ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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今回は転生者天津飯の彼に語っていただきましょう。

いわゆる別視点。

楽しんでください( *´艸`)


第8話 悟空、今回は俺の視点じゃないらしい

 俺の名は、天津武(あまつ たけし)。13歳。今年で中学2年生になる。

 

 ドラゴンボールは小学生くらいの頃に懐かしのアニメフェアとかのランキングであったから知っていた。でも、実際に触れたのはニコニコ動画でランキングにあったから。

 

 ブロリーというサイヤ人に馬鹿なことを言ってはボコボコにされる孫悟空やベジータが面白くて見ていた。

 

 そこからドラゴンボールを調べていったら、ネットに孫悟空はクズだって記事がいっぱいあった。その印象から入ったドラゴンボールは、確かにって感じがした。

 

 悟空のクズみたいな発言、いっぱいあるんだ。

 

 所々で、こんな事を言うなんておかしいって批判されていた記事の画像があって、それを見たらやっぱり悟空はクズなんだとしか思わない。

 

 人造人間やセル、魔人ブウの頃の画像は秀逸だよ。これこそ、悟空というキャラクターだと思う。

 

 偉そうに諭したり、カッコつけて現れてるけど、中身は単なるガイジだ。そんなガイジがMADではボコボコにされてる。すっごい面白い。

 

 だって、サイヤ人編のベジータなんか明らかにクズなのに勿体ないからって見逃してやったり、自分の子どもの首を折ったリクームを見逃そうとしたり、フリーザの時なんか偉そうに説教垂れて挑発しまくって自分から背を向けたくせに背後から攻撃されて馬鹿な奴だ呼ばわりーー。

 

 神さまとか王様にもため口だし、老界王神にはいきなり攻撃を仕掛けてる。やっぱ、コイツはクズだと思った。

 

 でも、絵は綺麗だ。特に初期のブルマやピラフ一味のマイ。ランチや大人になったチチなんかは美人だと思う。

 

 人造人間18号なんか、どうしてクリリンみたいなチビで禿げで弱っちい雑魚に嫁にやるのかと思った。

 

 超サイヤ人はカッコイイし、こんな馬鹿みたいな悟空が主役じゃなくて俺だったらもっと格好いいのになぁって思ってた。

 

 だから最近のゲームを買ったし、ブロMADを一緒に話したりする栗林六男(くりばやし りくお)と飲伏七乙(いぶし なおと)という同級生の友達二人と三人でドラゴンボールファイターズを始めたんだ。

 

 そしたら、目の前に見たことのない世界が広がっていてーー俺の身体は地球人の三つ目禿げの天津飯って雑魚になっていた。

 

 こんなんネタキャラじゃんと思ってたら、他の二人もクリリン(禿げ)とヤムチャ(かませ犬)って見事なネタトリオの完成。

 

 でも岩を簡単に持ち上げられたり、離れた木を気弾でふっ飛ばしたときは痛快だった。

 

 これマジで最強じゃんって浮かれた。

 

 そんな俺たちの下に、人造人間16号が現れた。俺たちは訳も分からず、今回のゲームで初登場した人造人間21号の研究施設に案内され、悟空タイプのクローンに転生した折戸さんと出会った。

 

 折戸さんは大学生らしいけれど、すごい話しやすくて優しい人だった。

 

「折戸さん、空を飛ぶにはどうしたらいいですか?」

 

「足下から気を放出して浮くイメージをしたら、足は地面から浮くだろ? 後は全身にその力を鎧のように纏わせると飛べるよ」

 

「折戸さん、ナッパのクンッのイメージを教えてください」

 

「指先に気を集中して、目線を爆発の中心に向けておく。そんで砂場で指を掘り起こす感覚と、爆発の規模をイメージすればできるよ」

 

 この人は、何でも知っている。

 

 この世界についても、気功波の撃ち方や鍛え方についても。人造人間21号の企みまで全て。

 

 不安だったけど、この人はこんな状況をクリアする方法が分かるって言う。そのために21号の言うことを聞けばいいって。

 

 21号の言うことは簡単だった。自分の好き放題に物や街を破壊して回ればよいってだけ。

 

 街を破壊することが、こんなに楽しいなんて思わなかった。誰も俺たちに抵抗できない。警察も軍隊も、何にも相手にならない。

 

 俺たちは古井と瀬留間という年上の人たちと一緒に行動していた。

 

「ただ街を破壊するのも飽きて来たから、俺フリーザを演るよ!」

 

「ロールプレイングゲームだな。ぬぅあらばぁ、うぁわたぁしぃはぁ、セルゥウウウだぁああ」

 

 物真似を披露してくれる二人に俺も楽しくなって天津飯の一発芸で勝負した。

 

「排球拳、行くわよぉ!!」

 

 気功砲なんかで簡単に街が消し飛んでいく。この破壊の感覚、楽しい。やめらんない!!

