ちなみに武ちゃんは憑依(記憶+肉体経験値)で元の記憶も混在
イッチは転移
1:名無しの重頭脳級
ちょっとだけ通信成功した模様
2:名無しの重頭脳級
やるやんけ!
3:名無しの重頭脳級
GJ!
4:名無しの重頭脳級
並行世界に移動したイッチと通信成功したんか(困惑
5:名無しの重頭脳級
事実を列挙するのをやめろ
6:名無しの重頭脳級
思考停止の刑を無差別にばらまくな
7:名無しの重頭脳級
イッチからの情報概要
・予想通りイッチがいないBETA襲来ちきう的な世界
・BETAはワイらと微妙に違いそう(創造主様権限が直接効かない)
・とはいえBETAの制御は乗っ取れそう
・現在横浜頭脳級の管理に挑もうって段階
8:名無しの重頭脳級
勝ったな(確信
9:名無しの重頭脳級
勝利確信がはやい…はやくない?
10:名無しの重頭脳級
向こうの世界とやらのBETAの性能がわからん以上慢心はアカン
11:名無しの重頭脳級
横浜ハイヴ支配できたらかなりでかいんやけどな
12:名無しの重頭脳級
地球上で戦闘級大戦やらかすわけにはいかないんだから、結局前回と同じで人類ベースで動いてもらわにゃならんのでは?
13:名無しの重頭脳級
あらゆる犠牲を無視すればイッチが創造主様直伝の最新の戦闘級作ってあ号くん(2)のところに凸るのがはやいけど
14:名無しの重頭脳級
スペックチラ見したけど、創造主様作の戦闘級はサスガダァ(恍惚
15:名無しの重頭脳級
戦闘級って今こんな強いんか(戦慄
16:名無しの重頭脳級
前回イッチのための戦闘級設計した奴とドリル兄貴がおこぼれで創造主様に褒められてたのうらやますぃ
17:名無しの重頭脳級
創造主様「ほーん、非戦闘用の重頭脳級にしてはこの戦闘級いい設計しとるやんけ!」
創造主様「なんやこのドリル重力制御(困惑」
18:名無しの重頭脳級
創造主様を困惑させるドリル兄貴とかいう変態
19:名無しの重頭脳級
ちきう民とイッチとちきう民体内移住計画立案兄貴も創造主様を困惑させてましたねぇ!
20:名無しの重頭脳級
なんだこの絶望的なやべー奴リスト!?
21:名無しの重頭脳級
心が弱い重頭脳級が見たら発狂不可避
22:名無しの重頭脳級
ちきう民はしゃーないにしても、一応コピー体であるはずの重頭脳級にどうしてイレギュラーは発生するんだろう…
23:名無しの重頭脳級
創造主様がちょっとランダム性を持たせたからね、しょうがないね
24:名無しの重頭脳級
言うてワイらもオリジナルからすればだいぶんイレギュラー寄りやけどなぶへへ!
25:名無しの重頭脳級
どっちかというと後輩くんがオリジナルに近いからな
26:名無しの重頭脳級
ワイらの出生はええねん。イッチの作戦どうするんや?
27:名無しの重頭脳級
前回の作戦がうまくいったから基本それを踏襲するとして、もっと効率化できんかな
28:名無しの重頭脳級
ぶっちゃけ前回ラストにやったジャミング撒いてカシュガル孤立させてイッチがあ号くん(2)凸るのが一番じゃない?
29:名無しの重頭脳級
その場合の問題点は
・カシュガルにあ号くんがいるか
・ジャミングがちゃんと効くか
・イッチがあ号くん(2)に勝てるか
・あ号くんに勝った後ちゃんとカシュガルを管理できるか
あたりかね
30:名無しの重頭脳級
ジャミングや管理は別で実験できるしいったん問題ないでしょ
31:名無しの重頭脳級
3個目も、前回はイレギュラーあったけど今回は創造主様製戦闘級やぞ。負けるわけないわ
32:名無しの重頭脳級
とはいえ、一個目も含めて情報が欲しいなぁ
33:名無しの重頭脳級
せやなぁ
34:名無しの重頭脳級
うん
35:名無しの重頭脳級
情報なぁ
36:名無しの重頭脳級
…
37:名無しの重頭脳級
とたんにトーンダウンしてんの草
38:名無しの重頭脳級
例のアレに一生怯えてんな俺ら
39:名無しの重頭脳級
いや頭脳級支配できたならそっからクラックすればよくね?
