りあ・キナカーモ至上の愛の物語の吾助どんに転生したオリ主の話。
江戸時代辺りの日本に良く似た世界に転生した。
この世界で俺は農民の子として生まれた。
五番目に生まれたという事で吾助と名付けられたのだが。
俺が15歳になった時には既に家族の皆が流行り病で死んでしまった。
庄屋様の手助けもあって俺はなんとか生き延びる事が出来たが、広い家に独りの生活は辛かった。
けれど辛くても腹は減るし、動かなければ畑はダメになる。
辛さや寂しさを俺は田畑にぶつける事で日々を過ごす事にした。
それから15年の時が経った。
収穫の季節。
たわわに実った稲たち。
一人一人に名前を付けて育ててきた。
感謝の気持ちを込めて刈り獲る。
ありがとう、ここまで育ってくれて、ありがとう。
「おーい、吾助どーん」
この世界で初めて出来た友人のジャバ殿がやって来た。
隣には小さな娘子まで一緒にいる、あぁさては…。
ジャバ殿は嫁を貰ったそうだ。
大きな体のジャバ殿とは対照的に小さな嫁さんだった。
嫁か…思えばこの世界に転生してから農作業ばかりの生活だったな…嫁、かぁ…。
仲睦まじいジャバ殿と奥さんを見て、俺も嫁が欲しくなってきた…。
帰り道にあるお地蔵様に人参を供えてお願いしてみるか…。
あぁ、今日も夕日が綺麗だなぁ。
周りは一面畑だらけで近代的な建物は一切ない。
こんな綺麗な夕日が見れただけでも、転生した甲斐があったというもんだ。
それにしても…今日の夕日は何処かおかしい…。
こう、メラメラと燃えているような…。
………!!
ん、誰かがこちらに向かって何か叫びながら走ってきている…あれは…庄屋様か?
「吾助ぇえええええ!!わしの蔵に火がついて燃えて蔵が燃えて、燃えて、た、頼む!!わしの蔵から家宝の掛け軸を取って来てくれぇえええええ!!このままでは家宝が燃えてしまうぅうう!!ご先祖様に申し訳がたたんぅうううう!!!」
分かりました庄屋様。
庄屋様は家族を亡くした時に色々とお世話をしてくれた、わしの命の恩人だ。
庄屋様の為なら燃える蔵の中だろうと行ってきますだ。
「あぁすまん!!!すまん吾助ぇえええええ!!」
さて、ちと急ぐとするか。
俺は転生者だ、神様に出会ったり、転生特典とかチートとかもらった記憶はないけれど。俺はこの村の誰よりも強くて丈夫な体をしていた、家族の中で流行り病に掛からなかったのもそのお陰だ。
ほら、もう庄屋様のお屋敷に辿り着いた、俺は脚だって早いんだ。
燃える蔵の前に野次馬が並んでいたが、その野次馬を飛び越えそのまま俺は蔵の中へ突っ込んだ。
時間は限られている。
燃える蔵の中から家宝の掛け軸を探さないと…。
俺は口元を抑えながら燃えてゴチャゴチャになった蔵の中からそれっぽいものをいくつ抱えて蔵を出た。
服はボロボロになってしまったが上手く庄屋様の家宝の掛け軸を持ってこれたようだ、あとは…本?
