ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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お待ちだった奇特な方々、お待たせしました!(´ー`* ))))


楽しんでください〜(´ー`* ))))



第28話 悟空、俺が間違ってるのか?

 

 

 黒に近い灰色の道着に赤いインナーと帯を締めた死人のような肌色の男ーークローン悟空の肉体を持つ転生者、折戸修二は笑っていた。

 

 こうも自分の思い通りに事が運ぶとは、楽しくてたまらなかった。

 

「それもこれも、久住さん。あんたのおかげだよ。最初はあんたが現れたから、計画を速める必要があると嘆いたもんだがーー」

 

「ーーマスター?」

 

 透き通るような声に折戸は超サイヤ人孫悟空の顔を歪めて振り返る。

 

「本当に良い声だ。お前を生み出して正解だよ。その美貌も美声も、全て俺のためにある。なぁ、シャノア?」

 

 血のように赤い瞳を狂おしい程に輝かせ、折戸修二はシャノアと名付けた白衣の美女ーー人造人間21号のクローンを見つめていた。

 

 そんな二人をニコリと微笑みながら見つめるのは、銀髪をポニーテールにした丸渕眼鏡の青年。

 

 彼の隣には3メートルを越える黒い長髪に赤い瞳、下顎を覆う鉄製のマスクをした筋肉質の巨漢が立っている。

 

「いやぁ、折戸くんの期待に応えられてよかったよ」

 

 ニコニコ笑う青年ーーフューに向かって折戸も笑みを返す。

 

「ほんと、持つべきものは友達だよな」

 

「そう言ってくれると、有難いなぁ」

 

 折戸は麻袋のザックを片手に、旅支度を整えたらしい。シャノアと呼ぶクローン21号に向け、彼は告げる。

 

「じゃ、行こうか。シャノア?」

 

「はい。マスター」

 

 シャノアの返事に気を良くした彼は、胸元から赤紫色の結晶を取り出した。

 

 禍々しい光を放つ結晶体は、覗き込めば世界が広がっている。

 

 それは様々な歴史の流れが織り成す数多の世界(ゼノバース)の中で、歴史の流れから外れてしまった何処にも繋がらない空間。

 

 時を司る界王神や彼女が管理するタイムパトローラー達から言わせれば、パラレルクエストと呼ばれる実体化した偽りの世界。

 

 どのように歴史改変しようとも、その世界は一定の時間が経過すれば改変前に戻ってしまう。

 

 だが、だからこそ好き放題できる。タイムマシンやフューの次元刀も使う必要はない。

 

 彼の見つめる結晶体の中には、パオズ山が映っている。

 

 桃色のコンパクトなエアカーを操作するのは、可憐な青い髪をおさげに結った美少女だった。

 

 折戸は彼女を見つめて微笑むと、結晶体にエネルギーを注ぎ込む。禍々しい光が結晶体から溢れて、靄のような球体に変わる。

 

「さて、ハーレムライフの始まり始まり〜」

 

 折戸は楽しそうに笑いながら、シャノアを引き連れて光の中に入っていった。

 

 それを笑顔で見送るフューの後ろで、赤いシャツに紺色の道着のズボンを履いた赤い瞳の巨漢サイヤ人が述べてきた。

 

「……気に入らん。何故、あんな下郎に力を貸す?」

 

 低く唸るような声にフューはニコリと笑って返す。

 

「彼は実験の協力者だからね。僕にも思いつかないアイディアをたくさん出してくれるし、それを実行するに必要な歴史を教えてくれる。何より君の悪の気や母さんの強化魔術を食らっても理性が飛ばない。凄い意思の強さだ。アレ程の能力を誇る彼ならきっと、ハーレムなんて簡単に達成できるだろう」

 

 嬉しげに続けるフューは、モニターに目を移す。

 

 そこにはセルと対峙する二人のクローン悟空。紅朗と壱悟が映し出されていた。

 

 メガネの奥の金色の瞳は、何かを雄弁に語っている。

 

「何よりーー僕には初めての友達、だからね」

 

「………くだらん」

 

 切り捨てられたサイヤ人の言葉にフューはニコリと笑みを返した。

 

ーーーー

 

 強烈なパワーとパワーがぶつかり合ってる。

 

 俺の目の前で、真の超サイヤ人を引き出した壱悟とフルパワーのパーフェクトセルが脚を大地に踏みしめて拳と蹴りを次々と交換している。

 

「す、凄い。コレが波動を超えた力ーー!」

 

「…素晴らしい攻撃だ。信じられない程に力を上げたあのセルを相手に全くひけをとらない」

 

「…ええ。全くの互角」

 

 21号と16号の言うとおりだ。

 

 壱悟もセルも交互に顔を仰け反らせながら、強烈な拳と蹴りをぶつけ合っている。

 

 互角ーー、俺にもそう見えていた。

 

 だがーー!

