FLOWER KNIGHT GIRL 二次創作

オジギソウ、ネリネ、ツツジ、ブリオニアが頑張るお話です。
巻き込まれ体質のツツジと、彼女の前ではちょっとお姉ちゃん役になるネリネが、路地裏で出会った人に害虫討伐を依頼されます。
話を聞いたブリオニアは、何かおかしいと思ったのですが……!




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怪しい依頼と青い思い出

ペンを走らせる音ばかりが元気な静寂の執務室。

黙々と書類仕事に勤しむ団長の近くには、すぅすぅと可愛らしい寝息でソファにまどろむオジギソウ。綺麗な姿勢で椅子に腰掛け、時折ブツブツと独り言を洩らしつつ読書に没頭しているブリオニアの姿があった。

 

書類の量は、追われると言わずに済む程度。

気楽で穏やかな昼下がりだった。

 

しかし、その平和を破る足音が、ドタバタと急ぎ足で近づいて来ていた。

まっすぐに執務室の前まで来ると、それは乱暴にドアを開けた。

 

「団長さぁぁん!!」

「ひゃうっ!?」

悲鳴をあげるオジギソウ。

「あぁっ、オジギソウさんいたんですか! うるさくしてごめんなさい!」

「大丈夫です~ 少し驚いただけですから~」

 

腰を90度曲げて頭を下げているのはネリネ。

その手に引かれて、同じようにツツジも謝っていた。

二人とも比較的大人しい性格の花騎士だ。それがこの慌てぶり。ツツジが一緒の事だし、よっぽどの何かに巻き込まれてしまったのだろうと団長は察していた。

ブリオニアも本を閉じ、何事かと様子を見ている。

 

「何かあったのか?」

「団長さん、助けてください!街に害虫が!」

 

団長の顔がサッと気色ばみ、思わず腰が浮いた。

 

「どんな害虫だ。数は多いのか」

「ち、違うんです!」

 

問い詰めると、今度はツツジが懸命に割って入ってきた。

 

「えと、違うんですけど違わないと言いますか……害虫が出たのは街中じゃなくて街の外で、緊急ではないんです! でも急いでいて……!」

 

要領を得ない話だ。落ち着いて話を聞く必要があった。

気が急いている二人をなだめつつ話を聞き出したところ、彼女達は街の人から討伐を直接依頼されたらしい。

依頼人は中年の女性。ブロッサムヒルの街から少し北に離れた所に仕事場があったが、そこに害虫が棲み着いてしまっていた。急ぎの仕事があり、どうしたものか部下と相談していたところにツツジが出くわしたそうだ。路地裏に入っていくツツジを見かけ、追いかけたネリネもそこで合流して一緒に話を聞いた、ということだ。

 

通常、害虫の討伐は巡回の花騎士によって常時行われているが、今回のように巡回ルートから離れた場所での目撃情報があった場合、まず斥候隊が派遣される。

害虫の規模次第ではその場で討伐される事もあるが、そうでない場合は斥候の情報を元に、然るべき騎士団に討伐命令が下されるのだ。

当然ながら、目撃報告から討伐達成、そして安全宣言まではタイムラグが生じる。良くて1日、悪ければ数日かかることも。

急ぎの仕事があろうとも、害虫が出てしまえば諦めてもらうのが常だ。

 

ネリネとツツジもそれを知っているからこそ、目の前のその人を助けたくてこうして頼みに来たのだろう。

純粋で真剣な4つの瞳に懇願されては、とても無下にはできない。すぐに動けばその人が助かる可能性はある。

 

「わかった。ひとまず行ってみよう」

「「ありがとうございます!団長さん(様)!」」

 

団長が動いてくれると分かると、二人は抱き合って喜んだ。

 

「オジギソウも来てくれるか? 害虫の規模が分からないから、来てくれると助かる」

「わかりました。お任せください~」

「みんなすぐに討伐の支度を整えて来てくれ。準備ができたら宿舎の前に集合だ」

「「はい!」」

威勢の良い返事を残し、三人が部屋を出た。

 

すると残ったブリオニアが

 

「団長さん、ちょっと良いかな。気になることがあるんだけれど」

と、声をかけてきた。

 

「良いぞ、話してくれ」

「仕事場が北のはずれにあるって言ってたよね。どうしてそんな場所に仕事場をつくったんだろう? 往来の多い南西と違って北は未開発でしょ。ガルデ要塞から来る害虫の目撃報告も多いのに」

「静かな所が好きなんじゃないか?」

 

団長は相づちを入れながら、新しく手紙にペンを走らせていた。

 

「もう1つ、ネリネさんは、害虫が棲み付いていた。って言ってた。彼女、純粋だから無意識に依頼人と同じ言葉を使ったと思う。棲み付いていたって事は、何日か職場を空けていたって事だよね。それなのに、普通の討伐を待てない急ぎの仕事って、一体何だろうね」

 

