ドラゴンボールFZ 真・超サイヤ人   作:カンナム

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お待たせしました。

第9話にあっては資料が無かったため、新しく書き直しております。

ご了承くださいませ(;´・ω・)


第9話 悟空、こいつらは俺が殴る

 フリーザもどき古井に正面から突っ込んだ瞬間に、左の頬に強烈な衝撃をくらい、俺の首は右に仰け反る。

 

 目に映ったのは蛇のように長く白い尾っぽ。

 

 コレに横っ面をはたかれ、頭から脇へふっ飛ばされたと認識したころには豪邸の庭に飾りとして取り付けられた岩があり、頭から叩き込まれた。

 

 その衝撃で岩がまるで積み木のように崩れていった。

 

 俺のもとの身体なら間違いなくトマトのように潰れて中身が飛散していたであろうが、頑強な孫悟空の身体とこの世界の法則で、岩だけが一方的に粉砕する。

 

 岩にぶつかった衝撃よりも横面をはたかれた衝撃の方がキツイとは思わなかった。

 

 なんなら、あの堅そうな岩はクッションになってくれたーーまである。

 

「ち、ちくしょう……」

 

 地面に手をついて立ち上がろうとすると、全身に強烈な痛みが襲ってくる。思わず歯を食いしばって耐えるが体の動きが鈍くなるのは否めない。

 

 先ほどまで焦っていたフリーザ(古井)とセルもどきーー瀬留間の顔に余裕と侮蔑の色が出ていた。

 

「…なんだ。そっちの悟空みたいに波動の影響がないのかと思ったが、そういう訳じゃないようだね」

 

「仮に影響がなかったとしても、超サイヤ人程度なら何とかなる。こっちは完全体のセルの身体だからな」

 

 言うと同時、二人の転生者が一気に俺目掛けて突っ込んできた。

 

 目には映らない。

 

 圧倒的なスピードで俺の左側面に簡単に立つと、セル(瀬留間)が歯を見せながら虫でも潰すように反応できていない俺を殴りつける。

 

「オラァァ!!」

 

「…グッ!」

 

 ボディに入った一撃で俺の足が地面から浮いて身体が宙に浮かぶと、右フックで体を横に寝かされ右腹に強烈な左ひざが叩き込まれ左拳で地面に叩きつけられる。

 

「ぐぅっ、……あぁ、ああああ……!!」

 

 潰れた虫みたいに叩きつけられた俺は、無様に呻くしか出来なかった。

 

 こんなに差が、あるのか?

 

 クローンとはいえーー孫悟空の身体でも、ここまで。

 

 なにが起こったかなんてまるで分らない。

 

「見えて」はいたが、反応なんてできやしない。 

 

 あまりにも理不尽な力の差だった。

 

「くそ、ったれ……が!!」

 

 立ち上がれ、記憶の中にある英雄が俺の前に居るんだ。

 

 誰よりも憧れた人が見ている前で無様を晒すんじゃねぇ。

 

 その気持ちとは裏腹に痛みは容赦なく俺の弱さをさらけ出す。

 

 心が折れろと頭の中で何かが騒ぐ。

 

 大人しく頭を下げ、許しを乞えばこの辛くて苦しいことから逃げられるんじゃないか、なんて下らない声がする。

 

 その声に負けそうになる自分をねじ伏せて立ち上がろうとする。

 

 体中が激痛に悲鳴を上げてやがる、だせぇな。喚くなよ。

 

 立ち上がって目の前の奴を見る。

 

 よくもまぁ、ここまでやってくれたよ……!

 

 痛みを誤魔化すのには、殺意だ。

 

 目の前の敵をぶち殺す、それ以外は考えない。

 

 それが一番、手っ取り早い。

 

「……!」

 

 セルもどきの顔が、不思議と俺がガキの頃にケンカして来たバカどもと被る。

 

 なんだ、大した事ねぇ。

 

 こういうツラは殴り慣れてる。

 

 そう思うと、不思議と痛みは消えて身体が動く。

 

 俺の全身に淡い金色のオーラが吹き上がり、動く。

 

 ならーーやれる。

 

 大地を蹴り、一気に距離を詰めて殴りかかる。

 

 正面と見せかけてーー背後に回って後頭部に拳を打ちおろす。

 

「へぇ。元気あるじゃん……!」

 

 ムカつく声を上げながら、セル(瀬留間)は振り返りもせずに左手を挙げて手の甲で虫を払う様に俺の拳をとめた。

 

 瞬間、横からフリーザ(古井)に後頭部を蹴りつけられて顔面から地面に叩きつけられた。

 

