授業を終えて放課後。アルバは再び深雪、達也とともに生徒会室へと向かう。
午後の授業の合間の時間に雫やほのかに何の用事で呼び出されたのかを話したところ、2人の成績や、達也の起動式を読み取ることが出来るという発言を知っている2人からは『おめでとう』という趣旨の言葉をもらった。雫が達也が風紀委員として戦えるのかという冷静な懸念を口にしたものの、満面の笑みを浮かべた深雪が大丈夫であると言ったため、2人とも深雪のその発言を信じたようだ。何より深雪の兄好きは誰の目から見ても明らかであり、自分たちの知らない達也のことも知った上での発言だろうというのは容易に想像できたのである。
風紀委員入りをすることは達也とアルバはまだ承諾していないのだが、もう上級生の間では確定事項となっているのか昼休みが終わる段階で深雪を含めた3人分のIDカードは生徒会室の認証システムに登録されており、入室許可を得ることなく部屋に入ることが出来る。
「失礼します」
今回もまた達也が先頭となってその後ろから深雪が入り、アルバが一番最後になる。達也があくまで深雪のおまけとして招かれていた昼休みとは違い、今は達也自身も招かれた身である、即ち達也自身が自身の風紀委員入りを認める行動のように思えたが、かなり精神的に疲労している様子だったので純粋に気が回らなかったのだろう。
生徒会室へと入ると昼間紹介されたメンバーはそれぞれに業務を行っており、他にも昼休みには空いていた席に一名の男子生徒が座っているのが見えた。その男子生徒の視線は鋭く達也へと向けられており、可愛らしい敵意もアルバには感じられた。
その男子生徒は視線を達也からその隣に立った深雪へと移すとおもむろに立ち上がり、やがて3人の方へと歩いてくる。正確には、深雪の方へと。
アルバはその生徒、そして達也へと向けられていた可愛らしい敵意に覚えがあった。
(確か生徒会の副会長……入学式のとき会長の後ろに立っていた男子生徒か。他の者と比べるとなかなかな魔法力を持っているのだろうな)
あのときはアルバにも敵意を向けてきていたが、おそらく会長の話の途中で帰りたいと言い出したためだろうと今ではわかっているので、アルバの側に気にすることは特に無い。その身の回りに溢れ出すサイオンもまたアルバの見たクラスメイトらの大半と比べると力強い輝きを放っていたが、深雪や真由美、達也から感じられるそれと比べると幾分か下に思える。この3名はことサイオンという点においては相当なものを持っているようなので比較すること自体酷なのもしれないが。
「副会長の服部刑部です。生徒会へようこそ、司波深雪さん」
深雪へと大半の男子生徒が向ける煩悩にまみれた視線とは違い、副会長が向けるのは多少の緊張はあるものの落ち着いた視線だった。そして深雪に挨拶した副会長は、アルバと達也には声をかけることなく自分の席へと戻っていく。
(あくまで生徒会に入る深雪を歓迎するだけ、といったところか。生徒会と風紀委員は別だと言っていたな)
隣に立っている深雪が、主に達也が無視されたことにむっとした雰囲気を出していたが、アルバも無視されていたのを思い出して自制してくれたようだった。
「おっ、来たな」
「いらっしゃい深雪さん。達也くんとアルバくんもお疲れ様」
変わって3人に声をかけたのは、昼休みに顔を合わせたばかりの摩利と真由美だ。どちらも昼休みの初期の多少は丁寧だった雰囲気が無くなり、随分とフレンドリーになっている。
「早速だけど、お願いねあーちゃん」
「……はい。それじゃあ司波さんはこっちに来てください」
真由美に指示されたあずさが深雪を壁際の端末へと誘導する。あずさの中では、深雪はまだ『司波さん』であるらしい。おそらく達也は『司波くん』なのだろう。その点どっちが名字なのか分かりづらいアルバは楽に呼んでくれそうだ。
「それじゃああたしらも移動しようか」
残されたアルバと達也に声をかけたのは摩利である。昨日の放課後にも既にその片鱗が感じられたが、この口調の方が摩利の素なのだろうとアルバは理解する。そもそも常時丁寧な話し方をしてくる深雪の方がある意味例外的なのだ。