言葉尻が純粋な疑問ではなく、同意を求めているかのようなニュアンスだった。

ブリオニアは小さい外見に見合わない聡い花騎士だ。戦術、戦略への関心が高く、中でも人同士の争いや心理戦への興味が強い。「人が集まれば争いが起こるのは自然。争わない方が不健全」とまで断言する。そのため、根は優しいがしばしば悪い子と勘違いされる。

純粋で「悪い人なんていない」と信じるネリネとは、対極にある存在と言っても良かった。

二人きりになってから声をかけてきたのも、ネリネ達を気遣ってか。あるいは話がこじれることを避けてくれたのかもしれない。

 

「そうだな、調べておいてくれないか?」

団長は書き上げたばかりの手紙を渡した。

「必要があったらためらわず使ってくれ」

内容を確かめたブリオニアは少し驚いたようだった。

「ありがとう、団長さん」

密命を受けたブリオニアは、静かに闘志を燃やすのだった。

 

 

 

ブロッサムヒルの北東門。そこから伸びる街道は港町ヨーテホルクへと続き、長く物流の要を担っている。

守衛門が他より大きく作られているのは、時に数台の馬車が同時に出入りすることがあるからだ。

駐屯する衛兵や交易官らは、笑顔で商人達を出迎えつつその目を光らせて検問にあたる。

 

「長旅お疲れ様でした」

「お気をつけて行ってらっしゃいませ」

 

広場では彼らの声が断続的に飛び交う。ほとんどの場合はこうして平和に手続きが済むが、ごくまれに交易許可証を偽造して良からぬ品を持ち込もうとする者もいる。

捕り物があると、記者がこぞって駆けつたりもするのだ。

性質上、ここにいる多くは商人か、護送の任につく花騎士である。何人か見知った顔もおり、フィソステギアは目が合うと笑顔を投げかけてくれたし、ルピナスやブンタンは団長の姿に気づくと遠くから手を振ってくれた。

ツツジとネリネに依頼をした人物とは、ここで待ち合わせているらしかった。

検問や定期馬車を待つ様子の人たちの間を、キョロキョロとしばらく探していると、ネリネがあっと声をあげた。

 

「マリーさーん!」

 

元気な呼び声は耳目を集めたが、二人が駆け寄ったので依頼者はすぐに分かった。

喧騒からほんの少し離れた場所で、腕組みをしながらタバコを吸っている女性と、その隣で後ろ手に仁王立ちしている男性の二人組だ。

女性は携帯用の灰皿にタバコを処理すると、アッシュブラウンのスーツの上着に仕舞い、ついでにそれまで外套のように肩にかけてただけだったそれに袖を通した。

 

「驚いた。本当に来てくれるとはね」

「えへへ、団長さんは優しいんですよ」

 

二人を追っていた団長は、彼女の視線が自分に移ったのを感じた。腰の帯剣に目が止まった所を見ると、騎士団長である事には納得をしてもらえただろう。

団長は所属と自分が団長であることを告げた。

 

「お忙しい所を駆けつけていただき、感謝します。私はマリー、今日はよろしくお願いします」

 

そつのない挨拶に合わせ、隣の男も軽くお辞儀をした。

マリーと名乗った女性が代表なのだろう。スーツは綺麗で雰囲気も落ち着き、堂々としている。少々年齢が高い事が顔に表れていたが、それゆえに年季を重ねた自信を感じずにはいられなかった。

一際目を引くのが空色の髪だ。肩まで伸びたウェーブのその色は、ネリネによく似ていた。

もし最初のタバコがなく、雰囲気が柔らかければ、ネリネの母かと思ったに違いない。

 

「こちらこそよろしくお願いします。出発する前に1つ、確認を取っておきたいのですが」

「なんでしょうか」

「今回の依頼は、この二人から報告を受けただけの、非正規のものです」

 

この二人、と言った所で、団長はネリネとツツジ、それぞれの肩に手を置いた。

 

「我々は害虫の種類も規模も分からない。まずはそれを調べ、討伐が困難と判断した場合には退くことも十分にあり得ます。その点をご承知いただきたい」

「あぁ、そういう事」

 

マリーの視線がネリネとツツジ、そして団長の横にいるオジギソウを撫でた。

 

「構いませんよ。元々無理を言ってるのはこちらですし、その小さい子達だって命は惜しいでしょう。死なれても寝覚めが悪い」

 

了承する言葉にはトゲがあった。団長の横で眠たそうにしているオジギソウを、マリーは呆れ混じりに見つめている。

平静を装って睨み付けていたと、言い換えた方が良いかもしれない。

 

「大丈夫ですよ。団長さんはすごいんです。それに私も頑張りますから!」

「わ、私も精一杯頑張ります!」

 

 

そのトゲを感じてか、ネリネとツツジが言い募った。

本当なら騎士団長である自分が先に言葉を返すべき場面ではあったが……と、団長は小さく己を恥じた。

 

「彼女達は小さく、頼りないように見えるかもしれませんが、優秀な花騎士です。騎士団の誇りにかけて、最善を尽くす事を約束しましょう。案内を頼めますか」

 