40:名無しの重頭脳級
その手があった!
41:名無しの重頭脳級
天才じゃったか!
42:名無しの重頭脳級
え、そんなことできんの?
43:名無しの重頭脳級
普通は無理だけどイッチはちょっといろいろあって
44:名無しの重頭脳級
創造主様直伝の技術取得+効果ないかもだけど上位権限付与+ハッキング自信兄貴達が寄ってたかって技術を伝授
45:名無しの重頭脳級
つよい(確信
46:名無しの重頭脳級
なんでイッチはこんなBETA絶対殺すマンと化してるんですか?
47:名無しの重頭脳級
なんでやろなぁ(目そらし
48:名無しの重頭脳級
一度起きたトラブルに備えるのは当然のことだから(震え
49:名無しの重頭脳級
死んだと思った悲しみと生きてた喜びで全員がはっちゃけた結果がこれです
「失礼します、香月副司令」
部屋に入ってきたのは、一人の衛士──鑑純夏であった。
背筋を伸ばし、敬礼する姿は凛々しいが、どことなく覇気がない。
それもそのはず。一週間ほど前に突如姿を消した、同じ隊員であり幼馴染である白銀武の身をだれよりも案じているのは彼女なのだ。
厳しかった訓練兵時代ならば脱走という線もなくはなかっただろうが、衛士として頭角を現しつつあるこのタイミングでの失踪は理由がわからない。
特に鑑は、前日にいつものように会話をしていた。もし、そのとき既に何か異変があったのだとしたら。それに気づけなかったという思いが、彼女を苦しめていた。
「敬礼はいいわ。楽になさい」
「はっ」
そんな時、香月副司令から呼び出しを受けた。
香月もあまりに前触れのない失踪に疑念を抱き、捜索を手回ししていたと聞いている。
もしかしたら、何か進展があったのでは。
もはや藁にも縋る思いで、鑑は香月の言葉を待った。
「そんなに睨まないでよ。何の件かは想像ついてるんでしょ?」
「ッ、じゃあ!?」
「無事よ。で、あんたにちょっと言っとくことがあるの」
無事。よかった。本当に、よかった。
その場に崩れ落ちそうになるのを何とかこらえ、ジワリとにじんだ涙をぬぐう。
「落ち着いた?」
「はい。あの、失礼しました」
大した時間ではなかったが、とてつもなく忙しいであろう身で落ち着くのを待ってくれたことを鑑は謝罪する。
同時に、なんだか今日の副司令優しいな、とも思う。
鑑は今この瞬間まで余裕がなかったため気づかなかったが、そのことは基地の面々がうっすらと感じていることだった。
張り詰めた弦、研ぎ澄まされた切っ先のようだった雰囲気が、ここ最近は少し和らいでいるのだ。
「それで話だけど、そもそも白銀の件は失踪じゃなかったのよ」
「失踪、じゃない?」
そう、と香月はうなずく。
「あたしの研究に協力させてただけ。内容はアンタには知る権利はないけど。ま、極秘任務ってやつね」
「……へ?」
そんな馬鹿な、と鑑は思う。白銀の失踪は、それなりに騒ぎになったのだ。
香月ならば、こんな目立つようなことはせずもっと静かにやるはず。極秘任務なら、姿を消したと騒ぎになっていることがおかしい。
そこまで考えて、鑑はそれ以上の考察を放棄した。なぜならば相手はあの香月夕呼なのだ。自分なんぞが考えを読むことなんてできるわけがないだろう。
騒ぎになることも、何か作戦の一つなのだろう。きっと。たぶん。
「それで、実験はうまくいったんだけどちょーっと記憶と体に影響が出ちゃって。違和感があるかもしれないけど、そういうもんだって納得しときなさい」
「記憶と体……って、大丈夫なんですか!?」
「大丈夫じゃなかったら病院にでも放り込んでるわよ。奥の部屋にいるから、顔合わせときなさい。まだしばらくはあたしの仕事に付き合わせるから」
香月のその言葉を聞き、鑑は頭を下げてから奥に走り出した。
部屋に入ったのを確認した後、香月は小さく息を吐きながら手元のモニターを付けた。
そこに映るのは、鑑を力強く抱きしめる白銀の姿だ。雰囲気も含め、様子がおかしい白銀に鑑は困惑しているようだったが、それでも目を閉じてそっと抱きしめ返していた。
若い二人の抱擁を覗き見するような趣味はないが、感極まった白銀が変なことを口走らないよう見張っておかなければならない。
