ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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ついに始まる紅朗たちと21号との戦い。

気張って行きましょう( *´艸`)

楽しんでください!(^^)!


第24話 悟空、俺は諦めないぜ!

 

 

 俺たちの目の前で、二人の人造人間が見合っている。

 

 片方はガタイのいいモヒカン頭のハンサム。

 

 もう片方は、ピンクがかった白髪にピンク色の肌のグラマラスな美女。

 

「21号、もうこんなことは止めるんだーー! 正気に戻ってくれ」

 

 ガタイのいいハンサムは人造人間16号。俺のーーこの世界に来て初めて話した野郎で、俺はダチだと思ってる。

 

 対峙してる冷たい笑みを浮かべる化け物みたいな見た目だけど美人な女は、人造人間21号。

 

「私の言うことを聞いていればいいのに。そんなに私に逆らいたいの? どうなるか、分かってるわよね?」

 

「ーーっ!」

 

「私の中のアイツが、そんなに心配? なら、私の為に其処に居る転生者と神さまと戦いなさい」

 

 俺たちをチラリと見ながら、21号はニィと笑う。

 

 この、くそ女。人質取ってるからって好き放題ほざきやがって……!

 

 見れば、21号が現れた鉄の扉から悟空タイプ以外のクローンが続々と出て来た。

 

 ギニュー特戦隊タイプに青年悟飯は初めて見たぜ。

 

「ザマス。アイツがこの事件の主犯だ。アイツの中に本来の人格がーー」

 

 そう言い終わる前にザマスは不思議そうに16号を見ながら俺に向かって言った。

 

「一つ聞くぞ、ソイツの中に本来の善の人格が居るのだな?」

 

「あ、ああ。俺も会ったことがあるから間違いない」

 

 あの時の真っ直ぐな瞳は、今の女とは似ても似つかない。

 

 誰かを想い、必死になって抗っている目をしていた。

 

「そうか。しかし、アレの中にそのような人格はない。心は悪一色だけだ」

 

「! なんだって?」

 

 まさか、善の人格が消されたっていうのか?

 

 折戸の野郎が言っていた。最終的に21号の本来の人格は悪に負けるーーって、そういうことなのか?

 

「まぁ、それはこれから試せばよい、か」

 

 瞳を細めながら呟くザマスに不安を感じながらも16号に向き直る。

 

「16号! いったん離れろ! そいつは、俺が倒す!!」

 

 女は殴れんが。なんとなく、あんな傷ついた顔をして21号を見ている16号よりは俺の方がマシだろ。

 

「いいのか? 女は殴れんのだろ?」

 

「だからって、お前に任せると躊躇なく殴りそうだから嫌なんだよ。女が殴られんのを見るのも嫌いだからな」

 

「ーー甘いことだ」

 

 るせえよ、分かってらぁ。

 

「ザマス、俺がアイツを止める。悪いがクローンの方は頼んだぜ。それとーー切り離すのも、な」

 

 ザマスの顔は敢えて見ない。

 

 この野郎に頼るのは癪だが。それでも今は、コイツに頼るしかない。

 

「フンーー、繰り返さんでも分かっている。早く行け」

 

「ーーサンキュー!」

 

 金色のオーラを身に纏い、16号の前に一気に躍り出る。

 

「! 紅朗!」

 

「下がってろ、16号!!」

 

 右手で16号の左肩を掴んで後ろに下がらせるーー瞬間、強烈な拳が俺の顔に放たれる。

 

 左手で掴み止める俺を見て拳の持ち主ーー21号は笑っていた。

 

「へぇ、口だけじゃないようね?」

 

「ーーあんま、舐めた口利いてんなよ?」

 

 掴んだ拳を突き放して一歩下がった瞬間、右の上段蹴りがさっきまで其処にあった俺の顎を打ち抜いてきた。

 

 即座に両手と足を使ってラッシュを仕掛けてくる21号。

 

 全部を防ぎ切るのは無理だ、ならーー!

 

(拳を握った? ようやく戦う気になったってわけ?)

 

 嬉しそうに笑う21号が拳を突き出してきた。その拳に向けて俺は拳を合わせる。

 

 即座に続いて殴りかかって来る21号の逆の拳を俺も逆の拳で受ける。

 

 蹴りを蹴りで、膝を膝で。

 

 肘打ちを肘打ちで受け止める。イメージなんざするまでもない、孫悟空ならやれる!