言葉を選んだが、辞令句のようになってしまった。最善を尽くすというのは曇りなき本心ではあるが、何故かこちらに嫌悪を滲ませるマリーにはどう映るか。

少なくとも、彼女が持つ印象を変えることはできないだろうな、と。諦めを持って彼女の反応を待った。

 

マリーはまるでまだタバコを喫していたかのように、フゥーと大きく息を吐くと、くるりと門の方へ向き直った。

 

「付いてきな。倒すにしろそうでないにしろ、結論が早く出た方が助かるからね」

 

ひとまず、この場での問答は避けられたようだった。

団長はホッと胸を撫で下ろし、マリーを追う直前、傍らのオジギソウを見た。

眠たそうにしているオジギソウに、マリーは明らかな落胆を見せた。もちろん、その少し前に注意して起こすこともできたが、団長はそうしなかった。

今は省エネモード。この後必ずその能力を発揮してもらう場面が来る。

とはいえ、空気が悪くなったとばっちりを二人にも受けさせてしまったのは申し訳なかった。

 

「行くぞ」

 

団長は3人に声をかけ、マリーを追った。

 

 

害虫の目撃情報あり、その偵察及び可能なら討伐

外出目的を守衛に告げて手続きをし、一同は門の外に出た。

 

「ここから遠いのですか?」と、歩きながら団長は尋ねた。

「そうさね、北の林の中にあるんだ。しばらくは歩くよ」

 

マリーは答えたが、最初のような丁寧さはなりを潜めていた。おそらくはこちらが素なのだろう。ブラックバッカラやスイギョクに似た雰囲気だ。

 

「北の門が使えたら良かったんですけど」

「仕方ないよツツジちゃん。向こうは花騎士専用だもん」

 

ネリネの言う通り、北門は激戦地ガルデ要塞に近く、北方面に他の町はない。騎士団の正規の動きでなければ通してはくれないだろう。ましてや一般人を同行させていては尚更だ。先だってブリオニアが指摘したように、強い害虫の出没だってある。

 

「あの、聞いても良いですか?」と、ネリネがマリーの横に出た。

「どうしてそんな危ない所に職場があるんですか?」

 

さすがネリネ……!

団長は舌を巻いた。それを問いかけるのを避けていたというのに、その純粋さであっさり尋ねてしまった!

 

「お嬢ちゃんは商売に詳しいかい?」

 

おや? 

団長は仕種にこそしなかったが、そっと首をかしげた。

 

「いえ、あんまり……」

「そうだねぇ、アタシはお金がなかったのさ。新しく商売を始めようにも、ブロッサムヒルの街は家賃が高くてね。部屋1つ借りるのだって相当さ。だから物の値段も少し高いだろ?」

「確かにごはんとかお野菜とか少し高いですけど、その分良い物じゃないんですか?」

「それがまったく同じものなんだよ。そして同じブロッサムヒルの街でも、貴族達が住むエリアだと、さらにちょっと高いのさ。みんな、その土地を使うだけのお金を稼がなくちゃいけないからね」

「そうなんですね」

 

マリーの説明はだいぶ端的なものだったが、ネリネは少し納得できたようだった。

 

「でも街の外なんて危ないですよ」

「仕方ないだろう? さっきも言ったように金がないんだ。それに、土地に金がかからない分、物を安く売ることができる。お客さんも喜んでくれるってものさね」

「でも、でも……!」

 

なおも食い下がろうとするネリネの頭を、マリーはわしゃわしゃと撫でた。

 

「優しいんだね、お嬢ちゃんは。 ま、すぐには変えられないけど、今回みたいに害虫でおじゃんになるのも考え物だし、そのうちちゃんと街中でやるさ」

 

少し乱れた頭髪を手で気にしつつ、ネリネはそれ以上なにも言えなくなったようだ。

一方ツツジは。

 

「あ、あの……!」

 

マリーの後ろをついて歩く黒スーツの男に声をかけていた。

だが男はツツジの方を見ることも、返事をすることもない。ほんの少し首が動いたので、まるっきり無視、という事もなさそうだが。

 

「い、良いお天気ですね」

 

――無言。

 

「害虫が出た場所まではまだ遠いんでしょうか」

 

――無言。

 

「え、えっと、私、ツツジって言います!お、お兄さんのお名前は!?」

 

――――無言。

 

「あうぅ>▵<」

 

よく頑張ったぞ、ツツジ!

というか、質問しているのだから、少し答えてあげてもいいだろぉ~!

