SCP-000『オール・イン・ワン』 Object Class: Thaumiel / Apollyon 作:アママサ二次創作
「くそっあの靄の奴……!」
「財田大丈夫か!?」
「受け身は取った」
要たちが集まっていた場所から下の方。噴水の前に出現した黒い靄のようなものから、複数の人間が溢れ出すように出現した。
自らをヴィラン、と。そう名乗る彼らの目的はまさに生徒達を傷つけ、そしてヒーローを殺すことで。複数名が抵抗しようとしたものの、先刻ヴィランを運んできた靄の個性の持ち主にバラバラの場所に飛ばされてしまった。要が飛ばされたのは火事現場のような場所。一緒にいるのは尾白だけだ。
しかも何らかの手段でジャミングが行われているようで、せっかく対電子戦対策まで施してある要の信号装置が機能していない。
「っ! 来た!」
「尾白」
「何っ!?」
生徒を散り散りに飛ばした先でそれぞれに攻撃する方法は見つかっていたのか、地面に降りた2人のところに10人以上のヴィランが近づいてくる。その表情は愉悦に染まっており、彼らを殺すのが楽しみで仕方ない、と示していた。
「キタキタ。俺がこんがり焼いてやるぜ。焼けた肉の匂いはたまらねえ」
「お前だけにやらせるわけねえだろ。あたしの獲物だよ」
「言ってろ」
今にも襲いかかってくるつもり満々のヴィランたちに、尾白はファイティングポーズを取る。
「おっ? こいつ戦う気満々だぜ?」
「かわいいねえ。ああ、その顔燃やしてやりたい」
「尾白、30秒1人で稼げるか?」
「……稼ぐだけでいいの?」
「フラグ立てるな。後で説明する。よろしく」
尾白の方にヴィランたちが詰め寄ろうとしているのを確認した要は、少し後ずさって建物の影に身を隠す。
「逃げんのかー!? ヒーローなんだろぉお!?」
「何いってんだい。ヒーローなんて夢見ちゃってる可愛そうなぼっちゃんだろ」
「ギャハハハハハハ、違いねえ」
ヴィランたちがそう馬鹿にする声は感覚をシャットアウトした要には届かない。両の手のひらを打ち合わせた要は、脳内に1つのオブジェクトの報告書を思い浮かべる。そして合わせていた手のひらをゆっくりと離していくと、その間から報告書らしき紙が実体を持って出現する。
出現した報告書は要が持たずとも空中に佇み。要が手を打ち合わせると、そこに書かれた文字や書式が紙の中央に向かって集まり、やがて物理的な実体を持ったものが紙の上方に出現した。代わりに報告書は白紙になっている。
その空中に飛び出したオブジェクト、銀色のハンドベル。『SCP-662“執事のハンドベル”』。そう呼ばれるそれを、要は小さく鳴らした。
涼やかな音とともに数秒の後、要の後方から声がかけられる。
「こんにちは、財田要様。なんなりと仰せ付けください」
声に呼ばれて振り返ると、まさに執事と呼ぶのがふさわしく思える服装に顔つき体つきをした白人の男性が立っていた。
「初めましてデーズさん。状況がわからないと思いますが取り急ぎのお願いが1つあります」
「なんなりと。私は執事ですから」
そう答えたデーズという男に、要は先程から何度も起動しようとした救命信号のスイッチを渡した。
「コレがなにかわかりますか」
「……わかりました。藤見十影様に伝わる救命信号ですね」
「コレを利用しても良いので、あなたの存在が十影以外にばれないように私のところまでアイツを助けに越させてください」
「わかりました」
「お願いします。終わったらその装置は俺のポーチに入れておいてください」
そこまで言った要は、デーズに背を向ける。その直後には、すでにデーズと呼ばれていた男は、そこに存在しなかった。
彼がそうやって姿を消す存在であると知っている要はそれを気にせず。ウェポン1を構え、左手にはロープを巻き付けた状態で尾白が戦っている場所へと突入した。
「尾白生きてるか!」
「財田! 何やってたの!?」
「戦う準備だ。悪い、救助訓練だから準備してなかった」
「そういう、ことっ!」
要の言葉に答えながら、尾白は目の前のヴィランの顔を尻尾で殴打して下がらせる。
「財田、実戦は?」
「それなりに。時間稼ぐのと減らすのどっちが良い?」
「減らす!」
そう叫んだ尾白が先頭をきって突っ込んでいき、要が追従する。突っ込むと言っても無闇に突撃するのではなく、地面に転がっている瓦礫などを盾としてヴィランの攻撃を避けつつ距離を詰めていく。
