ついにこの弾幕ごっこに決着がつきます。
…それとは関係ないのですが、今回twitterを始めさせていただきました。
「https://twitter.com/Inumaro524」ですので、お手柔らかにお願いします。
「さっそく行くわよ!」
「うん!」
文と頷き合い、文が思いついたスペルカードを発動させた。
俺の周りの空気を固めて4羽の鴉を作り出し、そこから羽根型の弾幕を大量に放つ。文は葉団扇を握りしめる。そしてお互いに頷き合うと、大気を蹴って最高速で飛び回った。
「「結符『クロウズハネムーン』!!」」
俺の虹速「ラピッドクロウ」と、文の「幻想風靡」で飛び回るこのスペルカードは、一見するとそれぞれのスペルカードで飛び回っているだけに見える。しかし、空気と風の流れを感じ取ることができる俺達なら相手の動きやお互いの動きを読むことができるので、相手の死角から攻撃したり、お互いの動きを合わせて同時に攻撃したり、変幻自在に攻撃ができるのだ。
美鈴さんはあまりの素早さに追いつくのがやっとのようだったが、咲夜さんは逆に落ち着いていた。高速で移動する俺達や、放たれる弾幕を落ち着いて見極め、弾幕が飛んでこない場所を見つけ出して移動している。「時間を操る程度の能力」は相手にすると非常に厄介だな。
「あなたたちがどれだけ速くても…」
ん?この声は…咲夜さん?
「時間の前では、速さなど無意味。速いだけの貴方たちに勝ち目は、無い」
「なに!?」
その言葉と共に、俺の周りを大量のナイフが取り囲んだ。しかも文も同じように取り囲まれている。
目視できないほど高速で動いていたはずなのに、なぜ咲夜さんに居場所が分かったというのだろうか。
…そうか、時を止めたのか。時を止めてしまえば、咲夜さん以外全ての動きが止まる。動きが止まってしまえば、速さなど無意味だと言う事か。
「終わりよ。メイド秘技『殺人ドール』」
「うわぁっ!!」
スペルカードの発動とともに、体中に突き刺さるナイフ。体中を襲う鋭い痛みに顔をしかめるが、その直後、大量のナイフが襲いかかってきた。慌てて体の周りの空気を固めたため第二陣のナイフは全て防ぐことができたが、俺の周りに現れた第一陣のナイフにはガードが間に合わなかった。
遠くから文の悲鳴が聞こえる。空気の流れから、文は頭を押さえてしゃがみこんだようだ。文のカリスマガード…いや、今は呑気なことを言ってられない!
「文を守ると言ったのは誰かしら?実行出来ない事は口に出すものじゃ無いわ」
そう咲夜さんの声が聞こえる。しかし、俺はニッと口角を引き上げた。
「確かに俺が口にした。だから、俺は文を守ったぜ」
文の方に視線を向けると、文に襲いかかったすべてのナイフは体に突き刺さる直前で止まっていた。
「そんな、どうして…」
「あらかじめ文に空気を纏わせていたのさ。危機が迫った時に固まって、全身を守る盾になるように」
竜巻の中で文に抱き着かれたときに、もしもの時のために空気を纏わせておいた。その空気に意識を向けて固めたために俺のガードが遅れてしまったが、まあ俺は幽霊。すでに死んでいるから、この痛みもしばらくしたら治まるだろう。自分が傷つく事より、愛する者が傷つくところを見るのは敵わないからな。
「さて、そろそろケリを付けますか。でも、その前に…」
「華符『彩光蓮華掌』!!」
背後から迫ってきた美鈴さんの一撃を両手で受け止める。その直後放たれた虹色の弾幕は「姿を見えなくする程度の能力」を使って身体を通過させる。この能力を使うと弾幕を無効化することができるが、実態が消えたわけではないので物理攻撃は喰らってしまう。その効果を活用すれば、今のように相手の動きを止めたまま弾幕をやり過ごすことができるのだ。
さあ、俺の新しいスペルカードでけりをつけよう!