「どちらへ?」
「どこへ?」
アルバと達也の質問が重なり、互いにちらりと目を合わせる。達也が風紀委員になるのを嫌がっているのを覚えていたアルバは、彼がこの場で断りたいのだろうと自分は口を閉じておくことにした。
「風紀委員会本部だよ。色々見てもらいながらの方が説明しやすいからね」
「はあ……」
摩利の発言は、もう既に達也を風紀委員に組み込んだつもりでいるものだった。それに達也も困惑、と僅かな諦観を見せる。どうせ話を聞いてはくれないのだろうなと。だが諦めるわけにはいかない。
と。
摩利が席から立ったところで静止の声がかかった。
「待ってください渡辺先輩」
呼び止めたのは服部だ。
「何だ? 服部刑部小丞範蔵副会長」
「フルネームで呼ばないでください」
その発言を聞いてアルバは、なるほど、と先程抱いた疑問の答えを得る。昼休みに真由美が『はんぞーくん』と言っていたにも関わらず、服部の名乗りには『はんぞー』要素が無かった。アルバのようになんらかの省略かとも思ったがそれらしき音も無く何かと思っていたのだ。
「じゃあ服部範蔵副会長」
「服部刑部です!」
「それは名前じゃなくて官職じゃないか。それもお前の家の」
「今は官職なんてありません! 学校にも『服部刑部』で受理されています! ……いえそんなことが言いたいのではなくてですね!」
「じゃあなんだ?」
摩利の方は服部を鬱陶しがっているのかあるいは面白がっているのか、どこかからかうような言い合いが繰り広げられる。服部の方は生真面目な性格なのかいちいち相手の発言に応えては自分で苛立ってしまっているようだ。
「お話したいのは風紀委員の生徒会枠の補充の件です。自分はその1年生を風紀委員に任命するのは反対です」
「もう指名はなされている。例え口頭であってもその効力に変わりはない。今現在決定権は彼にあるのであっても、生徒会が決められる段階は終わっているさ」
手続きの正当性という意味では、もう既に服部が反対してどうこうと言ったところで止められる段階は越えてしまっている。現状では指名された達也が入るかどうかを決める段階にあるのだ。そして、風紀委員と生徒会の力関係の都合上、一度指名した風紀委員は生徒会の独断では罷免できないことになっていた。
だが服部は、それを理解してか無視してか、反対する理由を述べる。
「過去
「それは禁止用語だ。それを摘発する役割を持つ風紀委員の長である私の前で使うとは、いい度胸をしているな」
ウィード、と。服部はあえて言ったわけではない。ただ彼の中では、その区別は差別ではなく、当然のものとして理解されているのだ。
「失礼しました。では、改めて、過去二科生を風紀委員に任命した例はありません。先程私の述べた一科生と二科生を区別する禁止用語が存在しているのは、一科生と二科生の間に明確な差があるからです。それは制度としてのものでもありますが、同時に明確な実力の差でもあります。風紀委員は規則に従わない生徒を実力をもって取り締まる役職です。明確に実力で劣る二科生に務まらないのは明白でしょう」
傲慢とも言える服部の口調は、だがアルバからしてみれば少なくとも文字の上では的を射ているように思えた。
現代魔法で重要視されるのは、魔法式の構築速度、事象干渉力、そして事象改変の規模である。これら3つの能力は一般的な魔法師を評価するにあたり非常に重要であるため入試の実技試験でもそれを測るための試験が行われている。そして理論よりもそうした実技の成績に大きな比重をおいた上で決定されるのが、一科生と二科生の区分だ。
即ち。二科生であるというのはその時点で一般的な魔法の評価で考えて劣っているということであり、仮に二科生が風紀委員として一科生を取り締まろうとした場合、魔法の発動は後出しから始まる上に己より高い実力を持つ相手に返り討ちにされかねない。達也が昼休みに主張したのもこのことである。
だが一方で、摩利が達也を風紀委員に任命しようとしているのはただの興味からではなく明確な理由があった。