 

黒スーツの男は出会ってから終始この調子だ。黙ってマリーの後をついて歩いている。

ただ、身のこなしと気配に隙はない。体格もよく、鎧を着せたなら王族を守る近衛兵に相応しい風体になることだろう。

 

「あの……」

 

ツツジがもう一度アタックを仕掛けた。

 

「その黒い眼鏡、見えなかったりしませんか?」

「ツツジさん」

 

男がいきなり、ぼそりと声を出したので、ツツジはまるで怒られたみたいにびくりと体がはねてしまった。

 

「自分の事はお気になさらず。ただの護衛ですので」

「そうですか……その眼鏡は」

「見えてます」

「そう、ですよねぇ」

 

そしてまた、二人とも無言になってしまった。

男はおそらく無駄話を嫌い、ツツジは元々引っ込み思案な性質だから無理もない。

しかし何度も諦めずに声をかけたことに、良く成長してるな! と、団長は内心、惜しみない称賛の拍手を送るのだった。

 

その団長の横で、オジギソウは半ば眠りながら、団長に手を引かれ歩いている。

「すぅ」

これから害虫の調査及び討伐に向かうとは思えない、のんきな行軍風景だった。

 

 

首都ブロッサムヒルを囲う外壁沿いにしばらく歩き、北門を左手に近づいてきたところで、案内するマリーの足は次第に街から遠ざかっていった。

ガルデ要塞へ向かう道を横切って、さらに西進。ほどなく目的の林が視界に近づいてきた。

 

「オジギソウ、そろそろ起きてくれ」

「は~い~」

 

間延びした声で返事をしたオジギソウは、むにゃむにゃと眼をこすり、両手で自分の頬をかるく二度叩いた。二度目の後に一瞬硬直したのは、ちょっと痛かったからだろう。その分きっちり目覚めてくれたはずだ。

害虫の隠れ蓑にならぬよう、街の近辺は定期的に刈り入れを行っているとはいえ、人気のないこの辺りの雑草は伸び伸びと茂っている。小型の害虫ならば身をひそめる事もできてしまう草むらを歩く上で、彼女の索敵能力はとても心強い。

団長自身も周囲を警戒し、ツツジ、ネリネもいつの間にかおしゃべりをやめ、辺りに目配せしていた。

草むらにできたわだちを歩き続け、林が目前に迫った。

団長は一同の足を止めさせた。

 

「あなたの職場はどの辺りにあるんですか」

 

潜めた声で団長が尋ねた。

 

「林に入るとすぐさ。ここからでもほら、あそこに見えるだろう?」

 

マリーが指さした先を見つめると、それらしい人工物があるようなないような。天然の暗がりでうまく判別できなかった。しばらく目を凝らしてみるも結果は変わらず。

 

「どうだオジギソウ」

 

団長は自ら目視することを諦めた。

 

「はい。ありますね~ それから害虫もいるようです」

「ここから分かるのかい!?」

 

マリーが驚いた声を上げた。

 

「オジギソウさんはすごいんですよ。目とか耳とかがとっても良いんです」

 

本人に代わって少し得意げに説明するネリネ。

 

「数や種類はどうだ?」

「少し待ってください……」

 

オジギソウが目を見張り、耳を澄ませて様子を探っているのがわかると、一同は固唾をのんで見守った。

 

「小型の……赤いクワガタムシですね~。音からすると4……5匹ですね。建物の回りに集まっているようです~」

 

報告を聞くと、マリーが小さく舌打ちをしたようだった。

 

「ほかの場所は大丈夫か?」

「うーん……いませんよ。あそこだけです~」

 

超人的な五感を持つオジギソウが断言したのだ。害虫の規模についてはこれで間違いない。

小型が5匹、こちらは花騎士が三人。

二人は魔法使い。一人が近接および投擲武器。

フィールドは暗い林、あるいは開けた草原。

 

十分に討伐が可能だと団長は判断した。

 

策を伝え、マリーと男には後方の草影に身を隠すように指示を出した。

 

「頼んだよ、騎士団サマ」

「任せてください」

 

自信をもって頷くネリネに少し優しいほほえみを返し、マリーたちは隠れた。

それを見届けてから一同は隊列を組んだ。

オジギソウを前に、ネリネとツツジが横に並ぶ。二人とも魔導書を開き、臨戦態勢だ。

林を左方に向き、構える。

 

「はじめてくれ」

 

はい、と返事をしたのはツツジ。

魔力を高めるにつれ、彼女の可愛らしさを可視化したかのような桃色の光が、周囲に流れ始めた。

光がやがてツツジ自身を包み隠すほどまでに集まると、それらは風に乗るように遙か前方へと滑り出し、もう一度舞い集った。

その舞台が気に入ったのか、さらに後から後から追いかけると、桃色の光は互いに手を取り合って、もう一つの太陽のような光球となって、眩い輝きを草原の上にもたらし……爆ぜた。

大きく、鈴のような少しの切なさをはらんだ炸裂音。

戦場でなければ、ただ見とれていたかもしれない。

ツツジに頼んだこの大きな花火のような魔法が、第一手だ。

 

「害虫が気づきました~! 2体、飛び出してきます!」

 

言うやいなや、林から花火の魔法めがけて飛翔してきた害虫に、雹の嵐が襲い掛かる。

 

「あれは……」

 

ネリネの魔法による冷気の嵐に翻弄される害虫の姿を、団長は鋭く見定める。

報告の通り、赤い小型のクワガタムシだ。甲の両側に、漫画で目を回した表現に見るような渦巻模様が特徴的だ。

小型ながら火を吐く害虫、ヤク虫だ。

それ以外に目立った戦闘力はない。

 

「ツツジちゃん、今だよ!」

「うん!」

 

雹の嵐に桃色の光が混ざり、何度も爆ぜては巻き込まれた害虫を打ちのめしていく。

 

ヤ、ヤァァァァク……!