 

 俺たちは転生者のグループの中でも数多くの街を破壊した。その功績だって古井さんが、手首に21号からもらった腕輪を嵌めていた。

 

 地球を覆う波動の中和装置らしい。これがあると、自分達の能力は波動の上限を超えて出せるようになるって。

 

「力を解放できるのは、腕輪にデータを打ち込んだ奴だけな。取り敢えず、10名まではOKみたいだし。メンバーを入れ替えるときもデータを消したりできるみたいだ」

 

「へぇ? これで俺たちもーーいや、ぅわたぁしぃ達ぃもぉ、真のセルぅううとフリィイザァアになれるぅとぉ言うぅうわぁけだぁああ!!」

 

 喜ぶ俺達の下に、21号から更にお願いが言われた。

 

「その力で、邪魔者を排除してきてほしいの。確か、カプセルコーポレーションのブルマというんだけれど、お願いできる? たしか、そこにはオリジナルのクリリンとヤムチャ、天津飯が居ると思うけれど。死体さえ持ってきてくれたら、その三人に成り代わっても良いわよ」

 

 俺たちは一もニもなく頷いた。

 

「天津飯に成り代わってなんでも好き放題できるんだ、こんなに嬉しいことはない」

 

「それ、俺の中の人のセリフだろ!」

 

「海賊ーーいや、ハーレム王に! 俺はなる!!」

 

 俺たちは、いつもどおり完璧に任務を果たせるはずだった。とんでもない強さの孫悟空と久住史郎って中年が悟空クローンの身体に入った転生者のコンビに出会うまでは。

 

 中和装置でパワーが上がったはずの俺たちが、五人がかりで何もできなかった。

 

 しかも悟空は完全に舐めプだ。超サイヤ人にすらなってない。それで、オリジナルの能力を出せるようになった俺たちがボコボコにやられるなんてありえないだろ?

 

「〜!! なんだよ、つまんねぇ! やってらんねぇ!!俺は一抜けた! こんなつまんねぇゲームねぇし、クソゲーじゃんかよ!!」

 

 栗林が叫んでるが、全く同感だ。 

 

「まったくだ。波動の中和装置があるから喧嘩売ったのに効き目ないとか、21号マジ無能だな!!」

 

 飲伏の言うこともホントにその通りだ。

 

 だけどさ黒髪の悟空なんて地球人アバターの俺たちはともかく、セルとフリーザの力を持ってる二人が通じないなんて。二人が手を抜いてるとしか思えない。

 

 だから、俺は言ったんだ。

 

「もっとちゃんとフォローしろよ、役立たず。レイドクエストのボス相手ならーー!」

 

 21号は嘘を言ってなかった。答えは、俺の躰ではっきりした。古井のデスビームがアッサリと俺の胸を貫いたからだ。

 

 今までの戦闘では俺たちは同じくらいの力しか出せなかった。だから不意打ちを食らっても反応できたし、当たっても痛みを感じはするけど致命傷にはならなかった。

 

 なのに、今の一撃は心臓を外れていたから即死を免れただけで、めちゃくちゃ痛い。

 

 全身から力が抜けていって、身体が動かなくなっていく。寒くて、撃たれたところだけ熱くて痛くて、なんだよこれ?意識が遠のいていく。思考も何もかも、ただーー思ったのは死にたくないって気持ちだけ。

 

 死ぬって感覚が、こんなにも身近に感じるなんてあり得ねぇって思った。

 

 でも、俺を抱きかかえてくれたのは、友達の栗林でも飲伏でもなかった。俺が馬鹿にしていたガイジーー孫悟空が俺の顔を必死の形相で見て叫んでる。

 

 悟空が俺の胸に手をかざして、温かい光が全身を包み込むと、痛みが消えて動けるようになった。

 

 見れば胸に空いた穴が塞がってる。

 

 助け、られた?なんで?

 

 俺が呆然としてると、目の前で古井と瀬留間が足下に転がってる栗林達ごと悟空を攻撃していた。悟空は栗林と飲伏の前に立って、かめはめ波を放って古井と瀬留間の光を止めてる。

 

 俺の中の孫悟空は、もっと自分勝手で。足手まといになるような奴を身体をはって助けるようなことをする奴じゃない。

 

 最近までやってたドラゴンボール超の悟空がそれだ。

 

 ゴワスが逃げないで、此処に残らせてくれって言ったときベジータと一緒に邪魔者扱いしていた。戦うのに邪魔だって言いたかったんだろう。

 

 なのにーーどうして自分の戦いの邪魔になるようなヤツを助けようとしてるんだ?

 

 混乱してる俺の前に折戸さんと同じ見た目の悟空クローンが、声をかけてきた。

 

「おい、テメェ。アレはテメェの仲間だよな?一人、任せる。もう一人は俺が助けてやるから、ちゃんと連れて来い」

 

 俺の頭の中に、さっき虫けらみたいに殺されそうになった自分が思い浮かんだ。あり得ない。あんな力の前に出て行ったら殺されちまう。それに、コイツは悟空と同じ力を持ったクローンの身体だ。俺より強いだろ!

