レストラン白玉楼   作:戌眞呂☆

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お待たせいたしました。
実は、皆様に重大なお知らせがあります。

それは…

……


…後書きで!!
 


第7章 新婚旅行?いえ、家族旅行です
第39話 旅行の計画を立てよう!


 

「んん~~っ!」

 

 白玉楼の縁側を歩きながら、大きく伸びをする。昨日結婚式を終え、俺は正式に文と結ばれた。結婚後の2週間は妖夢が代わりに幽々子様のご飯を作ってくれるので、今日は家族3人でぐっすりと眠るはずだったのだが、普段通り朝早く起きて幽々子様の朝食を作り、さらには後片付けまで済ませてしまった。朝早く起きて大量の朝食を作ることが癖になってしまったのだろうか…。まあいいや。

 食器の後片付けを終えて自分の部屋に向かっていると、部屋の前の縁側に文と小傘が腰を下ろして何かを眺めている。一体何を見ているんだろう。その前に少し驚かそうかな。

 

 文の背後に気づかれることなく移動して肩をポンと叩き、振り返った文のほっぺを人差し指で突っついた。

 

 

「あややっ!?」

 

 

「えへへ、大成功」

 

 

 まさかこうも見事に決まるなんて思ってもみなかったよ。にしても、すごくぷにぷにしてて弾力があったな。もっと突っついていたいくらいだ。

 突っつかれたほっぺを押さえてこちらを睨んでくる文を尻目に、縁側に腹ばいで寝転がる。文たちが見ていたものは、生前俺が各地で撮った写真が収められたアルバムだった。

 

 

「ああ、文写帳を見ていたんだね」

 

 

 文写帳。

 それは、生前俺が写真屋として各地で撮った写真を収めたアルバムの名前だ。上下の2巻あり、そのほとんどが笑顔の写真で埋まっていた。しかし、影鬼異変の際、精神世界でオーガとの戦いの時に俺を守ってくれた仲間たちの笑顔の写真は全て俺の身体に取り込まれたため、その写真が貼られていた部分だけ空白ができていた。

 

 

「なつかしいな…」

 

 

 頬杖を突き、文写帳のページを次々とめくっていく。でも、やっぱり『妖怪(なかま)との絆の象徴』であり『大切な宝物』である笑顔の写真を失ってしまったのは悲しいな。

 

 

「ねえ、どうして空白になっているの?」

 

 

「ぐえっ!?」

 

 

 そう聞きながら、背中に小傘が飛び乗ってきた。飛び乗った時の衝撃に驚いたが、小傘を叱ることなく空白になっている理由を説明した。

 

 

「……と言う事があってね。だから」

 

 

「欧我の背中って大きいね!」

 

 

「ちょっ、聞いてる!?」

 

 

 まさか今までの話を聞かずにそんなこと思っていたの!?

 

 

「本当?じゃあ私も失礼して」

 

 

「えっ、ちょっ!?ぐぇぇ~」

 

 

 不意に文が立ち上がり、俺の背中にまたがった。背中に文と小傘の2人が乗ったことで腹部や胸部を圧迫されて息苦しい。文字通り尻に敷かれてしまった。

 

 

「文、小傘…。どいて…お、おも」

 

 

「あやや、重いなんて失礼なこと言わないでよね」

 

 

「そうだそうだー!」

 

 

 うん、傍から見たら微笑ましい光景だろうけど乗られている側は結構きついんだよ。しかも2人なんて。こら、人の背中ではしゃがないで!

 

 

「確かに、欧我の背中は大きいわね」

 

 

「でしょ?」

 

 

 俺の事はお構いなしに2人で楽しく笑い合っているが、もういい加減どいてくれないと空気を吸い込めない…。ああ、肺の中で酸素を生成すればいいや。二酸化炭素を吐き出すだけで呼吸ができる。

 いや、そう言う問題じゃなくって。

 

 

「大きくて、たくましい背中」

 

 

 えっ?いやあ、そんなこと言われると照れるのだが…

 って背中を撫でないで、くすぐったい!

