つい先程、コケた。
何もない平坦な道を、胸の谷間にミケを納めて走っていると急に襲いかかってきた鳥に驚いてバランスを崩してがっしゃーん。幸いにも私とミケに怪我はなかったが私のイかしてるバイクは無事ではなかった。見てみると複数のパーツが破損していた。
「食料ついでに部品探すかぁ…」
この世界でバイクは車と同じくらいに普及していた。割合はちょうど半分半分くらいというのを結構前に拾った本で読んだ。私のバイクはかなり頑丈に作られているはずだけれど部品交換なしの整備だけじゃだめだったみたい。部品が手元にないことが多くてね。
護身用の銃も持っていく。オーソドックスな9mm拳銃。今のところ12発マガジン4つ分しか弾薬がないからそれも補充しなくちゃなー。拳銃の腕?半分くらいは当たるんじゃない?
「しかしこの地域はやけに暗いな。」
原因は道の両方にそびえ立つ建築物がずーっと並んでいることだろうね。窓の数を数えただけだけど10階以上がほとんどだね。人口がめちゃくちゃ多かったんだろうなぁ。人口密度高すぎるぅ・・・。
「でも、誰もいなくなっちゃったんだよね」
きっと栄えたんだろうな。こうやってギシギシになってまで人が集まるんだから。
「ん?」
本屋さん、というよりは図書館かな?
歴史が気になった私は立ち寄ることにした。
掃除されているはずもなく、埃だらけだ。ミケは中に入りたがらなかったのでバイクでお留守番してもらっている。
「歴史…歴史…ここか。」
『もともとは水没した都市で積み木のようにして家を建てていたが30年前の地震で土地が隆起して水没していた部分が出てきた。その噂を聞きつけた外部の人間やもともと街に住んでいた人間が一緒になって修復や改装を続けた結果、人口は膨れ上がり、大都市となった。10年足らずでここまで発展するのは類を見ない。しかし、栄えていたものの食糧問題が度々話題に上がっていた。10年前この世界の広い範囲で飢饉になった。ここは作物が育ちにくい土地だったようで9割ほどを輸入に頼っていた弊害により食糧問題は深刻なものになった。裕福な家庭は外の豊かな場所へ逃げて、それができない者は強奪や犯罪など一瞬にして治安が悪くなった。やがて人口は流出を始め、最後は私だけとなった。飢饉での問題について私は学者として、ある意味人間の正しい姿を見ることができたのではないかと記しておく。普段は他人の為などと宣っているが、いざ窮地となれば他人を蹴落としてでも生き残ろうとする。素晴らしいじゃないか。さて、誰がこれを読んでいるのかは、わからないが何かしら役に立つと幸いだ。私もこれで心置きなく去ることができる。良い生を。』
ふーん…きっと皆愛着なんてなかったんだろうね。元水上都市で、今は高層建築物が並ぶ街。栄えてたから、儲かるからみたいな理由でとどまってたんだろうけど、利便性はかけらもないよね。ぱらぱら見てたら1階や2階の家賃のほうが高くて、階が高くなるほど安くなるって書いてるし。そういうことなんだろうね。あんまり面白くはなかった。
「ん?地図じゃん。」
これは嬉しい。しかもどこになんの店があるかまで書いてる。
「よし。数日間、観光しよう。」
誰もいない、がらんどうな世界で私は、ただ、生きる。