街の一部は奇妙な生物によって食され、歪んだ空間に押しつぶされて破壊が大規模になっている場所もあった。早めに対処したのでこの店は被害がないようで落ち着いた時間を過ごせている。
「それで、あんたは仕事で来たけど相手が時間に遅れてるってわけか。この街だと何があるかわかんないしね〜相手さんさっきの騒動で死んでるんじゃない?」
ふむ、それぐらいで死なれると流石に困るので希望的観測を含めてありえないと仮定したいところだが……ふむ、結界に包まれて曖昧な街はある意味で箱の中の様なものだ。
私はこの世界と言う小さな箱庭の主ではないので観測は出来ていない…とするなら私の仕事相手は生きているとも死んでいるとも言える状態だ。ならば箱の中身を知る者を待つのが私の役目だ。
「蓋を開ける奴を待ち続けるなんて健気とでも言ってやれば良いのかね。それでお代わりはいるのか?」
ふむ、コーヒーだけで粘るのも悪いだろうし、だいぶ遅れているようなので料理の方も追加でもらおうかな?バブラデュゴバーガーに……そうだなバーガーにはコークが良いだろう。大コークを一つお願いするよ。
「あいよ〜それにしても相手が来なかったらどうすんだ?ウチは24時間営業じゃないからな」
ふむ、ご心配ありがとう。だが安心してくれて構わない。相手が来ずに伝手を使えなくとも泊まる場所の宛くらいはすでに作っていると騒動の前にもらった連絡先と住所のメモをヒラヒラと見せつける。
「名前からして男かぁ?今日が初めてって割には戸惑いがないねぇ。外から来て初日にこれを頼む奴も早々いないよ。バブラデュゴバーガーと大コークお待ち」
ふむ、面白いですね。外ではあまり見かけない容姿ですが、これよりも見た目のグロイ昆虫食もありますし、蠢いてるのも踊り食いと思えば特に可笑しくはないですね。
料理の過程で弱るのか、それとも単純にパンズやその他の具の重みの所為なのか、まぁ正確な理由は分からないが動きは鈍くて読みやすい。わざわざ取り出して、森に離しでもしない限りは逃げられる心配もない。……まぁ、この活きの良い具が森林生物かは知りませんが、とりあえず頂きましょう。
ふむ、牛や豚などの家畜とは違いますし、虫の様にたんぱく質を感じる風でもない。独自のものですが旨味は確かですね。バーガーにされてるだけあって肉厚?ですし、パンズやその他の具材とも合いますね。
おっと、あなたのその手が暴れるとバーガーの周囲に配置されてる付け合せのポテトが落ちるでしょう。コークを飲んでる間に蠢く四肢を的確にナイフで突き刺して封じる。やっぱり、バーガーやポテトにはコークが良いですね。
「お食事中に失礼いたします。ソレイユ・ハルシオン様でお間違いないでしょうか?」
のんびりと食事を楽しんでいると一見ボロボロに見える容姿をした老人が立っていた。ふむ、面白いですね。血の揺れを感じていなければ店に入るまで気付けなかったかもしれない。
おそらく彼はただの人ではないのでしょう。纏う雰囲気が周りに合わせようとしているこちら側に似ている。とりあえずは話を聞いてからにするのが良いだろう。
「ふむ…そうだと言ったら?」
「お約束の時間に遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。クラウス様の執事のギルベルトと申します。お迎えに上がりました」
クラウスと言うのは先に聴いていた情報にあるライブラのリーダーの名前だ。おそらく彼は迎えに間違いはないだろうが、少しタイミングが悪かったな。まぁ、騒動の所為だろうと思えば悪くはない。あれは面白い体験だった。
ビビアン君、そこのナプキンはもらっても?…ああ、包んで持ち帰らせて貰うよ。また、機会があれば寄らせてもらう。あぁ、ソレイユと呼び捨てで構わないよ。それではMr.ギルベルト、案内をお願いするよ。
眼の前を進んでいく執事の後ろをそっとついて歩くが、食べ物をしまっておける様な入れ物もないので少々間抜けな状態かもしれないな。だが、流石に食べながら歩く様な真似は出来ないので仕方がないだろう。
そんなどうでもいい事を思い浮かべながら、全容どころか端的な情報しか知らないライブラについて案内人に尋ねて見るのも悪くないだろう。
「ここからライブラはそう遠くないのかな?」
「ええ、空間転移術式を用いた入口が各所にあります。こちらになります」
尋ねるには少し遅かったようですぐにその入口とやらについてしまったようだ。まぁ、疑問を解き明かす機会はライブラに訪れた今となってはいくらでもある。
普通の扉にみえるそれは確かに特別なもののようだ。先行させていた血があちこちに飛び散ってしまったが、面白い体験をしたと思っておこう。
「この扉の先がライブラの本部となっております」
どうぞと言わんばかりに扉を開くと端によっている。確率としては低いだろうが罠だとしてもそれはそれでアリだ。私は嬉々としてその扉をくぐった。
「ようこそライブラへ、ソレイユ・ハルシオン殿。我々は貴女を歓迎する」
ふむ、威厳ある出で立ちはしている。汁外衛の言っていた弟子を二人預けたという滅獄の使い手、クラウス・V・ラインヘルツか……垂れ幕に料理の数々、いきなりは憚られたのか机に置かれたクラッカー、面白いやつには間違いなさそうだ。
「ソレイユ・ハルシオンだ。急な要求に応えてもらい感謝する。ヘルサレムズ・ロットにて世話になる間はそちらに手を貸すのも吝かではない。期間がどれほどになるかは分からんがよろしく頼む」
どうなるかは分からないが、この街の面白さは一日である程度把握できた。遊び相手にもここなら困りはしないだろう。調査を辞める気は無いが、向こうに行く前にここで楽しむのも悪くない。
ところでそこで溺れかけているのはもしかして神々の義眼の所有者だろうか?指摘すると気づいていなかったのか周囲の者たちが何事かと慌てている。それとそっちの娘は同族だったか、逃げ延びたようだが無駄な手間をとらせたな。まずは説明も含めて交流を図るとしようか。
こちらの主人公、分別などは価値観の一つとしてある低度理解はしているが、性質的なものは十三王よりの存在…実力がある問題児枠に入る。
興味あるものには首を突っ込み、興味がはれるまで検証と称して周りを巻き込んだ実験を行うこともある。
そして何よりも分かりやすい彼女の性質を言うならば「戦闘狂」です。修行とかも好きな感じです。
周りに迷惑をかけてはいけないという思いはありますが、ストッパーは気づけば外れていますし、死んでいなければ良いだろうというのが判断基準。
簡単な稀釈であれば同族は分かるだろうし、レオの神々の義眼であれば稀釈したものを感じ取れるでしょう。そして、感じ取れてしまった結果が血液に文字通り溺れてしまう状態。詳しくは次回の話の中で語られます。
それとこの話に関係の無い情報ですが、私の執筆に使っているパソコンが現在壊れています。直りませんし、お金がないので買えてもいません。この話もスマホで書いています。何が言いたいかというと、元々この作品は不定期投稿ですと言っていますが、全体的に執筆がかなり遅くなります。詳しくは私の活動報告をご覧ください。
後は特別に言うことは無いかな?
それではいつもの挨拶でさようなら。
読んでくれている方々に多大なる感謝を。