あとは、感極まった二人がよからぬことをおっぱじめないよう警戒しておく意味合いも含まれる。
自室で何をしようが知ったことではないが、さすがに人が仕事をしている横で運動会を開催するようなら雷を落とす準備が香月にはあった。
『よがっだでずねえ、白銀ざん……! 本当によがっだ……!』
抱き合う若人が映るモニターの横のモニターに映るのは、六つの大きな眼球っぽいものから滂沱の涙を流し各々の触腕に用意したタオルで器用にふき取っている妙な忙しさを発揮しているMr.ONEであった。
再会の様子を見たいということで映像を共有しているのだが、反応は香月の予想外であり、ある意味予想通りだった。
BETAの目にも涙。いったいどういう場面で使う慣用句だろうか。
おそらく、世界全員と自分では意味合いが異なるだろうと、そんなことを考える。
Mr.ONEからも目をそらして次に見たモニターに映るのは、とある一通のメールだ。
送信元は、なんとMr.ONEが元居たという並行世界。送信者は、その世界に生きる香月夕呼──つまり、並行世界の自分からであった。
内容はMr.ONEが地球に来てからと、この世界に来るに至った経緯についてだった。過去にMr.ONEから聞いた通りであり、あれマジなのかよ、とショックを受ける以外に特に情報はなかった。
それ以外に、00ユニットに関する根本的かつ革新的な意見書。これまで香月が考えていた方法とは全く異なるアプローチであるそれは、確かに00ユニットを完成させたのだという説得力を十分に抱けるものであった。
そして、一枚の写真。送れるデータ量に制限がある中でもあえて送られたそれには、五つの姿があった。
香月夕呼、白銀武、おそらく00ユニットだろう鑑純夏。
そして、二体の重頭脳級。片方はMr.ONEで、もう一体は雑談時に話題に出た優秀な後輩だろう。
重頭脳級の表情はさすがにわからないものの、三人は自然に笑っていた。辛酸をなめたであろう白銀も、地獄を見たであろう鑑も。
そして、自分と同じ顔が写真で見せている表情を見て、香月は理解したのだ。
「やり終えたのね。そっちの私は」
画像を閉じる。こっちの自分はまだやり終えていない。まだまだ、やるべきことをやらねばならない。
ちなみに、メールはすでに返信済みだ。Mr.ONEからは状況の報告を、香月からはこちらの世界の経緯についての情報共有を送ることとなった。
なお本文の最後に『勝利の美酒は随分と甘露なようで』と付け加えた。自分ならば、きちんと受け取ってくれることだろう。
メールを閉じてMr.ONEのモニターを見ると、ようやく涙が収まったようでタオルを畳んでいるところだった。
「落ち着いた?」
『はい。あの、失礼しました』
さっき同じようなやり取りをしたような気がする。
『しかし、これもBETAがいなければ必要なかった再会ですからね。同じ悲劇が少しでも減るよう、早く対処しなければ』
「そうね。準備も整ってきたし、まずはアンタのお披露目ね」
最初の、ともすれば最大になるかもしれない山場が迫っている。ここが頑張りどころである。
香月は改めて気合を入れなおす。これ程に御膳立てされて、自分が失敗するわけにはいかない。
『……ところで香月博士。もしよければお尋ねしたいのですが』
「ん、何?」
タオルを畳み終えたMr.ONEが、モニター越しに香月へと向き直った。
『こちらの世界にも、00ユニットの素体として選ばれる境遇となってしまった方がいると思うのですが、それはどのような方でしょうか』
「素体……ああ、アンタと白銀の世界では鑑がそうなってたんだっけ」
世界間にまたがる差異の中でも、特に大きな点の一つである。
日本だけでも数千万人だ、Mr.ONEと知り合いである可能性はほぼないが、因果から言って知り合いである可能性も十分ありうる。
「アタシも捕まる前に会ったわけじゃないから、あるのは資料くらいだけど」
言いつつ、調査資料をMr.ONEが見ているモニターに表示した。
資料は簡潔にまとめられており、名前と顔写真、プロフィールが記載されているものだった──