楽しんでください(´ー`* ))))
気が付いたら、俺はボロボロの身体で同じくらいボロボロになったクローン悟空と顔を見合わせていた。
クローン悟空は光を胸元から放ち出すと、緑の光の球になって俺の右手の球に吸い込まれ、消える。
それを見て、俺は周りを見渡した。
ん? クローンフリーザとクローンセルーー古井と瀬留間ってガキどもは何処へ行った?
周囲は激闘が繰り広げられていたのだろう、カプセルコーポレーションの整地された地面が掘り起こされ荒れている。
「お?変身が解けたみてえだな」
悟空の声にそちらを向くと、クリリン達と16号、ブルマに加えて、おっかなびっくりって感じでクローン天津飯達の身体を持ったガキ共に見られてる。
「へぇ?不思議だわ。今は普通にクローンの孫君と見た目がまったく同じだけど。さっきのアンタは本物の孫君ーー孫悟空そのものだったわね」
彼らに続いてブルマからも興味深そうに覗き見られた。
クリリン、ヤムチャ、天津飯という本物のZ戦士達も俺をジッと覗いてくる。
「紅朗ーーって言うんだよな。悟空や俺たちを助けてくれて、ありがとな」
「最初に見た時は驚いたぜ! まさか、別の世界の人間が悟空のクローンの身体を使ってるなんてな!」
「紅朗、お前に聞きたいことがある。何故、異世界に居たお前が、俺たちの世界に?しかも、レッドリボン軍の作った悟空のクローンに入っているんだ?」
クリリンとヤムチャに恐縮しながら礼を返した後、真面目な顔で問いかけてくる天津飯に顔を向けた。
「いや、それがーー。そこの16号の話ではリンクシステムとかいう他人の肉体に精神を憑依させる機械が、クローン達の身体に俺たちの精神を入れてるって説明なんだけど」
「なら今回の黒幕は、異世界の人間であるお前たちの精神をどうやって手に入れたのだろう?そもそも、この世界の住人ではなく異世界の人間の精神を使ったのは何故だ?」
思わず、俺は16号を見る。そもそも次元だか世界の壁を越えて干渉するようなシステムってなんだよ?
俺の疑問に応えるように16号が話し始めた。
「21号は、たしかに他人の肉体を別の人物の精神にリンクさせ、別の人物の精神に身体を乗っ取らせるリンクシステムと、戦闘力を一定にさせるマイナスエネルギーの波動を開発した。だが、その効力は決して次元の壁を越えるようなものではなかった」
「異世界人の精神がクローン戦士の肉体に宿ったのは想定外って言ってたもんな」
ふむふむと頷く俺の前に、光の帯が天から落ちてきた。
え、何だ?これは?驚く俺と対照的に、ブルマやクリリン達は小首を傾げる程度のリアクションだ。
この現象に慣れてる?
天から降りて来た光の帯は、ゆっくりと消えて長身の中性的な顔立ちの水色の肌の男性と。
紫色の兎のように長い耳と細い瞳の痩せた猫のような顔をした人物が現れた。
同じ猫でも、カリン様とは種類が違うようだ。
つぅか、この猫ーー破壊神じゃね?その圧倒的な強さは映画で見た。や、ヤバすぎる。
後ろの転生者天津飯達も、震えていた。そらそうだ。
破壊神ビルスは、悟空でも勝てなかった尋常じゃない化け物だ。
ビルスはジッと俺たちを眺めた後、悟空に詰め寄った。
「悟空!いつまで、かかってんだ!!お前の力なら、30分もあれば黒幕も何もかも、叩き潰せただろうが!!」
細い目を見開いて怒りマークを額に付けた破壊神が悟空に叫んでる。
これに悟空が両手を開いて驚いた顔をしながら応えた。
「いぃっ!? なんだよ、ビルス様。オラ、サボってなんかねぇぞ。皆ぁ、守りながら戦ってたら時間がかかっちまってよ。オマケに、この地球を覆ってる妙な波動のせいで超サイヤ人に変身すると、真の力まで出ちまうんだ。だからさぁーー!」
「好都合じゃない。真・超サイヤ人なら、こんな案件アッサリと片付けられるだろう。なんで手こずってる?まさか、街や人に被害が出るからーーなんて言うんじゃないだろうな?」
「そうだけんど?」
「あ、アホかぁ!!さっさと黒幕見つけて、真の力で叩き潰して来い!!こっちは今、大変なんだぞ!!」
大迫力で怒鳴る破壊神に悪びれない悟空。流石は悟空だーー並の奴とは度胸が違う。
大変ってーー、確か全王とか言う奴の前でベジータや悟飯達が試合中だって言ってたよな?
