ウマ娘たちと担当トレーナーの日々   作:室賀小史郎

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ジャイアントキリングラストですー!


ジャイアントキリングの12月

 

 本日はクリスマス。

 ウィンタードリームトロフィーも全行程が終わり、トレセン学園の殆どのウマ娘たちは本格的にオフシーズンに突入。

 学園の方も冬休みなので、みんな思い思いに過ごしてオフを満喫している。

 

 そんな中、チーム『ジャイアントキリング』の面々は生徒会主導のクリスマスパーティーには参加せずに、朝から田添宅へ集合した。

 何故なら今日は田添の父親が主催する関係者のみ参加することが出来るクリスマスパーティーがあり、テイオーたちはそのゲストとして招待されたからだ。

 なんでも招待するお偉いさんの中にチーム『ジャイアントキリング』の大ファンがいるようで、父親から打診されたそう。

 田添としても断る理由もないので了承し、今に至るのだ。

 

「おはよう。じゃあ荷物を置いたら必要な物だけ持って、車に乗り込んでくれ。朝食はホテルの控室に用意されてるから、それまで少し待っててな」

『はーい♪』

 

 田添の言葉にみんなは素直に従い、ドキドキワクワクで車へ乗り込んだ。

 

 ◇

 

 パーティー会場となるホテルに到着すると、係員に控室まで案内されて少し遅めの軽めの朝食。

 今回はランチパーティーなので、パーティーが始まればホテルのシェフが腕を振るった料理を堪能出来るため、軽めなのだ。

 朝食を終えると、テイオーたちはスタイリストたちに連れられてドレスアップのため着替えに行く。

 田添に至ってはそのまま控室にある仕切りの向こうで用意されたパーティー用の服に衣装チェンジ。

 今回はランチパーティーであるため、スマートカジュアルでいいので、ネクタイをする必要もない。

 

 長袖の白いワイシャツに落ち着いた紺色のテーラードジャケット。パンツは明るめなグレーのチノパンで、靴は黒の革靴にダブルモノクル。

 

 着替え終えてテイオーたちを待っていると、ドアをノックされたので返事をすれば、

 

「おお、文洋。お疲れさん」

「おっす、兄貴」

 

 父と弟が姿を見せた。

 

「あれ、いいのか俺のとこに挨拶なんかしにきて?」

「お偉方とは済ませてある。それより無理言ってすまなかったな」

「ウィンタードリームシリーズの決勝に進んだのはテイオーだけだし、テイオーにとっても今日はリフレッシュさせるために連れてきたから気にしなくていいよ」

「そう言ってもらえるなら何よりだ。ああ、文洋たちには最後に入場してもらうからな」

「分かってる。ファンファーレが聞こえたら入場で、ステージで一曲歌うってことだったよな?」

「そうだ。それさえ終えればあとは自由に飲み食いしてくれ。まあ声は掛けられると思うが、そこは勘弁してくれ」

 

 父の言葉に田添は「分かってる」と返せば、弟から「俺も楽しみにしてるぜ」と背中を叩かれてたので、田添も弟の背中を軽く叩い手返した。

 

「トレーナー、準備終わったよー!」

 

 そこへテイオーの声が響き、他のメンバーも続々と控室へ戻ってくる。ライブということでテイオーたちの衣装はお揃いのライブ衣装だ。

 すると田添の家族を目の当たりにしたメンバーは一気にしおらしくなった。

 いずれは義理の家族になるのだから、乙女としては少し恥ずかしいのだ。

 

「おお、間近で見るとみんな美人さんばっかりだ。今日はよろしく頼むよ」

『は、はい!』

「個人的なことだけど、あとでサイン貰っていい? カノジョがみんなのファンなんだ」

『喜んで!』

 

 そんなやり取りをしつつ、父親と弟は控室を去っていく。

 するとみんなライブ後かのように肩の力が抜けた。

 

「おいおい、今からそんなんで大丈夫か?」

「それはダイジョーブだよー。だって歌うのは『Make debut!』だもん。ボクらが何回やってきたかトレーナーなら知ってるでしょ?」

「あはは、確かにそうだ」

 

 テイオーの言葉に田添が笑って返せば、他のメンバーもいつものような笑顔が戻る。

 

「チーム『ジャイアントキリング』の皆様、スタンバイの方、お願いします」

 

 係員からの言葉に田添が返し、

 

「よし、みんな、楽しんでこい!」

『はーい!』

 

