Muv-Luv ALTERNATIVE <The White Evil King>   作:段段だ段

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すみません。
このネタやってみたかったんでフライングです。


Muv-Luv ALTERNATIVE <The White Evil King>番外編その2

  

 

 

Muv-Luv ALTERNATIVE <The White Evil King>

番外編その2

 

 

 

     『義手』

 

 

 

 

とある昼下がり―――。

 

 

ここ、国連軍横浜基地の病室に怒声がひびいた。

 

 

 

「だーかーらー‼

病室に酒はさすがに不味いですって‼」

 

 

オレ、白銀武は病室のベッド上の布団を引きはがそうと全力で引っ張ていた。

 

「やーだー‼

のーまーせーろー‼」

 

「夕呼さんにいいつけますよ‼」

 

布団の中にはオレのはるか目上の上司—総司令官のプシュケー・ディアキリスティスさんが酒瓶を抱えて潜んでいた。

事の発端は夕呼さんからプシュケーさんの監視を命ぜられ、彼が酒瓶を傾けていたのを目撃し、没収しようとした所、抵抗されたという訳である。

あの最終決戦から左腕を失ったにも関わらず、イノベイターでサイボーグのプシュケーさんの膂力はすさまじく、ビクともしない。

人間とイノベイターではここまでの体力差があるのか…。

それにしても今日のプシュケーさんの精神年齢低いな…。

傍らに控える秘書官のサーシャさんは我関せずといった感じでケーキをつついている。

この人は自分とプシュケーさんの事しか考えていないからな…。

 

「騒がしいと思ったらアンタ達ね…」

 

病室に二人―いや、三人が入ってくる。

一人は夕呼さん、ここの副指令で、プシュケーさんの妻の一人、イノベイターである。

二人目は、霞―プシュケーさんの遺伝子を受け継ぐイノベイトで、赤ん坊を抱いている。

三人目は夕呼さんとプシュケーさんとの間の第一子、『香月朝日(こうづきあさひ)ちゃん』。

霞が私はお姉さまと喜んでいた姿は記憶に新しい。

 

「夕呼さん‼

聞いてくださいよ‼

総司令官が病室に…」

 

「酒でしょ…。

全くコイツときたら…」

 

夕呼さんはため息を吐きながら、髪をかきあげる。

 

「せっかくアンタにスペシャルゲストがきたというのに…」

 

「スペシャルゲスト?」

 

オレは呟く。

プシュケーさんは布団から顔を覗かせていた。

 

「それではどうぞ」

 

二人は半身はどかせた。

静かに病室のドアが開かれる。

 

 

 

 

そこに佇んでいたのは…。

 

 

 

 

知らないおっさんだった。

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・。

誰!!!!!

 

 

 

いや、誰!!!

本当に誰!!!!

この世界をループして三回。

こんな人間見たことないぞ?!

整備兵のおっさんも清掃員のおばちゃんも顔見知りなのに。

こんな人物記憶にないぞ!

おっさんの容貌は何とも表現しづらい。

身長の割に頭身が低く、その両目は虚ろで何も写していない。

顔は無精ひげで覆われ、両目の下の泣きボクロが余計不気味さを掻き立てる。

唇は紅を塗ったかのように真っ赤だ。

首にコルセットを巻き、右手にギプスを巻いているため入院患者には間違いないだろう。

こんな奴が衛士か戦闘要員だというのか?

おっさんははりつかせたような無表情でプシュケーさんに近づいてくる。

部下として不審者を取り押さえるべきだが、情けないことに体が動かない。

プシュケーさんも動かない。

 

 

「えっ…。

誰!

誰なの‼

私怖いんだけど?!

誰!!!

誰なの?!

…‼

瞬きくらいしやがれ!!!!

何とか言えコラァ!!!!!

誰?‼

おい‼

サーシャ!

撃て!!!!!!!!

誰?!」

 

 

 

知らないおっさんは無表情のまま、ずんずん病室を進み、プシュケーさんに向かっていく。

誰も動けない…。

誰かプシュケーさんを助けてやってくれ。

 

「誰よアンタ‼

あっちいきなさい!!!」

 

夫の危機を感じたのか夕呼さんが助走をつけ、知らないおっさんを突き飛ばす。

女性で戦闘要員では無い夕呼さんだが、イノベイターには変わりない。

人間の二倍の体力を持つイノベイターのもろ手突きは成人男性を軽々吹き飛ばす。

知らないおっさんは2m吹き飛ばされ、戸棚にぶつかり、動かなくなった。

流石に心配になる、動かないが大丈夫だろうか?