「確かに風紀委員は実力主義だ。が。力づくで抑えるなら私だけで間に合っている。彼に求めている実力はもっと別のものだよ」
「別の実力、とは?」
「展開中の起動式を直接読み取り、発動される魔法を正確に予測することだよ。達也君にはそれを出来る目と頭脳がある」
それは昨日の放課後。1年生同士の小競り合いを摩利たちがおさめた後に達也が放った言葉だ。その能力は、他の魔法師とは一線を画す。そんなことが出来る人間は、普通は存在しない。
「それは……本当、ですか?」
それを聞かされた服部も、にわかには信じられない様子だ。
「実際に魔法が発動されなかったとしてもどんな魔法を使おうとしたかがわかる。これがどれだけ有用な能力なのか、副会長にもわかるだろう?」
第一高校では、使おうとした魔法の種類や規模によって異なる罰則が与えられることが決まっている。ここで重要なのは、『使おうとした』の部分である。その意思を見せた時点で既に罰則の対象となるのだ。
「真由美がやるように魔法式が発動される前に起動式を破壊してしまうとどんな魔法を使おうとしたのか判断が出来ず、結果として罰則は軽いものになる。疑わしきは罰せず、が基本だからな。かといって厳格な罰を与えるためにわざわざ魔法の発動を待つというのもおかしな話だ。起動式の段階で止められるならその方が安全だからな。つまり彼の能力は、これまでは罪状が確定できないために軽い罰で済まさざるを得なかった未遂犯に対しての強力な抑止力となり得るわけだ」
「しかし……実際に違反の現場で発動を阻止できないのでは意味が……」
「そんなものは第一科の1年生でも二年生でも同じことだろう。魔法を後から起動して相手より先に完成させることの出来る生徒がどれほどいると言うんだ? それにな副会長。私が彼を風紀委員に入れたいのにはもう一つ理由がある」
そう言って摩利は、もう1つの。即ち服部の言う実力ではない部分での達也を必要とする理由を口にする。
「お前の言う通りこれまで二科生が風紀委員に任命されたことはない。それはつまり二科生の魔法使用違反も一科生が取り締まってきたということだ。そして二科生が風紀委員になっていない以上、二科生が一科生を取り締まるということはなかった。つまり、一方通行でしかなかったわけだ。君の言った禁止用語。あれは確かに制度、実力を区別するものだが同時に、そこに感情的な溝があることを示している。この取締における一方通行はその溝を深め続けている、と言ってもいい。風紀委員として、それは望ましいことではない」
摩利の発言に服部はすぐには反対の言葉を思いつかなかった。確かに摩利が言っているのは正論であり、服部の言っている実力至上主義とは外れるものの明確な根拠のあるものだったからだ。
と。
そこでそれまで黙っていたアルバが口を開いた。
「いくつか質問があるのだが……ですが。いいですか?」
「なんだ」
摩利の許可を得て、その場の全員の注目を集めながら質問を述べる。
「1つは達也が風紀委員に入る意義についてだが、風紀委員長が言うとおり発動された魔法を後から魔法によって止めることの出来る生徒がほとんどいない場合、起動式を読み取るという達也の能力は……なんと言うべきか、宝の持ち腐れ、というのか? になるのではない、でしょうか。それともそれが可能な生徒会長の後ろに常に達也を貼り付けておくのですか?」
「……何が言いたい?」
「達也の能力を発揮できる場面が限定されすぎていて効果が薄いのでは無いだろうか。風紀委員としての仕事をまだ正確に聞いていないので判断出来ないが、達也が1人でそうした場面に遭遇した場合には結局魔法が発動されて達也で無くてもわかる状態になるわけであるし。複数人で、それも生徒会長のように起動式を破壊できるものが一緒にいるとなれば有用なのだろうが、そうでない場合は能力を発揮できないでしょう」
アルバの問いかけに、しばし場に沈黙が訪れる。アルバの質問は摩利の説明の矛盾に思える点を尋ねただけのものだが、それは本質的に摩利が言った達也が必要となる理由を否定する事となる。
それを述べたアルバに摩利が少し鬱陶しそうに、深雪は若干不穏な空気を漂わせ、そして達也は若干の期待を込めて見る。
