1:名無しの重頭脳級
英雄の凱旋だ!
2:名無しの重頭脳級
ヒャッハー!
3:名無しの重頭脳級
祝え!新たな英雄の誕生を!
4:名無しの重頭脳級
イッチのコメント「香月博士が『BETA着陸ユニットじゃないから絶対撃墜するなよ、絶対だぞ!』って周囲にすっごい念押ししてて草」
5:名無しの重頭脳級
草じゃないが
6:名無しの重頭脳級
ふりかな?
7:名無しの重頭脳級
通信制限がまだ撤廃できてない中容量を割いてクソどうでもいい感想を伝えてくる重頭脳級の鑑
8:名無しの重頭脳級
実際撃墜されてたら国際問題とかいうレベルじゃないから
9:名無しの重頭脳級
イッチが撃墜されたのも懐かしいですねぇ
10:名無しの重頭脳級
そんなことあったなw
11:名無しの重頭脳級
あんときはマジでイッチがポンコツすぎて困惑してたわ
12:名無しの重頭脳級
考えてみると遠いところまで来たな…
13:名無しの重頭脳級
遠い(異世界
14:名無しの重頭脳級
ちょっとそこまでは想定外かなって
15:名無しの重頭脳級
しっかし前回と違ってやれることがねーな
16:名無しの重頭脳級
ハイヴ攻略用のあれこれはアプデ続けてるけど、前から劇的に変わったわけでもないしな
17:名無しの重頭脳級
月面ハイヴでもジャミングちゃんと効いててウレシイ……ウレシイ……
18:名無しの重頭脳級
命令上書き弾もあっちのBETA用にアプデ済みだぜ!
19:名無しの重頭脳級
有能兄貴達もようやっとる
20:名無しの重頭脳級
今回はODLいらないんか?
21:名無しの重頭脳級
あっ、ちきう民体内移住計画立案兄貴は座っててもろて…
22:名無しの重頭脳級
横浜ハイヴ乗っ取り成功したんで一旦大丈夫ですはい
23:名無しの重頭脳級
そうか、ならワイは拡張作業に戻るで
24:名無しの重頭脳級
あっはい、いってらっしゃい
25:名無しの重頭脳級
何を拡張するんですかね…?
26:名無しの重頭脳級
シッ、静かにしてろ!
27:名無しの重頭脳級
きっとハイヴでしょ(震え
28:名無しの重頭脳級
これが創造主様ドン引き重頭脳級の貫禄か壊れるなぁ
29:名無しの重頭脳級
ガチで上位に入る有能重頭脳級なんですけどね…
30:名無しの重頭脳級
そういやドリル兄貴はどうしてんだっけ?
31:名無しの重頭脳級
創造主様からお呼びがかかって本星近くに移動中らしいぞ
32:名無しの重頭脳級
すげーな、エリートじゃん
33:名無しの重頭脳級
イッチ助かったMVPでもあるしな
34:名無しの重頭脳級
イッチと後輩くんもお声がかかってるけどそれどころじゃないからな
35:名無しの重頭脳級
後輩くんは人類との融和でクッソ忙しいのに加えてイッチがね…
36:名無しの重頭脳級
そういやイッチはこの世界から突然いなくなったわけだけどなんか説明したんだっけ?
37:名無しの重頭脳級
一応対外的には、大功を立てたってことで創造主様からお祝いを受けるため母星に帰還中ですってことになってたはず
38:名無しの重頭脳級
前触れなくいきなり消えてんのにそれで納得してもらえたんか
39:名無しの重頭脳級
過去に二回前触れなく消えてるからね、しょうがないね
40:名無しの重頭脳級
あんときも結構騒ぎになってたからな
41:名無しの重頭脳級
二度あることは三度ある。ちきうの昔の人は真理をついてますねぇ
42:名無しの重頭脳級
三度目の正直(ガチのいくえ不明
43:名無しの重頭脳級
イッチが消えたからサクラちゃんも束の間の平穏を得られたかなと思ったけど、めっちゃ心配してくれてんの心が痛い
44:名無しの重頭脳級
根がいい子過ぎる
45:名無しの重頭脳級
イッチが裏山死刑
ワイがちきうに行ってイッチだよって名乗ればワンチャン…?
