十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。
「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」
「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」
「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属けんぞく達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」
魔女に血を求めるとは・・・まぁいいんだが。
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星ヶ丘姫 3598歳 女 レベル:error
天職:星眼の魔女
筋力:n
体力:∞
耐性:∞
敏捷:n
魔力:∞
魔耐:∞
技能:変数n・言語理解
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変数n:nに代入する値は自由に変更することができる。ただし1≦n ≦10000とする
まぁこんなものか。私の能力が書かれていないのはこの世界のものではないからだろう。
偽装することも考えなくはなかったが別にいいか。
「なんだ・・・?これは・・・」
団長よ。お前の気持ちはわかるが何かコメントしてくれないか。
「お前、いや、あなたが勇者ではないのか?」
「何をほざくかと思えばかなり面白いことを言う。私が勇者だと?ふざけたことを言うなよ小僧。」
「ッ!申し訳ありません。」
「まぁ良い。秘密にしていることではないから他の連中に話しても構わない。私はある程度自由にしても構わないな?」
「ええもちろんです。ですが、最低限のルールだけは守っていただけると・・・」
「わかった。それについては頭に入れておこう。」
私のステータスと年齢で畏まったのだと思う。
相手が畏れば私もいつもより固く接してしまう。
メルドからしたらその方が気楽かもしれんがな。
ちなみに正確な年齢は初めて知った。3桁超えたあたりで数えるのはやめていた。
私は本を読むのが好きである。
魔女ならば基本的にそうだが、好みはもちろん違う。
私は星座に関するものや魔術書なんて呼ばれるものを読んでいる。さっき来た空間の魔女は精神年齢相応とでも言えばいいのか絵本を好んで読んでいる。
魔女とは未知を探究する存在でもある。よって今、訓練をサボり読書に耽っている。
そもそも私が訓練する必要はない。必要なのは知識を蓄えることである。この世界の地理的なものや存在する生物、植物なんかの図鑑らしきものを読んで頭に叩き込む。ファンタジー世界であるため私の脅威になりうる存在を探しているのだがやはり存在しないか。とりあえず今度行くであろうオルクス大迷宮、並びにそれに準ずるものを見て回ることにしているが面白くなければさっさと神を殺して帰ることにしよう。神殺しは地球ではできないからな。その時は仲間たちも呼ぼう。
脅威となる存在はいないが一つ興味を引いた物があった。
神結晶だ。
数千年の時間をかけて自然に存在している魔力が集まり、固まったものらしい。私の魔法行使の補助にできるかもしれないからぜひとも手に入れてみたい。
「ここにいたのか。本なんて読んでいないで訓練に参加したらどうかな?」
「お前には関係のないことだ。私の戦闘スタイルは既に確立している。わざわざ訓練する必要はない。ああ、そうだ。これを見ろ。」
ステータスプレートを投げ渡す。
「私に勝てるものはこの世界にはいない。地球だと絶対とは言えなくなるがな。」
「何なんだこれは!どんな不正をした!」
「不正とは失礼な。私が培ってきた約3600年を考えれば妥当なところだと思うのだが?」
「ふざけるな!そもそも人間はそんなには生きられないだろ!」
「私は人ではない。魔女だ。星眼の魔女だ。そこを履き違えるなよ、勇者。」
指をパチンと鳴らし投げ渡したステータスプレートを消す。
あんなやつにわざわざ本物をくれてやる道理もない。幻で十分だ。
「お前嘘を言っていたのか!?」
なんか知らんが剣で切りかかって来る。
「ここは書庫だ。黙れ。」
魔法を発動し動けないようにする。
傍から見れば空中で固まっている。
「内容に虚偽はない。私のことが信用できないのならメルドに聞くがいい。さっさと帰れ。読書の邪魔をするな。」
固まっている状態を維持しながら扉の外へと投げる。
今使ったのは念力とかサイコキネシスとか呼ばれているやつだな。私は魔法に名前をつけない。数が多すぎて忘れるからな。
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あれから2週間程が経過し実戦訓練をするということでオルクス大迷宮に来た。それで本を読み漁った感想なんだがつまらないに尽きる。物語や伝記といったものもあったのだがやはりどこかしらこの世界の宗教がでてくる。そしていつも『エヒト様のお加護だ!おかげだ!』で終わる。
270度ほど角度は変わるがこの世界の魔法について。
詠唱をすることで魔法陣に魔力を流し込み発動するらしいが3流未満だ。適正により詠唱の省略ができるのだとしても3流未満だ。無詠唱が常ではないと不利になる。私とて特大魔法級になれば詠唱を必要とするがあくまでそれはイメージ補完、発動の補助でしかない。無詠唱でも時間をかければ発動できる。一流とは、無詠唱かつノータイムで、威力効果を落とさずに任意の魔法を発動できることだと私は考えている。私は先程のことから1.5流とでも言えばいいか。他の魔女たちは専門分野においては十分に一流だ。というか専門分野以外の魔法を一切使わない。私だけだぞ。色々な分野の魔法を使用するのは。
こうしている今も我々は進んでいる。
戦いながら進む。初めてにしてはよくやるとは思うが中世の騎士たちのほうがマシな気がしてならない。
む。
あの馬鹿ここで打つ気か?