その沈黙を自分の次の質問を待っていると判断したアルバは、次の言葉を述べる。
「もう1つは、達也が弱いとは思えないということです」
「ほう?」
今度は摩利は興味深そうに続きを待ち、深雪は笑顔になり、達也は表情を固くする。
「昨日の放課後、達也の目は確実に俺の動きを追っていた。他の者が追えていない中でだ。そのことからある程度の実力はあるのではないかと思う、ます」
「君は敬語が下手くそだな」
「すまない……すみません」
「まあいい」
軽くため息を吐いた摩利は、アルバの質問に答える。
「1つ目だが、もちろんすべての現場に達也君がいることは出来ないし、すべての現場で魔法の発動を阻止できるわけでもない。だがそれが出来る実例があるだけで抑止力となる。抑止力とは得てしてそういうものだよ。自分がその対象となるかも知れない。そう思うだけで規則違反の数は減るものだ」
「なるほど」
怖れという感情はアルバのもっとも理解し難いものの1つだが、おそらく人はそういう可能性を怖れるのだろうとアルバは認識する。人を怖れさせ、足を止めるには可能性で十分なのだ。
「2つ目についてはそれこそ目が良いということだろう。もちろん強ければそれに越したことはないが……流石にそこまでは期待しないさ。起動式が読めるというだけで十分だ」
起動式が読める上で魔法も存分に使える人材はいないのだろうか、と一瞬考えたアルバだが、実際にそれがいかに人にとっての常識をはずれた能力であるかというのは昨日の摩利や今日の服部の反応が示している。おそらく、この学校でも達也ぐらいなのだろう。
2人の会話の間が頭の中を整理するのに十分な時間だったのか。
摩利の説明が終わった直後、服部が生徒会長である真由美の方を向く。
「会長、私は副会長として、やはり司波達也の風紀委員への就任には反対です。渡辺委員長の主張に一理あるのはたしかですが、かといって実力を軽視して良いということにはならないでしょう。風紀委員の本来の任務は校則違反者の摘発と鎮圧です。人員が少数に限定されている以上この軸を外すことは出来ません。風紀委員全員が確かな実力を持っているべきです。同じような魔法力を持った二名を比較する際の条件として起動式を読み取れる事を判断材料にするのは適切だと考えますが、明らかに実力に劣っているこの場合は適当ではないでしょう。仮に彼が風紀委員として魔法使用違反の現場にいた場合、場を治められず被害が拡大する可能性もあります。この誤った登用は良い結果をもたらしません。どうかご再考を」
思考を整理した服部は、あくまで彼の知る知識に基づいて論理的に、摩利の考えを認めた上で否定する。
その能力が有用であることは認める。抑止力ともなるし、実際に罰則を決める際に役立つこともあるだろう。だが風紀委員として優先すべきことを考えた場合、それを9名しかいない風紀委員に組み込む余裕は無いのだと。その意見が本当に懸念から来たのかそれとも差別意識から来たのかはわからないが、その理論武装は達也の風紀委員就任を否定するのに十分に思えた。
「お待ち下さい!」
深雪がそう声を上げるまでは。慌てて達也が制止しようとするものの、深雪が意見を述べる方が早い。
「兄は確かに実技の成績こそ良くありませんが、それは評価方法が兄の力を評価するには不十分なだけなのです。実戦ならば兄は誰にも負けません」
深雪の確信に満ちた言葉。昼休みの会食の後にアルバはそれを満面の笑み付きで聞いていたが、ここにいるほとんどのメンバーにとっては初めてなのだ。摩利や真由美は笑みを消し、真剣な眼差しを深雪と達也へと向けている。
だが。自分自身も数秒前まで冷静さを失っていた服部は、深雪のその発言を真面目に受け止めなかった。
「司波さん。我々魔法師は魔法を操るものとして、あるがままの事象を冷静に、論理的に認識出来なければなりません。身内に対する贔屓は人間として仕方のないものなのかもしれませんが、魔法に関わる場では身贔屓に目を曇らせることがあってはいけませんよ」