「おいおい、せっかくの遊びを止めんなよ」

 

「雑魚にかまってる暇ないんだよ。そこの悟空が動いたら僕らは負けるんだぞ」

 

「大丈夫だって、この悟空アバターをボコってれば悟空は動かない。だって戦闘しか頭にないクズだからな。このアバターが動かなくならないようにすればいいんだよ」

 

 強烈な痛みに脳が感覚を遮断して、意識が遠のいていく。

 

 ぼんやりとした頭と暗くなっていく目の前を認識しながら、意識する。

 

――勝てない。

 

――怖い。

 

――殺される。

 

 うめき声をあげる俺の中で震えが起こり始める。

 

 自分の吐いた黒い液体が俺の横たわる地面に広がっている。

 

 おい、やべえよ。

 

 俺、死ぬのか?

 

「あれ? 思ったよりあっけないね? 僕らにデカイ口叩いてたけど、そのザマなんかよぉ?」

 

「潰れたカエルみたいな声出してたなぁ? さっきまで偉そうなこと言ってたけど、まだなんか喋れんのぉ? ねぇ、おじさぁん??」

 

 フリーザ(古井)とセル(瀬留間)の声が聞こえてくる。

 

 何かを口にしようとして、吐き出したのは黒い液――血だった。

 

 クローンの身体だからか、血は黒なんだなってボンヤリと思う。

 

 ああ、俺って。

 

 弱いんだなぁーー。

 

――天津視点。

 

 何が起こったのかはまったく分からない。

 

 気が付いたら土煙が上がっていて、悟空アバターの人が倒れていた。

 

 その横顔を完全体セルのアバターのヤツが踏みつけている。

 

 そこからは一方的だった。

 

 立ち上がろうとするたびに殴られ蹴られ、サンドバックになってる。

 

 指先からの光弾で徹底的に痛めつけていく。

 

 その一方的な光景にふと、さっきまで自分がしていた行為を思い出し背中から冷や水を浴びせられたように感じた。

 

 俺、さっきまでコイツ等と同じことをしてたんだ。

 

 なんで。なんも疑問に思わなかった?

 

 なんで……!

 

 強烈な不安と恐怖に思わず誰か頼れる人を探そうとして山吹色の道着を着た背中に引き寄せられた。

 

「ご、悟空!! 助けないと。あの人……!」

 

「…ん? ああ、大丈夫。アイツはまだ、折れてねぇ。今、手を貸してみろ? オラ達も紅朗にぶっ殺されちまうぞ?」

 

 明るく笑って言うが、目は真剣そのものの悟空を見て、思わずそんなばかなって声が出かかった。

 

 だけど、振り返ってくれた悟空は俺の肩を抱き寄せると隣に立たせて悟空アバターの眼を見ろと言ってくる。

 

「あんな眼、してんだぞ? オラにゃ止めれねぇよ……!」

 

 その赤い目を見て俺も思わず声を飲み込んだ。

 

 とても殴られてる人間の眼じゃない。

 

 いじめられてる人間の眼じゃない。

 

 痛みで動けないって人間の眼じゃない。

 

 アレはーー人を殺しかねない目だ。

 

「な、なんで……!」

 

 あれだけボロボロにされて、どうしてあんな目をしていられる?

 

 分からない。僕には、分からない。

 

 そんなことを思っていると、俺の足元で呻き声が聞こえた。

 

「あ、あれ? 天津……?」

 

「俺達、どうなって……」

 

 気が付いた二人を見て、俺がホッとしたのもつかの間。

 

 あの悟空アバターの人――紅朗さんが、強烈な音とともに気の爆発で吹き飛ばされ人形のように地面に叩きつけられていた。

 

 その光景を見て、意識を取り戻した飲伏も栗林も声を失っている。

 

「あはは、あはははははは!! 人がゴミみたいに吹っ飛んだぜ!!」

 

「最高だよ、この体!! これさえあれば、どんな奴もぶち殺せる!!」

 

 吹き飛ばした当人であるセルとフリーザのアバターを使ってる奴らは、人とは思えない笑顔をしていた。

 

 ピクリとも動かない紅朗さんを見て、思わず俺が駆け寄ろうとした瞬間。

 

 悟空が左手を俺の胸の前に出して止める。

 

「なんでだよ、悟空!?」

 

「……」

 

 静かな悟空の表情を見て、俺は不思議と胸に感じていた怒りと不信感が消えて行く。

 

 同時に紅朗さんが立ち上がっているのが見えた。

 

「う、嘘だろ……!」

 

「なんで。立てるんだ……!」

 

