ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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今回は、三人称視点で話が進みます〜。

そして、ドラゴンボール二大悪役が参戦です。

彼らが、この物語のトリックスターとなるか。それとも?

お楽しみに(´ー`* ))))



第14話 悟空、これ絶対アンタが必要だよ

ーーフリーザ軍

 

 数ある星々を支配下に置き、その惑星の住民を奴隷にするか。皆殺しにして、高値で他の悪党に星を売る。

 

 地上げ屋のような事業を行う、その尖兵がならず者の集まりであったが。

 

 現在の軍は、そのならず者が主力だということが白い人型のトカゲのような宇宙人ーー帝王フリーザには不満であった。

 

 宇宙空間から惑星フリーザNo.10を見下ろしながら溜息をつく。

 

「…この程度の兵士が今の私の軍、ですか。下らない」

 

 紅の瞳が実に退屈そうに細まる中、司令室の扉が開いて二人の長身の異形が姿をあらわす。

 

「どうした、フリーザ?調子でも悪いのか?」

 

「最近は、随分と大人しいじゃないか。ターレスと別れてからは躍起になって戦闘員を鍛えていた、お前が」

 

 人造人間セルと魔人ブウだ。

 

 彼らに向かうと、フリーザの不機嫌で退屈な雰囲気が少し和らぐ。

 

「鍛えたところで、大した戦力にもならず。挙句に星を支配するどころか、略奪するだけして売ろうにも売れない残りカスのような状態で私に献上する能無しども。いい加減に堪忍袋の緒が切れそうです……!」

 

 コメカミにシワがより、血管が浮き出るもフリーザは粛清した部下達を思い出す。

 

 弱者からの略奪は望むところだが、略奪が過ぎて売り物にもならないようでは話にならない。

 

 かつては自分の恐ろしさが知れ渡り、ザーボンやドドリアと言った管理職が働いていたから、最下級兵士にまで教育が行き届いていた。

 

 今のような体たらくでは、無かったのだ。

 

「あなた方が、星の支配や征服にもう少し積極的ならば何も問題ないのですがねぇ」

 

 知能も戦闘力も自分に匹敵するほどに高く、何より機転が利くセルとブウがかつてのザーボンやドドリアのように現場仕事をしてくれれば、一気に変わるのだ。

 

 エリートであるギニュー特戦隊が、一人一人散らばって星の支配に行き、現場で最下級兵士にまで教育するとなると特戦隊のチームワークという最大の利点が損なわれる可能性がある。

 

 セルが端正な顔立ちに冷たい笑みを浮かべて告げた。

 

「生憎だが、私は征服などという俗な趣味はないーー」

 

「私は、星を自分の遊び道具にして構わないなら行ってもいいのだが。他人にやるために星を征服する理由が分からん」

 

 ブウが心底、不思議そうに首を横に振るのを見てフリーザも笑う。

 

「それが、商売ーーというんですよ、ブウさん。やはり、お二人に頼むのは無理でしょうねぇ」

 

 そもそも、自分と同程度の力がある二人をザーボン達のような教育係にするのも勿体ない。

 

 自分の修行相手にはなってくれるのだから、高望みをするべきではないか、などと考えているとセルがジッと自分を見ているのを感じ、フリーザは首を傾げる。

 

「どうしたんです、セルさん?」

 

「少し、私を地球に行かせてくれないか?」

 

 頼み事など珍しい事もあるものだ、とフリーザは目を丸くしながら言う。

 

「地球へ?」

 

「ああ。気になることがあってな」

 

 淡々と言うセルだが、自分に頼み事をするくらいには気になることが地球にある、らしい。

 

「…構いませんよ。貴方なら、何の心配も要りませんからねぇ」

 

「ありがとう、フリーザ」

 

 素直な礼に思わず目を見開くフリーザだが、セルの横で必死に声を抑えて肩を揺らすブウの姿を見てフリーザの目がつり上がる。

 