 

「どうした、壱悟。真の超サイヤ人は、こんなものではないぞ。もっと力を引き出してみろ!!」

 

「ーーっ!?」

 

 一瞬、だった。

 

 一瞬で、セルが気を爆発させて一気に戦闘力を激増させたんだ。

 

 強烈な右拳が腹に突き刺さり、目を見開く壱悟を冷徹なセルの瞳が見据えてる。

 

「フルパワーで来い。体力や精神力など気にして、私に勝てると思うのか?」

 

 セルは、くるりと回転して右後ろ回し蹴りを槍のように突き出す。

 

 壱悟の顎を蹴り抜き、後方へ吹き飛ばした。

 

 壱悟は仰向けに吹き飛びながら地面が背に迫ると膝を曲げて両手で抱えて体を丸めるとクルクルと宙返りを連続して行い、体勢を整えて左脚を伸ばし着地する。

 

「来い、壱悟。私の本気のパワーに追い付いてみろ!!」

 

 拳を握り構えを取るセルに壱悟は自分の右手を静かに見下ろし、握り締める。瞬間、黄金の炎が爆発して壱悟の纏うオーラが今のセルと同レベルにまで引き上げられる。

 

「パワーレベルが、一気に上がった。真・超サイヤ人とは限界がないのか?」

 

「す、凄い力。でも、どうして?」

 

 21号が俺を見てくる。言いたいことは、分かる。

 

 あの力を使って二人がかりなら、セルに勝てるかもしれないと思うのは当たり前だ。

 

 分かってるよ、俺にだって。

 

 だけど、今のまま挑んだら勝てない。セルを殴り倒したいと本気で思わなくちゃいけないんだ。勝敗にこだわらないで闘える相手なら今の気持ちのままで良い。

 

 セルは、そんな生易しい相手じゃない。

 

 負けたら、死ぬ。運良く、生き残れても、誰かが死ぬ可能性が高い。

 

 ゴメンなんだよ、あんな思いは。

 

 自分の力が足りないせいで、誰かが不幸になったり死ぬなんて冗談じゃねぇ。

 

 久住史朗なら諦めもつくが、今の俺は孫悟空のクローンで、孫悟空から信頼と名前を貰ってる。

 

 俺(紅朗)ならやれるって、悟空に言われてんだよ。

 

 迂闊に挑んで負ける訳に行くか。どんな手を使っても勝たなきゃいけないんだ。

 

 負けたら、終わりなんだよ。

 

 震えてるのは、恐怖か絶望か。

 

 なんでだよ。なんでセルが、こんなに強いんだよ。真っ向勝負で、ここまで強いんだよ。

 

 卑怯な手を使ってでも勝ちに拘る野郎が、なんで自分から互角の勝負にする?

 

 同じ土俵の上で闘おうとしてんだよ。

 

 お前は、そんなフェアな奴じゃなかっただろうが。フェアなフリをして、追い込まれたらアッサリとルールを変える野郎だったじゃないか。

 

 なんでだ。なんで、壱悟と真っ向から殴り合ってる。

 

 なんで、わざわざ壱悟に本気を見せた?

 

 なんで、全力で闘いを楽しんでるんだよ。

 

 ふざけんなよ。テメェは、そんな強い奴じゃないだろうが。

 

 テメェは、もっとカスだったろうが。

 

 ちくしょう、ちくしょう。

 

 見れば見るほどに俺より強いんだよ、セルは。

 

 逃げないんだよ、あの野郎。どんだけ血を吐いても、どんだけ強烈な拳や蹴りを受けても、笑ってやがる。

 

 気を見れば分かる、効いてる。悟空の時のように余裕なんか無い。それぐらい自分を追い込んでる。

 

 勝ちに拘ってるくせに、なんでだよ。本気を出さずに、見せずに力を使い切るまで待ってれば確実に壱悟に勝てたろうに。

 

 そんぐらい差があったのに!!

