ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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と、言うわけで続編です(´ー`* ))))

楽しんで下さい(´ー`* ))))


第27話 悟空、俺はどうすればいいんだ?

 泣いている男の子がいる。

 

 大勢の人を殴っていく顔が、悲痛に歪んでる。

 

 そんな自分を彼は嫌っている。

 

 暴力に訴える自分を嫌いだと泣いている。

 

「じゃあ、どうして辞めないのだろう?」

 

 楽だから、だと声がする。

 

 自分がクズだと思えば楽だから、だと。

 

 泣いてなどいない、喜んでいる。俺はカスだがカスの中なら誰にも負けないと。

 

 でも、だけど。

 

 涙を流してないだけで、その顔が歪んでるのは怒りのせいじゃない。憎しみのせいだけじゃない。

 

 なれないって泣いてる。

 

 強くなりたいのに、なれないって。

 

「紅朗さん、貴方はーー」

 

 彼の中に居る憧れの人は、太陽のように眩しくて温かくて、誰にも侵せない英雄だった。

 

 孫悟空ーー、別の世界にいる紅朗さんを。

 

 本来なら交わるはずのない、出会うはずのない彼の心を自分の生き方を見せただけで救った人。

 

 出会ってなお、紅朗さんに希望を抱かせる人。

 

「憧れーー。紅朗さんにとって、全てだった人」

 

 でも、紅朗さんは知らない。

 

 貴方がした事で救われた人もいることを。

 

 貴方がした事が、どれだけ尊いことなのかを。

 

 少なくとも、私と16号は貴方に救われたんです。私達のように貴方に救われた方も、きっと居るはずです。

 

 どうか、それを忘れないでーー。

 

ーーーー

 

 金色のオーラが俺の身に纏う。

 

 力が、溢れてきやがる。

 

 負ける気がしねぇ。

 

 目の前のハンサムな虫やろうが、どれだけ強くてもおとなしく負けてやる気は一切ねぇ!!

 

「……少しは良い面構えになった。そう、そうでなければ面白みがない」

 

「言ってろよ。すぐにその笑い顔を吠え面に変えてーーやらぁ!!」

 

 叫びながら気を爆発。一気にダッシュしてセルの間合いへと踏み込む。

 

「今度はーー。貴様が地べたを舐める番だぁ!!」

 

 同時に壱悟も俺の意図を読んで反対側からセルに攻め込んだ。

 

「さて、どうかな?」

 

 不敵な笑みを浮かべてセルは構えを取ると、俺たち二人を相手に真っ向から迎え撃ってきた。

 

 踏み込んだ俺の鼻先に右ストレートを放ってくるセル。

 

 頭の中に浮かんだ選択肢は、自分の右腕で拳を下から上にカチ上げて弾き、カウンターの左ストレートでのけぞらせた所を、右の上段回し蹴りで吹き飛ばすか。

 

 紙一重で拳の下に頭から滑り込んで懐に踏み込み、左右のショートストレートを連打でボディに叩きつけてラッシュに持って行くか。

 

 顔の前に左掌を置いて拳を掴み止めて自分の左側に引きながら相手の腕を取り一本背負い投げを打つか。

 

 取れるべき手は、いくらでもある。

 

 なら俺はーー!

 

 両手で目の前に迫るセルの右拳を掴む。

 

「これならーーどうだ!!」

 

 叫ぶと同時に右足で顎にサマーソルトキックの要領で蹴りを放った。

 

 腕を伸ばしきった上に、両手で捕まれて固定されているから、ヤツに蹴りを捌くことはできない。当たる!!

 

「甘い」

 

 セルは背を後ろに反らして避けるのでなく、首を左に倒して顎の位置を変えるだけでほとんど体勢を崩すことなく避けた。

 

 うそだろ!?

 

 目を見開く俺の頬に左の拳が打ち付けられ、地面に背中から叩きつけられる。

 

「ぐぁああ!!」

 

 やられた!!