「からかうのは、やめろ!!」

 

「いやいや、素直な気持ちだよ」

 

 やや裏声になるフリーザにセルが愉快げに笑う。コイツらは、からかい甲斐のある人間を見るとやらずには居られないらしい。

 

 ターレスが居なくなってから、フリーザはセルにからかわれるようになっていた。

 

 しかし、意外にも今のセルの声は表情と違って真剣みを帯びている。興味が湧いて、つい口にした。

 

「……私も行きましょうか?」

 

「それはやめた方がいいだろう。軍の下級兵士どもが下らん真似をするかもしれん」

 

「ま、それもそうですね」

 

「……地球を破壊しかねんしな(ボソッ)」

 

「今、何か言いました?」

 

 冷静な指摘に頷くと、フリーザの傍らに青い肌の丸い顔、ピンク色の髪をおかっぱにした老婆が黄色の肌をした科学者と共に現れた。

 

「フリーザ様も、仲のよろしいお友達が二人も出来て何よりです」

 

「べ、ベリブルさん!?」

 

 科学者にベリブルと呼ばれた老婆は気にした風もなく、フワフワと足を浮かせて笑う。

 

「…いつまで経っても、貴方の中の私は子どもって事でしょうか?」

 

 口許をヒクつかせて平静を装うフリーザに楽しそうにベリブルは笑う。

 

「ホホホ、フリーザ様は今でも、お可愛いらしいままでおられますよ」

 

「嬉しく、ありませんね!」

 

 狼狽える科学者を置いてセルとブウが顔を見合わせて苦笑する。

 

 ブウが一つ息をついてからセルに向き直る。

 

「セル、お前一人で行くのは無しだぞ?」

 

「…貴様には面白くないかもしれんぞ」

 

「それを決めるのは、私だ!」

 

 やれやれ、と首を横に振るセルの肩にブウは手を置いた。これにセルが呆れた表情になりながら右手の人差し指と中指を立てて額に当てる。

 

「では、行ってくる」

 

「夕飯迄には戻るぞ」

 

 セルとブウの言葉にフリーザは肩をすかしながら一言。

 

「お気を付けて」

 

 とことん自由な”友人”である。フリーザはベリブル達に見えないように微かに笑みを浮かべて二人の異形を見送った。

 

ーー地球

 

 瞬間移動した先には、強烈な赤い光に吹き飛ばされている何者かの前。

 

「! おや、セル?」

 

「フンーー」

 

 目を見開くブウの隣でセルがつまらなさそうに手をかざして自分たちに迫る青い光を消し飛ばした。

 

 光が爆発した衝撃で、地面に落ちる何者かの影をジッとセルが見下ろす。地面に落ちて仰向けに倒れているのは全体的に黒みがかった灰色の皮膚と特徴的な二本角のような頭に黒いセミの羽、赤のラインが頬に入った白い端正な顔立ちの異形。

 

 完全体のセルそっくりのモノが白目を剥いている。

 

「今の地球にはこんな紛い物が出回っているのか? セル。お前ともあろう者が、こんなつまらん物を見に来たのか?」

 

 ブウが白目を剥いたセルそっくりの異形を覗き込んだ後、本人に問いかける。

 

 しかしセルはブウの問いかけを無視してジッと空を見上げていた。

 

「感じないのか? 魔人ブウ」

 

 いつものブウという問いかけではない。魔人ブウとわざわざ言ってきた。ということは、魔人の能力でも地球に起きている異変が分からないのか、と言いたいようだ。

 

「お前は、相変わらず回りくどいなぁ」

 

 呆れたような声のブウにセルがシニカルな笑みを返す。

 

「簡単に答えを言っては、楽しめるものも楽しめないだろう?」

 

「……フ、それもそうか。この地球を覆っている妙な波動に興味があるのか? 一定以上の戦闘力のものを無力化させるようだがーー」

 

