ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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今回の話で、紅朗は一つの決意をします。

お楽しみください




第7話 悟空、俺のワガママを聞いてくれ

 転生者クリリンと転生者ヤムチャが、俺たちから離れた位置で転生者天津飯が茫然とした表情で「悟」のマークを逞しい背中につけた山吹色の道着を見ている。

 

 自分達は確実に死ぬような状況から救われたのだ。

 

 クズだと、ガイジだとバカにしていたーー孫悟空という男に。

 

「どういう、ことだ?波動による影響を何故受けていない?悟空の野郎、俺たちと同じ完成された中和装置を持っているのか?」

 

「いや、それならば俺らのように装置の範囲内にいる者は全て力を引き出せるはず。本物のクリリン達が意識を取り戻していないから、装置自体は完成されてないぞ。この装置は範囲内にある特殊キーを肉体に施されたクローン体の力を波動の上限を超えて最大迄引き出せるものーー。生身のはずの悟空には効かないはずだ…!」

 

 転生者フリーザとセルが、悟空を見つめながら頭をひねってる。波動を無効化させるために己の身体に眠る波動を活性化させているーーとは、説明されなきゃ分かるまい。

 

 原作知識がある俺でも、知らないんだから。

 

 狼狽えているフリーザ達に軽く溜息をつくと、俺は口を開いた。

 

「…折戸の野郎と同じ、あの施設に集められていた転生者だな?」

 

 俺の言葉に転生者フリーザが忌々しそうに悟空を見た後、俺を観察するように紅い瞳で見つめてくる。

 

「…折戸以外に悟空タイプのクローン体を持つヤツが居たとは知らなかったな。そうか、アンタが折戸にハメられたお人好しか。孫悟空の強さも意味わかんねーが、アンタも波動中和装置を持っていないのに、波動の影響を受けてないのか?」

 

 思わず俺は問いかけた。

 

「中和装置なんて無くても、クローンの身体なら自由に動けるんじゃなかったのか」

 

 事実、俺は折戸とも普通に超人的な動きで闘えたし、クローン悟空やトランクスとも戦った。

 

 中和装置なんて俺は貰ってない。

 

「…確かにクローンの身体には波動の影響下でも自由には動ける。だが全力というわけには行かないんだよ。という事は、お前は波動の影響下にあるクローン程度の力しか無いわけか」

 

「…! なんだって?」

 

「折戸のヤツは中和装置をもらったから超サイヤ人3に変身できるようになっていたが、アンタはできるのか?」

 

 超サイヤ人3だって?この身体は、本来なら超サイヤ人3まで力を引き出せるって言うのか?

 

 衝撃を受けている俺に転生者フリーザは軽薄な笑みを浮かべて来た。

 

「その様子だと知らないみたいだな。たかが超サイヤ人3程度の力で驚いてるようじゃ、神の力を引き出すなんて無理なんじゃね?」

 

「折戸のヤツは超サイヤ人ブルーになれなくて失望していたからなぁ」

 

 超サイヤ人ゴッド超サイヤ人ーーだっけか?

 

 よく分かんねぇが、悟空が赤だったり青だったりするアレの事だろう。フリーザが金色になるーーたぶん。

 

「悪いが、俺は漫画は原作。アニメはGTまでの中年なもんで。超サイヤ人3と言えば尻尾のないサイヤ人の最強の形態って印象なんだがな」

 

「ふぅん? 大分古いね。ジャコの設定も知らなさそうだ」

 

「………ジャコ?」

 

 なんだそりゃ?この俺が、原作に出て来たキャラを分からないって言うのか?最近のガキは俺よりもドラゴンボールに詳しいと!?

 

 悟空のカッコ良さを知らない連中に、俺がドラゴンボールの知識で負けているって言うのか!!?

 

 すげぇイラついてきた。前にブルマに言われたが、漫画だからってバカにしてないでちゃんと読んどけばよかったと今、痛感している。

 

「俺は古井三治(ふるい さんじ)。15歳、高1」

 

「俺は瀬留間信五(せるま しんご)。17歳、高2」

 

 転生者フリーザが古井、転生者セルが瀬留間だってーー!どんなトンチだ?シャレか?

