ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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今回は、タイトル通りの話です。

紅朗の出番がちょっとしかありませんが、予めご了承ください。(;´Д`)

では、お楽しみに( *´艸`)


第15話 悟空、ハチャメチャが押し寄せて来たヨ

 

 邪悪なオーラを纏うクローン悟空。

 

「デカイ口を叩いて逃げるだけか? かつての2大ボスも俺の前では雑魚も同然だな。逃がすかよーー餌ぁ!」

 

 折戸修二は、逃したセルとブウの後を追おうと瞬間移動の構えを取る。

 

「ーー追わなくていいわ」

 

「21号?何故だ?」

 

 彼女は淡々とした口調で告げた。

 

「今のままでは、貴方が負けるからよーー」

 

「負けるって?俺が?まだまだ、超サイヤ人2や3を残してるんだが?」

 

 嘲笑を浮かべる折戸に21号は淡々と告げた。

 

「ええ、勝てないわ。セルとブウってヤツ等の顔を見なかったの?」

 

 目を見開く折戸に21号は子どもをあやすような優しく甘い声と軽蔑のような冷たい笑みを浮かべた。

 

「戦闘経験がないのは仕方ないけど、もう少し見る目を養って欲しいわね。あいつ等、実力の1割も出してないわ」

 

「…なんだと?」

 

 固まる折戸に21号が笑いかける。

 

「どうしたの?貴方の読んだ漫画とは違ってるかしら?ああ、ゲームだったかしらね?」

 

 悔しげに、苛立たしげに唇を噛む折戸を21号は底意地の悪い笑みを浮かべて告げる。

 

「お前の作り出した波動も、いい加減じゃないか?クローンの俺たちだけでなく、機械の精神がリンクしてる訳でもないセルとブウが自由に動けてる。おまけに、1割って言うお前の話が本当なら波動の上限を軽く超えてるんだろ?」

 

「相手のエネルギーが想定を大きく上回っている、それだけの話よーー」

 

 落ち着きながら「二つのデコレーションされたケーキ」をつまんで紅茶を飲む21号を折戸は忌々しげに見た後、告げた。

 

「…まぁ、いいさ。次はもっと、美味そうなヤツをご馳走してあげるよ」

 

「ええ、期待してるわ。修二」

 

 互いに笑みを浮かべて、クローン人間と人造人間は笑い合っていた。

 

ーー全王・謁見の間

 

 虚空の闇が広がる無の界にてーー大神官が作り出した武舞台がある。

 

 そこで第1から12までの宇宙から、それぞれ6人の戦士が呼ばれてバトルロワイヤルが行われていた。

 

 第7宇宙は1欠状態であったが途中参加した孫悟空が戦線に加わり、闘いは更に激化。

 

 各宇宙の破壊神はおろか、天使達すらも手に汗握る熱戦が繰り広げられている。

 

「ヒットォ、ケフラァ!お前達なら勝てるぅう!!」

 

 コートを着た紫色の肌の暗殺者が拳を時と共に飛ばす。

 

 両方の耳に緑色のイヤリングをした緑金色の髪を逆立てた女が強烈な赤と緑の混じった光を放つ。

 

「ジレンさえ居れば、勝てる!!絶対に、負けるはずがないんだ!!」

 

 赤と黒のフィットネススーツを着た灰色の肌の男が、頑丈な拳に赤い灼熱を帯びさせて真っ直ぐに放つ。

 

 第6宇宙の破壊神シャンパが、第11宇宙の破壊神ベルモットが自分の宇宙の最強の戦士に向かって叫んでいる。

 

「悟空ぅう!ベジータ、バーダック、悟飯、ブロリー!!全員、真の力を開放しろぉお!お前達のーー超サイヤ人の力を見せてやれぇえ!!!」

 

 対する第7宇宙の破壊神ビルスは、先ほどから全宇宙に狙われている自分の宇宙の戦士達に向かって声を張り上げる。

 

 強大な爆発が起こる中、山吹色の道着を着た黄金の炎を纏う真・超サイヤ人ーー孫悟空が。灰色の肌の男、ジレンと向き合っている。

 

「…コレがベルモットが言っていた超サイヤ人、か。確かに、凄まじい力だ。お前達を全員倒せば、俺は更なる高みの力を手に入れることが出来る…!この勝負、俺が勝つ!!」

 