 セルが笑みをゆっくりと消して気を高め始める。

 

「……そのようだな。全ての生きる者の発する生命エネルギーに関与し、気の上限を予め定められているようだ。一般人にはほとんど影響はないが、高い戦闘力を持つ者は問答無用で意識が奪われ、戦闘力を固定化される」

 

 金色のオーラが青色の稲妻を纏いはじめ、やがて緩やかに緑がかった金色の炎へと変じた。その圧倒的な気の量にブウがニヤリと邪悪に笑う。

 

「私たちには無意味なようだがな」

 

「当然だ。我々は既に生命体の域には居ない。神の領域とやらに居るのだからな。だが、コレではゲームを楽しめんか。敢えて定められた気の上限で闘ってやるのも悪くはない」

 

 ブウがニヤリと笑みを強める。

 

 確かに面白い趣向だと思ったのだ。強敵を探す方が難しい今の状況では、自分の力を制御する方が基本能力が鍛えられる。

 

 地球の戦士達が使う方法だがーー。

 

「それで本題は何だ、セル?」

 

 セルが気を波動の上限までに納めるのを見ながら、淡々と問いかける。するとセルは横目でブウを見た後、青い空を見上げた。

 

「この波動ーーというのは知らんが。こういうのを作る者に心当たりがあってな」

 

「? ほお? 生命体のエネルギーを操って戦闘力を固定化させる。確かに恐ろしい発明ではあるが、お前が興味を示すほどのものか?」

 

「私の生みの親でもーーかね?」

 

 ニヤリと笑うセルの顔は、殺気と苛立ちに満ちている。

 

 ブウは、その殺気を心地よさげに目を細めて受けると知的な頭を回転させ始めた。

 

「なるほど。自分を作り出した存在が、汚点をまき散らす様に我慢ならない、か?」

 

「……貴様には面白みがない、と言ったぞ?」

 

「分かっている、だが。追いてきたのは私の自由だとも言った、その上で面白いかを決めるのも私だとな」

 

 ブウは上機嫌だ。何が面白いのかとセルが訝し気に目を上げると、彼は肩を竦めて笑う。

 

「お前が、そんなに感情的になるのが面白い」

 

「…つくづく、悪趣味な奴め」

 

「そう言うな。私の友の中で、最も乱れないのがーーお前だからな」

 

 ブウの知る限り、セルという男はどれほど追い詰められようとも余裕の笑みを浮かべて最善の状況を導き出して選択する。

 

 そのセルが、感情的になるなど孫悟空と孫悟飯の親子くらいなものだった。

 

 それなのに、今回はあの親子の時よりも感情的になっている。

 

「その理由がーーこの粗悪なクローンでもなければ、私の中の大界王神が教えてくれた我々とは違う次元の魂でもない。それらよりも遥かに取るに足らないーー波動を作り出したかもしれぬ存在」

 

 言いながらブウは右手をセルの右上の空に向けて指さした。

 

「ーー? アレは」

 

 強烈な青い光が灰色の人型のトカゲのような存在を運んでいる。あのまま、上空へと進めば爆発してトカゲは死ぬだろう。

 

 ブウが指先から桃色の光を弾かせる。それだけで、強烈な青い光は霧散して消えた。

 

 人型のトカゲーークローンフリーザが、地面に叩き落とされる。

 

 それらを無表情に見つめて、セルはブウと共に視線を前方にやった。

 

 色白の肌に、黒縁メガネから覗くクールな切れ長のツリ目が特徴の女性にしては長身の美女が立っている。

 

 整った目鼻立ちに加え、グラマラスなプロポーションの持ち主。

 

 また、毛量が多く、外ハネした癖の強い茶髪のロングヘアーを持っている。

 

 服装は赤と藍色の6面分けで構成されたタイトなミニワンピース。ワンピースの色に合わせるように、右足が赤、左足が藍色のハイヒールに、更にパンティーストッキングを穿いたかなりセクシーな服装である。