 

 舞空術で空を駆け、空に桃色と金色の筋を何本も描いて高速移動をしながら一通り打ち合い、互いに腕をぶつけ合って鍔迫り合いのように相殺し、押し付け合いながら離れる俺と21号。

 

 21号は静かに俺を睨み据えて来た。

 

「どういうつもり?」

 

「女は殴れんが、向かって来る攻撃を打ち落とすのは正当防衛だ。ノーカンだろ?」

 

 悟空達は基本的にラッシュの打ち合いを制することで主導権を握るーーが、俺は敢えて主導権を握らずにラッシュを続けることを念頭に置いて動いた。

 

 打ち込みたくないなら攻撃させなければ、いいってことよ。 

 

 久住史朗じゃこうは行かないが、今の俺の身体はクローン悟空。悟空の動くイメージが完璧なら、体がそのとおりに動いてくれる。

 

 ヤツの一挙手一投足に目を向けろ、集中しろ。

 

 向かってくるものを全て迎え撃て。

 

 完全に相殺し切れば、ヤツの動きは必然的に止まる。

 

 そこまで俺がやれるかどうかーー。後は根競べだ。

 

「私の攻撃を全て受け切るっていうの? 出来るかしら?」

 

「試してみろよ」

 

「上~等!」

 

 やけくそに笑みを返してやったら嬉しそうに拳を握って来やがる。

 

 拳を合わせた瞬間、俺の肩の付け根にまで衝撃が届いて感覚がない。

 

「ーーな!?」

 

「攻撃を合わせる技術と眼は確かなものだわ。だけどーー」

 

 続けて放たれる左拳を受けるのでなく躱す。受けたらーーダメだ。

 

 避けた俺の目の前に21号は踏み込んできていた。

 

「あなた程度なら、少~しパワーを上げたら充分よ」

 

 軽く放たれた拳が腹に入り、とんでもない威力に息が詰まる。ヤバイ、体が動かない。

 

 瞬間、当然だが痛烈な回し蹴りが俺の頬を捉えて吹き飛ばした。

 

「ぐわぁあああ!!」

 

 後方へ弾き飛びながら、地面に叩きつけられる。 

 

「紅朗ぉおおお!!!」

 

 16号の声を聴きながら岩壁に叩きつけられ、岩の方が粉々にぶっ壊れる。

 

 砕けた岩の破片を見て笑う。

 

 我ながら、丈夫な体だぜ。

 

 流石、孫悟空ってことかね。地面に寝ころびながら皮肉げに笑っちまうと目の前に21号が立っている。

 

「まだ笑ってられる余裕があるなんてーーねぇ?」

 

「ーーへっ、破壊神ビルスや本物のセルとゴクウブラックなんていう訳分かんない連中に鍛えられたんでね。テメェ程度の攻撃じゃビクともしねえんだよ……!」

 

「あら? なら、まだまだ余裕ってことかしら? 嬉しいわね」

 

 ニコリと笑ってくる21号に口元を引きつらせた笑みを返してやる。

 

 ふざけやがってーー!

 

 21号は、さっさと立てとこちらに手招きをしてくる。

 

「いつまで寝ているの? 続きを始めましょ?」

 

 強いのは認めよう。

 

 正直に言って、この女は全然本気じゃない。それでも今の俺より数段上だ。

 

 試してみるか、超サイヤ人のフルパワーを。神(ゴッド)の域に引き上げられたって言うのなら、そこそこ張り合えるだろ。

 

 問題は、そっから先が真・超サイヤ人になるしか手が無いってだけだ。

 

 できれば、なりたくない。

 

 あの力、ようやく意識と記憶を保ってられるようになったが、使いこなすには全然足りない。

 

 いちいち変身が切れる度に動けなくなるようじゃ、戦いには向いてない。

 

 魔人ブウ編の超サイヤ人3やフュージョンよりも、ずっと使い勝手が悪い。

 

 確実に押し切れる状態じゃなければ、使うのはダメだ。

 

「さあ、おいで?」

 

「舐めんなァアアアア!!!」

 

 両手を広げて告げる21号に頭のどっかでプチンっと音がする。

 

 踏み込む。

 

 とりあえず投げて地面に叩きつけてから抑え込む。その後、ザマスに斬らせる、これしかない。

 

「あんまりーー男を舐めんなよ! 21号ぉ!!」

 

「あらあら、強がっちゃって。可愛いわね」

 

 マジでーー泣かす!!