「大変ってーー。ベジータやピッコロや父ちゃん達がピンチになってんのか? そんなスゲー奴が、他の宇宙から出て来てんのかよ!?」
悟空さ、嬉しそうに目を輝かせるのは辞めてください。今は、地球を救う事を優先的にーー。
「……ウン。ハンパジャナイヨーー」
カタコトで目を逸らした!?明らかに嘘だろ!?
「ビルス様、子どもみたいな嘘を吐かないでください」
あ、付き人っぽい人に止められた。
「う、嘘なんか吐いてないぞ!どいつもこいつも、真の力を使わずに闘いやがるから、ホントに苦戦してんだろが!オマケに他の宇宙の戦士は全員で第7宇宙を落としに来やがって!!アイツら、大人気ないにも程があるだろうが!!エキシビションの全覧試合(バトルロワイヤル)だって言ってんのにぃ!!!」
吠えるビルスに付き人ーーウイスだったよな?がやれやれ、と首を横に振ってから告げる。
「それはビルス様が、ウチの宇宙の連中に勝てる奴なんぞ存在しない。もし負けたら土下座でもしてやるーーって大見栄を切ったからじゃありませんか」
「武道大会本番まで、手の内を隠すのは当たり前だろ!?誰がガチンコで来るなんて思うんだよ!!特に第10宇宙とか第6宇宙とか、第9宇宙とかな!!!」
「そもそも、皆さんーー特にバーダックさんやブロリーさんに言い含めてましたよね?真・超サイヤ人は本番の切り札だから見せるなって」
「ーーうるさい!とにかく、今の状態でも悟空が来れば勝てる!!分かってるだろ、ウイス!!」
必死な感じの破壊神ビルスに、やれやれと肩をすくめてからウイスは悟空に向いた。
「ーーと、言うわけで。少しだけ力を貸してください。有力な戦士が一人入るだけで一気に戦局が変わる状態ですから」
ウイスがにこやかに笑って告げて来るが、悟空とブルマが揃って首を横に振った。
「いや、つってもさ。こっちはこっちで大変なんだって!波動のせいでクリリン達も本来の力が出せねぇし。オラが居ねえとーー!」
「そうよ!ビルス様のワガママのせいで、ベジータやブロリー達を持って行かれてるのに!このうえ孫君まで連れて行かれたら、クリリン達しか残んないじゃない!!」
反論する悟空とブルマを見た後、ビルスは俺をジッと見ていた。
「…其処に居るじゃない?悟空の代わりなら、ね」
一瞬、何を言われてんのか理解できずに固まった。
「「「ええええ〜っ!!?」」」
悟空以外の地球人達が全員口を揃えて俺とビルスを見比べる。
そして、俺もようやく頭が働いてきた。
「あ、あの、ビルス様?俺が、悟空の代わり?」
無理に決まってんだろ、何言ってんだ、この神様!?
「そんな驚く話でもないだろ? お前のその肉体は悟空のクローンなんだろ? 見た目だけでなく力もね。さっきも、真・超サイヤ人になってたようだしーーね」
鋭く低い声で睨まれるように覗きこまれて言われるーーなんだ?めちゃくちゃ怖いんだけど?
「と、言っても。基礎能力は此処にいる本物と比べるまでもないほどに弱い。その肉体から波動の縛りを解いても、僕と出会った頃の悟空ーーくらいの力だろう」
それでもーーとビルスは続けた。
「僕の見立てなら、それで充分に解決できるレベルだ。オマケに真・超サイヤ人になれる。なら、余裕だろう」
「ーーあ、あの。俺ーー!」
さっきから真・超サイヤ人ってーー。16号に悟空が披露した超サイヤ人のことだよな?
俺は確かに見た目は超サイヤ人悟空の擬きだけど、戦闘力は全然足りてないぞ。そんな俺が真・超サイヤ人って。
「どうやら、記憶と意識が変身すると飛ぶようですね。これでは、勝てるものも勝てないのでは?」
淡々とした表情と声でウイスが言ってくる。なんだ?俺が真・超サイヤ人に変身したっていうのは事実なのか?
古井や瀬留間をぶっ飛ばしたのは、俺?
「フン、仕方ない。いちいち、闘う度に制御出来ない真に変身されるのも面倒だ。何より、この僕が強敵と認めている超サイヤ人が、この程度の力しか出せないというのも我慢できないーー!!」
な、なんだ?何が起ころうとしてるんだ?