 

 なんでだ、セル!!

 

 なんで、心から楽しそうに笑って打ち合ってんだよ!?

 

「ち、くしょう。ふざけんな」

 

「? 紅朗さん?」

 

 21号が訝しげに俺を見てくるが、知ったこっちゃない。

 

「ふざけんなよ、セル!! テメェが! 自爆で悟空を殺して、容赦なく悟飯を傷付けたテメェが!! 勝てる勝負でしか笑わなかったテメェが、なんで笑ってやがる!?」

 

 そんな笑みを見たことがない。

 

 そんな純粋な顔を見たことがない。

 

 当たり前だ、セルは悪党だ。自分の楽しみのためなら、地球だって簡単に破壊する。

 

 自分の勝利のためなら、なんだってやる奴だろうが!!

 

「ーー紅朗さま」

 

「!? 壱悟」

 

 壮絶な打ち合いをしている壱悟が冷たくも燃える瞳孔が現れた翡翠の瞳で俺を見てる。

 

 悟空そっくりの声と瞳、表情で。

 

「この男は、本当に強い。それから目を背けずに認めることは恥でも罪でもない」

 

「ーーーー!!」

 

 真っ直ぐな瞳と冷徹な口調でありながら燃える熱い言葉に俺は震えている。

 

「貴方の中で恥と思う貴方の過去。俺には、恥とは思えない」

 

 強烈な拳を打ち合わせて距離を取り、壱悟は俺に顔を向けて来た。何故か、セルも何も言わず、手を出さずに俺と壱悟を見つめている。

 

「何が、悪いのですか? 目の前で苦しんでる子どもを助けて?」

 

 その、言葉は一番聞きたくない言葉だ。

 

 悟空そっくりの、今の壱悟(お前)からは絶対に聞きたくない言葉だった。

 

 場を弁えないで俺は、声を出した。

 

「……助ける? 俺みたいなカスが、助けるなんて無理なんだよ」

 

「助けてこられたでは、ありませんか。理不尽な暴力で苦しめられていた色んな弱い人を」

 

 流れてくるのは、ガキの頃に殴り倒したカスの群れ。

 

 それだけだ、その前の映像なんか興味はない。

 

 気に入らねえヤツが目の前でたむろしていて、殴り倒しただけだ。それだけだ!!

 

「貴方に感謝する方もおられた。貴方を褒める方、貴方を認めてくださる方、そんな方々から貴方は意識して離れようとされた」

 

 や、めろ。やめてくれ、壱悟ーー!!

 

 俺はカスなんだ。カスでいいんだ。

 

 俺を認めるな、認めないでくれ。

 

 アイツが死んだんだ、助けられなかったんだ。

 

 阿保みたいに浮かれてた俺には、アイツの声が聞こえて来なかったんだよ。

 

「紅朗さま。何故、助けた後もその方を守らねばならないのですか?」

 

「死んだからだ!! 俺がいい気になってたから、バカだったから! カスに食い物にされてたアイツが!!」

 

「紅朗さま、それは無理です」

 

 淡々と言われた言葉に、思わず苦笑と共に声を上げる。

 

「だろうなぁ、俺は孫悟空じゃない。ヒーローじゃないからな」

 

 自嘲する俺を壱悟は静かに見てくる。

 

 俺の憧れの人そっくりの顔で、瞳で、声で。

 

「紅朗さま。孫悟空でも救えない事があることは、紅朗さまが一番知ってるはずです」

 

「ーーっ!!!」

 

「孫悟空は、確かに貴方の英雄です。ですが、貴方は彼の何に救われたのですか? 彼は貴方にとっては漫画の世界にしか居なかった。けれど、いじめられていた貴方を変えてくれたと貴方は思っている」

 

 悟空の何ってーー。

 

 そんなもん、決まってらぁ。どんなにヤバくても、何とかしちまう。

 

 どんだけ不幸な目にあわされても「ま、いっか」で済ませちまう。欲が無くて、真っ直ぐで。ちゃんと本質を理解して笑ってる。

 

 前向きで、優しくて、そんな姿にへこたれてちゃいけないって思わされてーー!