46:名無しの重頭脳級
一目で見抜かれそう
47:名無しの重頭脳級
ガチ目に軽蔑されそう
48:名無しの重頭脳級
マジで嫌われそう
49:名無しの重頭脳級
やっていいこととアカンことってあるやろ
50:名無しの重頭脳級
(´・ω・`)
51:名無しの重頭脳級
思いを変にこじらせてないでまじめに仕事しとけ
「もう、限界、でぇぇぇす……」
ブシュー、と比喩ではなく体から蒸気を吹き出しながら、00ユニット──鑑純夏が椅子に座り込む。
「純夏、ほら!」
駆け寄ってきた白銀から、ストローの付いた特殊な容器を手渡される。
ぐるぐると目を回しながら、危うい手つきでそれを受け取りどうにかストローを口に含む。ちゅうちゅうと中身を吸い上げコクリコクリと飲み干していく。
「ふへぇ~、生き返るぅ~」
ふにゃあ、とふやけた表情を浮かべ溶けるように椅子に体を預けた。
この飲料、経口摂取用特殊ODLtypeC──通称、ODLコーラ味は、少し前にMr.ONEやフィアの知り合いという重頭脳級によって開発されたものだ。
経口摂取可能かつ大きな手間のかからない容器で持ち運び可能で、なおかつ舌触りと味付けまで完全にコーラを再現したそれは、00ユニットである鑑に驚きと喜びをもって受け入れられていた。
常軌を逸脱した職人技による発明に、白銀と鑑は開発者である重頭脳級に深く感謝し、Mr.ONEとフィアを「すごい友人がいるんですね」とほめたたえた。
それを受けた両者の反応は、ええまあ、とどうにも奥歯に物の挟まったような言い方で視線を逸らす、というものだった。
鑑は気づかなかったようだが、それなりに奇人変人との付き合いがあった白銀は何かを察して、それ以上の追及は控えたのだった。
「お疲れ。前回よりもまた通信量が増えてるわね。頑張るのはいいけど、無茶しすぎないでよ? 倒れたら元も子もないんだから」
「えへへ、気を付けます」
並行世界との通信は、当然ながら簡単なことではなかった。
00ユニットという超性能のコンピュータをフル活用して、フィアとMr.ONEの因果やあちらとこちらの類似点から無理やり世界を特定し、半ば力押しで回線を開いているのだ。
その00ユニットをもってしてなお負荷が高すぎるため、ちょっとしたデータのやり取りが限界である。それでも、情報のやり取りであれば文章で可能なこともありどうにか向こうの状況を把握できるに至っていた。
とはいえ鑑の負荷が大きく、一日一度が限界だ。無理はできるかもしれないが、必要なのは継続的なやり取りであって無理をして通信断絶となってしまっては何の意味もない。
過負荷で顔を真っ赤にした鑑に、社が手に持つうちわで風を送る。せいぜいそよ風でしかないが、気分が重要なのだ。何せ、冷却システムはフル稼働しておりフィアがすべての触腕を振るって風を送っても誤差にしかならないのだから。
風鈴の音で心涼し気に。これも、鑑の精神が安定を示している指標ともいえる。
「じゃ、鑑は部屋に戻って今日は休むこと。白銀、アンタは付き添い。社、見張りをお願いね」
「わかりました」
「…」
手慣れた様子で鑑に肩を貸し、おぼつかない足取りの鑑を支えながら自室へと向かう白銀。社も一礼し、二人のあとをついて退室した。
ここまでは何度も繰り返された流れであり、全員落ち着いた様子であった。
「で、さくら。体調はどう?」
「あっはい、とくに、何も」
そしてここ数日追加されたのが、この確認であった。
部屋の片隅で邪魔にならないように椅子に座り、緊張した面持ちで香月の問いかけにこたえるさくら。さくら本人はなぜここに自分がいるのか、なぜ体調を気遣われるかがさっぱりわかっていなかった。
基本的に、さくらの仕事は主にMr.ONEとフィアという二人の重頭脳級の世話役、というものとなっていた。エリートでも何でもない一般兵でしかなかったさくらがなぜそんな人類にとって重要この上ないポジションについてしまったのかは割愛する。