 

「うぉらぁああああ!!」

 

 一気にフルパワーを使って戦闘力をMAXに高める。これなら、どうだ。

 

「フフ、ホントに神の域に迫っているのね、驚いたわ。ーーとっても、美味しそう」

 

 チッ、言葉に反して顔は驚きもしねえ。余裕かましやがって。

 

 高速移動でステップを繰り返し、互いの死角に移動しながら拳と蹴りを互いに突き刺して相殺していく。

 

 ヤツの攻撃を全て相殺しながら一つを選んで投げを行う、言葉にすれば単純だが実行するのはどんだけ難しいかは言うまでもない。

 

 セルやブラック程じゃないって思っていたが、どうやら21号の実力はーーさっき上げた二人くらいには強いみたいだな。とどのつまり、神次元ってわけだ。

 

 それも超サイヤ人神(ゴッド)を超えた次元。

 

 まともに殴り合っても勝ち目なんぞない。

 

 今は21号が遊んでるから何とか、ついていけてるが。本気出されたら一瞬で競り負ける。

 

「21号、もう止めるんだ! こんなことをくり返したところで、お前の捕食衝動は根底から解決する訳ではない!! たとえ一時、捕食によって衝動を抑えられたとしても、ほんの一時だけだ!!」

 

 16号の叫びを聞き流しながら、左腕をぶつけ合って21号を睨みつける。

 

 21号は鍔迫り合いのように腕をこちらに押し込みながらニヤリと笑って16号に答えた。

 

「本音で話したらどう? 私が目の前の彼を捕食すれば、アイツの意思が消えるかもしれない。それが怖いんでしょ、16号?」

 

「ーーっ!」

 

 眉根を悲し気に寄せて目を見開く16号に21号は目を向け、笑いかける。

 

「そんなことだと思ったわ。結局、貴方もアイツを選ぶのね? 16号」

 

「21号ーー!」

 

「でも、無駄よ。さっきそこの神さまが言ったとおり。私の中にアイツは居ない」

 

 21号はザマスを見つめてから俺と16号を順に見やる。

 

「なーー!?」

 

「んだと?」

 

 16号の後を引き継ぐように俺も声を絞り出した。

 

 ここまで来て、終わりだってのか? 21号の本来の人格は、消されたってーー?

 

 俺の前で寂しげに笑っていた彼女がーー消えた? 目の前が真っ暗になった時、顔も覚えてないガキが俺の目の前に立っている。

 

ーー 僕がいじめられたのは、久住君のせいだ。

 

 その声を聴いて、蓋をしていた記憶が呼び起こされる。

 

 また、助けられなかったのか?

 

ーー 中途半端に助けてくれるなら、最初から何もしないでよ。

 

 また、俺は自分が英雄(悟空)になれたと勘違いしていたって言うのか?

 

 誰かが、俺の耳元で囁く。

 

ーー テメェに出来るのは、目の前のカスを潰すことだけだろ? 何を勘違いしてる?

 

 耳を塞ぎたくなる。その声は、俺だ。俺自身だ。

 

 黙れよ。黙れ。俺は、今の俺は孫悟空から道着を預かってんだ。悟空の道着で、そんな真似できるか。

 

ーー 安心しろよ、今のテメェが着てるのはクローンのモノだ。今、暴れたって悟空から預かった道着に薄汚い血は付かねえよ。 その黒に近い灰色の道着なら返り血を綺麗に吸ってくれるさ。学生服で実証済みだろ?

 

 やめろ、やめろ。

 

 俺は、俺は悟空に託されたんだ。英雄に、頑張れって言われたんだよ。俺をそそのかすな。女は殴れねぇ。

 

ーー そうだな。だけどよ、守れなかったじゃねえか。ダチの大事なひとをよ? 見てみろ、テメェのーー俺のダチの傷ついた顔をよ!!