 

「紅朗さま、孫悟空は貴方に希望を与えた。けれど、孫悟空は貴方には何もしていない。この世界に貴方が来るまで孫悟空は貴方を知らない」

 

「ーーーーっ!」

 

 なんも、言えねぇ。

 

 壱悟、テメェはーー。

 

「貴方が彼の死を背負うのは、貴方の自由です。けれど、それを言い訳にしてはいけない」

 

 なんも、言えねぇ。言い返せねぇ。

 

「そして何より、卑屈な態度で居れば良いなどとは甘えでしかない。貴方は、そんなに弱い男ではないでしょう?」

 

「テメェに、俺のーー!!」

 

「見て来ましたから、貴方の過去を現在(いま)を。貴方の中で。だから貴方に言える。孫悟空さまが、貴方に託されたこと。ブラックや、このセルが貴方を強者と認めてること。俺は、何一つ疑問に思わない!!」

 

 咄嗟に出た声すら、アッサリと砕かれる。

 

 半端な覚悟じゃない。強い意志のこもった声に、なんも言えない。言い返せない。

 

 分かってるんだろう。俺の中で、どうしようもなく壱悟が正しいって。

 

 だけど、今の俺にはコイツと向き合う覚悟がない。ないんだよ。

 

「ならば今、貴方の胸の中で渦巻く熱いものに従えば良い。それこそが孫悟空さまが認められた貴方にしかない強さなのだから」

 

 逃してくれない。

 

 壱悟は、俺が立ち上がるまで逃がす気はない。

 

 最悪だ、こんなの。心の内側を全て覗かれた上で、こっちの反論を全て封じられちまう。

 

 嘘も誤魔化しも、壱悟にだけは効かない。

 

 全部、バレちまう。

 

 自分で自分を騙していた心さえ、気づかないフリをして逃げていた俺の全てをあばかれちまう。

 

「ーーーーっ!」

 

 俯いて、目を外すしか俺には出来ない。出来なかった。

 

 情けねえが、このまま行くと今立ってる両脚が膝から崩れ落ちそうだった。

 

 俺をジッと見る壱悟の視線を感じるが、しばらくして。

 

「ーーセル。もういい」

 

「そうか、気は済んだか?」

 

 こちらを小馬鹿にしたようなセルの笑みに俺は何も返せなかった。対して壱悟は淡々と構え直す。

 

「ああーー。充分だ」

 

 セルが壱悟の言葉に笑みを消し、構える。

 

 互いに真剣な表情で腰を落とすと、相手に向かって拳と蹴りをぶつけ合う。

 

 再び、壮絶な打ち合いが始まった。

 

ーーーー

 

 一方、ゴクウブラックとアルティメットブウは、脚を止めて拳や蹴りをぶつけ合う壱悟とセルとは対照的に一撃も未だ貰わないハイスピードバトルを繰り広げていた。

 

 空を地を、所狭しと駆け回り、二筋の薄紅色の線を幾重にも引いていく。

 

 大地が起こり、雲が揺れ、光の波紋がそこかしこに発生するも互いの拳は相手を捉え切ること未だかなわず。

 

「壱悟とセルと同じく、ブラックとブウの実力も拮抗しているようだ」

 

「対照的ね。脚を止めて拳と蹴りをぶつけ合い、真っ向から勝負している壱悟さんとセルと違って。ブラックさんとブウは互いにハイスピードで相手を撹乱し、隙を突いて拳や蹴りを繰り出してる」

 

「ーーだが。打ち込まれた攻撃は即座に予測・対応し、互いに相手の攻め手を防ぎ切っている」

 

 拮抗している。

 

 壱悟とセルのような燃え滾るようなものでなく、氷のように張り詰めた緊張した空気をブラックとブウは生み出している。

 

 高速移動を終えて、同時に着地して止まる二人。

 

 対峙する片方ーー背の高い桃色の魔人がニヤリと笑って超サイヤ人ロゼとなったブラックに語りかけた。

 

「どうした? 私の後ろの奴らが気になるのか?」

 

 ブウの後ろには激戦を繰り広げる真・超サイヤ人の壱悟とフルパワーのセル、そして複雑な表情で彼らの闘いを見ている紅朗が居た。

 

 ブラックは灰色の瞳を紅朗の横顔に向けた後、ブウに視線を固定し構える。

 

「ーー気にする価値もない。結果の見えた闘いだ」

 

「フン。その割には、闘いながら奴等を観察していたように思うが?」

 

 ブウはニヤリと笑いながら、鋭く目を細める。

 