 低い声で告げる灰色のジレンに対し、黄金の戦士・超サイヤ人は応える。

 

「どうかな? やってみなけりゃ、分からねぇ…!」

 

 強烈な力と力がぶつかり合う。

 

 拳が蹴りが、互いに目にも映らない速度で交換し合う。

 

「ば、馬鹿な! 本気のジレンと互角に打ち合えるだと!?」

 

「そ、そんな!! これが、これが超サイヤ人だと言うのか!?」

 

 ベルモットと界王神カイが叫ぶ中、悟空とジレンの気は天井知らずに上がっていく。

 

「凄い凄い!! 凄いのね! 大神官、悟空と互角のあの戦士ーー! なんて言うの!?」

 

「彼は第11宇宙のジレンですね。素晴らしい戦闘力ですーー。しかし、全王さま。このまま彼らの戦いをエキシビジョンで見てしまうのは、惜しいのでは?」

 

「どういうこと?」

 

 首を傾げる全王に、大神官は微笑む。

 

「今回の試合は、急遽組まれた前哨戦。本番は、きちんとルールを決めてそれぞれの宇宙の戦士に一対一で闘っていただく予定です。その方が、全王さまもゆっくりと観戦できますからね」

 

「うん! でも、バトルロワイアル形式も面白いのね!」

 

「ですので、きちんと形式を定めた本番まで孫悟空とジレンの戦いは取っておいた方が良いのでは、と。私も純粋に楽しみたいのです。孫悟空さんの力が、本当に最強なのかを」

 

 今のバトルロワイアル形式では、周りに彼らの戦いを邪魔される可能性がある、と大神官は言うのだ。

 

 また、他にもバーダック達、一人一人の実力も知りたいというのが大神官の主張である。

 

「分かったのね! それじゃーーあ」

 

 強烈な黄金の龍を纏った拳と全てを撃ち抜く灼熱の拳がぶつかり合った。

 

 互いの気がビッグバンのように爆発し、キラキラと無の界全てに光の粒子が舞い落ちる。

 

 彼らの力を前に微動だにせずに居られるものは、誰も居ないーー。

 

 ーーーー第7宇宙の戦士達を除いて。

 

「! し、信じられん。こんな、こんな連中が第7宇宙だというのか!?」

 

「ちくしょう! 汚ねぇぞ、ビルス!! どんだけ鍛えてんだ、テメェ!!」

 

 ベルモットが驚愕に、シャンパが怒りに表情を震わせる中、ビルスは額の汗をぬぐう。

 

「…フン。悟空が真の超サイヤ人を出したんだ。他の連中が力を出さないだけでも有難く思え!」

 

 確実な第7宇宙の勝利を確信するも、ウイスが声を上げた。

 

「それは、どうでしょうね? 真・超サイヤ人の力に引き上げられるようにジレンも力を上げています」

 

「な、なんだと!?」

 

 目を見開いてジレンを確認すれば、気が更に膨れ上がっている。体力が落ちれば落ちる程に気が反比例して上がっている。

 

 互いに拳を身体で受け、交互にのけ反りながらも脚を止めて全力の一撃を交換している。

 

「ベルモット様。ジレンもまた、孫悟空の強さを前に壁を超えようとしています。これは、どちらが勝つとは言い切れませんですますよ」

 

 長い白髪をツインテールにした第11宇宙の天使マルカリータの言葉にベルモットが笑みを浮かべる。

 

 その端では、第6宇宙の超サイヤ人ケフラの圧倒的な力の前に倒されようとしている第10宇宙の黄色の肌の戦士オブニが肩で息をしていた。

 

 彼の左右には仏像のような姿をした戦士ムリチム、赤い肌をした長い水色の髪の優男ジラセンがいる。

 

「へ、ここまでのようだな? ま、アタシを相手によく頑張った方だぜ」

 

「…く、ここまでか。申し訳ありません、ゴワス様」

 

 右手を掲げて緑と赤が混じった光を放つケフラ。その前に彼らは成す術なく飲み込まれようとしていた。

 

「ーー第10宇宙の代表戦士ともあろう者が、この程度の連中に何をしている?」

 

 よく通る低い声。

 

 漆黒の闇の空間から小さな太陽のような赤い光弾がオブニを守る様に放たれ、ケフラの光を飲み込んで消した。

 