 

 そこで俺の眼は、16号を見た。見てしまった。

 

 傷つけられ、大切な何かを失った顔をしている。

 

 誰だ? 誰が、あんな顔をさせた? 俺のーーダチに。

 

ーー そうだ。目の前のカスだ。俺に悟空との約束を守らせなかったのは、目の前のゴミカスだ。俺のダチを傷つけたのは、目の前のゴミカスだ。

 

 どす黒い怒りが、俺の胸の中に溜まっていく。同時に俺の身体から黄金の炎がちらつき始めた。

 

 ハッキリと見える。俺の中に居る怨嗟の塊は、ガキの頃の俺だ。

 

 そのガキはーー人間に絶望していた。

 

 そのガキは、人間を恨んでいた。

 

 ジブン カラ ナニ モ カモ ヲ ウバッテ イク ニンゲン ヲーー。

 

「ぐぅうううう!!」

 

 怒りが憎しみが、俺の中で爆発しそうになってる。ヤバイ、このまま真・超サイヤ人に変身しちまったら、俺は止められない。

 

 21号を叩き潰すまで、俺は止まらない。

 

 押さえろ、抑え込め! この力は、今は必要ない。

 

 今、それをしたら、本当の本当に21号をーー彼女を助けられなくなる。16号の目の前で、彼女を傷つけるわけには行かない。

 

「おい、紅朗ーー」

 

 そこで場違いにも思える程に冷めたーーよく耳にとおる声が聞こえる。

 

 緑色の肌の神さまーーザマスだ。

 

「そのクローンの道着は、紛らわしい。クローンの残りを片付けて居たらつい、斬り捨ててしまいそうになる。さっさと山吹色の道着に戻せ」

 

 その言葉にーー俺は、左腕に付けた変身ベルトを押した。

 

 瞬間、黒に近い灰色の道着が鮮やかな山吹色の道着へと変化する。

 

 その道着に身を包み込んだ時、俺の中にとごっていた憎しみと怒りが消えて行く。

 

 そらそうだ、あの頃の俺の唯一信じられた者は、孫悟空だけだから。孫悟空との約束を自分で汚すような馬鹿はしない。

 

 奇妙な連帯感を感じながら、俺は多少冷静になった頭で21号を見つめる。

 

 とはいえ、本当にヤツの言うとおりだとすれば、21号の本来の人格は。

 

「気配を感じない可能性があるとすれば、既に消されて取り込まれたか。意識を完全に失っているだけか。それとも既にーー」 

 

 いつの間にか隣に来たザマスの言葉に俺は顔を向けずに21号を睨んだまま問いかける。

 

「仮に意識が無いだけの場合、どうすれば21号の人格を叩き起こせる?」

 

「サイヤの波動を使え。真・超サイヤ人に変身して、波動を直接体内に送り込み、21号本来の人格にパワーを与えるのだ。そうすれば仮に本来の人格が眠りにつく程に弱まっていても目覚めるはずだ」

 

「ーーオーケー」

 

 ニヤリと笑い、俺はもう一度拳を握り直した後、ザマスに問いかける。

 

「なぁ? この道着に着替えろって言ったのはーー気付いてたのか?」

 

 その問いかけに、ザマスは俺と並び立っていた向きから回れ右して、21号と共に現れたクローンの残党に目を向けている。

 

「何にーーだ?」

 

 淡々とした声に、俺は笑みを返す。

 

「ーーなんでもねぇよ」

 

「そうか。なら、さっさと行け」

 

 それだけ言うとザマスがクローンの群れに向かって一気に駆けだした。

 

 俺も拳を握り、再び21号を睨みつける。

 

「ーーあら? 意外に立ち直るのが早いわね」

 

「フン、俺はあきらめが悪くてね」

 

 サイヤの波動ーー詳細は分からねえが、おそらく真・超サイヤ人に変身したら使えるんだろ?

 

 ガキの頃ーー封印していた記憶。

 

 俺の理性のタガが外れそうになるのも、真・超サイヤ人に変身してからだ。

 

「試してみるか、最後の悪足掻きを!!」

 

 敢えて言って、心の奥底にある力を叩き起こす。

 

 今度は飲み込まれるな。拳は熱く、頭は冷ややか、基本だ。

 

 目の前の世界が、良く見えるようになって頭の中がクリアになっていく。自分は何でもできるという万能感と興奮でアドレナリンが分泌されるのが分かる。

 

 身に纏う金色のオーラが黄金の炎のような激しいものへと変化している。

 

 21号が舌なめずりをしながら俺を見る。

 

「へぇ? それが噂の真・超サイヤ人ーーってわけ」

 