 飲伏と栗林が呟く中で、俺は紅朗さんの口許を見た。

 

 その顏はーー。

 

 獲物に牙を剥く獣のようだったーー。

 

――古井視点

 

 このオッサン、しつこい。

 

 確かに死なれたり気絶でもされたら、本物の悟空が動くからほどほどに手加減はしてる。

 

 それでも、ここまで立ち上がってくるのは考えてなかった。

 

 もっと早くに命乞いでもしてもらって逃げる時間を稼いでもらうつもりでいたのに。

 

 わざと高笑いして余裕があることをアピールしても、まるっきり無視して笑い返してきやがる。

 

 なんだコイツ。

 

 不気味だった。

 

 喧嘩なんかしたことなかったから分からなかったけど、この体と向こうとの力の差は今までの戦いで歴然としてる。

 

 痛みを感じないわけがない、だってそれなら天津飯アバターの天津だったか、あいつがビビるわけがない。

 

「自分が殺されないとでも思ってやがんのか? このやろう」

 

 ナメられている、間違いなく。

 

 そう感じる程に、このオッサンの笑顔はむかつく。

 

 まるで自分が狩る側だと言わんばかりの笑顔は、身の程を知らなすぎる。

 

「むかつくなぁ。お前ぇええ!!!」

 

 僕がイライラとしていると、横から声が上がった。

 

 セル(瀬留間)が気を纏って前に突っ込んでいた。

 

「あ……!」

 

 殺しかねない、その勢いに思わず僕の手が伸びる。

 

 べつに、このオッサンが死のうが知ったことじゃない。

 

 だが、コイツが死んだら悟空が動く。

 

 そうなったらーー!!

 

 そんな僕の心の声が届くわけもなく。

 

 セル(瀬留間)が千鳥足で立っている悟空アバターを殴りつけようと拳を振りかぶって放った。

 

 乾いた音が辺りに響いて、衝撃で大地と空気が揺れる中、もう一人の悟空タイプのクローンがセル(瀬留間)の拳を片手で止めていた。

 

「なんだ? なんでクローンがオッサンを庇っている?」

 

 ゲーム中でもクローンは人造人間21号の簡単な命令には従っていたが、庇うような描写はなかった。

 

 クローンにそんな自我はないはずなのに、何故だ?

 

 瀬留間の拳と蹴りを紙一重で見切り、的確に自分の拳と蹴りを叩き込んでいくクローン悟空。

 

 あの格闘センスは、本物と同じくらいかも知れない。

 

 もっとも、スピードもパワーも瀬留間の相手じゃないけどね。

 

「なんだ。お前? クローン人形如きが、俺の邪魔をするなぁああ!!」

 

 強烈な赤黒い気を纏い、セル(瀬留間)が叫び声を上げながら殴りかかる。

 

 クローン悟空も淡い金色の気を纏って高速移動で姿を消して空中でぶつかり合う。

 

 拳と蹴りを交換しながら移動する二つの影は、強烈な炸裂音と共にクローン悟空だけが地面にむかって叩き落とされる。

 

 千鳥足で立つオッサンの脇に叩き落されたクローン悟空は、両手と両足を地面に叩きつけるようにして着地した。

 

「生意気なんだよ、人形が! そこのオッサン諸共、消し飛びな!!」

 

 そこへセル(瀬留間)の左手が開いて掌を相手にかざすと赤黒い気弾を3発、放たれる。

 

「西の都が消し飛ぶぞ、瀬留間!!!」

 

 僕の声は強烈な爆発と光の前にかき消されて、飲み込まれる。

 

 終わったーー。

 

 せっかくのカプセルコーポレーションの便利なアイテムが、全て消し飛ぶ。

 

 そう思っていた時、強烈な黄金の炎が爆発と光を引き裂いて立ち昇りーー衝撃波などの全てを飲み込んで行った。

 

 そこに立っていたのは、クローン悟空を庇って前に立っている悟空アバターの転生者。

 

「な、なんだ……!? 超サイヤ人なのか……!?」

 

 さっきまでの金色のオーラとは明らかに別種の黄金。

 

 超サイヤ人3のような激しくて濃い炎のようなオーラに髪の色。

 

 クローン戦士の肌とは明らかに違う超サイヤ人そのものの透き通るような肌色。

 

 黒い瞳孔が開いた翡翠眼。

 

 その感情の全てが消え去ったかのような冷たい表情は、しかし見ただけで分かる。

 

 これはーー触っちゃいけないものだ。

 

 絶対に、触れちゃいけないものだ。

 

 逃、げ、ろーー!!