紫色の、表紙の表も裏も何も書かれていない、不思議な本だった。
「へぇ、へぇ、へぇ…ご、吾助ェ!家宝の掛け軸は無事かァ!?」
はい、庄屋様。
この通り、無事でございますだ。
「でかした!!!でかしたぞ五助ぇえええええ!!褒美としてお前が持ち出したその本はお前にやる!持ってけぇ!!」
はい、ありがとうございますだ。
庄屋様は上機嫌に帰っていった。
「ご、吾助どん、大丈夫か?」
あぁ、ジャバ殿も見に来ておったのか。
わしならほれ、この通り、身体だけは丈夫じゃからな。
「はっはっは、流石五助どんじゃ!」
じゃが、ちと疲れたな…今日はもう寝る…。
「あぁ、ゆっくり休めぇ」
俺は家に帰り横になりながら庄屋様から頂いた本を読んでいた。
開いてみると何とも奇妙な文字や絵が書かれていて、やはりここは日本ではなく異世界なんだと再認識する事になった。
だとすると、この身体の丈夫さはこれから起こる何かに役立てる為に神様に与えられたのかもしれない。だけど俺はこの世界に転生してから農作業しかやってない、武器の扱い方とか魔法の使い方とか何にも知らない…大丈夫かな…。
ま、まぁ…可能性の一つだ。
この30年、疫病とか災害とか大変な時期はあったけど…。
怪物が現れたーとか他所の国が侵略してきたーとか全くなかったし噂話にもならなかった。この本だって海外から回って回って庄屋様のご先祖様が手に入れたただのマニアックな人が書いた本かもしれない。
ふぁ~ぁ。
それに、疲れて眠い、今日はもう寝ようかな…。
だが、服はどうしようか…。
焼けてボロボロになってしまった。
これじゃあ…着る服がない、ぞ…ちと、困った…んが~…Zzz…。
「ねぇねぇおっさん、おっさんってば」
ん?
誰だ、わしに何か用…か……。
瞼を擦りながら目を覚ますとこの世のモノとは思えない程美しい女性が目の前に立っていた。女性の服装は如何にもファンタジーに登場する魔法使いのような踊り子のような、とにかく、美しい女性が俺の目の前にいた、前世を含めてこんなに美しい女性は見た事がない。
俺の頭はどきがむねむねして爆発しそうだ。
あ、あなたさまはどなたさまでございまするか?
「我こそは大魔法使い、りあ・キナカーモだ。汝、ちとこまったんが~の呪文で私を呼んだ。願い事を一つ叶えてあげよう、何でも言いなさい」
なん…だと…。
今、彼女は何と言った?
願い事を一つだけ叶えてあげよう?
何でも言いなさい?
何でもって言った?
願いを、なんでも?
「ええ、なんでも一つだけ叶えてあげる」
それならば…り、りあ殿…。
「はい」
わしの、嫁になってくれんか?
「…はぃ?」
俺はこの世界に転生した理由を悟った。
そうだ、俺はりあ殿と出会う為にこの世界に転生したのだ。
この出会いは運命だ、ならばその運命に身を任せ、俺は彼女と添い遂げて見せる。
そなたを一目見た瞬間わしの魂はそなたに魅了されてしまった。わしはそなたの為ならば何でもする。だが人を殺すとかモノを盗むという悪い事は絶対せぬしそなたが悪い事をしようとすればそれを諫めもするし、そなたの身に危険が迫ればわしがそなたを守る。わしはそなたの嫌がる事はせぬし強制もせぬ、あ、夫婦になるのは嫌だというのは無しで頼む、だからどうか、わしと夫婦になってくれ。
「」
俺の言葉を聞いて、彼女は茫然としている。
「…ぷっ…あははははははは、面白いおっさんだね、気に入ったよ」
で、では…!!
「待ちなよ、そうだね…今日から10日間だけ時間を上げる、私はその間あんたの世話になろう、それで10日後…私がアンタに惚れていたら望み通りアンタと夫婦になって一生傍にいてあげようじゃないか。ただし10日経っても惚れる事がなかったら…魔法であんたの嫁さんを見つけてやるよ、いいね?」
わかった!
「ふふん。ま、よろしく頼むよおっさん」
わしはおっさんだが、おっさんという名前ではない。
わしの名前は吾助じゃ、りあ殿。
「ゴスケね…汝に与えられた時間は10日だ、明日より10日間、この大魔法使い、りあ・キナカーモを楽しませてみろ…」
りあ殿はとても楽しそうにそう言った。
残り10日。