 

 

「ねぇ、もう一度このアルバムを写真でいっぱいにしない?」

 

 

「写真で?」

 

 

 ああ、このままで話を続けるんですね。はいはい。

 

 

「うん、今度は私たち家族の思い出と幸せを写した写真でね」

 

 

「なるほどね、ちょうど凄腕の写真屋もいるし」

 

 

「凄腕?えへへ、照れちゃうなぁ~」

 

 

 確かに文の言うとおりだ。失ってしまった写真を嘆くよりも、これからの思い出をたくさん詰め込んでいった方が幸せに決まっている。大切な家族の、幸せな思い出を。

 

 

「じゃあ、さっそくどこかへ出かけようよ」

 

 

「出かけるって?」

 

 

「新婚旅行だよ。外の世界では結婚後に夫婦で何処か遠いところへ旅行に行くんだ。たくさんの思い出を作るためにね。俺たちの場合は、家族旅行だけど」

 

 

「家族旅行?それって私もついて行っていいの?」

 

 

 俺の背中から身を乗り出して小傘が聞いてきた。

 

 

「背中から降りないと置いて行くよ」

 

 

「あっ!ごめんなさい!!」

 

 

 

 小傘が慌てて背中から降りてくれたおかげで、これで少しは軽くなった。まだ文が乗ったままだけど、文を降ろす口実は見つからないからこのままでいいや。

 

 

「さて、じゃあまずは計画を立てよう。みんなはどこに行きたい?」

 

 

「命蓮寺!」

 

 

「私は、欧我と一緒ならどこでもいいわ」

 

 

「どこでもいいは無し。文も考えてよ」

 

 

「むぅ、ケチ」

 

 

 その後、3人でそれぞれが行きたいところを出し合った。俺が行きたい場所、それは『太陽の畑』と『ゆうかりんランド』だ。今は5月だし向日葵はまだ咲いてはいないだろうけど、季節の花が色鮮やかに咲いている中を文と一緒に歩いてみたかった。

 ただ、問題は幽香さんが快く入れてくれるかどうかだ。幽香さんとは去年小傘と一緒に太陽の畑を訪れた時に友達になり、その後も2人で時々立ち寄っては談笑しあったり花について教わったりと交流があった。だから、まあ大丈夫だろう。それに、去り際に「いつでも歓迎する」と言ってくれたし。

 

 

「うん、でも、私幽香さん苦手かな?」

 

 

「大丈夫ですよ、鈍足の幽香さんは幻想郷一俊足の私には追いつけませんからね!」

 

 

「あの、それ本人の前で言ったら確実にローストチキンにされるから気を付けてね。妻が他人に料理されるところなんて見たくない」

 

 

 そう言うと、文は俺に向かってウィンクを飛ばす。

 

 

「心配いりませんよ。私は欧我以外から料理されるつもりなんてありませんから!」

 

 

 まったく、どうしてこんなセリフを言うことができるのだろうか…。まあいいや。

 その後も意見を出し合い、相談しながら家族旅行の計画を立てていった。長い時間がかかってしまったが、とにかく幻想郷のいたるところを回ろうと言う事で決まった。

 

 

「おや?」

 

 

 途中から静かになったなと思ったら、いつの間にか小傘がすやすやと寝息を立てていた。幸せそうな寝顔を見ると、もしかして夢の中で一足先に旅行に出発したのだろうか。

 

 

「俺達も休憩するか」

 

 

「そうね。欧我、甘い物をお願い!」

 

 

「はいはい」

 

 

 2人を縁側に残し、台所へと向かった。

 確か幽々子様用のお茶菓子がまだ残っていたな。それを持っていくか。

 




 
いかがでしたでしょうか。
家族のほのぼのとしたシーンを書いていると、なんか楽しくなってきちゃいます。


そして、重大なお知らせというのは…

明日から約1週間、一人旅に出かけます!

電車を乗り継いで福岡県は博多を目指します。
その道中にいろいろと途中下車しますが、もしかしたら街ですれ違うかもしれませんね。

あ、その間執筆ができないというわけではありませんので。
移動中やホテルの中とかでも執筆していきます。

旅行中に投稿できるかどうかわかりませんが、よろしくお願いいたします。

それでは、ほな!

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