 意気揚々とパーティー会場へ向かうのだった。

 

 ◇

 

 ライブが無事に終わり、テイオーたちはお化粧直しということで改めてパーティードレスを着用し、再び会場へ戻ってきた。

 みんな長袖のロングワンピースで、色はそれぞれの勝負服カラー。

 

「トレーナー、このはちみータピオカ美味しい!」

「良かったな、テイオー」

 

「トレーナートレーナー! ターボ、このお肉好きー!」

「ビーフストロガノフか。良かったじゃないか」

 

「トレーナーさん、イチゴがとっても甘くて美味しいです♪」

「栃木のやつか。美味しいよな。もっと食べていいぞ、フラワー」

 

「トレーナーちゃーん! マヤ、あのマリトッツォ食べたーい!」

「おお、取っておいで」

 

「トレーナー、どの料理も美味しくてマーベラス!」

「ビュッフェだから好きなだけ食べたらいいぞ」

 

「トレーナー、トレーナー! ニンジンステーキだって! 一緒に食べようよー!」

「ああ、なら一口貰おうかな」

 

「お兄ちゃーん♡ あー♡」

「はい、あーん」

 

 みんな思い思いの物を取っては堪能し、笑顔に溢れる。

 カレンだけは相変わらず田添に食べさせてもらっているが、もういつもの光景だ。

 

「兄貴ー」

「おお、どうした?」

 

 そこへ弟がやってくる。

 兄の問いに弟は「約束のヤツ♪」と言って色紙を渡してきた。

 

「おい、今なのかよ」

「終わってからじゃ片付けとかでタイミングないからさ……頼むよ」

「分かった」

 

 弟から色紙を受け取ると、当然周りの人たちも「あのー」、「よろしければ」なんてサインを求めてくる。

 なので田添はテイオーたちには悪いが「みんな頼む」とお願いし、みんなはそれを快く聞き届け、パーティー会場はたちまちテイオーたちのサイン会に早変わりするのだった。

 

 ◇

 

 パーティーが終わり、田添はテイオーたちを連れて借家へ帰ってきた。

 本来ならばテイオーたちを寮へ送るのだが、今日はクリスマスということもあってみんなしてお泊まりする。

 なので今朝みんなに荷物を置いてくるよう言ったのだ。

 

「あ〜、楽しかった〜!」

「いっぱい名前書いたぞ!」

 

 長座布団の上にそれぞれうつ伏せになって寝そべり、サイン会のことを思い出すテイオーとターボ。

 

「もう夕方ですけど、全然お腹減りませんね」

「いっぱい食べたもんねー!」

「アタシ、ケーキいっぱい食べちゃったー♪」

「ウララはニンジンのお料理いっぱい食べたよー!」

 

 こたつに入りつつ、出てきた料理のことを話すフラワーたち。

 

「お兄ちゃん、夜はどうするの?」

「まあその時は今日くらいは出前にしようか。みんな食べ盛りだから、今はお腹減ってなくてもその内お腹空いてくるだろうから」

 

 すかさず田添の左隣をキープするカレンからの質問に、田添はみんなのお茶を用意しながら返した。

 パーティーが終わったあとのプランは田添も特に考えてはいなかったのだ。

 変に何か用意するよりも、みんなと何気ない時間を過ごすのもいいと思ったから。

 

「そうだ、みんな今日はライブとかやって汗掻いたろう? 銭湯行かないか?」

 

 田添の提案にテイオーたちは乗り気で返事をし、田添宅から少し歩いたところにある銭湯へ向かった。

 

 ◇

 

 銭湯に着いた田添たち。番頭の人に利用料を払う。

 

「上がった時に俺がいなくてもそのまま待合席で待っててくれな」

『はーい!』

 

 ―――

 

「ターボいちばーん!」

「わたし、9番♪」

 

 ロッカーの番号を即座に決めるターボとウララ。

 

「ボクは6番にしよ♪」

「私は3番にします」

「マヤは10番!」

「じゃあアタシは2番にするー!」

「カレンは……7にしよ♪」

 

 それぞれロッカーも決まり、服を脱いで浴室へ。

 

「おー、寮と同じくらい広ーい!」

「ブクブクのもあるねー!」

「サウナもあるよー!」

「みんなー、まずは体洗ってからだよー」

 

 実は初めてここの銭湯に来たマヤノ、マーベラス、ウララは大興奮。

 カレンも初めてだが、勝手は知っているので冷静だ。

 