 

 その上から左肩にレッドリボン軍のマークが描かれた白衣を羽織り、両耳に金のイヤリングとイヤーカフを付け、左手中指に金のリングを嵌めている。

 

 レッドリボン軍のマークが付いた白衣などなくても、イヤリングのデザインでセルには一目でわかる。

 

 セル以外の人造人間達が共通で付けているものと同じデザインのものだ。

 

「………女。貴様、何者だ?」

 

 女の周りには、黒っぽい灰色の上衣と赤いインナーシャツを組み合わせた亀仙流の道着と同じデザインのものを纏う燻んだ金色の髪を逆立てた、赤い瞳の孫悟空がいる。

 

 周りには、悟空と同じ色の戦闘服を着た燻んだ金色の髪に赤い瞳のベジータ、更にブウの知らないスキンヘッドの巨漢が立っている。

 

 フリーザ軍の戦闘服を着ていることから、おそらくはベジータの仲間なのだろうが。

 

 彼らは皆、死んだ人間の肌のように血色がない。

 

「人造人間21号」

 

 邪悪な笑みを浮かべて女はセルの問いに応えた。

 

 これに瞳を鋭く細めた後、セルは隣に立っている孫悟空の紛い物ーー気の質から其処に倒れている自分やフリーザに似た存在ーーおそらくはクローンを見つめる。

 

「…完全体のセルが、ドラゴンボールで蘇った訳でもなく普通に生きているとはね。この歴史では悟飯に倒されてないのか? もしかして、孫悟空の仲間になった? でも、それなら隣に悟飯やゴテンクス、ピッコロを吸収したブウが居るのもおかしいな」

 

 笑いながら、彼は言ってくる。

 

 孫悟空の偽者ならばブラックという存在とセルは闘ったが、アレよりも更に品がない。

 

 顔の似ているターレスやバーダック、ターニッブと比べるのもおこがましい程に器が小さいというか、凡俗という印象を受けた。

 

「興味深いな。私を究極の魔人ブウと知っていて、その程度の驚きとは。しかも異世界の魂が私を知っていることにも驚きだ」

 

「知ってるよ。ドラゴンボールは、俺も好きだからね」

 

 その他意のない言葉にブウの瞳が思案気に細まる。意味を読み取ろうとしているのだ。セルにも察せられたが、おそらく今のドラゴンボールというのは、地球に七つあるドラゴンボールのことではない。

 

 もっと違う何か、だろう。

 

「お前らの事は、何もかも知っている。産まれた時期も死ぬ瞬間も、負けた時にどんな無様なセリフを吐いたかも」

 

 ブウがチラリとセルを向くと、彼は何も言わずに孫悟空の紛い物を見つめている。

 

「貴様は、何者だ?」

 

「俺は、お前らとは違う世界の人間。二次元(漫画)のお前らとは違う、三次元(現実)の存在だよ」

 

 自分たちを見下すかのように笑みを浮かべる孫悟空の紛い物と、その周り。

 

「…ベジータと、地球に襲来してきたころに居たナッパとかいうサイヤ人か。紛い物だがな」

 

「…? ああ、ピッコロと悟飯の記憶にヒットした。そうか、あの時の雑魚か」

 

 淡々としたセルの言葉に、ブウも目を見開いて手を打った。喉に刺さった魚の骨が取れたかのようなスッキリとした表情だ。

 

「はじめようか? 21号、アイツ等を食いたいだろ?」

 

「フフ、私の為に狩ってくれるの?」

 

「ああ。お前が、生き残るためにな…!俺の女としてーー!」

 

 笑いながら、訳の分からない自信を持って孫悟空の紛い物はセルとブウに向き直った。

 

 紛い物は気を纏う。神の気に似た形をした黒の外縁に内は鈍い金色、漆黒の雷が走る邪悪な炎。

 