ゆっくりとビルスは拳を握り、俺に構えた。
「打ち込んで来なさいーー。少し君に稽古をつけてあげよう。こんな程度の敵を相手に、いちいち制御出来ない力を全開で出すようじゃ負けは見えてる。せめてーー」
ビルスの人差し指から光弾が放たれ、反応も出来ずにいた俺の胸に吸い込まれていった。
何かが弾ける乾いた音が胸の内からしてーー消えた。
思わず胸を抑え、背中を触ったりするがーー特に、何処にも異常はない。
「波動の影響が無いように僕の破壊の力で切り捨ててやったが、どうだ?少し気を高めてみろ」
言われて拳を握り、腹の底から力を入れて行くと一気に自分の中の力が引き出されて行く。
スゲー、これが悟空のフルパワーか。
だけど、ビルスは不愉快そうだった。
「ーーお前、超サイヤ人になれないのか?」
「えーー? えっと、今の俺の姿はーー」
赤目で死人みたいな白い肌だけど、燻んだ金色の逆立った髪は超サイヤ人のはずなんだが。もしかして真・超サイヤ人のこと?
「僕が言ってるのは悟空やベジータや第6宇宙のサイヤ人がなる普通の超サイヤ人だ。今のお前の力は、超サイヤ人ゴッドを吸収する前の黒髪の悟空と変わらない。超サイヤ人なら復活前のフリーザを倒せるはずだろ?」
そう、言われてもなぁ。超サイヤ人になるには激しい怒りが必要だったはずだし。
っていうか、クローン悟空の見た目って超サイヤ人を形だけ真似ているから、なのか?
それなら、この金色のオーラはいったい?
「…超サイヤ人になれない魂が、超サイヤ人の力を模した肉体に入っている。だが、超サイヤ人になる感覚が分からないから、その肉体の使い方が分からない、か」
ジッと俺を見た後、ビルスは悟空を見た。
「超サイヤ人になる感覚、教えてやれないのか?」
「ん? そうだな。紅朗、ちょっと後ろ向け」
悟空の言葉に従い背を向けると、延髄から肩甲骨の上辺りまでの背骨を触られる。
「此処に、全身の気を集めて溜めんだ。すると鳥肌が立つようなゾクゾクした感じがする。オメエは一回、真・超サイヤ人になってっから、身体が感覚を覚えてるはずだ。変身ーーしてみろ」
悟空の真っ直ぐな黒い目を見て、なんとなく出来るような気がしてくる。
瞳を閉じ、力を溜める。今度は腹に溜めるのでなく、背骨の首の部分から背中の辺り。
すると、全身に流れてる血が沸騰しそうな程の熱を感じはじめる。髪の一つ一つ、指先に至るまで血がーー力が流れていく。
「頑張れーー! オメエなら、やれるはずだ!!」
悟空の声をキッカケに、俺の身体は一気に内部に溜まった力を爆発した。
「おお!出来たぞ、アイツ!!」
「やるなぁ。さっきも思ってたが気のコントロールが完璧だ。これがリンクシステムなのか?」
「武道家でないというのに、素晴らしい才能だな。自分の身体でない悟空の肉体を、あそこまで使いこなせるとは」
クリリン、ヤムチャ、天津飯の声を聞きながら、俺は自分の指先を見る。
肌の色が、死人のような白から悟空達と同じ超サイヤ人のーー透き通るような綺麗な肌色に変わっている。
目に見える金色のオーラも、さっきまでより心なしか明るい気がする。
「やるじゃない、紅朗! 成ってるわよ、超サイヤ人!」
そう言って、ブルマが手鏡を目の前にかざし、俺に今の自分の姿を見せてくれた。
明るい金色の髪に、ガラス玉のような翡翠の瞳を持った超サイヤ人孫悟空が鏡の中に居る。
「ほ、ホントだ。じゃ、クローンも超サイヤ人になれるのかな?」
思わずブルマを守る際に自分が召喚したクローン悟空を思い浮かべる。アイツは波動の影響下にありながら、パーフェクトセルの肉体を持った瀬留間に肉弾戦で優位だった。
もし、今の力が溢れている俺と同じ超サイヤ人なら、古井の不意打ちにも反応できたかもしれない。
「理屈じゃ成れると思うぞ?それにしてもーーこれでオメエ、最初にやりてぇって言ってた超サイヤ人になれたな。次からは、自分の意思でなれるはずだ」
「そかーー。うん、そうだよな。成れたんだ、超サイヤ人の悟空に」
赤目もカッコいいけど、超サイヤ人といえば、この翡翠眼だよなぁ。なんて頷いていたら、破壊神ビルスが前に立っている。
「おいおい、何を呆けてるんだい?僕は君に打ち込んで来いって言ったよね?」
俺の中で、何かが終わった気がしたーー。
次回、紅朗氏ーー死す!デュエル、スタンバイ!Σ(゚д゚lll)(嘘)
お楽しみに(´ー`* ))))