 

 跳んだところをはたき落とされたヒキガエルのように仰向けに倒れる俺ーーだが。

 

 セルの両手はこれで、一瞬使えない。

 

 壱悟が、その隙を逃すわけがない。

 

 セルの懐に見事に踏み込み、左拳をボディに放つ壱悟。

 

 だが、セルは右拳を自分の脇腹の前に持ってくると裏拳気味に壱悟の左ボディを払った。

 

「ぐっ」 

 

 壱悟の腹に、セルの右拳が叩き込まれている。

 

 野郎、ボディブローを弾いた拳でそのまま、カウンターの右ボディを壱悟に叩き込みやがった。

 

 当然、壱悟の動きが止まる。そこをセルが見逃すはずがない。

 

 強烈な右の後ろ回転蹴りが槍のように突き出されて、ボディブローで動けない壱悟の腹を打ち貫いた。

 

「がぁ!?」

 

「壱悟!!」

 

 後方に一気に俺の横にふっ飛ばされる壱悟を見て、寝てる場合じゃないと立ち上がる。

 

 ゆっくりとこちらを気弾を指先に生み出して向くセルを見返す。シャレにならん。

 

 コイツ、やっぱりあの時は三味線弾いてやがった!!

 

「ーーほう? 私の力に驚いていないようだ。むしろーーこの程度は出来て当たり前、と思っていたか?」

 

 俺の表情から何かを読み取ったのか、セルは指先に溜めていた光を霧散させて構えを解き話しかけてきた。

 

「ああ。テメェは唯一、悟空が悟飯に託さなければ勝てなかった化け物だからな」

 

 孫悟空が実力で敵に負けていることは、よくある。

 

 ベジータ、フリーザ、セル、魔人ブウ。

 

 この4人は、悟空一人で勝てる相手じゃなかった。

 

 ベジータはクリリンに託した元気玉や悟飯の頑張り、ヤジロベーの援護。

 

 フリーザなら、超サイヤ人。

 

 魔人ブウなら、元気玉。

 

 だけどセルは、セルの時だけは悟空は闘いをーー倒す役割を悟飯に譲った。

 

 当時の悟空はどう足掻いても、セルには勝てなかった。

 

「私を倒せれば貴様は、孫悟空にある意味で勝つ事になるぞ? 真・超サイヤ人に変身すれば可能性はある」

 

「壱悟(相方)有りきでな。タイマンじゃ勝負にならないのは、今ので分かったぜ」

 

 紙一重で躱されたのは、こっちの動きや思考が全て読まれてる証拠だ。

 

 真・超サイヤ人に変身しても多分、勝てねえ。

 

 それが分かる程度には、俺も強くなったってことか。

 

 真・超サイヤ人に変身すればタイマンでも勝負にはなるだろうが、前みたいに時間切れで倒れて終いだ。

 

 壱悟と同時に変身して二人掛かりでも勝てない。

 

「フフ。やはり、ある程度は考える頭が無いとつまらん。こういうやり取りすら出来ないような輩では楽しむことも出来ん」

 

 そう言いながら、セルの気が一気に膨れ上がる。

 

 この力ーー野郎の目を見れば分かる。フルパワーで来る!!

 

「見せてやろう。このセルの恐ろしい真のパワーを、な」

 

 緑がかった金色の炎が、爆発的に吹き上がる。

 

 冷たい汗が頬と背中をつたっていく。

 

 思わず壱悟を見ると、冷静なポーカーフェイスでありながら彼も冷や汗をかいていた。

 

「さあ、紅朗。壱悟、真の超サイヤ人になるがいい。素晴らしい戦いを始めようではないか?」

 

「……!!」

 

「私は、もっと楽しみたいのだ。純粋な力と力の戦いをなーー! 貴様ら二人をねじ伏せた時、私は更なる強さを手に入れることができる。そう確信している」

 

 確かに真・超サイヤ人に変身すれば本気のセルとも勝負にはなるだろう。

 

 だけど、あの力は俺じゃ使い切れない。時間切れで倒れるのが関の山だって、結果は見えてんだ。

 

 どうすりゃいい?

 

 どうすればこの状況を打破できる?

 

 神次元にまで気を高められる超サイヤ人二人でも、なお届かない。映画『神と神』のウイスのセリフを鵜呑みにするなら、このセルの実力はビルスの6割を超えてるってことだ。

 

 この強さは、ねえだろ。

 

「迷っている暇があるのか? この私を前に」

 

 瞬間、目の前にセルが現れる。

 

 気付いた時には強烈な右拳が、腹に突き刺さっている。

 

「紅朗さま!!」

 

 う、動けねぇ。なんて、威力だ。

 

 シャレにならん。

 

「……か、は!」

 

 息が詰まり、動きが止まった俺の顎を長い脚で蹴り抜いてきた。

 

 真上から首根っこを引っこ抜かれたように、天高く吹っ飛ぶ俺。目の前に高速移動で現れるセルが両手を頭上で組むと俺の頭に振り下ろしてきた。

 