 

「俺は…久住史朗(くすみ しろう)。35歳、会社員。この肉体には俺の名前は合わないから紅朗(クロウ)って悟空に呼んでもらってる」

 

 俺の名乗りに古井が笑っている。

 

「へぇ? ホントに転生オリ主みたいな状況だな」 

 

「ああ、二度目の人生はーーとか。中身はおっさんだけどーーってヤツか。きっしょww」 

 

 瀬留間も頷いているが、正直なんのこったかサッパリ分からん。

 

 ヤムチャへ高校生が転生する話なら読んだことがあるがーー。

 

 ドラゴンボールにそんな話があんのかよ。くっそ、俺も全ての二次創作を読んできたわけじゃないから、知識量で負けてるのはムカつく、いやそもそも。二次創作なんて公式に取り込まれることなんかないって甘く見ていた俺がまずいのか?

 

 事実は小説より奇なりーーってヤツかもしれん。

 

「…そんで、オメエ達。まだこんなバカな真似を続けんか?」

 

 悟空の問いかけに古井と瀬留間は互いの顔を見合わせた後、肩を竦めた。

 

「いや、止めとくよ。少なくとも、このイベント戦闘で悟空を倒すのは無理みたいだし」

 

「つまんねぇな。ま、そのうちイベント補正がなくなって倒せるようになんだろうけど」

 

 アトラクションとして、この世界を見ている連中だ。転生者の仲間を殺そうとしたのも、殺意なんぞなく純粋に目的達成の邪魔だったからってことか。本物のフリーザよりヤバそうだな。

 

「ゲームだのイベントだの、どいつもこいつも! マジで痛い目見ないと分かんねえよな、テメェらみたいなクソガキどもは!!」

 

 俺の感情に合わせるように、全身を金色のオーラが包む。

 

 悟空が止めてなきゃ、今すぐにでも殴っていただろう。

 

「社会人のくせにさぁ? そんなにポンポンと人を殴るんすか? アンタもゲームだから、他人を殴ってんじゃねぇの?」

 

「そうそ。僕ら未成年だしぃ。現実で殴ったら、アンタの方がヤバいんじゃないかなぁww」

 

 ニヤニヤとする二人組に俺も笑みを浮かべてやった。

 

「テメェら。初対面の歳上に現実で、そんな舐めた口利いてんのか? 随分と情けない大人を相手にしてきたんだなぁ。現実であってたら、マジで殴ってるぞ」

 

 それでトラブルになって仕事を辞めたこと、何度あったことか。2回転職して今のブラック企業に勤めてるのも、自分の短気な性格だって自覚はしてんだよ。

 

 ただね、言い訳をさせてもらうならーーだよ。

 

 警察に任せればいいとか。子どもなんか相手にしちゃいけないって、簡単に言う奴居るけどさ。じゃお前ら、言葉が通じない犬や猫のしつけは、どうやって教えてる訳ってなるのよ。

 

 他人の迷惑や気持ちを分かんねぇヤツに、いくら言葉で伝えても分かりやしない。最近じゃ、殴っても気持ちが分かんねぇガキも増えて来たけどな。

 

 自分が悪いことをしたって気持ちが一切ない。自分は真面目にやってるのに、何故そんなことを言われなきゃいけないって連中が増えて来た。教わってないことを言われても分からないーーとかな。

 

 こっちは、お前が分からないことが言われなきゃ分からないってんだよ。一から十までお前に教えてたら、こっちは自分の仕事ができないっつぅんだ! 仕事にはある程度流れってもんがあって、基本の対応がある。色んな職場を転々としてきたら、その経験が生きることも多数ある。

 

 まったく分からない事を教わった後は、自分でそれを完璧にできるようにする。そんなもんは、当たり前のことだ、一々何度も何度も、同じことを聞いたりするような真似を恥とも思わないようじゃ仕事は出来ん。

 

 そもそも最初から新人に難しい真似をやらせやしないってんだ。

 