「文、咲夜さんをお願い!」
「ええ、任せて!」
咲夜さんを文に任せ、俺は美鈴さんと向かい合った。このスペルカードで決める。周りの空気に意識を集中させ、スペルカードを発動した。
「落下遊戯『
空気を固めて立方体を大量に作り出し、その立方体を4つ使ってLブロックを作って美鈴さん目がけて放った。その後にも4つの立方体で
「こんなもの!」
美鈴さんは投げつけられたブロックを拳や蹴りで弾き飛ばしている。しかし、俺のイマジネーションによってその動きや飛ばされる位置を予測済みだ。その後も投げ続けたが、美鈴さんに疲れは見えなかった。
「もう終わりですか?」
ブロックでの攻撃を止め、右手にラインピースを構えたところで、美鈴さんがそう聞いてきた。
「ええ、このピースで終わりです。俺がただ闇雲に放ち続けていると思いますか?」
「っ!?まさか!」
美鈴さんは驚いて後ろを振り返った。その隙をついて、ラインピースを投げつけた。今まで放ったブロックはすべて消滅したわけではない。今までのブロックは次々と積み上げられ、大きな壁を形成していた。ただ
「決まったぜ、
ラインピースがはまった列が輝き始め、その直後ブロックが弾け飛んだ。
「しまっ!?」
「美鈴!?」
完全に不意を突かれた美鈴さんは、その攻撃を直に喰らってしまった。弾幕を被弾した美鈴さんは力なく地面に落ちていったが、空気を固めてクッションを作り出したため地面への激突を免れた。
「ごめんね美鈴さん、ちょっとやりすぎた」
美鈴さんへの謝罪の言葉を述べ、咲夜さんに視線を向けた。
咲夜さんは美鈴さんがやられたことが信じられないとでも言いたげな表情を浮かべている。
その咲夜さんに向かって、親指をぐっと突き出した。
「お疲れ様、美鈴。あなたの敵は私が取ります」
「ごめんなさい、それは出来ません」
なぜなら、既にもう一つのスペルカードを発動させているのだから。俺の編み出した、もう一つのスペルカード。
「文、ちょっと耳を貸して。」
「えっ?うん、わかった」
文が俺のそばに来ると、耳元でスペルカードに関する説明を行った。今発動しているスペルカード、そして文と力を合わせたとどめ用の夫妻スペルカードについて。
「…うん、了解」
文は笑顔で頷いてくれた。俺もその笑顔に笑顔で答えると、スペルカードを宣言した。
「封殺『アイアン・メイデン』!!」
その直後、咲夜さんを取り囲むように大量の鋭い針が姿を現す。
「こ、これは!?いつの間に?」
「あらかじめです」
そう言うと、咲夜さんに両手を向けた。
「このあと俺が号令を出せば、咲夜さんは全身を針に貫かれます。しかし、俺はこの後もみんなと一緒に楽しく宴会を続けたい。だから咲夜さんに止めを刺したくありません。なので、この弾幕ごっこは、これで終わりにしませんか?」
そう、穏やかに懇願した。弾幕ごっこで競い合っていると言っても、これは披露宴の余興の一つだ。だから、咲夜さんを傷つけたくはない。美鈴さんだって大ダメージを負わないように急所は外しておいた。だから、この後もみんなで披露宴を楽しみたい。
咲夜さんは目を閉じたまましばらくの間考えているようだが、ふうっと息を吐いて目を開けた。
「そうね…わかったわ。これでお仕舞いにしましょう」
「ありがとうございます!」
スペルカードを解除し、咲夜さんを取り囲んだ大量の針を消滅させた。
俺たちの前に降りてきた咲夜さん、そして回復した美鈴さんと上空で向かい合った。
「流石夫婦のコンビネーション!見ていて惚れ惚れしました!」
「ええ、私たち以上のコンビネーションだったわ」
「いえ、それほどでも」
「そうだ!今度お二人の関係について記事に…」
「あら、そんなことしたらナイフで串刺しになるわよ」
「あやややや!?それはご勘弁を!」
ナイフを取り出しての脅しに驚いた文は慌てて謝った。
大丈夫、文は俺が守るから。これからも、ずっと、消滅するまで…
上空で固い握手を交わす4人を見て、紅魔館の屋上に詰めかけた観客から拍手と歓声が巻き起こった。
またまた文の絵を描いてみました。
今回は、ちょっと文っぽくありませんが…
まあ、見てください。
【挿絵表示】
え?なぜウィンクや横顔の絵が多いのかって?
それは両目を描いたら大きさとか位置のバランスがおかしくなるからです。
バランスを合わせるのって難しいんですよね。
だから、横顔にしたり、片目を閉じることでその工程をカットしています。
コツとかあったら、教えてください。
では、次の更新までお待ちください。