 

弱って抵抗力を失ったヤク虫は嵐の外に放り出され、息絶えていく。

 

「続けて来ます~!」

 

油断なく身構えるオジギソウに与えられた役目は、害虫の動きを知らせることと、魔法使い二人の護衛だ。

しかし、二つ目の役割が不要なほど、つり出し作戦はうまくいっている。

3匹目、4匹目と、続けざまに嵐につっこむヤク虫は、まさに飛んで火に入るなんとやら。

 

「最後も来ます~!」

 

5匹目も嵐に突っ込み、団長は勝利を確信した。

 

「オジギソウ!」

 

呼びかけた一言で、彼女の役割がスイッチする。斥候から仕留め役へ。

力尽きたかに見えた害虫の、まだ息があるものに向かって駆け、雰囲気に似つかわしくない無慈悲な一打で葬り去る。

 

モットォォ、ヤアァァァァク!

 

その時だ。断末魔ではない鬨の声と共に、一体のヤク虫が嵐から飛び出した!

その標的は、オジギソウでもツツジたちでもない。

 

「だ、ダメぇっ!」

 

団長たちの横を通り抜けようかというタイミングに、ネリネの反応が間に合った。

だが止め方がよくない。得意の魔法ではなく、体当たりでしがみつきにいっている。

 

「ツツジ、オジギは攻撃続行! 残った害虫に連携してトドメを!」

 

ネリネを助けるなとツツジに指令を出し、オジギソウを早々に動かした自らの悪手を悔いる。

背中のゾクゾクした悪寒は続いている。ネリネには組み合った状態で害虫に勝つか、他の二人がカタをつけて援軍に来るまで粘るかしてもらわないといけなくなった。

極近接状態では、太陽の剣も撃てはしない。

しかし、しかしまさか。

目の前の花騎士ではなく、離れて隠れている一般人の方へ飛び込んでいくとは。

マリー達が隠れた方へ目を向けると、男がマリーをかばって立っていた。

背後に立つマリーは、花騎士と害虫の格闘を、少し怖い形相で見守っていた。

 

横から飛びついて害虫の突進を阻止したネリネ。はさみの左側を掴んだまま2,3度転がった。

驚いたヤク虫も、必死で相手を振りほどこうとする。頭部が上下にはげしく揺れ動くと、ネリネも負けじと踏ん張る。だが、多少力負けをし、時折体が宙に浮かされてしまう。

目に涙がたまってきた。それでも必死でくらいついた。

振りほどかれるわけにはいかなかった。マリーさん達を守らなくちゃいけないから。

泣き出すわけにはいかなかった。ツツジちゃんの前では、私はちょっとだけお姉ちゃんだから。

 

「負ける、もんかあぁぁぁ!」

 

力を振り絞り、さらに冷気も全力で込める。

ヤク虫のはさみを冷気が伝い、炎を吐き出すよりも強く、その体を凍らせていく。

抵抗する力が弱まると、ネリネは害虫の体を持ち上げ、地面に思いっきり叩きつけた!

 

「魔法で追撃だネリネ!」

 

団長の声にハッとし、魔法で氷を生成、倒れた害虫の背に突き立てた。

体を凍らされていた害虫は、悲鳴をあげる力すら奪われており、静かに息絶えた。

 

ツツジとオジギソウのコンビも決着をつけており、討伐は完了。笑顔になったネリネの瞳から、一筋だけ涙がこぼれた。

 

「まったく、冷や冷やさせやがって……」

 

マリーの安堵の声は、喜びあう花騎士たちの耳には、ただ一人を除いて届かなかった。

 

 

 

討伐を終えた一行は害虫が集まっていた建物の検分を行った。外壁を植物がつたう平屋建ての家屋は、年季が入っているように見え、そのくせ造りはさほど古くない。

建築には明るくない団長だったが、それでもここ30年以内の建物じゃないかとアタリを付けた。

親子1家族が住み暮らすには適度な大きさの家屋をぐるりと調べると、裏手がわの一角に植物が枯れ、あるいは引きちぎられ、踏み荒らされた場所があった。

 

「ここですね~、害虫が集まっていたのは」

 

外壁にも焦げた跡があり、火災になる前に討伐できた幸運を知った。

家屋内へ侵入した形跡こそなかったが、その周辺に巣はないか、卵など残していないかを入念に調べた。

マリーらにも検分に立ち会ってもらったが、その間かなり気がかりだったらしく、マリーは「失礼」と煙草を吸いだしもした。

それだけに、無事に問題なしと伝えた時は、安どの表情を堪えきれなかったようだ。

建物内に侵入した様子も、近くに卵もなく、追加で害虫が寄ってきてる気配もなかった。

 