「温泉ならかけ湯してからでいいけど、銭湯は体洗ってからじゃないとねー」

 

 テイオーがカレンの言葉を聞いてそう言うと、ターボもウララも『なんで?』と訊ねてくる。

 

「ほら、温泉ってミネラルとかガスとか色んな成分が含まれてるでしょ? だから体洗ってから入っちゃうと過度な刺激になる可能性があるから、皮膚に脂とか残ってた方が体を守ってくれるんだよ」

「なるほどー!」

「知らなかったー!」

「だから温泉だと体のためには、まずお湯に浸かってから体を洗う方がいいんだよー♪ それが温泉のマナー!」

 

 テイオーが胸を張って言えば、ターボもウララも『おー!』と拍手した。

 

「まあでも、普段からボクも体洗ってから入るから、温泉でもそうしちゃうんだけどね」

 

 てへへと苦笑いするテイオー。

 しかしみんなも『分かる分かる』と頷いてくれた。

 

「温泉も銭湯もみんなで使うから、体洗ってからの方がいいかなって思っちゃうよね」

 

 マヤノがそう言うと、みんなもそれに同意する。

 それぞれのマナーがあるとはいえ、配慮することも大切なのだ。

 

 ―――

 ―――

 ―――

 

「はぁ、気持ちよかった〜!」

「アツアツターボだぞー!」

「温まりましたね〜♪」

「心も体もぽっかぽかだね〜♪」

「さっぱりスッキリマーベラス!」

「わたし寝ちゃいそうだったよ〜」

「ウララちゃん、ちゃんと髪の毛乾かさないとダメだよー」

 

 みんなが女風呂から出てくると、

 

「お、みんな温まってきたか」

 

 田添がみんなを出迎えた。

 

「みんな何か飲むか?」

「ボク、はちみー牛乳!」

「ターボ、この元気ハツラツのヤツ!」

「私はフルーツ牛乳がいいです」

「マヤはイチゴ牛乳!」

「アタシはコーヒー牛乳ー!」

「ウララ、ニンジン牛乳!」

「カレンはカフェオレがいいなぁ♪」

 

 待合席の前にある自販機でみんなの飲み物を買う田添。因みに田添もカレンと同じくカフェオレ。

 そしてみんなで美味しく頂いて、銭湯をあとにした。

 

 ◇

 

 借家へ戻ってくると、みんな温まったお陰かお腹が空いたらしい。

 なので田添は言っていた通りにピザの出前を頼み、ささやかな夜のクリスマスパーティーをすることに。

 そして、

 

「じゃあ俺からみんなへクリスマスのプレゼントだ」

 

 みんなお待ちかねの、田添からのプレゼントが配られる。

 プレゼントを受け取り、みんなは早速中身を確認。

 

「わぁ、これボクが好きなブランドのはちみーだ!」

「ターボはマフラーだー!」

「私は可愛いミトンです♪」

「マヤはレースのリボン!」

「アタシは真っ赤な手袋!」

「わたしはニンジンのキーホルダー!」

「あ、お兄ちゃんと同じブランドの化粧水だー♡」

 

 値段はそれぞれ違えど、田添がちゃんとみんなの好みを把握して選んだプレゼント。

 なのでみんなそれだけで喜び、心が弾む。

 テイオーたちの笑顔を見て、田添は自分がプレゼントをあげたのに、テイオーたちからプレゼントを貰った気分になった。

 それだけ彼女たちの笑顔が見れて嬉しかったから。

 すると、

 

「ありがと、トレーナー! 大好きだよー♡」

「ターボもトレーナーが大好きだー!♡」

「わ、私も大好きです、トレーナーさん♡」

「マヤも、トレーナーちゃんLOVEだよー♡」

「トレーナーへの愛はマーベラース!♡」

「わたしもいっぱい大好きー♡」

「お兄ちゃん、大好き♡」

 

 みんなして満面の笑みでそう言って抱きついてくる。

 

「ああ、俺もみんなのことが大好きだよ」

 

 田添が笑顔で返せば、みんなはより心が温かくなった。

 こうしてチーム『ジャイアントキリング』の日々は仲睦まじく過ぎていく。




読んで頂き本当にありがとうございました!

これでジャイアントキリングのお話は終わりましたので、次回から別チームのお話になります。
そこで毎度のことながら準備期間を頂きます。
今回はリアルの都合で長めにお休みしますので、新チームのお話は5月26日から始まります!
よろしくお願いします(⁠^⁠^⁠)

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