そして連携が乱され、近距離まで踏み込まれて焦ったヴィランに対して、要がテーザー弾をどんどん撃ち込んでいく。あっという間に2人を無力化することが出来た。
だがそれで警戒をしたヴィランは距離を取り、半円状に2人を囲むように展開し。互いに攻撃を仕掛けること無くにらみ合いが始まった。その間に、肩を並べた尾白と要は小声で会話する。
「財田何ができる?」
「遠距離スタンガン、スモーク、スタングレ、ゴム弾、ナイフと警棒、ロープの格闘戦」
「火耐性は?」
「コスチュームは火に多少は強い」
「っ!? 避けろ!」
作戦を打ち合わせている最中に、しびれを切らしたヴィランが火の玉を撃ち込んでくる。そういう個性の相手がいるのだろう。
別の瓦礫の影に飛び込んでそれを回避した要は、弾薬ポーチから発煙弾とスタングレネードを取り出す。
「尾白! 耳と目を塞げ!」
その叫びに尾白が反応して別の瓦礫の裏に身を隠したのを確認した要は、ヴィランの場所を確認するとそれぞれのヴィランに有効なダメージを与えるように複数のスタングレネードを投擲する。そもそも室内での使用が主となるようなものだが、十分に近距離であれば効果はある。
瞬く閃光と耳をつんざく爆音。それに耐えた要は、ヴィランが無力化されているうちに捕縛してしまおうとウェポン1を片手に隠れていた瓦礫を乗り越える。だが、その必要は無かった。視界の端では、同じように瓦礫の影から飛び出した尾白が驚きの表情で固まっている。
「おーい助けに来たぞ要ー」
そして要と尾白の視線の先では、半分破れた制服を着た大柄な男が、敵対していたヴィランを山のように積み上げていた。
その男を尾白が警戒する一方、要は躊躇いなく近づいていった。
「財田っ!」
「大丈夫だ。こいつはB組のやつだ」
「え?」
戸惑う尾白を放っておいて、要は十影に指示を出す。
「俺達が縛っておくから、十影は他の所に行ってやってくれ」
「他って?」
首をかしげる十影に、要はヴィランがこの訓練場に出現し、生徒があちこちに飛ばされたことを説明した。
「あー、そういう状況か。なら真ん中へんのもヴィランだったんか」
「任せる」
「あいよ! また後でな!」
そう一言告げると、十影はその足の構造を変化させて、勢いよくジャンプして離脱していく。
そこになってようやく、硬直していた尾白が動き始めた。
「財田、何、今の人。ヒーロー?」
「1年B組の生徒だ。もともと仲が良くて俺の方があいつより遥かに弱いから、何かあったら呼べって言われてたんだ」
「呼べ、って……」
説明をきいてもなお尾白は困惑の表情である。それもそうだ。まだヒーローでもない個人が個人に対して助けに行くというのもおかしな話だし、どうやってこの状況になっているのを知ったのかという話だ。
「俺がボタンを押したら、俺の現在地と救命信号が送られるボタンを用意したんだ。ジャミングに負けないように対策しっかりした奴を。さっきそれを押したから来てくれたんだと思う」
「授業中なのに?」
「ああ。取り敢えずこいつら縛ってしまおう」
「そ、そうだね」
腑に落ちない様子ではあるが、尾白はそれ以上追求してこなかった。要の言ったとことに嘘はない。ただ、十影と要の関係を知らないものから見れば奇妙に思えてしまうのだろう。最も、要はそれを話すつもりはない。ただ、十影とは仲の良い友人である、とだけ言えば良いのだ。
ヴィランの手足を縛りながら、尾白は要に問いかけてくる。
「財田。さっきの人とは、どういう関係?」
「友人だ」
「え、それだけ?」
「それだけとは?」
要が問い返すと、尾白はなにやら手を動かしながら自分が聞きたかったことを説明する。
「いや、その、普通の友達だったらそんなことしないだろうから、なんか事情があるのかと思って」
「ああ、そういうことか」
そう答えた要は、その後しばらく無言のままヴィランたちを縛っていく。そして全員を縛り終えたところでようやく口を開いた。
「特に大きな事情があるわけじゃない」
「あ、無視されてなかったんだ」
「考えてただけだ」
一息つくと、要は自分と十影の関係について説明を始める。
「あいつの個性は、俺が全部勝手に言うわけには行かないが、かなり強力なものだ。それに比べて俺はこういう、戦うのには全く使えない個性だ」
「うん」
「だからあいつが、戦う分は自分に任せろと言ってくれたんだ。頭を使うのは俺に任せるからと。あいつの個性は耐久力も高いから、俺の代わりに傷ついたとしても大したことはない、らしい」