 俺の変化に、16号が目を見開いた。

 

「紅朗ーー!」

 

「諦めんなよ、16号。最後の最後までーーな」

 

 俺の言葉に16号の目に強い意思が宿る。そうさ、まだ終わってないんだよ。

 

「これが俺のーー超サイヤ人の真の力。テメェで試してやるぜ、21号!!」

 

「やれるものなら、やってみなさい? その力がどれほどのものか、見てあげるわ」

 

 よし、21号は俺の波動のことを知らないようだ。これなら、上手く波動を叩き込めば目覚めさせられるーーか。

 

 靴底でしっかりと地面を踏みつけ、右手を左胸に書かれた「紅」のマークにつける。

 

 頼むぜ、悟空。俺に力と勇気をーーくれ。

 

 俺の祈りの言葉に応えるように、心が落ち着いてくる。そうだ、この道着は孫悟空から貰った俺のもの。

 

 この文字は、俺のために悟空が書いてくれたサイン。

 

 この道着を着て、力に飲み込まれそうになったままーーダサいまま終われない!!

 

「さあ、おいで。続きを始めましょう?」

 

 21号の言葉に瞳を閉じて、胸に当てた手を握り拳を作る。見開いた俺の目には、ハッキリと目の前の敵が見えていた。

 

「ああ、終わりにしてやるぜ」

 

 自分自身への課題のつもりで、俺はそう宣言した。

 

ーーーー

 

 この様子をジッとモニターで見つめるものが居た。

 

 暗黒魔界の王族の血を引く青年、フューだ。

 

「やはり、意識的に真・超サイヤ人に変身できている。ターレスやゴクウブラックでも相当苦労していた、あの力を自由に呼び出せるのか。凄いな」

 

 目の前のコンソールパネルにデータを打ち込んでいく。

 

 あの黄金の炎は、研究し甲斐がある。精神力が尽きない限り、無限に気を上げていく。

 

 取り込んだ可能性を引き出す力ーー。一度でも技を使えれば、真・超サイヤ人に変身すれば使える。

 

 それが別時空の可能性であったとしても、取り込めさえすれば。

 

 そうやって、この時空の孫悟空達は桁違いに強くなった。

 

 だが、紅朗には可能性などなかった。当然だ、彼は異世界の存在であり、もともとは単なる一般人だ。

 

 それが、どういう訳か。孫悟空のクローンに精神を入れただけで次々と能力を開発させていく。

 

 クローンを取り込む掌の球しかり、真・超サイヤ人しかり。

 

 取り込んだクローンの技を使えるのもそうだが、壱悟というクローン悟空を自分の分身のように使っている。

 

 しかもクローンは自立稼働しているではないか。興味は尽きない。

 

「……これから、どうするつもりなの?」

 

 静かな声にふり返ると、両手と両足を壁から伸びた鎖と枷によって磔にされた桃色の肌の美女が居る。

 

 正に紅朗と戦っている人造人間21号そのものだった。

 

 モニターで邪悪に笑う21号と違い、フューの前に居る彼女は目が強膜が普通の白であり、黒い瞳孔が浮かんだ碧色の瞳をしている。

 

「どうするーーか。逆に聞かせてほしいな。君は、どうしたいの?」

 

 彼女は強い目でフューを見ている。

 

「今すぐ、彼女を止めます。そして、折戸さんを!」

 

 言い切る彼女をフューは眼鏡の奥の目を細めてからモニターに体を向けなおして告げる。

 

「でもさ、君は運が良かっただけだよ。君のクローン体を作り出す過程で君の意識を取り出しただけで、力は彼女や折戸君が連れて行ったクローン達に遠く及ばない」

 

「……それでも! これ以上、私は私の為に傷つく人を増やすわけには行かない!! 16号を傷つけた彼女を私は許さない!!」

 

 紅朗を16号を見て告げる彼女に、フューは微笑んだ。

 

「君の捕食衝動を抑える方法、言っておくね」

 

「え?」

 

 目を見開く彼女を楽しそうに見つめてフューは続ける。

 

「それとーー紅朗くんに伝えてほしい。折戸君を止めるのなら、君は今よりももっと強くないといけないって」

 

 彼の意図が分からず、彼女ーー本来の21号は困惑した顔でフューを見上げていた。

 

 





次回もお楽しみに( *´艸`)

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