緋き羽根纏いし高貴なる存在…古くから伝えられ、有名でありながら一般にその存在が正しく知られていない。闇を生きる彼等は人の手には余る出鱈目そのものと言える。
だが黙って殺されるだけではない。血を啜る牙を断ち切る為に磨がれた、不死者を死なせるその矛盾とも言える偉業を成し遂げる為の牙が人にもある。
「ちょっと、ポイントから見てるけどあれ結構ヤバそうよ。早めに観測役は下がっときなさい」
ライブラきっての銃火器戦闘のスペシャリスト、中でもその狙撃の腕前は警察の狙撃部隊を軽く凌駕する。そんなK・Kであっても見えない相手は狙えず、
それでも普通の人間では到底狙う事が出来ない地点から何時でも狙撃出来るようにしながら対象と現場を見据え、時が来るのを待っていた。
だが、人間の肉眼で捉えられるギリギリを見極めたその場所から小さな、本当に微かとしか言えない表情の変化が、口角の上がる動きを見た瞬間にK・Kは反射的に引き金を引きながら叫んだ。
「逃げなさい!!気付かれてるわ!!」
多くの事件…それこそ軽く世界が滅ぶ様な事態に対処してきたライブラの構成員、末端であっても最低限、生きて事を成す為の動きが出来る。
K・Kによる狙撃の一撃、細胞レベルで破壊する電撃が着弾と同時に迸り、一秒にも満たない僅かな時間稼ぎと的確で短い指示に従った事で彼らの命は首の皮一枚で繋がった。
そして同時に、対象の近くに存在していた人類型と異界存在、この時だけはその間に一切の差もなく、全てが『転化』して
「どんな速度をしてんのよ……間違いなく
『時間を稼いでくれ、全速力で各員向かっている所だ』
もう少し余裕があれば完璧な配置を敷いてから戦いへ入れたのであろう。しかし、既に引き金は引かれた後となれば形振り構っているなんて愚行だ。
「あんた相手に弱音を吐くなんて絶対にしたくないけど、本当にしたくないけど、死んだほうがマシだけど…」
『どれだけ嫌いなんだい僕のこと?!』
「速くしないと保たないわよ」
どれだけ距離が離れていると思っているのか、
「954
どれだけ絶望的であろうと諦める様な者はライブラに存在しない。ここに絶対的な強者に対する大いなる時間稼ぎのその戦端が開かれた。
K・Kの目の前にいた存在はその分かりやすい能力の中では『再生』と『転化』の二つがずば抜けていた。
電気を含んだ攻撃で焦がしても直ぐに逆戻り、普通のビデオの様だが対面してる身としては呪いのと頭に付きそうなぐらいに嫌な光景だろう。
攻撃が致命と成り得ないのは百も承知、今の世界で
それに対して『転化』がずば抜けていると言うのは殺すのが早い訳ではない。自身の周りにいた全てを殺している訳だから遅いなんて事はない。ただ遮る者がいない状況で向こうにやる気があるとすれば、同じ
ならどうずば抜けているのかと言えば、殺した存在を作り変える速度、そして作り変えられた
だが数が増え、囲まれれば不利な事に変わりはない。とは言えそちらにかまけて
作る変える速度が速いだけでも後手に回れば危険だ。そして今回に限ってはその
初めに視線があった次の瞬間には
もっと単純に考えるなら、変えられた
その何方なのかはまだ分からないが、一体一体が今までに戦ってきた
囲まれるのが不利なのは先にも言ったが、群れを放置して被害者が出ると更に群れが大きくなってしまう。そして群れの対処に回れば余裕で致死の攻撃が背中に目掛けて飛んでくる。
多少の距離なんて関係ない
即座に二丁拳銃に持ち替えて銃口を向けるが、最適化された彼女の動作よりも鋭く、速い一撃が突き刺さる……
「エスメラルダ式血凍道」
…事なく、氷を纏った蹴りが見事に突き刺さり、相手の身体を凍らせ、砕きながら吹き飛ばす。
「あんた本当に狙ってないわよね?!」
「いつも全速力なんだけどなぁ」
砕かれた身体を再生させながら空中で体勢を整えようとしている相手に糸のように細い赤が絡みつく。
「「
その直後に放たれた業火と暴風によって再生していたその身が再び崩れていく、崩れ行く中でも再生を続けているがその場に留めておくには十分だ。
「デル・マヌスタルス・ケッテ・ジガ・ナクヴァヘイト」
長く、分かりづらく、読み上げにくいことこの上ない。何も知らないものからしたらそれが名前だという事さえ分からないであろうソレは目の前の存在を落とさせる。
「貴方を密封する…憎み給え…赦し給え…諦め給え…人界を護るために行う我が蛮行を…ブレングリード流血闘術999式」
諱名を読み上げられ、呼ばれる存在となり、そのまま滅嶽の血に呑み込まれる様に、一切の隙間なく包まれ、十字架となって封じられた。
「よし、後は撤収するだけ…と言いたい所だが
『な、なんだコレ?!ヤバいです皆さん!!』
「どうした?!
『さっきの
「なにっ?!」
『皆さんを警戒してか離れながら
ふむ、貰った通信機をしっかり持ち歩いてて良かったな。それなりに距離があったから稀釈を使って急いで来たが、中々に面白…面倒な相手らしい。
他の
さてさて、
しかも分が悪いと感じたか、他に何か目的があるのかは分からないが
今、必要なのは広範囲に広がっている大量の
「
ライブラの面々は牙狩りの中でも精鋭クラスなのは間違いない。彼らがやっている戦闘のパターンを終えた上で逃げ出したその手腕には拍手を送ってやろう。
しかし、彼らの努力を嘲笑わせてしまうなんてのは何処までもナンセンスで笑えやしない。そう、
そんな無法者に私が手段を選んでやる道理なんて存在しない。赦されない無法には赦されない外法を見舞ってやろう。私は中々に血の気が多い方ではあるがまだ足りなかったからギリギリまで造血剤なんかも嗜ませて貰った。
『あぁ、Mr.?隙は作るので気にせず何時も通りの貴方達を見せてくれ』
世界を書き換える狼の血だ。世界を染め上げる事なんてわけじゃない。口の中なんてものじゃない。其処は既に私の腹の中だ。
「
ただ潜らせていた血を表に出しただけの技だ。ほんの少し
ただ、急に世界へと現れたその朱は何処までも何処までも広がっているかのような錯覚さえ見た人々に植え付ける。
その名の通り世界を血の海へと染め上げた。それも戦闘範囲だけじゃなく区画一つ丸ごとだ。密封と違い、強制力なんてものはてんでないがそんな事は関係なく、逃げ場なんてものもない。
攻撃的な血の海を泳ぐなんて所業は耐性のない
残る
続けざまに血を
そして集めた分だけ周りの血は減っていく為に動き回るのに十分な空間がある。そして残るのは後は球状に渦巻く血の中の敵だけ。
「正しくチェックメイトさ」
「ブレングリード流血闘術」
ふむ、赦し給えね…お優しいことで、私の事は赦さなくても構わないさ。ただお前の事も赦してやるつもりは欠片もないがね。
後書き
何故か年明けて最初に投稿するのが不定期投稿の作品というね。何とも言えない始まり方なのが私クオリティ。まぁ、そんな事を読んでる人の少ない作品でいった所で何の意味もありませんがね。