「いや助かったよ。次の取引にもなんとか間に合いそうだし、本当にありがとう」

「いえいえそんな。花騎士として当然のことをしただけです」

 

言葉は謙遜していたが、ネリネは嬉しげで誇らしげであった。

 

マリー達はそのまま職場である家屋内に入り、団長たちは北門から街に入った。

団長は今回の討伐を報告書にまとめる仕事があったが、討伐は無事終了、その場で晴れて解散となった。

 

 

……の、だが。

 

 

「ツツジちゃん、どうかしたの?」

 

団長たちと別れた直後、何か後ろ髪を引かれた様子のツツジを見かねて、ネリネが声をかけた。

 

「あ、あのね。お仕事、少し手伝えないかなと思って」

「マリーさんの?」

ツツジはうなずいた。

「そっか。害虫が出てきて、時間を取られちゃってるもんね」

「荷物運びだけでも、力になれるような気がするんです」

「そうだね! それじゃあ二人で行こうか!」

 

 

玄関が開くと、黒服の男が仁王立ちしていた。それでも怯まずに二人は。

 

「「何か手伝わせてください!!」」

「アンタたち……気持ちは嬉しいけど……」

 

男の後ろにいたマリーは目を丸くし、二人の表情を見て、頭をボリボリとかいた。

 

「わかったよ、と言ってもそんなに仕事はないけどね。とりあえず入りな」

 

二人を迎え入れた男は、玄関ドアにしっかりと施錠をした。

お邪魔します、と、小さな花騎士二人が通されたのは、応接間を兼ねた簡素な事務室だった。

 

「わぁ、素敵な絵ですね!」

 

入室して早々にネリネが感嘆の声をあげたのは、応接間に飾られていた海が見える白い家の絵だ。

風景をそのまま切り取って封じ込めたかのように、波も雲も水平線もありありと描かれている。

その空と海のあわいに溶け込むように、青い髪の子供が二人、手をつないで波打ち際にいる後ろ姿もあった。

ツツジもまた、わぁ……と小さく感動をもらしていた。

 

「綺麗な海だなぁ」

「アンタも海が好きなのかい?」

「そうなんですよ! 泳げないんですけど、小さいころから」

「人魚姫に憧れていた、とか?」

 

ズバリ言い当てられて、ネリネは驚いた。

 

「どうしてわかったんですか……?」

「なんとなく、ね。さ、仕事を頼むよ。奥の部屋が倉庫になっているんだ。さらに奥に荷車があるから、一番大きな袋を5つ、積んでおいてくれないか。重たいけど、花騎士二人なら大丈夫だろう」

 

はぐらかすように仕事を与え、奥の部屋へと花騎士二人を見送ったマリー。

 

「姐さん」

 

彼女を短く呼んだ男の声色は、どこか咎めるような響きがあった。

 

「わかってるよ。適当にさっさと帰ってもらうさ。気づくことはないと思うけど、万が一気づいたら……」

 

言いながらマリーが上着から取り出したもの。

黒く、手のひらより僅かに大きい筒状に似たそれは、拳銃だった。

一部の花騎士も武器として用いるそれは、一般人が使っても害虫には通用しない。

護身用としては人に対してしか意味を成さぬため、一般的な所持が禁止されているはずのものである。

 

「殺したくはないけど、仕方ないか……どうしてこうなっちまったんだか……」

 

近くの男にも聞こえぬくらいの小ささで、マリーは一人嘆息した。

 

 

 

「「よ~い~しょっと」」

 

ドスっと重たい音と共に荷車が揺れた。ネリネとツツジは言われた通りの大きな袋の、その五つ目を載せ終えた所だった。

一つの袋がとても重たく、二人がかりで一つずつ積み込んでいた。

 

「これ、いつもはあの男の人がやってるのかな?」

 

ツツジは少し息があがっている様子だった。

 

「きっとそうだよ。団長さんよりも逞しそうだもん」

「一人だと大変だよね。手伝いに来て良かった」

「うんうん。荷車も奥にあって引っ張り出すの大変だったもんね」

「あ、どけた荷物を元に戻さないと」

 

二人が倉庫の奥に再び移動した時だった。

 

「ネリネ、ツツジ! ここにいるか!?」

 

入口が開けられ、団長の呼び声がした。

 

「えっ、団長さん、どうして?」

 

つかつかと速足で歩いてくる音を数度繰り返した後、見慣れた団長が姿を現した。

 

「良かった。いたか」

 

二人を見つけた団長は、どこか安堵した様子があった。

 

「どうかしたんですか?」

「いや、実は緊急で討伐に行ける部隊が必要になったんだ。小規模で良いらしい。連戦になるが来てくれないか」

「わかりました」

 

二つ返事のネリネ、同じく頷くツツジ。

 

「荷物はどうしよう」

「そのままで良いらしい。あの二人も落ち着いた事で別の用事を思い出したみたいで、言伝を頼んでさっさと行ってしまったよ」

 