今度こそドアが開かれ二人の人影が現れる。

 

「その分なら平気そうね…」

 

「お久しぶりです。

父上」

 

意外な人物の登場に、オレは固く敬礼する。

『ベアトリクス・ブレーメ』総督。

ドイツ共同連邦の全権を握る女傑であり、東ドイツと西ドイツをまとめた英雄だ。

教本にも出で来る人物の登場に身をこばらせる。

二人目は彼女の娘の『イザベラ・ブレーメ』大尉。

総督とプシュケーさんとの間に出来た一人娘で、総督の親衛隊の隊長らしい。

 

「お招きにのっていただき、光栄ですわ。

ブレーメ総督」

 

夕呼さんは親しげにブレーメ総督に挨拶する。

ただの知り合いにしては親しげだな…。

 

「気にすることではないわ。

今の私は一人の妻だもの」

 

アンタ何人に手を出しているんだよ‼

しかも公認みたいだし。

アンタのほうがエロゲ主人公じゃないか!!

このハーレム野郎。

イザベラさんはプシュケーさんとハグし、そこに霞も混ざり、家族の会話を楽しんでいる。

やがて夕呼さんと挨拶を終え、ブレーメ総督も混ざった。

プシュケーさんと心配したのよとその後ハグをする。

挙句の果てにディープキスが始まった。

子供の前で何してんだ!

教育に悪いだろ‼

 

オレ以外イノベイター、イノベイトの状況に孤独感を覚える…。

それにしてもみんな家族か…。

場違いだし、オレ、出ていったほうがいいのかな?

身をひるがえそうとした瞬間。

ブレーメ総督が箱を取り出した。

 

「今日はあなたにお土産をもってきたのよ」

 

プシュケーさんはプレゼントのリボンを解く。

 

「あなたの新しい腕よ」

 

若干高い声でブレーメ総督が高らかに声を挙げた。

その声に前の世界でやってた、TVアニメの丸いフォルムの青狸ロボが頭にフラッシュバックするが、頭を振るい、忘れる。

プシュケーさんが箱から取り出したのは、赤い無骨な義手だった。

 

「なーんだ、義手かー…」

 

プシュケーさんは露骨にため息を付いた。

 

「ただの義手じゃあないわよ‼」

 

そう言ってブレーメ総督が義手の左手首部のスイッチを押すと、轟音と共に手首からが先から火を放ち、射出された。

手首は病室のドアをブチ破り、壁を破壊し、視界から消えていった。

相当な威力なのだろう。

その証拠に射出時にイザベラさんがブルーメ総督の後ろを支え、いまだに粉砕音が聞こえる。

 

「仕込み銃を内蔵しても良かったけど、あなたの身体能力にあわせ、ロケットパンチにしたわ‼

巻き取りワイヤー内蔵で回収もバッチリよ!!!

もちろん貴方のナノスキンと同じナノマシンを添付されているわ!!!

しかも二倍よ!!!」

 

ブレーメ総督の言う通りワイヤーが唸り、手首が戻る。

土煙ともに返り血が付いている。

誰かケガしてないだろうか…。

というかこんな人間兵器にこんな兵器搭載していーのかよ?!

これじゃあ武器人間じゃねーか‼

 

「ありがとう。

知ってる嫁」

 

ブレーメ総督の手ずから、喪失したプシュケーさんの左手に義手が装着される。

あーあ、武器人間完成したわ。

 

「こらー‼

アンタ達何、病室で何撃っているんですかー!!!!」

 

医務官が病室に飛び込む。

 

『アッハッハッハ!!!!』

 

皆何が楽しいのか、全員医務官を指さし、大爆笑だ。

朝日ちゃんもケラケラわらっている。

 

 

 

『素敵な腕をもらえて良かったね!

プシュケー‼』

 

 

 

オレ以外の皆が横に並び、窓の外からどことも分からない先を見てる。

知らないおっさんも混ざっている。

皆、満面の笑顔でキラキラと輝いている。

オレは今、何見せられているんだ‼

オレは頭痛を覚え、米神を抑え、失礼しますと退室した。

 

 

 

 

 




奴は一体、何者なんだ?
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