「気付かれないと思ったか? お前は先程から、紅朗と壱悟の動きを気にしている」

 

「ーーそうだな。勝敗は見えているが、約1名が不甲斐ないザマなので後ろから斬りつけてやろうか悩んでいたところだ」

 

 ニヤリと冷酷な笑みを浮かべるブラックにブウが片目を見開いて笑う。

 

「ク、ハハハハハ。面白い男だな、ザマス。いや、ゴクウブラックだったな」

 

「…フン、魔人風情が立場を知れ。神たる我が名を呼びすてる無礼ーー万死に値するぞ?」

 

「あいも変わらず、傲慢な神様だなぁ? 器が知れるぞ、ゴクウブラック」

 

 挑発的な笑みを浮かべるブウに対し、ブラックの反応はブウにとって意外なものだった。

 

「…フ、貴様が言うな」

 

 神以外を毛嫌いする傲慢と自己陶酔の塊と言えるゴクウブラックが、見下した笑みを返すでなく。

 

 怒りに表情を歪めるでなく。静かにして穏やかな笑みを返して来たのだ。

 

 その笑みを見て、魔人ブウの表情も変わる。

 

 小馬鹿にした笑いを引っ込めて真剣な表情でブラックを見据えて来た。

 

 これにブラックも表情を引き締めて構える。

 

「ーーなるほど。私が知っていたゴクウブラックとは違う。変わったな、ブラック」

 

「フン。変わらざるを得なかったーーそれだけのことだ」

 

「……そうか。少しだけ、同情しよう。その変化は、お前にとって屈辱だったろうからな」

 

 訳知り顔で告げてくるブウにブラックは無表情のまま、静かに構える。

 

「ーーそうだな。かつての俺ならば、そう言ったであろうなぁ」

 

「受け入れていると言うのか? その変化を」

 

 真っ直ぐに問いかけてくる魔人に、かつての神は淡々と答えた。

 

「非力な人間の子どもに負けを認めさせられたのだ。どれだけの阿保でも、こうなるさ」

 

「ーー子ども、か。確かに、アレは侮れん」

 

 笑う魔人ブウの脳裏には、かつて気紛れにミルクを与えた少年がよぎっていた。

 

 誰もが恐怖して怯えていた自分を、まったく恐れずに感謝すらして来た幼い存在。

 

「だが、私は人間の子ども如きに惑わされはせんが、な」

 

「フン、惑わされたのか、壊されたのか。どちらでも構わん。どのみち、お前は俺の前に立ったのだ。ならばお前に残された道は、死だけだ」

 

 ブラックの纏うオーラが更に強く噴き上がる。

 

 同時、ブウの薄紅の炎も呼応するように燃え盛る。

 

「お前に私が倒せるかな?ブラック!!」

 

「何故、神である俺が魔人のお前を倒せないと思うのか。理解に苦しむ」

 

「…言ってくれたな、神めが!!」

 

「来い、魔人よ。神との差をーーいや、この俺との差を思い知らせてやろう!!」

 

 瞬間だった。

 

 それまで高速移動で絶えず、その場から消えて世界を駆け巡りながら戦っていたブラックとブウが、互いに向かって真っ向からぶつかり合ったのだ。

 

 凄まじい衝撃波と光の波紋が生まれ、世界を押し広げていく。

 

 真っ向勝負ーー、壱悟とセルと同じく。ブラックとブウもまた、互いに拳と蹴りを交換するようにぶつけ合う。

 

 その激しさは壱悟達に勝るとも劣らない。

 

「強烈な打ち合いに持ち込んだが、どちらも同レベルだ」

 

「高速移動の隙の突き合いも凄かったのに、打ち合いになってもまったくの互角なんてーー」

 

 あまりにも高いレベルの闘争に、16号も21号も目を見開く事しかできない。

 

 その向こうでーー。

 

「壱悟ぉおおおおっ!!?」

 

 悲痛な雄叫びを上げる紅朗の声に振り返れば、互いの右ストレートが顔を射抜き、同時に後方へ仰け反った後。

 

 首を元の位置に戻して構えるセルと。

 

 黄金の炎のようなオーラが飛び散って搔き消え、燻んだ金髪に赤目、死人のような肌の色に戻った壱悟が。

 

 前のめりに倒れていくところだったーー。

 

 





次回も、お楽しみに〜(´ー`* ))))
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