 

「な、なんで?? 悟空アバターなら、簡単に二人くらい連れて来れるよなーー!なんで、俺がそんな事しなけりゃいけないんだよ!!」

 

 瞬間に鼻を拳で殴られた。ひでぇ。さっきまで死にかけた人間に、もっかい死んで来いって言ったくせに。口答えしたら、脅してきやがった。

 

 助かったなんて甘かったーー。此処にいる奴ら、みんな俺の敵じゃないか!

 

「…ぐぁ! ひ、ひでえ。なんで、俺がこんな目に。みんな、みんなやってるのに。俺だけーー!」

 

 そうだよ。他のチームを組んでる奴らだって同じことしてるはずだ。

 

 なのに、なんで俺だけ、こんな目に遭わされなきゃいけないんだよ。

 

「なんでーー俺がテメェ等みたいなカスを助けなきゃならない?」

 

 その声は冷たくて、さっきの古井なんかよりもよっぽど、殺してやるって気持ちが伝わって来た。

 

 目が普通じゃない。

 

 本気で俺を殺そうとしてる目だーー。

 

「テメェの仲間ぐらい、テメェで守れ。誰かにあまえてんじゃねえよ」

 

「な、なんでだよ。俺は、ただゲームしてたら巻き込まれただけなんだよ。なんで、殺されそうにならなきゃいけないんだ? みんなだって、同じことーー!」

 

 ここで言い訳しないと殺される。

 

 なんとかして、言い逃れしないと殺される。そう思って口にしたのに、コイツは更に殺意を込めて冷たく感情のこもらない声で言って来た。

 

「テメェ。もっかい痛い目に遭いたいか?痛いって分かったろ?コレはゲームじゃない。現実だ。お前がーーお前等が面白半分で壊した街や建物、傷付けた人は全て本物だ。自覚しろ」

 

 なんでだよ。なんで、俺が責められてるんだよ? 俺は何も悪くないだろ?

 

 21号に言われて、やってるだけじゃないか!

 

 21号に従わなければ、元の世界に還れないから!

 

「だってーー21号の言うとおりにしなけりゃ、元の世界に帰れないんだろ?俺だって被害者じゃないか!!なんで、俺だけ責められるんだよ!!」

 

「…そうか。自分が被害者だから、何しても構わないか」 

 

「そうだよ。俺だってやりたくて、やってんじゃない。そうしないと元の世界に帰れないから、やってんだよ。俺は何も悪くない!なんで俺が悪いって言うんだ!!」

 

 分かってくれた。通じたんだ、俺の想い。

 

 そんな俺の想いを踏みにじる様に、殺意以外の何の感情もこもらない目でアイツは言った。

 

「こんな奴に情けをかける必要なんか、ないだろに」

 

 殴られるーー殺される。

 

 助けて、誰か。誰かーー悟空!

 

 さっき、自分を助けてくれた悟空にいつの間にか、俺は目をやっていた。

 

 その俺の目を追うように、目の前の悟空クローンも悟空を見ていた。

 

「…助けてやれ、か。俺だって、そんな強いわけじゃねーんだぜ。悟空よ〜」

 

 それだけを言うと、額に指を当てて瞬間移動してみせた。次にアイツが現れたときは、栗林と飲伏が連れて来られてる。

 

 助かったーーと思った瞬間、悟空の声が聞こえた。

 

「波ぁああああっ!!!」

 

 悟空の放ったかめはめ波の青い光は、古井と瀬留間の放った光を一方的に消し飛ばして奴らの頭上を通って青空を撃ち抜いた。

 

 あまりの力の奔流に思わず目を見開く俺達三人の前で、悟空クローンが険しい顔で言ってた。

 

「アンタは、優しすぎるよ。悟空」

 

 その言葉で、古井と瀬留間の二人を悟空は助けたって分かった。

 

 なんでだ?MADのクズロットが悟空の本性だろ。ドラゴンボールで生き返れるって。

 

 混乱している俺の他にも二人、栗林と飲伏も同じことを思っていた。だけど、そんな俺たちの前で更に意味の分からないことを悟空クローンが言い出したんだ。

 

「今度は、俺が相手だ。構えろ」

 

 そう言って気を纏ったヤツの力は、俺たち地球人組よりもレベルが低い。さっきは殺されかけたショックでビビってたが、俺でも勝てる。

 

 とても超サイヤ人の気じゃない。

 

 俺よりも強い古井と瀬留間に勝てるわけないってハッキリと分かる。

 

「テメェら、絶対泣かしてやらぁあああ!!」

 

 そんな俺の思考を断ち切るように、悟空クローンの転生者ーー紅朗ってオッサンが吠えて突っ込み、古井の長い尻尾で簡単に脇へと弾かれて頭から岩の中に突っ込んでいた。

 




次回も、お楽しみに( *´艸`)
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