「ぐぁああああ!!」

 

 強烈な衝撃を受けて地面に真っ逆さまに落ちていく。両手と両足を叩きつけるように地面に振り下ろし、着地。

 

 目の前に俺を庇ってセルに構える壱悟の背がある。

 

 セルは、その向こうからダッシュして拳を叩きつけてくる。両腕をクロスさせて拳を止める壱悟。

 

「……!!」

 

 だが、地面に突き刺さった両足が溝を掘りながら後方へ下げられる。

 

 俺は咄嗟に壱悟の肩を右手で掴んで支点にして、跳び上がりながら右の上段回し蹴りをセルの顔に放つ。

 

 左手でアッサリと受け止めるセル。瞬間、俺は壱悟の肩から手を離す。同時、壱悟はしゃがみ込んで地面をすくい払うかのように超低空の下段回し蹴りを放ってセルの両脚を刈り取った。

 

「!!」

 

 地面に手を付けながら体勢を整えるセルが目を見開く中で俺が右から、壱悟は左からセルに向かって踏み込む。

 

 同時だ、同時に仕掛けなければ意味がない。

 

 わずかなズレも許されない。

 

 でないと、この化け物は対応してくる。感じろ、壱悟の思考と動きを。同時に合わせろ。

 

「!? 超サイヤ人のオーラが、リンクしている? 何をするつもりか知らんが、面白くなりそうだな」

 

 

 

 この時、紅朗には分かるはずもないが、セルから見れば一目瞭然。紅朗と壱悟、二人の超サイヤ人クローン悟空のオーラが、その波動が全く同じものに変化している。呼吸、動き、思考を共有していた。

 

(互いのオーラが、一つになるとはな)

 

 二人の纏うオーラが、それぞれのモノから一つに交わって強大なモノへと変わっていた。

 

 

 

ーーいける!

 

 壱悟が何をしたいのか、どう動いているのか、手に取る様に分かる。

 

 身体に任せろ、頭に次々と浮かぶイメージを。

 

 悟空の動きをトレースしろ。セルに勝つなら、久住史朗じゃダメだ。

 

 俺が右、壱悟が左の拳を同時に踏み込みながら全く同じタイミングで突き出す。

 

 セルが咄嗟に両手を俺たちの拳に合わせて掴み止めた。

 

 不安定な体勢でも簡単に止めるとは、だけど俺たちの連撃はまだ、終わってない。

 

 止められたと見るや俺と壱悟は反対の拳をそれぞれ握りながら、蹴りと肘、膝を駆使してセルに仕掛ける。

 

 強烈なラッシュをリズムに乗せて放つ。拳が、蹴りがより速く鋭くなり、俺の目は更に見えるようになる。

 

 頭が冴えてきた。

 

 アドレナリンが出て集中力が高まる。

 

 いける、やれる。このまま、行けーー!!

 

「ーーっ!?」

 

 更に踏み込んだ瞬間、俺と壱悟の顔は後方へ仰け反っていた。

 

 まず目の前に居るはずのセルと地面が、視界から消えて真っ青な青空が映る。

 

 頭が一瞬混乱し、首に違和感ーーねじ切れんばかりに仰け反っていることを確認。頰が熱いと感じ、痛烈な痛みが襲ってきた。

 

 俺の左サイドキックを右腕で捌いてから、そのまま右拳をノーモーションで放ってきていた。踏み込んだ分、カウンターで入り、骨の軋む感触と衝撃が顎と頰の間に生まれて、きな臭い匂いが鼻にかかる。

 

 同時に左側頭部に放たれた壱悟の飛び膝蹴りを左腕でガードして左脚を下から上に回し蹴りの軌道で振り上げ、腕と膝の間を縫って腹に突き刺して壱悟を吹き飛ばした。

 

 首を必死に戻すと、目の前にセルが踏み込んでいる。

 

「ーーのやろう!!」

 

 左拳を握って咄嗟に繰り出すも、目の前でセルは身を翻して紙一重で拳を避け、痛烈な右拳をボディに突き上げてきた。

 

 息を吐き、動きが止まった俺の顔にフック気味の左ストレートを叩きつけて身体を脇に泳がせ、右の後ろ回し蹴りで更に顔を蹴り抜く。

 

 たまらずに俺は顔から地面に叩きつけられた。

 

 コンビネーションは完璧だった。それを簡単に見切ってくるのかよ、この野郎。

 

