心華ちゃんか心音ちゃんの絵を描いてくれる絵師さんはいないかなぁ~(チラッ
描いてほしいなぁ~(チラチラ
あ、えっと…
ごめんなさい。
気を取り直して、始まるよー
「本当にいるのかな?」
「わからない。でも、あの人は活発に外を出歩くようなタイプじゃないと思うんだ」
今俺は心華を連れて幻想郷の空をのんびりと飛んでいる。俺たちの目的地は魔法の森。どうして森に向かっているのかと言うと、レストランで使う心華の制服を作ってもらおうとにアリスさんにお願いするためだ。俺が愛用しているコックコートはアリスさんが白玉楼でレストランを開店したお祝いとして作ってくれたもの。だからなのか制服はアリスさんが作ったものがいいと心華が言ってきかないため、今回2人でアリスさんの家を訪れてお願いをしようということだ。
空を飛んでいると、前方にうっそうと木々が生い茂る森が見えてきた。何度見ても、この無造作に生い茂る森は見ているだけで入る気が失せるよな。木が複雑に入り組んだ森の中は太陽の光が届かず、薄暗くじめじめとしていて大量のキノコの胞子が空中を漂っている。普通の人間なら少し吸い込むだけで幻覚に襲われるけど、心華は大丈夫だろうか。少し心配だ。
しかし心華は俺の心配をよそに初めて足を踏み入れる森に興味津々の様子で目を輝かせながらきょろきょろと見回している。ここに来る間に話していたのだが、心華は森の中を鮮やかな輝きを放つキノコとその胞子がオーロラのように輝き、鳥たちが歌い日の光が降り注ぐという、まるで童話のような光景をイメージしているらしい。彼女曰く「魔法使いが住む森だから絶対に幻想的な風景よね!」だそうだ。鈴奈庵から借りてきた童話の本の影響だな、これは。
「あ、ねえ!あの家は何?」
心華が指さした先には、森の中にぽっかりと口を開けたところに建つ小さな家があった。
「ああ、あれね。あれは霧雨魔法店、魔理沙さんの家だよ」
「へぇ~!どうして周りに木が生えていないの?」
「太陽の光を入れるために周りの木々を切り倒したからじゃないかな?今度本人に聞いてみるといいよ。さあ、そろそろ着陸するよ。何回も言うけど、魔法の森は危険な場所だからね」
「はーい」
俺の注意を聞き流し、心華はうきうきとした様子で森との距離を縮めていく。ああもう、迂闊に足を踏み入れたら危険なのに。仕方ない、後を追いかけるか。
「ねーまだぁー?」
「まだまだ」
俺の腕につかまって体をブルブルとふるわせながら、何度目かの同じ質問を繰り返した。「何度も言ったでしょう、森の中は危険だって」と若干呆れながら心華の手を握る。森の中へ飛び込んだ心華が目にしたものとは、空を覆い隠すほど伸びた沢山の木々と妖怪が潜んでいそうな不気味な闇、そして奇妙な柄をしたキノコ。心華が抱いていた幻想はもろく崩れ去り、巨大な恐怖に打ちのめされた。しかも心華が降り立った場所はアリスさんの家から離れていたので、森の中を歩き続けなければならず、さっきからかなりおびえた様子で震える脚を前に進めていた。
ガサガサッ!
「きゃあっ!?」
「痛い」
突然鳴り響いた草むらが揺れる音に驚き、心華は俺の腕を掴んでいる手をぎゅっと握りしめる。その予想外の強さに思わず悲鳴が漏れた。
「大丈夫、風で揺れただけさ」
「ぐすっ、もうダメ。抱っこ…」
「はいはい、しょうがないな」
恐怖に打ちのめされたような悲痛な声を聞き、優しく心華の身体を抱きかかえる。抱きかかえると恐怖を和らげようと腕を俺の首の後ろにまわしてしっかりと抱きしめ、周りの光景を遮断するために胸に顔をうずめた。抱きしめて分かったことだが、心華の身体は小刻みに震えている。恐怖を少しでも和らげるために背中を優しく撫でながらアリスさんの家を目指して森の中を進んでいった。
そのまま森の中を飛び続け、ようやく目的の家が見えてきた。窓から光が漏れていることから推測するとどうやら中にいるようだ。心華は落ち着く事が出来たのか、身体の震えは無くなっていた。
「さあ、着いたよ。ここがアリスさんの家だ」
「ここ?」
「うん」
地面に降りてアリスさんの家へ向かっていく心華の様子を見ると、どうやらもう恐怖を感じてはいないようだ。しっかりとした足取りで玄関の方に足を進めている。おそらく目的地に着いたという安心感が恐怖心を無くしてくれたようだ。
「こんにちはー」
扉の前に立ち、ドアをノックして中に声をかける。
「はーい」
すると中から返事が聞こえて、ガチャっとドアを開けてくれたのがこの家の主、アリスさ…
「あれ、欧我さんじゃないですか!」
「えっ、早苗さん。どうしてここに?」