「それで、来てくれたの?」
「……ここから先は、俺とあいつの深いところに踏み込むことになる。それは、今の尾白には見せたくない」
「あはは、そう言われるとちょっと辛いね」
「別にお前が嫌いというわけじゃない。ただ、俺が両親を失くして1人で暮らしている、なんて話は、おいそれとすべき話ではないだろ?」
「……え?」
唐突にもたらされた要の事情に、尾白はほうけた声を出す。
「そういうことだ。人の深いところというのは、簡単に外に出すものではない。あいつは俺のそう言うところを知っている。だから気を使ってくれているだけだ」
さあ、行こう。そう言って要は身を翻し、エリアの出口へと向かっていく。その後姿を見ながら尾白は、つい今もたらされた情報に呆然としていた。
******
時は少しさかのぼり。緑谷、蛙吹、峰田の3人はヴィランの襲撃を退けたあと、入り口近くの最初に相澤が戦闘を始めた噴水の辺りまでやってきていた。
ヴィランを退けたことで気を良くした、というと慢心しているように見えるかもしれないが、純粋に相澤を助けたいと考えた緑谷、他の2人を説得してその場に留め、何かできることはないかと考えていた。
だが。
明確にそれは、甘かったのだ。
「なんだ、あれ……」
「緑谷、駄目だって、見りゃわかるだろ……?」
「ケロォ……」
それまでヴィランの集団を相手に善戦していた相澤、いや、ヒーローイレイザーヘッド。だが、それまで参戦していなかった1人のヴィランによって、一瞬で無力化された。
鳥の嘴のような口と、むき出しの脳みそと目。人と言うにはいささか異形が過ぎる見た目だが、その強さは本物だ。相澤が個性を消しているにも関わらずそのパワーは相澤を圧倒するもので、簡単に組み伏せてしまった。更に、その手で掴まれるだけで相澤の腕の骨が折れていく音が聞こえる。
と。先程USJの入り口まで移動していたはずの黒い靄、黒霧がヴィランの首魁の場所まで戻ってきた。
「死柄木弔」
「13号はやったのか」
「はい。ですが生徒の1人に逃げられました」
生徒達をあちこちに飛ばした死柄木は、そのまま入り口付近に陣取って残りの生徒がUSJから脱出しないように備えていた。その過程でプロのヒーローである13号の無力化には成功したのだが、代わりに生徒の1人に突破され脱出されてしまったのである。
脱出者がでてしまった以上、それが他のヒーローに伝わって彼らが揃うのにそれほど時間はかからないだろう。
「は?」
黒霧の言葉に苛立ちの声を上げた死柄木は、更に何度も怒りの声を上げながら体をかきむしる。
と。
何かが上から落ちてきた。そしてそれは、黒霧と死柄木が反応する前に相澤を拘束していた大男に体当たりをし、相澤の上から押しのける。
「なんだ、お前……」
「あーあー、ボコボコじゃねえか」
死柄木の言葉に答えること無く、その男、十影は、相澤先生の容態を確認し、近くで見ていた緑谷たちを手招きする。
「おい、あんたらA組の生徒だろ? これ持って離れてろ。下手に動かすなよ」
そう十影が指示を出し、緑谷が慌てて動き出そうとした直後、今度は死柄木が攻撃を指示した。
「殺せ、脳無。全員だ」
その指示を受け取った脳無は即座に動き出し、まずは自分を押し飛ばした十影に殴りかかった。その速度はそれまでの動きとは全く違い、緑谷たちの目には追えないもので。
だがその攻撃を受けた十影は、拳の進路をそらすことで相手の攻撃を無効化していた。
「良いパワーだ……!」
そう相手を讃える十影の上半身、そして下半身が大きく膨らみ始め、まだ原型をとどめていた制服が弾け飛ぶ。
「何の個性だ、こいつ……」
「気をつけてください、死柄木弔。脳無の攻撃を受け止めました」
「まぐれだろ。やれ、脳無」
脳無の攻撃に対してその2本の腕で対応した十影は、脇の下から3本目の腕を生やして相澤の体を掴み上げる。そしてそれを、多少の雑さはあるものの変に回転しないようにそっと緑谷たちの方へと投げた。
「え、うわ!」
「ゼンゼェェ!! 生きてるか!?」
「息はあるわ」
「お前らが守ってろ。こいつは骨が折れるぜ」
そう3人に告げた十影は、その固めた3本目の拳で脳無の顔面、というか脳みそ部分を思い切り殴りつけるが、たいして威力が発揮できている感じがない。
「パンチが効くはずないだろ。そいつは怪人脳無。オールマイトを殺せる化け物だぞ」
「んじゃあ斬撃で、ってことだな!」