「な!?」

 

 目を見開くケフラの前には、逆立った黒髪と漆黒の瞳孔が開いた銀色の眼を持った男。

 

 赤いコートは界王神のもの。それを明るい水色の腰帯で締め、白い道着のズボンに孫悟空と同じタイプのブーツを履いている。

 

 その帯の上には猿のような尾が巻かれている。

 

 その長い前髪は彼の顔の右半分を隠すほどに長く身長は2メートルを越えている。

 

「だ、だれだ、あの男は!? 全王様の謁見の間に、どうやって来た!?」

 

「まさかーーお父様の結界を破った? いったい!?」

 

 ラムーシとクスが叫ぶ中、男の左右には黒髪を腰まで伸ばした長い髪の男と白い人型の龍が居る。

 

「オブニーームリチムにジラセン、と言ったか? 私たちに交代してもらおうか。よろしいですね?ゴワス様、全王様」 

 

 不敵な笑みを浮かべて飛び入り参加した界王神の服を着た男が告げた。これに全王が両手を挙げて頬を染めて叫んだ。

 

「うんーーっ!! 待ってたのね!!!」

 

 これにベジータが、ピッコロが、バーダックが、悟飯が、ブロリーが笑みを浮かべて闘志に目を見開いている。

 

「最高の相手がやってきたぞ!!!」

 

「フハハ! ヤツは、俺が倒す!!」

 

 超サイヤ人ブルーベジータの言葉に伝説の超サイヤ人ブロリーが叫ぶ。

 

「貴様らの相手は私とディスポだ!!」

 

「そう言うこった。舐めんのも大概にしろよ、サイヤ人!!」

 

 これにジレンと同じ服を着た髭の生えた筋肉質の戦士トッポが紫色のウサギに似た人間ディスポと共に応える。

 

「いいじゃねぇか、ベジットでも勝てなかった野郎。俺がブッ倒してやらぁ!!」

 

「気の早い男だ、お前の相手は俺だぞ」

 

 第6宇宙の暗殺者ヒットが、バーダックの前に立ちはだかる。

 

 悟飯とピッコロが目を細める中、ゆっくりと白い人型の龍と長い黒髪をなびかせた人造人間が立つ。

 

「…これは、いよいよ総力戦と言ったところでしょうか?」

 

「フン。誰が最強かーー手っ取り早く決められそうだな!!」

 

 ビルスが目を見開いて呆然とする中、戦士達は笑みを浮かべて歓迎している。

 

 あり得ない来訪をした戦士達を。 

 

「おいおい、お前ら。何度も言わせるなーー。勝手に決めるなよ? 最強を!!」

 

 その闘志に破壊神ビルスも燃え滾り立ち上がり始める。

 

「ビルス様、反則負けになってしまいますよ」

 

「…ぐっ!」

 

 ウイスがすぐさま水を浴びせた。

 

 とはいえ、天使である彼も昂奮している。これほどの戦士が集まるとは思っていなかったのだ。

 

 その時だった。

 

「ーーどういうつもりだ、孫悟空!?」

 

 ジレンの叫び声に皆が注目すると、超サイヤ人悟空が背を向けていたのだ。

 

「悪りいが、辞めだ」

 

「辞めだと!? この勝負に泥を塗る気か!? 俺の力では相手に不服だとでも言うか!!?」

 

 無表情だったジレンの顔は激情に彩られて激しく歪んでいる。

 

 対する悟空の表情は凄みのある冷徹な顔だった。

 

「…そうじゃねぇ。勿体ねぇんだよ、オメエ達とこのまま闘(や)り合うのはな」

 

 穏やかな笑顔を浮かべて悟空は笑う。

 

「見てぇって思っちまったんだーー。力や強さを求めるオメエが、俺以上に真っ直ぐに強さを求めて歩いてるーーアイツと闘う所をなーー!!」

 

「………っ!!」

 

 目を見開く悟空の瞳孔が開いた翡翠眼は一見、冷徹に見えるもその実、ジレンに勝るとも劣らない激情の炎が宿っていた。

 

 その迫力に、気迫に、ジレンの魂が揺さぶられている。

 

 戦わせろ、このまま貴様とーー。

 

 そう感じると同時に相反する気持ちが浮かび上がる。

 

(この、孫悟空程の男が言う俺と闘わせたい戦士ーー。見てみたい)