 血のように紅い瞳が輝き、燻んだ金髪がなびいている。

 

 普通の超サイヤ人ではあり得ない気の量と、邪悪さにセルとブウの目が見開かれる。

 

「素敵よ、修二ーー! そのまま、ソイツ等に身の程を思い知らせてあげなさい」

 

 妖艶な笑みを浮かべる21号。

 

「分かっているさ。コイツ等をお前に食わせて、その上で俺がお前に勝てばーーだったよな?」

 

「ええ、そうよ」

 

 下卑た笑みを浮かべる修二と呼ばれた紛い物にセルの表情が冷たいものへと変わった。

 

「なんだか知らんが、波動の影響とやらが仮にあったとしても。その程度の気で私に勝てると思っているのか?」

 

 ブウに対して左手を出して前に出るな、と主張している。これに肩をすくめてブウはニヤリと21号と修二達を見つめる。

 

「仮にお前が孫悟飯に倒されていなかったとしても、これで充分だと思うが?」

 

「そうかな?」

 

 静かにセルは青い雷を纏った金色のオーラを身に纏う。

 

 上限までの気しか解放しないセルにブウが意味ありげな目を向ける。

 

「さっきの強烈な気は出さないのか?俺の力で真正面からねじ伏せてやるぜ」

 

「…私の本気は、貴様程度に出すほど安くはない」

 

「後悔するぞ」

 

 瞬間、修二の足元が弾けて一気にセルの目の前に移動する。拳が顔に向けて放たれる。セルは左手で掴み止めると右の拳を間髪入れずに返す。

 

 首を横に倒して避ける修二に目を微かに細めると、凄まじい拳打と蹴打を交互に繰り出しあう。

 

 五撃ーー攻撃を繰り出しあう中で、クリーンヒットを顎とボディに叩き込まれて顔をのけ反らせる修二の首にセルの長い脚が叩き込まれる。

 

 体を側面に泳がせる修二の腹に槍のような蹴りが入り、前のめりになった所を腹に刺さった蹴りが顎を打ち貫いて天を突き刺した。

 

 後方へ派手に吹き飛んで放物線を描いて倒れる修二をセルは無表情に見下ろす。

 

「その程度か?」

 

 セルの言葉に修二はニヤリと笑みを浮かべて立ち上がってくる。

 

 クリーンヒットしていても気の量が高ければ高い程、防御力も上がる。今のセルの戦闘力ではダメージを通すのは難しいはずだった。

 

 セルが踏み込み、拳を繰り出すと今度は紙一重で上体を反らされて鼻先で避けられる。

 

 それを静かに観察しながらセルは淡々と作業のように拳と蹴りを繰り出していく。

 

 強烈なボディブローが、セルの右ストレートのカウンターに放たれた。鈍い音が周辺に響き渡り、セルが前のめりになると、その顎を修二は殴りつけた。

 

 後方へ吹き飛び、尻餅をついたセルを見下ろし、修二は笑う。

 

「どうだ? たった2発のパンチでダウンを取られた気分は?」

 

 超然とした笑みは、自分に酔っている。

 

 完全体のセルを相手に圧倒している自分に彼は完全に酔っている。その酔いは酔えば酔うほどに修二の気を高めていくようだった。

 

「流石っすよ、折戸さん!!」

 

「カッケー!! さすが、孫悟空!!」

 

 クローンベジータとクローンナッパが囃し立てる中、セルは淡々と立ち上がる。

 

 その眼はーー虫けらを見るように無表情だった。

 

「俺は悟飯ほど甘くないし、悟空ほど馬鹿じゃないぜ」

 

 その言葉にセルは、ゆっくりと気を纏い拳を握る。虫けらを見る目を止めることはない。軽蔑の視線を受けて折戸修二の眼が見開かれる。

 

「なんだ? その気に入らない目は?」

 

 その問いかけにセルが静かに応えた。

 