アリスさんの家のドアを開けて中から出てきたのは、アリスさんではなく早苗さんだった。どうして早苗さんがこの家にいるんだろう。
「大切な服がほつれてしまったので直してもらおうかと思ったので。あ、心華さんも一緒だったのですね!」
「こんにちは、早苗さん」
「こんにちは。立ち話もなんですから、さあ中へどうぞ」
そう言い残すと早苗さんは手招きをして家の中へと入って行った。ここは早苗さんの家じゃないから勝手に招き入れてもいいのだろうか。そう言った疑問が浮かんだが、早苗さんの後について何のためらいもなく家の中へと入って行った心華の姿を見ているとそんな疑問などどうでもよくなった。常識に囚われてはいけないよね。もっと自由に生きよう。
「お邪魔しまーす」
中にいるだろうアリスさんに聞こえるように声を上げ、家の中へと足を踏み入れた。
「そう、それでうちに来たわけね」
「はい。お願いできますか?」
テーブルに座り、アリスさんが淹れてくれたコーヒーを飲みながら世間話をしたのち、ここに来た目的を伝えた。心華は少し離れたところに置かれているソファに腰を掛け、早苗さんと一緒に人形で遊んでいる。お互いに笑顔で遊んでいる2人の方に視線を向けながらアリスさんに心華の制服を作ってもらうようにお願いした。アリスさんも2人の方へ視線を移し、じっと心華の笑顔を見つめている。
「まったく、あんな笑顔を見たら断れないじゃない。いいわ、任せて」
「ありがとうございます!」
テーブルに頭をぶつけそうな勢いで、お礼を言いながら頭を下げた。
「えっ、欧我!もしかして…」
俺の声を聞き、心華が駆け寄ってきた。心なしか心華の目がキラキラと輝いているように見える。
「うん。心華の制服、アリスさんが作ってくれるって!」
「本当!?やったー!ありがとうアリスさん!!」
制服を作ってくれることを聞き、心華は満面の笑顔を浮かべてアリスさんの手を取りながら、嬉しさをこらえきれずその場で何度もピョンピョンと飛び跳ねた。アリスさんは突然手を掴まれたことに驚きながらも笑顔を浮かべている。
「えっ、制服ですか!?それってまさか…」
早苗さんが興味津々といった表情を浮かべて聞いてきた。
「うん、心華がレストランでウェイトレスとして着る制服を作ってもらおうと思って来たんだ。本人もアリスさんが作る制服がいいって聞かないからね」
「そうですか!良かったですね心華さん!」
「うん!」
それにしても、まさか心華が「レストランで欧我の手伝いをしたい」と言い出した時は本当に驚いた。俺一人でレストランを切り盛りするのは無理なのでどうしようかと悩んでいた時に心華が手伝うと言ってくれた時は本当にうれしかった。
「さて、そろそろ俺は冥界に戻るよ。まだまだやることがあるからね。じゃあ心華、アリスさんに迷惑をかけないようにね」
「分かってるよ!またね!」
「リフォーム頑張ってくださいね」
「わかりました、では失礼します!」
アリスさんたちにお辞儀をすると、家を後にして空へと飛びあがった。リフォームに必要な木材や瓦はあらかじめ冥界へ移した倉庫の中にしまっておいたのでいつでもリフォームが始められる状態になっている。材料も道具もある、早く冥界に戻ってとりかかろう。
「あれ、欧我じゃないか!どうしてお前がここにいるんだ?」
「え?あっ、魔理沙さん!」
冥界を目指して空を飛んでいると、不意に魔理沙さんから声をかけられた。こんなところで会うと思わなかったので驚いたが、今までの経緯を魔理沙さんに話して聞かせた。
「なるほど、そう言う事か。私はてっきり何か良からぬことを企んでいるのかと思ったぜ」
「まさか。どっかの泥棒じゃないし、盗みとか悪さとか、何も企んでなんかいませんよ」
「それもそうだな、あっはっは!」
魔理沙さんは両手を腰に当てて笑っているけど、気付いていないのかそれとも気づいた上で笑っているのかどっちだろう。
「あははは。じゃあ俺は冥界に戻りますね、早くリフォームをしないといけませんから」
「リフォーム?なんだそれは」
あれ、前にも似たような質問をされた覚えが。幻想郷では聞き慣れない言葉なのかな?
「リフォーム。家を壊さずに作り変えるってことですよ」
「なるほどな!ねえ、私もついて行っていいか?どんな風にリフォームするのか見てみたいんだ」
「え、まあ、手伝ってくれるならいいですよ」
「やったぜ!そうと決まったら早速冥界へ行くぞ!お先!」
「ああ!待ってよ魔理沙さん!!」
冥界へ向かってほうきを走らせた魔理沙さんの後を追いかけて、慌てて空気を蹴りだした。
なんか今回は微妙な出来ですね…。
それよりもみなさんごめんなさい。
リフォーム開始は次回でと言う事でよろしくお願いします。
では次回をお楽しみに!