 

 気付けば、武舞台の激闘はピタリと止まっていた。

    

ーー紅朗視点

 

 次から次へと、ハチャメチャが押し寄せて来やがる。

 

 ヤムチャさんとの組み手を終えて、基本動作を天津達と共にクリリンさんや天津飯さんから学んでいた矢先。

 

 突如、強烈な気が二つ、俺たちの前に現れたんだ。

 

 巨大なツノが二本生えたような独特な頭の形をした漆黒の虫の羽を持つ緑色の化け物と、後頭部から触覚の生えた桃色の体色をした化け物が俺たちの前に現れたんだ。

 

「…!そ、そんな!?」

 

 栗林が叫ぶのも無理はない。先程、俺がぶっ飛ばした(らしい)瀬留間と皮は似てるが中身は別物だ。

 

 ああ、本物だ。この重圧、向かい合うだけで足が震えてきやがる。

 

 問答無用の恐怖と悪意の塊。

 

 こいつらーー「本物の」パーフェクトセルとアルティメットブウだ。

 

「紅朗、下がるんだ!」

 

「ここは、俺たちに任せろ!」

 

 クリリンさんとヤムチャさんが叫んで来るが、セルの瞳孔が開いた桃色の瞳は構える天津飯さんやクリリンさん達を無視して俺を見ている。

 

 いや、正確には俺とーー壱悟だ。

 

「ーーさて、どちらが本命かな?」

 

 静かな声でセルが俺たちを見比べて呟いていた。

 

ーーーー

 

 時の狭間にあるコントン都。

 

 時空を管理する界王神の指示を受けて、歴史を荒らす異界の存在を排除する戦士ーータイムパトローラー。

 

 彼らを日々鍛えるのはーーかつて地球を守り抜いた戦士達や、その敵であった。

 

 都を一望できる丘の上で、一人の人物に教えを受けていたパトローラー達が倒れていた。

 

 界王神の付き人の服を着た緑色の肌の青年は、己の教えを受けて倒れ伏したパトローラー達を見下した後、彼らに背を向けて歩いていく。

 

 彼は少し開けた場所にテーブルを作り出すと紅茶を入れるポッドとカップを取り出し、ゆっくりと茶を淹れる。

 

「どうでしたか、彼ら?」

 

 彼は紅茶を一口飲んだ後、目を開けて銀色の瞳を目の前の山吹色の道着を着た短い黒髪の男に向けた。

 

 男は精悍な顔つきに左目に迫力のある切り傷を付けている。

 

 穏やかな笑顔を浮かべているが、物言わぬ強さが彼の黒い両目から溢れていた。

 

「ーー可もなく不可もなく、だな。鍛えればそれなりにはなるだろうが、それだけのものだ」

 

「手厳しいですね」

 

 苦笑を浮かべる男に青年は卓の向かいに椅子を生み出すと座れ、と言わんばかりに目を向ける。これに男は頭を下げると椅子を引いて向かいに座った。

 

 青年は素っ気ない態度の割に丁寧な手付きで紅茶を淹れたカップを男に差し出す。

 

 これに男はニコリと笑みを返して受け取り、茶を一口飲んで息を吐く。

 

「ふう。母さんに淹れてもらったお茶を思い出しました」

 

「……ほう」

 

「厳しくて、幼い頃から勉強をするように言われてきました。でも、僕のことを誰よりも愛してくれてたって思います。僕が学者になってしっかりした将来を築いていってほしい。それが母さんの夢でした」

 

 瞳を閉じて話を聞いていた青年は男に先を促すように目を向けてくる。その銀色の瞳を見返して男ーー孫悟飯は笑った。

 

「でも、俺はピッコロさんや父さんを尊敬していて。あの二人みたいに強くなりたかった。闘いは好きじゃなかったけれど、闘わないと守れないって思い知ったーー。だから、誰かの幸せを守れるならと拳を磨いてきた」

 

 しかし、自分だけでは人造人間達には歯が立たなかった。

 

 最後の希望をトランクスに託す以外に、何もできなかった。

 

「ーー俺は、強くなれましたか?」

 

 いつの間にか笑みは消え、真剣な黒い瞳で悟飯は向かいに座る緑色の肌の青年を見つめる。

 

「孫悟空を超えた、と言ってほしいのか?」

 