死柄木が意気揚々とそう語った直後、今度は爪を生やした十影の3本目の腕が、脳無の右腕の脇から腰のあたりまでの肉をえぐり取った。だが、その傷もすぐにふさがり始める。
「へえ、回復か。良いじゃねえか」
脳無の圧倒的性能にも引けを取らず、楽しそうに戦う十影。それに苛立った死柄木は、今のうちに残りの生徒とイレイザーヘッドの命を奪っておく事に決めた。
「生徒の1人も奪っておけば、ヒーローに守れるものなんてないことを理解できるだろ」
そう呟いた死柄木が動き出そうとした直後。
『バガァァァン!!』
大きな音とともに、USJにの入り口が吹き飛ばされる。
――――もう大丈夫。
『私が来た』
彼のその言葉、叫び声ではなかったにも関わらず、彼を視認していたすべての人間の耳に、染み渡るように響いた。
******
「来たなオールマイト。社会のゴミめ。お前ら、とっととあいつをやれ。脳無、お前もだ」
死柄木の指示に、オールマイトという現代の絶対的強者に向かってヴィランたちが駆けていく。数秒と持たず無力化されたが。
そしてヴィランたちを無力化したオールマイトはそのまま、緑谷たちとヒーロー正面へと立ちふさがる。
「皆、相澤くんを連れてそのまま入り口へ!」
「お、オールマイトォォ!」
3人の中で最も混乱の極みにあった峰田がオールマイトの登場に大声を上げるが、緑谷は冷静に彼を見ていて、オールマイトが笑っていないことに気づいていた。
「おい、脳無、早くやれ。脳無?」
一方脳無に指示を出してオールマイトを殺させようとしていた死柄木は、脳無が反応しないことに疑問を抱き、先程まで脳無が戦っていた場所を振り返る。そして、信じがたい物を見た。
先程脳無と戦っていた何者かが、脳無を達磨にし、再生した端からその肉を削ぎ続けていたのだ。
「なにっ……! どういうことだ黒霧……!」
死柄木にそう詰めよられた黒霧も困惑した様子で首を振る。
「いえ、私もわかりません。確かに脳無は衝撃吸収の個性を持っているので斬撃自体は通用します。しかしあれほどまでたやすく無力化するとは……」
それをしている十影に、2人は薄ら寒い視線を向ける。オールマイトを殺せるだけの兵士を揃えたはずだ。脳無がその最たるものである。にも関わらず、オールマイトではないものがそれを無力化しているのである。
脳無を開放するために黒霧がその人物をワープさせようとすると、脳無に馬乗りになっていたそれは大きく飛び退ってオールマイトらの側までやってくる。そのときにはすでに、その体は普通の人間ぐらいのものまで戻っていた。そして衣服が破れたせいでほとんど全裸になっている。
「君は……何故君がここに?」
「あいつに呼ばれたので。それよりあれ」
オールマイトの質問に端的に返した十影は、あれと、既に手足が生え揃いつつあるそのヴィランを指さす。
「怪力と再生能力、それに打撃に対する高い耐性があるっす。痛覚はないっぽいですね。あんだけそいでも悲鳴上げなかったんで」
「……ああ、ありがとう。藤見少年。ここからは私の役目だ。君も、避難しなさい」
「りょうかい」
オールマイトの指示を受けた十影は、おとなしく言うことを聞き、緑谷から相澤をさっと奪い取ってお姫様抱っこをする。自分が強く、また不死身であるという認識はあるが、だからといってオールマイトよりも強いとは考えていなかった。だから、指示にしたがったのだ。
その後。オールマイトが脳無と戦ったものの窮地に陥り。それを後から知った十影が『自分がやっておけばよかった』と考えたのはまた別の話である。
そもそもどちらの方が強いとかいう話以前に、超回復力の相手に対する対策はオールマイトより十影の方が慣れていた。どちらかと言うと自分が晒される側であったが。確かに十影、というかSCP-682は、財団の攻撃によって常時無力化されて収容されていた。それを考えれば、脳無を無力化しつつ捕獲しておくのは十影には容易だったのである。
******
プロヒーローたちも到着し、ヴィランのすべてが無力化、あるいは撤退したあと、現場確認のために警察を待つ間生徒達はUSJの入り口で待機していた。その間にプロヒーロー達は、数名がスナイプの攻撃によって無力化されたヴィランを捕縛するために各エリアへと向かっていた。彼らの到着段階でまだ戦闘を行っていた生徒もいたので、その救助が優先されたが。