 っと、仕事の愚痴になっちまったか。

 

「……え? アンタ、犯罪者かなんかなの?」

 

「やべえよ、コイツ。今、マジだったぜ」

 

 いきなり怯えだすガキどもに思わず口が引きつった。

 

「ほう? 日本で殴ることの方が、此処で人を殺すことより重たいわけか。つくづく、クソだな」

 

 拳を握って鳴らし始める。もう、ダメだ。抑えきれない。

 

「おいおい、紅朗! コイツ等、もう戦う気はねぇって言ってんだぞ?」

 

「悟空。悪いが、コイツ等をこのまま逃がすのは、無しだ。せめて一発殴らせろ!!」

 

「まま、落ち着けって」

 

 落ち着けーー?落ち着いてるよ、俺は。虫は潰さなきゃ。

 

「その代わり、アンタは手を出すな。アンタは勝てるだろうが、俺は負ける。それでも、手を出すな」

 

 ハッキリと告げてやる。悟空は目を真剣なものに変えた。知ってたんだろう、俺じゃコイツ等に勝てないって。

 

「ーー何があってもだ。俺のワガママで、アンタを巻き込む気はない。アンタは、ブルマ達と合流してくれ」

 

 此処で、コイツ等を逃がすなんてーー認めてたまるか!

 

 ブルマの想い、医者の人たちや此処に努めてる人たちの恐怖、クリリン達やチャオズの気持ち。それを分かりもしねえクソガキ共が!!

 

 もうよ、限界なんだよ。頭の中はキレてんだよ! とっくの昔にぃいい!!

 

「紅朗。オラが、そんなこと言われてブルマ達と一緒に行くと思うんか?」

 

 血の上った頭だけれど、冷静な声が耳に届いている。

 

「オメエの想いは分かった。止めねェけんど、最後まで見届けっぜ」

 

 そう言って、悟空は俺の前から退いたーー退いてくれた。

 

 ああ、そうだよ。この人は、こういう人だよ。知っていたよ。だからさーーそんな人をバカにされて、黙ってられる訳ねえだろうが!!!

 

「今度は、俺が相手だ。構えろ!」

 

 口元には笑みが張り付いているだろう。目は怒りに見開いているだろう。冷めた俺が、俺自身を認識している。

 

 勝てない?だから、どうした?やられる?だから、どうした?ここでーーコイツ等を殴らない理由になるか?悟空に任せて、スッキリするか?だから、これはワガママだ。そう、自分のワガママだ!!

 

 俺が纏う超サイヤ人のオーラに古井と瀬留間のビビっていた顔が明らかに侮ったものに変わる。

 

 コイツ等、気も読めるのか。

 

「なんだよ。偉そうに言うから、そっちの悟空と同じくらい強いのかと思ってたがーー」

 

「波動に制御されたクローンと同じくらいか。余裕で勝てるな」

 

 瀬留間が金色に青色のスパークが走ったオーラを纏う。古井も紫色のオーラを纏った。

 

 どっちも明らかに俺よりも力強い。

 

 さっきの悟空よりも遥かに弱いが、今の俺よりはずっと強い。

 

 そうだな、腕相撲で自分よりも明らかに強い相手と組むと重圧が分かるだろう。アレみたいな感じだ。まったく勝てる気がしない。

 

 まぁ、分かってたけどな。

 

「謝んなら今の内だぞ、オッサン。悟空クローンの身体でもマジで痛いと思うよ?」

 

「今の俺ら、アンタより遥かに強いからww」

 

 心は奴らを殴りたい。身体は奴らを殴るために準備している。

 

 なら、後は簡単だ。悟空の存在さえも意識の外にやる。

 

 左手が俺の顔の横に、右拳が俺の腰に置かれて中腰に構えている。

 

「テメェら、絶対泣かしてやらぁあああ!!」

 

 俺の身体は、フリーザとセルのクローンの身体を持った連中にカタパルトから射出されたロケットのように突進していった。

 

 

 




次回もお楽しみに( *´艸`)
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