「貴様如きがーー孫悟空と孫悟飯を知ったかぶるか。くだらん」

 

「甘い息子と阿呆な父親に負けて悔しいのか? ま、気にすんなよ。あれはシナリオの都合だ」

 

 肩を上下させて訳知り顔で笑う折戸の側面に一気に踏み込み、セルが拳を放つ。鬱陶し気に手で払う折戸を見据えて更に右の上段廻し蹴りを放つセル。

 

 咄嗟に折戸は右腕を上げて受けようとするも、蹴りは軌道を変えて吸い込まれるように折戸の鳩尾に突き刺さった。ダメージはない。

 

 今のセルの戦闘力は波動によって調整された上限でしかないからだ。

 

 セルはダメージを与えられていないのにも構わず、鳩尾を抜いた脚で先ほどと同じように顎を蹴り抜いて吹き飛ばした。

 

 背中から地面に落ち、大の字にダウンしてから一瞬で立ち上がってくる折戸。

 

「おいおい、避けるのも面倒くせぇ攻撃すんなよ」

 

 彼は首を鳴らしながら笑いかける。他のクローン達も笑っている中、21号だけはつまらなさそうにセルと観戦しているブウを見ていた。

 

「所詮、この程度かーー!」

 

 セルが吐き捨てると折戸がニヤリと笑みを強める。

 

「負け惜しみか? いいねぇ、見苦しくて。もっと吼えてみろよ、負け犬め」

 

 これにブウが呆れた目をして折戸を見た後、セルを見る。

 

「おい、もういいんじゃないか? こんな雑魚に構うのは、見ているこちらも面白くないぞ。自分の負けも理解できないような雑魚にはな」

 

「おいおい、お前まで負け犬の遠吠えか? 魔人ブウ」

 

「ーーセル、替われ。私が身の程を教えてーー」

 

 そういうブウの肩を掴むとセルは、折戸を見て告げた。

 

「孫悟空ならば、顔に放たれた蹴りをフェイントと理解して鳩尾を打ち貫かれることはない。孫悟飯ならば、その後の顎を蹴り抜かれることはない。わざわざ、腹から顎という同じコンビネーションをこの短い間に繰り返してやったのに避けることも防ぐこともできないーー。貴様は、その程度だ」

 

「…! 俺が、孫悟空なんかに劣るって言いたいのか?」

 

「比べるのもおこがましい。貴様の気が大きいのは、クローンの肉体と訳の分からん力を与えられているからだ。何一つ、貴様には誇れるものなどない。そんなものとやり合っても、私がつまらん」

 

 それだけを一方的に言い捨ててセルはブウと共に半透明になっていく。

 

「ふざけるなぁ!!」

 

 気功波が放たれるも、金色のエネルギー弾はブウに左手で弾き飛ばされる。

 

「!!?」

 

 目を見開く折戸をセルが虫けらを見る目で見据えた。

 

「貴様では無いようだなーー。真に至ったのは、これから行く方か。楽しめれば良いが」

 

 それだけを告げてセルはブウを連れて姿を消した。

 

ーーーー

 

 彼らの姿を少し離れた位置から見つめる者が居た。

 

 銀色の髪をポニーテールに結わえ、ハーフズボンとTシャツを着た紫の肌の青年。

 

 彼は額に手をやって肩を竦めている。

 

「あちゃぁ。折戸くんじゃぁ、悪の気をもらってもセルを本気にさせられないかぁ。でも、これでいいのかもしれないね」

 

 彼は暗い笑みを浮かべて呟いた。

 

「ーー僕に恐怖を与えた真・超サイヤ人。あの力、絶対に僕のモノにしてみせる…!」

 

 彼の脳裏には、時の狭間で逃げるしか出来なかった恐ろしい黄金のサイヤ人が浮かんでいた。




最後に出てきた彼は、何者なのか?(´・ω・`)

次回もよろしく〜(´ー`* ))))

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