団長の言う通り、応接間には誰もいなかった。ツツジは「少しすみません」というと、自分の手帳を一枚やぶり「積み込み終わりました」と、メモ書きを残した。

よほど急いだのか、玄関も開けっ放しだったので、最後に団長がドアを閉め、一行は帰路についた。

 

 

 

その日から数日後。

 

すやすやとオジギソウが昼寝をしている執務室。

新聞を開き読んでいる団長と、

 

「花騎士お手柄 違法薬物の元締め逮捕、か」

 

その横で同じページをのぞき込み、内容を呟くブリオニアがいた。

 

「残念だったな。頭しか写ってなくて」

「別にどうでもいいよ」

 

見出しの横の写真にはウメとサクラ、そしてお縄につくマリーと黒スーツの男の姿があった。

ウメとサクラの脇に、頭部の花飾りがちょこんと写っているのがブリオニアだった。

 

「お手柄だったな」

「私はあまり、何もしてないかな。怪しいって言ったのはフィソステギアさんだし、突入したのはウメさんとサクラさんだし、突入する決め手になったのもオジギソウさんだったから」

「でもウメを呼ぶ判断をしたのはブリオニアだろう。そもそも初めから怪しいと思っていたのもそうだ。大したものだよ」

「……ありがとう」

 

あの日、出発前に団長がブリオニアに渡したものは、紹介状だった。手伝いで飛び回ってることの多いサクラは難しいが、ウメなら高い確率で捕まえられるだろうと考えての事だ。

別行動のブリオニアは団長達を尾行し、マリーの外見的特徴を覚え、そこから聞き込みをする予定だった。

幸運なことに、広場にいたフィソステギアがブリオニアに気づき、マリーの事をこう言ったのだ。

 

「あまり大きな声で言えないんだけどさ。ボクのカンだと彼女は怪しいんだ。穀物商ではあるらしいんだけど、新参者のわりに各地に部下がいて、そのくせ何か大きな拠点を持ってるようには見えない。懇意にしている相手も多くないみたいだけど、羽振りは悪くない。商人として違和感があるんだよ。一緒にいたのはネリネちゃんとツツジちゃんだね。団長さんがいるから大丈夫だと思うけど、十分、注意した方が良いよ」

 

プライドの高い商人であるフィソステギアが、相手の事をこうまで言うからには、カンに自信があるのだろう。これは無視できないとブリオニアは判断した。広場の他の商人にも話を聞き、フィソステギアの話におよその裏付けを取ったところで、団長の紹介状を持ってウメを訪ねた。

ブリオニアは、現段階で人を納得させるには少し根拠が弱いと思っていたが、紹介状の効果もあってか、ウメは協力を快諾し、サクラまで捕まえてくれた。

この時サクラは最初に手伝いに行った場所には既にいなかったのだが、その時得た次の行き先の情報から3手先を読んだウメは、2回目の訪問先で見事にサクラを捕まえ、ブリオニアをたいそう驚かせていた。

 

団長達に追いつくために北門から出て、林の方へ向かった所で、前方にその姿を発見し、ブリオニアは思わず「伏せて」と偉大な先輩二人に指令を出してしまった。

草むらに伏せてから、小声で声をかわした。

 

「あ……命令なんかしてすみません、つい」

「気にしなくて大丈夫だよ。それより気づかれるとまずかっただろうか」

「相手もそうだけど、ネリネさんに気づかれたくないです。別の用事があるって伝わってるはずだし、相手の事も良く思ってるはずだから」

「わかったよ。君の思いやりを尊重しよう」

 

その後は気づかれないよう、ほふく前進の要領で進んだ。

サクラがふと「私、ほふく前進って少し苦手だわ~」ともらした。

そんな立派なモノがあったらそうだよね、とブリオニアは思ったが、ちゃんと口に出さずに済んだ。

まったく余談だが、サクラが一番遅く、ウメが一番早かった。

 

そのまま害虫との戦闘の様子も見守っていた。ヤク虫の一匹がマリー達に突っ込み、ネリネが身を挺して止めた所で、ウメは「む……」サクラは「あら~」と、同時に反応があった。

害虫の予想外の行動と戦局の変化への反応かと思っていたが

 

「これはひょっとすると、ブリオニアちゃん大当たりかもね~」

「どういうことですか?」

「後で説明するよ。他の奴もまた突っ込んでくるかもしれない。今は戦闘を見守ろう」

 

ウメの懸念は空振りになった。団長の指令の後、接近戦を織り交ぜたツツジの活躍がめざましく、残りのヤク虫は問題なく駆除された。

説明は、彼らが建物近辺の検分をしている間に行われた。

 

「あの害虫は、特定の植物に強く反応するんだ。人間にも興奮や快感、そして強い依存性をもたらす、危険な薬物になるようなものにね。奴らが吐く火は、攻撃用よりも、それらを焚くためのものらしい」