思いもよらず重要人物の一人となってしまったが、だからと言って何でもかんでも機密に触れてきたというわけでもない。繰り返すが、元は単なる一般兵。触れていい情報にも限度がある。
そんなわけで、かつては海上に設置されたハイヴ、今は横浜基地に拠点を移動しているものの、Mr.ONEとフィアに与えられた部屋にて待機し何かあれば対応するというくらいで、横浜基地の深部はおろか香月とのかかわりも仕事以上ではさほどなかったのだ。
ここ最近は事故によりMr.ONEが特殊な行方不明になったとか何とかで、フィアも基本は横浜基地深部にあると噂の香月の研究室に出ずっぱりとなっており、さくらは手持無沙汰となっていた。どうやらかなり深刻らしく、なんだかんだかかわりも長いさくらは心配しつつも何もできず悶々とした日々を過ごしていた。ある日からフィアの雰囲気も明るくなり、どうやら好転したらしいと内心安堵していたころ合いだった。
突然香月に呼び出され、訳も分からず深部の研究室へ。そこで何が起きているのかよくわからない実験を眺めつつ、実験終了時に体調を問われる。
いったい何がどうなっているのやら。
何度目かになる問いかけの意図を聞きたいところだが、とんでもないくらいの偉い人である香月にそんな真似ができるわけがなかった。
「そっ。とにかく、少しでも異常を感じたらすぐに言うこと。身の回りには気を付けること。いいわね?」
ものすごくふわっとした命令だが、上官命令とあれば従うしかない。
さくらは立ち上がり敬礼で返す。いいから、と手であしらわれ、研究室を退室する。さくらが戻る先はこの度新たに用意された部屋であり、それは機密保持や安全のための配慮であった。
「ひとまず、さくらさんに影響はないようですね」
「まあね。想定から外れないでいてくれるのは助かるわ」
さくらを見送った後、残された二人──フィアと香月は、さくらが出て行った扉を眺めながら安堵の息をついていた。
Mr.ONEから送られてくる連絡。その中に、ある日あちらの世界での00ユニット素体についての情報があった。あちらでは鑑ではなく、さくらが捕らわれているということだ。
Mr.ONEが気にかけていたのは、かつて香月から教えられた因果による影響についてであった。つまり、悲惨な目にあってしまっているあちらの世界のさくらの因果が、メールを介してこちらの世界に届いてしまわないか、という点だ。
香月としては、危険性はほぼないだろうと判断していた。わずかにメールが届く程度では因果が届くとは考えづらい。しかし、絶対と言い切れるものでもない。それ故、万全を期すためにさくらをより安全である場所に移動させ、通信実験時には即座に異常に気付けるよう参加させるようにしたのだ。
しかしどちらかといえば、こちらの因果があちらに届く方が可能性が高い。何せ、こちらのあらゆる因果をひっくり返した本体があちらに行ってしまっているのだから。
危険性があるとすれば、それなりに友好関係を築いている鑑だろう。ただ、その鑑も同じくとんでもない因果を引き連れてやってきたであろう白銀が傍にいることを考えると影響はほぼないと見ていい。
そう、むしろ──
「…あっちでは月面攻略成功、か。随分と好き放題やってるみたいね?」
「かなり無理をしている、ということでもあります。時間がかかるとはいえ、横浜ハイヴからでも行動は可能だったのですから」
話を変えると、普段冷静沈着なフィアにしては珍しく大きくため息をついた。
どうにかして連絡が取れるようになってからはフィアもほぼ普段通りに戻っていたのだが、最近はまたどうにも落ち着かない様子であった。
それも仕方のないことだろう、と香月は思う。思い返してみれば、こちらの世界でもかなりリスクのある行動を何度かとっていたようにも思えるのだ。
「前のめりな先輩を持つと苦労するわね?」
「博士の友人も、そうなのでしょうね」
ごめんて。
今回の件では一切フィアに頭が上がらない香月は、珍しく素直に謝罪の意を表明するのだった。
こっち回