実力主義者の服部は、一科生に対してはむしろいい先輩としてその優しさを発揮する。その優しさが更に深雪をヒートアップさせた。
「私の目は曇ってなどおりません! お兄様の本当のお力をもってすれば――!」
「深雪」
「やってみれば良いではないか」
深雪の前に手を翳した達也と。後ろで話を聞いていたアルバがそれぞれに口を開いた。目の前に出てきた達也にはっとした深雪は、我を忘れた羞恥と、言ってはならない事を言おうとし兄に止められた後悔で顔をうつむかせる。
深雪を抑えた達也がちらりと視線を向けてくるので、アルバは自分の発言の続きを口にする。
「副会長が達也を実力不足とみなしているのは、達也が入試の実技試験において十分な成績を残せなかった二科生であるからでしょう」
「そうだ。あの実技試験は魔法師の実力を示す正式なものだ。実戦経験などは評価されないが、高校1年生の段階でそれに秀でているものもいまい。いたとして、そんな経験をしているものが魔法師としての実力が低いわけがないだろう」
「だが司波さんは、その評価基準では達也の実力を評価しきれていないと言っています」
「だからそれは身贔屓だろう」
服部の言葉に深雪が唇を噛むが、達也がその発言を制止する。
「身贔屓と扱うのはいささか不誠実なのではないだろうか。司波さんがここまで真剣に主張しているのだから、実際に誰か実力者がやりあってその実力を評価するべきだろう。それで達也の実力が実技試験の評価通りであれば司波さんも納得するだろうし、評価とは違って実戦における実力があるのであれば副会長が納得してくれればいいです」
「だがな……二科生相手だ。やる前から結果は見えている」
そのアルバの言葉に、深雪がはっと顔を上げる。相手が深雪と同じく首席のアルバであるだけに、服部もある程度丁寧な対応をしてくれた。
「しかしここで意見が食い違っている以上、達也の実力に関して正確な情報が無ければ判断も出来ないのではないですか? 今の所『起動式を読み取る能力が実力に優先するのか』、という議論と、『達也の実力がどの程度のものか』という2つの議論がある。これを同時に行っても結果が出ない以上、実際に判断出来る部分から処理していくのが妥当だと考える……ます」
アルバの発言を受けて、服部が黙り込む。二科生が一科生よりも高い実力を持っているなどということは考えられない。それがこの学校における当たり前だ。
だが一方で、アルバが言っている通り一科生である深雪に誠実であるには、その言葉をただ否定するのではなく、ありのままの事実を示してみせる必要がある。普通であればそんなことすらする必要はないのだが、ここまで感情を顕にしている一科の1年生を放置することは出来ない。
そんな、『優秀な後輩を思う良き先輩』な服部は、アルバの提案を承諾することにした。
「わかった。確かに司波さんの言葉を確かめもせずに否定するのは不誠実だ。しかし実際にどうやって確かめる」
服部がアルバに答えると、今度は達也が口を開いた。
「服部副会長、俺と模擬戦をしませんか」
その言葉に、服部の目つきが一瞬鋭くなる。二科生である達也に、侮られているように感じたのだ。
だがよくよく考えれば、この場にいるメンバーで一番適当なのは、少しばかり不本意ではあるが服部なのだと考える理性はあった。1年生である深雪やアルバは首席とは言えまだ実戦における実力ははっきりとはしておらず、鈴音やあずさは実戦に向いているとは言い難い。2人ともどちらかと言えば理論よりだ。そして実戦にも強い摩利や真由美では強すぎて達也の実力を確かめる間もないだろう。何より、先輩、特に生徒会長にこんなことで手をわずらわせるわけには行かない。
「二科生だからと言って手加減はしないぞ」
こうして、服部と達也の模擬戦が行われることが急遽決まった。
アルバが間に挟まったことで服部がマイルドに。ここではアルバの実力は出ません。もっと後です。副会長がアルバに敵意を向ける理由は無いですし、アルバはアルバでそういうのにはあまり興味が無いので。
なんか一日で凄い登録者が増えて感激しております。今後も頑張ります。