 

 この時、僕は自分が散々おもちゃにしていたオッサンを相手にハッキリと恐怖していた。

 

――天津視点

 

 そのものは、千年に1人現れる。

 

 そのものは、純粋。

 

 そのものは、破壊と殺戮を好む。

 

 穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚める伝説の戦士。

 

 そんな声ならない声が聞こえてくるほどに、問答無用の説得力がある。

 

 今の紅朗さんの姿こそが、本物の超サイヤ人なんだって。

 

「紅朗……! オメエ、真に至るほどのモノを持ってやがったんか……!」

 

 悟空の声は、どこか震えているように聞こえた。

 

「孫くん!!」

 

 声にふり返れば、赤いスカーフを巻いた青い髪の綺麗な女の人がこっちに駆け寄ってくる。

 

 ブルマだ。

 

「ブルマか、無事だったみてぇだな」

 

「うん、紅朗が付けてくれたクローン孫くんのおかげよ。でも、あれって……」

 

 ブルマの眼は、黄金の炎を身に纏い表情を完全に消した紅朗さんを見ている。

 

 悟空もセル(瀬留間)やフリーザ(古井)を見ていない。

 

 今の紅朗さんは、それほど怖かった。

 

ーーーー

 

 クローン悟空が構えを取るのを制し、黄金の炎を纏う真の超サイヤ人はゆっくりと左手を顔の横に右拳を腰に置いて両膝を曲げて中腰につま先立ちになって構えを取る。

 

 見つめる先に居るのはセル(瀬留間)だった。

 

 冷徹な眼は、そのままに口許が鋭い牙を剥きだすかのような笑みを浮かべている。

 

「ああ、なんだよ? そのツラァ!! 調子に乗るなぁあああああ!!!」

 

 赤黒い気を纏うセル(瀬留間)は大地を蹴ると高速移動で姿を消し、超サイヤ人の目の前に現れると拳を繰り出す。

 

 それを超サイヤ人は鼻先がわざわざ触れるようにギリギリで見切る。

 

 見切られたことが分かったセル(瀬留間)は、次々と拳と蹴りを繰り出すも全て紙一重で見切られていく。

 

(なんだ? スピードとパワーが上がっただけじゃない。動きがーーさっきの孫悟空そのものだ!!)

 

 フリーザ(古井)の驚きを察することはなく、セル(瀬留間)は怒りのままに攻撃を繰り出す。

 

 より速くより手数を繰り出そうとして放ち続ける。

 

 ただしーー頭に血が上った拳と蹴りは全く同じタイミングと軌道で繰り出され続けるだけだった。

 

 そんなものがーー伝説の戦士と言われた超サイヤ人に通じるわけもない。

 

「シィネェエエエエ!!」

 

 連打の中の一つを選び、相手の左拳をギリギリで右に避けると超サイヤ人は右脚でセル(瀬留間)の顎を蹴り上げる。

 

「ゴフゥッ!?」

 

 天高く吹き飛ぶセル(瀬留間)の更に上空に超サイヤ人は現れるとメキメキィと音を立てながら拳を握って両手を頭上で組む。

 

「――はぁああああ、ウォラァ!!」

 

 そのまま背中に向けて叩きつけ、ものすごい勢いで跳び上がっていたセル(瀬留間)の身体が地面に向けて叩き込まれる。

 

「「「うわぁッ」」」

 

 天津達やブルマ、フリーザ(古井)が思わず顔を庇うほどに衝撃。

 

 その勢いは巨大なクレーターを生み出すほどに強烈な一撃だった。

 

 土煙が晴れた時、白目を剥いてピクピクッと痙攣して倒れているセル(瀬留間)を黄金の炎を全身に纏う超サイヤ人が仁王立ちして見下ろしている。

 

「な、なんだと……!? なんだ、このバカげた力は!?」

 

 震え上がるフリーザ(古井)に超サイヤ人は、ゆっくりと顔を向ける。

 

「う、うわぁあああああ!!」

 

 その冷徹な殺気に満ち々ちた黒の瞳孔が浮かんだ翡翠眼を見た瞬間、フリーザ(古井)は身を反転させて一気に空中へ飛んで撤退を選んだ。

 

(冗談じゃない! まだこの肉体を使いこなせてないのに、あんな化け物とやり合えるか!! 僕はまだ、死にたくない!!!)