「……いえ。父さんを超えようとは思ってます。でもーー俺は超えることは、多分一生ないと分かってます」

 

 青年の左目が微かに細められるのを見て、弱ったようなーー誇りを持って笑みを返す。

 

「子が親を超えることはない。俺は一生、父さんの背を追い続けるだけです……!」

 

 力を超えることはできるかもしれない。

 

 しかし、その強さに届くとは思えない。

 

 届かなくても、構わない。今の自分は、急ぎはしない。

 

 答えは、己の中にあると教わっている。

 

「だから、貴方に聞きたいのはこれだけです。俺は、強くなれましたか?」

 

 銀色の瞳で青年は静かに悟飯の黒い目を見つめている。その奥に猛り狂う黄金の炎をジッと睨みつけるように。

 

「勘違いをするなよ、孫悟飯。私は弱い者に己の正義を託したりはしない」

 

「……ありがとうございます」

 

 その答えに満足げに笑みを返し、悟飯は更に己を鍛えようとする意志を瞳に滾らせている。その瞳を見返した後ーー青年は空を見上げた。

 

 悟飯と別れた後、青年は一人で刻蔵庫と呼ばれる全ての次元と時空を管理する場所へと足を運んでいた。

 

 彼の目の前には腰までしかない背丈の小さな少女が居る。

 

「ーー来たわね。私の依頼を、受けてくれるのかしら?」

 

 銀色の髪を靡かせ、緑色の肌の青年は静かに彼女を見下ろした後、右手に嵌めた銀色の指輪を輝かせる。

 

 光は粒子となって彼の全身に纏わりついて弾けると、青年は左右非対称に跳ねた独特な黒髪の男に変わった。

 

 その服装は長袖の黒のインナーシャツの上から灰色の道着を着、漆黒の道着のズボンを赤い帯で締め、白いブーツを履いている。

 

 その左の耳には深緑色のポタラが付いていた。

 

「時空を乱す悪党を許すわけには行かない。だけど、悟飯君やトランクスだと今回の相手は厳しいと思うの。実力的には問題ないんだけど、一般人に拳を向けることってできないと思うから」

 

「ーーフン。汚れた人間を葬るのは私に任せよう、というわけか。意外に打算的ですね」

 

 中性的な声は低く色気がある。

 

 笑みは侮蔑的で残酷さを隠そうともしていない。

 

「ええ。悪いけれど、貴方を見定めさせてもらうわ。悟飯君を信用しないわけじゃないけど、貴方は世界を滅ぼした大罪人だもの。今回の任務で、貴方の本当の目的を見させてもらうわよ」

 

「……仮に、私が何かを企んでいたとして。それを、この場で堂々と宣言してよろしいのですか?」

 

「ええ。私って回りくどい事、嫌いだから」

 

 にっこりと笑ってかわい子ぶる子どものような界王神に、男は漆黒の眼を向けた後で彼女が持っていた巻物を手に取る。

 

 その巻物に描かれた世界は、彼が勝ちたかった男達が居る世界であった。

 

「ねえ、最後にこれだけ聞かせて。仮に貴方の眼に異次元から来た彼らが悪と映ったならーー貴方はもう一度、同じことをするの?」

 

 静かな表情で問いかける時の界王神に、男は何も語ることなく巻物を広げた。

 

 巻物の光が男を包み込み、彼を巻物の中に描かれた世界に取り込んでいく。

 

「フューに利用されているだけの彼らを、貴方はーー」

 

ーーーー殺すのか。

 

 その質問はおそらく、確認だろう。

 

 彼を選んだ時点で、そうなる可能性も考慮している。

 

 十中八九、彼ならば殺す。

 

 だが時の界王神は、蘇った彼は以前の彼とは微妙に違うことにも気付いていた。

 

 だから彼女はジッと見つめている。

 

 消えて行った彼は何も言わず、表情も変えずに巻物の世界へと移動した。

 

 彼女は思う。別次元の彼を。

 

 赤い羽織に黒い道着を着た別次元の彼のように、全王の考えさえも変えさせた世界の意思と融合した彼のように。此処にいる彼も彼らのように変わったのだと信じるために。

 

「ーー頼んだわよ、ザマス。いいえ、ゴクウブラック」

 

 時の界王神は静かに、そう呟いた。 

 

 




次回も、お楽しみに( *´艸`)

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