 口に広がる生暖かい鉄の味、うつ伏せに倒れた状態で両手を地面につけて宙返りしながら跳び上がる。

 

 無理矢理地面に両の靴底を叩きつけて立ちながら、俺は口にあふれていた血を吐き捨てた。

 

 セルがニヤリと笑いながら俺と奴の背後で立ち上がってきた壱悟を見る。

 

「フフフ、僅か半日足らずで別人のような動きと判断力だ。継ぎ接ぎだらけだった能力がーー意思と肉体が一致してきている。可能性の塊のような奴らだ」

 

 楽しそうに言いながら、続けてきた。

 

「だがーーそれでも真・超サイヤ人抜きで、本気になった私の相手が出来ると思っているのか? だとしたら、安く見られたものだな」

 

 黒い瞳孔が現れた薄紅色の瞳が冷たく光ってる。

 

「ーー言いたいこたぁ、分かるが。使いこなせない力を出しても意味ねえだろうが」

 

「貴様の言い分も理解できるのだがな、かつてのトランクスのように白けるようなパワーアップなら。だが、私としては貴様らの真・超サイヤ人は非常に面白い。どれだけ突き放しても一気に追いついてくる。敵に回せばこれ程スリリングな者も無いだろう?」

 

「この野郎、負ける気はしねえってのか?」

 

「当然だ。仮に貴様らが真・超サイヤ人を使いこなせていても、私は負ける気はしない」

 

「大した自信じゃねーの。その自信がテメェを負けさせたのも忘れたかよ?」

 

「孫悟飯のことか? ヤツは今、素晴らしい強さだぞ。この私が全力で挑んでなお、勝てるか分からん程に、な」

 

「ーーえ?」

 

 思わず目を見開いて聞き直しちまった。

 

 コイツ、なんて楽しそうに笑ってやがる。あの残忍で冷酷なセルが、なんて楽しそうに笑ってんだ。

 

 プライドの高いセルが。

 

 悟飯に負けてから復活パワーアップしてから手段を選ばずに勝とうとしていたあのセルが。

 

「セル、テメェ。なんて楽しそうに笑ってやがる。悟飯や悟空を恨んでるんだろ?」

 

 だから、思わず聞いてしまった。

 

 俺がカスだと見下していたヤツが、カスが浮かべるはずのない笑みをしたからだ。

 

 するとセルはニヤリと残忍で冷酷な笑みに変わって頷いてきた。

 

「当たり前だ。最強であった私を超える存在など、私は許さん」

 

 その笑い方は、俺の知る悪魔の笑みだ。

 

 他人を傷付けて、怯えてる人間の顔見て優越感に浸る最低最悪のゲス。

 

 俺と同じカスやろうの、はずだ。

 

 自分より弱い野郎をブチのめして、自分は強いとうそぶくクソのはずだ。

 

「ーーだが。それ以上に、かつて私を負かした孫悟飯が弱いなど許せん。強くなければ困る。今の孫悟飯は、正に私が倒すに相応しい男。本物の戦士だ!!」

 

 冷酷なセルの瞳は、熱く燃えている。信じられない。

 

 コイツ、俺と同じカスやろうのはずのコイツが悟空達と同じ目をしてやがる。

 

 強いヤツの目を。

 

「そして、真・超サイヤ人になった貴様や壱悟も私が倒すに相応しい」

 

 俺は、俺は節穴だったのか?

 

 こんなヤツなのか、セルは?

 

 地球ごと破壊しようとしたり、世界を滅ぼすことなんか何とも思ってないようなヤツだ。

 

 それは間違いない。

 

 だけどコイツーー本気で強いヤツと闘い勝つつもりだ。

 

 逃げようなんて思ってない、今のコイツは真っ向から勝負して悟飯や悟空に勝つつもりだ。

 

 いや、惑わされんな。

 

 仮にセルが正々堂々とした強さを持っていても、この野郎は平然と人を殺す下衆だ。

 

 自分の楽しみの為に、他人を傷付けるクソだ。

 

 そんな野郎に敬意なんているものか、そんな野郎に好意なんぞ抱くものか。

 

 必要なのは、敵意だ。殺意だ。

 

 俺は静かに左腕の変身ベルトを見る、クローン道着に着替えるか。

 

 悟空から貰った山吹色の道着だと、正々堂々とした勝負を望むセルに好意じみた感情を抱いちまう。

 

 コイツは倒すべき敵、それ以上でも以下でもない。

 

