂の力を炎の剣の形にして握り、振るう。

イバラが焼け、陰が苦しむ。

 

『グァァァァァア!! アツイ!アツイイイ!! フザケルナオマエェ!!!』

 

陰は更に攻勢を強めるが、俺は剣を振るい続けながら進み、縛られた少女のところまで到達する。

その生気は随分と触れているらしく、頬はこけていて、手足もポッキリ折れてしまいそうだった。

俺はその娘を縛るイバラだけを魂の炎で焼き、少女を救出する。

 

『おい!君!しっかり!目を覚ませ!』

俺は剣を振るいながら、少女に声をかけて起こす。

 

『───あ、私』

 

少女は目覚めた。

 

『今君の心を悪霊が侵食してるんだ。このままだと奴は君の体と魂を完全に乗っ取る。二人で協力してヤツを倒そう!』

 

『───思い出した。アイツ、私の体であんなことしようとして、私の頭であんなこと考えるなんて───!

───絶対に許さない!!!』

 

キッと、少女は陰を睨む。思ったより意志の強い娘にはだったようだ。

 

彼女は俺の背から降りる。

光が彼女を包み込み、こけていた頬や、ポッキリ折れそうだった手足に生気が通い始め、茶色だった眼と髪の色が鮮やかで優しいピンク色に変化し、更にはまるで魔法少女のような服まで身に纏った。

 

『ちょっと子供っぽいけど、アイツ相手には丁度いいかもね!』

 

俺は彼女に並び立ち、炎の剣を正眼に構えて二人で陰を睨んだ。

 

『ふ、フザケルナフザケルナフザケルナ!!

ソレハワタシノポジションダロ!?!? ヒロインミタイナツラシヤガッテ ソレハワタシニコソフサワシイカラダナンダヨ!!!

カエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセカエセ!!』

 

そう壊れたラジオのように同じ言葉を叫びながらも、イバラを取り込み肥大化してゆく陰。

俺たちは急いで城を抜け出す。

影はやがて、黒いイバラの邪竜へと姿を変えた。

 

『アイツには交渉の余地なし!一気に行くよ!』

 

『お、おう』

 

俺が炎の剣を構えると、彼女は俺の手に手を重ねて、二人で剣を持つ感じになった。

 

炎の剣は光を帯び、上に掲げると邪竜を両断できるほどに巨大になる。

 

『一人の力じゃアイツは滅せない。二人の力と呼吸を合わせる感じで、一撃で切り裂く!』

 

『うん!一気に行くよ!せーの!!』

 

『フレア!』

『ブルーミング』

『『ソード!!』』

 

ザン!!!

 

と、俺たちの炎と光の剣で邪竜は切り払われた。

 

凄まじい光の前に陰は何も言い残すことなく消え去り、城を絡め取り黒々としていたイバラは鮮やかな緑へと色を変え、その頂点には燃えるような紅いバラが大輪を咲いていた。

 

枯れていた花畑も解放された城を中心にブワァァア!とその美しい花を咲かせてゆく。

 

城の中も、きっと元に戻っていることだろう。

 

俺は精神力を使い果たして座り込む。

彼女も同じく俺の隣にへたりと座り込んだ。

 

『やったな』

『うん、ありがとね』

 

俺たちはコツンと拳を突き合わせた。

 

『じゃ、俺はもう帰るから』

 

少し休憩ついでに美しい花々を鑑賞し、いい感じに精神力が回復したのを機に、俺はそう切り出した。

 

『そっか……分かった。そうだ、帰る前に名前聞いてもいいかな?因みに、私の名前は夢咲花美!』

 

『おう。俺の名前は『天龍尊、タケルって呼んでくれ、花美』

 

『タケル、タケル君かぁ。これからよろしくね!』

 

『ああ、また、現実で』

 

『うん、現実で!』

 

そう言って彼女とは別れ、俺は現実に帰還した。

 

◇◇◇

 

『タケル君、タケル君かぁ……、ふふっ、花美だって。いきなり名前で呼び捨てだもんね、ふふふっ』

 

タケルが帰還した後も、花美はまだ精神世界に残っていた。

彼女は自我を取り戻したが、悪霊の影響はタケルの師匠が危惧した通り消えてはいない。

本来はなかったはずのイバラが、鮮やかに色を変えたとはいえ残っているのはその証明と言えた。

ガチャリ、と花美は城門を開き、城へと入る。

その中には、大量の人形とイラストが残っていた。

───その顔を、烏の濡羽ともいうべき艶やかな黒髪に、片方が紫、もう片方が赤の眼のオッドアイ。少し童顔めのミステリアスな雰囲気を纏った美形、に変えて。

 

『これが実際にあったかどうか確かめる方法はもう用意できた』

 

先程の名前交換にはそう言う意図があった。

あとは、タケルが『タケル』なのか確かめるだけ。

 

『攻略対象の人たちもたちも可哀想な事情を持った人たちだから、なんとかしなきゃだけど……』

『攻略ルートのわかんないキャラの方が方が燃えるってのがゲーマーってもんよ、ふふ、ふふふふふふっ!』

 

◇◇◇

 

「【お悩み相談部】?」

それから一日経って次の日。現実で花美と再会?した俺は、花美からそんな提案をされた。

因みに花美の見た目は何故か精神世界と同じピンクのままだったが、まぁそのくらいの色は別にいなくはない。赤髪とか青髪とかも珍しくはないし。

 

「うん。だってタケルくん、これからも私みたいに困ってる人がいたら助かるんでしょ?」

 

「まぁ、それはそうだけど、それとその変な名前の部活がどう関係あるんだ?」

 

「だから!どうせ人助けするなら学校の部活動ってことにしといた方がなにかと都合いいでしょ?大丈夫、顧問と他の部員には【アテ】があるから!」

 

「あ、あぁ、なら、頼む」

 

俺は花美の威勢に押されてOKしてしまった。

 

───そして、俺と花美の人助け武勇伝は後にこの高校の伝説となるのであった。

 

その武勇伝や、俺と花美のその後の関係についてはについては、まぁ機会があれば話そうと思う。




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