「ふん。馬鹿め。」
単純な閃光を勇者の前で発生させる。
「うわっ!」
続いて光の矢、まぁビームでゴリラっぽい何かを焼き溶かす。
「申し訳ありません。助かりました。」
「気にするなメルド団長。それとここでは生徒たちの前だ。厄介事は増やしたくないだろう?」
「そうですね…いや、そうだな。わかった。何かあればまたサポートを頼むぞ。」
優秀だなメルドは。
それはそうと、
あの罠である鉱石は。
「すごく綺麗…」
何から何まで補助するのは癪だ。
よって痛い目を見てもらおう。
「あれ俺達で取ろうぜ!」
そう言って取りに行く檜山。
そして触れた瞬間魔法陣が展開される。
気づいたときにはどこかもわからない場所にいた。
「グルァァァァァアアアアああああ!?」
あれは確かベヒモスとか言ったか。
最後のほうが悲鳴っぽく聞こえたんだが…
私を見て怯えているようだな。獣の本能と言うやつか?
あーうん、私は何もしないから普段通りやれ。
「グルァァァァァアアアアア!!」
なんか子犬みたいだな。
「早く起きろ!いいか!戦って勝てる相手じゃない。俺たちが足止めしている間にあの階段へ逃げろ!」
「そんな!?それじゃメルドさんたちが!俺も戦います!」
おや、雑魚の骸骨兵も湧き出したか。私は飛んで高みの見物でもしておこう。
ある意味そこは地獄だった。
初めての実戦は上手く進んでいた。
しかし、ハプニングが起きた。いくら戦えるとはいえ経験はゼロだ。呆然としている者、冷静でない者、泣き出しそうになっている者、青ざめている者、様々だ。唯一勇者のみ行動を起こしているがこの場において最悪手と言える。メルドたちは勇者たちを失うわけにはいかない。それこそ命と引き換えだとしても守らねばならない。そこで瞬時に状況を把握し逃げるよう指示を出した。
だというのに。
勇者は聞かない。
今は障壁を張って耐えているがあと数回も突進をくらえば壊れる。この稼いだ時間の間で下がればいいものを。そうすればクラスメイトを誰も失わなかった。
最弱の人物を見てみよう。
力はない。しかし現在できることで状況を改善しようと行動している。クラスメイトがピンチになれば錬成で地形を変え骸骨のバランスを崩す。そして、骸骨を突破するには一撃の火力の大きさが必要だと判断し勇者を呼びに行く。
どちらが勇者に向いているかと聞かれれば私は後者を選ぶ。
南雲ハジメを。
おそらく本人は否定するだろうがな。
僕が勇者なんて…とでも言いながら。
常に自己評価の低い人間だから白崎香織からの好意にも気づいていない。そんなやつが奈落へと落ちれば豹変するのだから面白い。
ようやく勇者が下がる。
南雲ハジメは足止めをするために前へ出て錬成によりベヒモスを生き埋めにしようとする。
後方では全員が魔法の準備をしている。南雲ハジメの撤退を援護するためだろう。
そして、南雲ハジメが走り出したと同時に魔法が放たれそのうちの一発が南雲ハジメに当たる。
「頃合いか。」
第2射が行われまたしても一つが南雲ハジメへ向かっていくがそれをバリアで防ぐ。
「ベヒモス。おすわり。」
「グァッ!?(特別意訳:え?っはい!)」
さてさて。
「いやはや実に醜いな人間というのは。なぁ檜山。」
「な、なんで俺なんだよ。っつーかその前にどうしてその魔物はお前の言うことを聞いてんだよ!」
「弱肉強食、世の理だ。そしてコイツは私の言うことを聞けば死なないと思っている。まぁそんなことはどうでもいい。檜山。お前は何故南雲ハジメを殺そうとした?」
「何を言って…?」
「私は上から見ていたぞ。お前が放った火球がベヒモスへ飛ばずに途中で曲がったのを。」
指で上を指しながら言う。
「そしたら第2射も同じではないか。私がバリアをはらなければコイツは死んでいた。さて犯罪者。」
「は、犯罪者?」
「そうだ。戦争犯罪者。戦犯。これから戦争が始まろうというのに味方同士で殺し合ってどうする。味方を殺そうとした罪は重い。よって死ね。」
脳天からビームで貫く。
ああ悲鳴が木霊している。
「それとだベヒモス。お前も死んでおけ、邪魔だ。」
「ぐる?(特別意訳:え?何もしないっていったじゃん(´·ω·`))」
「何もしないといったな。あれは嘘だ。」
「くぅーん(特別意訳:そ、そんなぁ(´·ω·`))」
こちらはベヒモス全体を覆うくらいの極太ビームを上から下へ放ち消滅させた。するとおそらく一番下へ続いているだろう縦穴がうまれる。あとはもうわかるな?
「助けておいてなんだが南雲ハジメ。お前にはここを下ってもらう。」
「え?」
「なにお前は必ず生き残る。星眼の魔女のお墨付きだ。」
「わけがわからないよ。」
魔法で南雲ハジメを持ち上げ穴の上へ移動させる。
「ま、待って!」
「堕ちろ。憎めばいい。呪えばいい。私を、己の無力さを。それが糧となり、強くなる。」
落下が始まる。
「さぁ、落ちて堕ちて堕ちろ。私を殺したいのなら強くなるがいい。」
必死に上へ手を伸ばすがそれを取るものは、取れるものは誰もいない。白崎香織が私を殺そうとしてくるが所詮回復役だ。見らずとも衝撃波で気絶させられる。
「最も、殺されることは仲間の魔女たち以外には絶対に有り得ないがな。」
私は、魔女である。
善というよりは、悪に近い。
しかしながらこれは善意による行動である。
ぼくのかんがえたさいきょうのきゃら、な星眼の魔女だけどそういうキャラの何が駄目って後出しジャンケンで勝てるし何なら後出しジャンケンする前に相手をすり潰せるのが駄目だと思う作者だった。