 

 だがーー青い空の中を滑空していると目の前に黄金の炎を纏った戦士がこちらをジッと見て止まっている。

 

「う、うぉ!?」

 

 逃がすつもりがないことをハッキリと理解できるように両腕を組み、ニヤリと笑っている。

 

「…約束したよな? 絶対にお前らをブン殴るって」

 

 そう告げる。

 

 冷たい瞳と口調で。

 

 相反する激しい黄金の炎を燃やして気を一気に高めていく。

 

 まるで限界が無いかのように。

 

「ちぃいい! なら、これでどうだ!!」

 

 人差し指から細く殺傷力の高い紫色の光線を放つ。

 

――デスビーム。

 

 屈強なサイヤ人の王子ベジータの肉体を軽く貫くような一撃。

 

 無慈悲な一撃をしかし、超サイヤ人は身に纏う黄金の炎で全て受け止め、吸収してしまった。

 

「な、なんだって……!」

 

 目を見開くフリーザ(古井)に笑みを返すと、超サイヤ人は一気に距離を詰めて強烈な右拳をボディに叩き込む。

 

「グフゥッ」

 

 くの字に身体を折るフリーザ(古井)を見下ろすと強烈な右廻し蹴りを叩き込んで後方へ吹き飛ばす。

 

 そして両手の拳を腰に置いてーー

 

「はぁあああ、はぁ!!」

 

 気合一閃、更に気を上昇させると限界以上に上がったスピードで一気に吹き飛ばされているフリーザ(古井)との距離を詰めて拳と蹴りを叩きつけていく。

 

 鈍い音が鳴り響き続け瞬く間にぼろ雑巾にされていくフリーザ(古井)。

 

 気を失うことも倒れることさえ許されない。

 

 絶妙な力加減をされた連撃を叩き込まれながらフリーザ(古井)は恐怖に目を見開いて超サイヤ人を見据える。

 

 笑みを浮かべてこちらを血まみれにしていく超サイヤ人と言う名の鬼を。

 

 一際、強烈な一撃で地面に叩きつけられるフリーザ(古井)。

 

 その目の前に着地する超サイヤ人は、ゆっくりと前に歩んで距離をつめていく。

 

「ば、化け物……!」

 

 震え上がるフリーザ(古井)の脇に白目を剥いて倒れていたセル(瀬留間)が立つ。

 

「せ、瀬留間さん?」

 

 白目を剥いたままのセル(瀬留間)はしかし赤黒い邪悪なオーラを身に纏うとフリーザ(古井)を掴むと己の赤黒いオーラを流し込んだ。

 

「う、ウギャァアアアアア!!」

 

 悲鳴のような雄叫びを上げながら一気に気を高めるフリーザ(古井)だが、その両の眼にあった理性の光は消えて行き白目を剥いている。

 

 その異様な光景に孫悟空は静かに黒目を鋭く細めた。

 

「アレはーーたしかカンバーとか言ってたサイヤ人の気。どうなってんだ?」

 

 静かに呟く悟空を置いて、セル(瀬留間)とフリーザ(古井)の二つのオーラが一つになり強大な気を纏う。

 

 それを超サイヤ人が静かに眺めていると、両手首を上下に合わせて掌を相手に向けた後に右腰に置いて腰をひねりながら気を高めていく。

 

 超サイヤ人の両手の中には一つの青い光の塊が出来上がっていた。

 

 転生者二人は両手を前に突き出し、赤黒い光の弾を作り上げると前方の超サイヤ人に向けて放った。

 

 これに対し、超サイヤ人は練り上げた光の塊を前方に向けて両手を突き出した。

 

「かぁ…、めぇ…、はぁ…、めぇ…! 波ぁああああああっ!!!」

 

 全てを飲み込む青い光の奔流と赤黒い巨大な光球がぶつかり合う。

 

 互いに向けて押し合う。

 

 しかしーー超サイヤ人は、一瞬だけニヤリと笑みを浮かべると身に纏う黄金の炎を更に燃やした。

 

 それだけで放った青白い光線が二回りほど太さを増していく。

 

「「ぎぃぎぎぎぎぃ……!」」

 

 一気に押し返されていく赤黒い光球に必死に力を流す二人の転生者。

 

 理性を失おうともここで負ければ己の命が無いことを理解しているのか、必死に気を高めていく。

 

 粘る、粘る、粘る。

 

 だがーー。

 

 その健闘はむなしく、無慈悲に超サイヤ人の光は二人を飲み込んで行ったーー。

 

 そのまま世界を打ち貫く蒼い光は、大気圏を抜けて宇宙の闇に吸い込まれるように消えて行った。

 

 全てが終わった時、黄金の炎を纏った超戦士は全身に纏ったオーラを散らすと仰向けに倒れたーー。

 




次回もお楽しみに!(^^)!
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