 ディスプレイの脇にあるボタンを押そうとする俺の手をいつの間にか目の前に来ていた壱悟が掴んで止めた。

 

「ーー紅朗さま。申し訳ありませんが、それは最後まで取っていただきたい」

 

「壱悟ーー。だけどよ」

 

 情けねえ話だが、このままやり合ったら負ける。

 

 認めちまってる。俺は、セルを。

 

「紅朗さま。敵を認めて何が悪いのですか?」

 

「ーーえ?」

 

 壱悟の真っ直ぐな視線と問いかけに、俺は何も言い返せなかった。

 

 答えられない俺に壱悟は冷徹な顔を穏やかに緩めて言ってきた。

 

「ーー紅朗さま。お下がりください」

 

 そう言ったヤツの翡翠の瞳に黒い瞳孔が浮き上がる。瞬間的に気が爆発し、黄金に髪が燃えて同じ色の炎のように激しいオーラを纏う。

 

 冷徹な視線だが、その奥には燃え滾る魂みたいなのを感じる。壱悟は、真の超サイヤ人になった。

 

「セル。俺がお前の相手だ」

 

 真に変身した悟空そっくりの雰囲気と声、気迫。

 

 これにセルは満足そうに笑うと俺をチラリと見てから壱悟に構えた。

 

「火付けの悪い主人を持つと苦労するようだな?」

 

「ーー無駄口を叩くな。行くぞ!!」

 

「フーー、いいだろう」

 

 瞬間、二人の戦士の纏う気が爆発し、壱悟とセルは真っ向からぶつかった。

 

ーーーー

 

 2人の男が向き合う。

 

 片方は2メートルを越える山吹色の道着の上と白いシャノワール風のズボンを履いた端正な顔立ちの桃色の魔人。

 

 もう片方は中背の無駄のない引き締まった肉体にピンクゴールドの逆立った髪に灰色の瞳をした男。

 

 究極の魔人(アルティメット)ブウと超サイヤ人ロゼのゴクウブラックである。

 

 両者はよく似た薄紅色の炎のようなオーラを身に纏っていた。

 

「…なるほど。大界王神達を取り込んだ影響か、はたまたサイヤ人を吸収したが故か。神の魂を持つゴッドのパワーを超えたサイヤ人の力を引き出せるようだな」

 

「ふ。偶然とは恐ろしいものだと、私も感じているよ。この神の気と力を使いこなし、貴様を葬ってやろう」

 

「良いだろう。私の前菜にしては、中々悪くない力だ」

 

 互いに構えを取りながらにじり寄る。

 

 両手を顔の左右の位置に置いて拳を目線の高さに、脇を広げてボディブローを誘うかのようなブウの構え。

 

 中腰に構えて左手を顔の横に置いて前に出し、右拳を握って腰に置くブラック。

 

 先程まで酷薄な笑みを浮かべていた両者の口許は引き締まり、ジッと睨み合ったまま、ブラックがゆっくりとブウの目の前に足を踏み入れた瞬間。

 

 槍のようなブウの左ストレートが放たれた。

 

 鈍く空を切る轟音と共に、ブラックは首を横に倒して紙一重で見切りながら懐に踏み込む。

 

 目の前にブウの右アッパーが迫るも、これも左に身を滑らせながらヘッドスリップして躱す。

 

 同時にガラ空きの脇腹に左膝を放つブラック。

 

 鈍い音と共にブラックの膝蹴りを自分の右膝を上げて止めるブウ。

 

 接近戦となった両者は、拳を握って互いに襲いかかる。

 

「ーーす、凄い。あんな至近距離で、どちらも一発も貰わないなんてーー!」

 

 白い髪をした青い眼の21号が、思わず呟くと。彼女の腕に抱かれた16号が冷静な声をあげる。

 

「凄まじい打撃技の応酬だが、両者共にそれを防ぎ切る見事な防御技術だ。コレは長くなりそうだな」

 

 16号の指摘どおり、その場で足を止めて打撃技をぶつけ合うブラックとブウであるが、一撃も貰わない。

 

 互いに拳を掴み止め、技を技で相殺している。

 

「ーーなるほど。未来世界の頃から更に腕を上げたか、ゴクウブラック」

 

「神たる俺の技に、いつまで食らいつけるか。楽しみだ」

 

 ニヤリと笑いながら、神と魔人は拳をぶつけ合った。

 




次回も、お楽しみに(´ー`* ))))
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