早い段階で入り口付近に到達していた要は、ウェポンやロープの手入れをしていた。ロープの方は持っていた殆どをヴィランの捕縛に使ってしまったので手元にない。ヴィランが警察に連行される以上すぐには戻ってこない、というか戻ってこない可能性が高いが、後で教師に報告しておいた方が良いだろう。担任の相澤は大怪我を負って搬送されてしまったが。
「なんでお前がここにいるんだ十影。いきなり授業を抜け出したとエクトプラズムから聞いたぞ」
「ああー、それは、まあ色々と理由があるんすよ」
要の耳に、そんな会話が聞こえてくる。それは十影と、B組の担任であるブラドキングとの会話だった。その内容を理解した要は、いつのまにかポーチに戻ってきていた装置を確認すると、ブラドキングと十影の方へと向かう。
「ブラドキング先生」
「ん、お前は……財田か」
「はい。十影の件ですが、俺が彼に救助を求めたので彼は駆けつけてくれました」
「ん? どういうことだ?」
ブラドキングの問いかけに、要はポーチから発信装置を取り出してそれを見せる。
「これが発信装置で、押すと救命信号が十影の持っていた受信機に送られます。強力なジャミング対策を施しているので連絡が取れない中でも十影に連絡が行ったんだと思います」
「……そうなのか藤見」
「はい、そうっす。要に危ないことがあったら俺が守るって約束してるんで」
悪びれない十影の言葉に、ブラドキングはため息を吐いて頭をかく。
「事情は理解した。だがこんな危険な場所に生徒を呼ぶな。教師を頼れ。おまえたちはヒーローの資格も持ってないんだ」
「基本はそうします。今回は連絡が取れない状態でした。それに十影の実力、個性による不死性は相当なものです。十分頼るに値すると思います」
「とにかく、基本的にヒーロー科の生徒であれ個性で人を傷つけることは禁止されているんだ。今回は校内ということで処理できるが、今後はしないように」
それだけ告げると、ブラドキングは他の教師に呼ばれてそっちに行ってしまった。後に残された要は、十影の肩を叩く。
「助かった」
「おう。ちゃんと機能したんだな、それ」
「ああ、いや……」
「あ? 違うのか?」
「ちょっとオブジェクト使ったんだ。後で説明する」
ブラドキングにああ説明したのは、デーズ氏について説明しないで済ませるためだ。危険が迫っていたとはいえ、新しいオブジェクトを召喚してしまったのである。
「まじ? 危なくない奴?」
「……使い方次第だ」
「わーお……」
驚いている十影は、1人だけ状況が違うということで戻ってきたブラドキングに連れて行かれた。その後要たちも警察からのちょっとした事情聴取を受け、その日は下校となった。
少し皆さんにお聞きしたいのですが、SCPのほとんど関わらない普通のヒロアカ的なところってどれぐらい興味がありますか? 例えば今回の襲撃事件はデーズ氏でてきたのでSCP関係ありますが、体育祭とかはオブジェクトもそれに関する話もでないし、あんまり関係ないと思います。そういう場面も楽しんで読んでいただけるんでしょうか。私としては要が活躍しないにしても普通に書きたいと思っているのですが、もしそんな場面いらないからどんどん飛ばせ、っていう意見があったら教えていただきたいです。いきなりそういう場面全部失くしはしませんが、描写でショートカットしたり描写量を減らしてそういう場面に早くたどり着くように気をつけたいと思います。
今回も、学級委員長決めなどのあたりもショートカットしてます。
この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンスに基づき作成されています。
SCP-662 執事のハンドベル
著者:Rick Revelry
URL: http://www.scp-wiki.net/scp-662
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私は現在、一日2話以上(全作品通して)の更新を行っています。ですが就職をした場合、これは週に1話かあるいは一月に1話など減ってしまう可能性が高いです。物理的に書く時間が無いので。
ですが私は、一生創作を続けたいです。創作に専念していきたいです。ですので、支援していただける方はお願いします。私は無数の物語を生み出していくことを約束します。月200円のプランを用意しています。ジュース2本ほど。私の小説にそれだけの価値があると思っていただけるなら、是非お願いします。