「そんな害虫が、隠れてるあの人達に突っ込もうとしたって事は……」

 

この時点で、物証はないものの、3人の心証は限りなく黒になった。

その後、街に戻った団長およびオジギソウと合流。これまでの経緯を伝えた。

この時オジギソウも、マリー達から少しの火薬の匂いと、小さくて重たいものを服の内側に持っていると伝えた。

困った事にネリネ達が有力容疑者の元へと戻ってしまった。

下手に突入して二人を人質に取られる心配があったが、ここでもオジギソウがその力を示した。

家屋を外から張り込み、中の二人がマリー達と別室にいる事、他に人がいない事、そしてマリーの「殺したくはないけど、仕方ない」という言葉を聞き取った事が決め手となった。

ウメとサクラはカギを壊し素早く侵入。外敵にいち早く気づいた男をウメが制し、サクラはマリーに素早く接近。銃を持つ手をひねり上げ、逆に自身の銃を彼女のもう片方の腕に突き付けた。

後から現れた団長の姿を見たマリーは、それで事情を悟ったようで

 

「ここまでか……」

 

と、手にしていた銃を放した。

 

 

という顛末があったのだ。あの時のマリーが、妙に諦観の良い表情だったのが、変に団長の印象に残っている。

 

「二人は取り調べに対し、黙秘を続けている。か。そうなるよね」

「実は少し違うらしいぞ。男は黙秘しているが、マリーの方は取り調べに素直に応じているそうだ。各地の密売拠点も明らかになりそうだって聞いたな」

「そうなの? マリーの方が親分だから、その人の方が話すなんて意外。こういうのをペラペラ喋るのは、忠誠心の低い小悪党だと思ってたけど……何かあったのかな……」

 

またブツブツと考え始めるブリオニア。

団長も実はその点は気になっていたのだが、確かめる手段はないし、推測にも情報がなさすぎるため、考えても仕方ないと早々に諦めていた。

 

「もしかしたら……ううん、まさかね」

 

しかしブリオニアは、何か閃いたようだった。団長はその考えを聞いてみることにした。

 

「まったくの憶測。根拠はないよ。ただ、マリーの事務室にかけられていた絵。そこに描かれていた人が、ネリネさんに似ていたんだよね。小さな後ろ姿だけど、大きなリボンを付けてて、雰囲気が似てた。もしかしたら、ネリネさんが心を動かしたのかも、なんて思っただけ。いくらなんでもそんな都合の良い話はないよね」

「そんな絵があったのか。気づかなかったな」

 

しかしなるほど、と団長は思った。そういえばマリーは、自分やオジギソウには冷たかったが、ネリネには気さくな様子だった。ブリオニアは否定したが、ネリネならその圧倒的善性で、悪党も改心させる。そんな事があるかもしれなかった。捕まったことを契機に、マリーが道をやり直そうとしているのかも。もしそうだとしたら、今回の一番のお手柄はネリネということになりそうだ。

この一件に巻き込まれたツツジかもしれないが。

 

「ねえ団長さん。団長さんの力でマリーから話を聞きだしたりできない?」

「それは無理だ。越権行為が過ぎる」

 

犯罪者の取り調べは憲兵の仕事だ。騎士団の重役でも介入はできないし、しても良くないだろう。

戦術や人心に興味が強いブリオニアのおねだりを即断してみせたが、ブリオニアは微妙に諦めきれていないようだった。

 

「本当にできないかな……団長さんが頭を下げたらこっそり面会とかできそうなのに……団長さんを本気にさせるには……信頼していて隙の多いオジギソウさんを篭絡するか……人質にするとか……激怒して逆効果かな……」

 

何か怖い企みが聞こえてくるが、いつもの事なので放っておいてあげることにした。ブリオニアは悪いことは実行しない。

 

と、外からまた、ドタドタと騒々しい足音が近づいてきた。

団長は読んでいた新聞をたたみしまった。

 

「団長さぁん!!」

「ひゃう!?」

「あぁっ! オジギソウさん! ごめんなさい!」

 

ツツジの手を引いて乱暴に入室してきたネリネ。いつかの光景が繰り返され、団長は苦笑した。

さてさて、今度はどんな事件に巻き込まれてきたのやら。

 

 

 

おしまい。




当作品は、花騎士団長仲間の煉さんより、オジギソウ、ネリネ、ツツジの3人というリクエストを受けて執筆したものです。難産ですみませんでした!
リクエスト外のブリオニアがツツジより濃くてもう一度すみませんでした!!

ネリネとツツジはキャラクターが結構違うのですが、いざ取り組んでみるとイラストのない文章上での書き分けがかなり難しく。どうすっぺと思案した所、組んだ時に姉妹っぽくなるようにしようと思い至ったまでは良かったのです。我ながら尊い設定だと思いました。

もっと仲良しっぷりを表現してあげられたらなぁと、我が力量不足を感じますが、どうにか楽しんでいただける形にはなったのではないでしょうか!


あとで煉さんに審判を仰ぎたいと思います。


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