Second death…   作:かの存在完全に消滅す

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7ヶ月空いてるって嘘だろ


「2度目」の理由

 エヴァに乗る。瞼を閉じ、頭の中で母に呼びかける。それがエヴァとのシンクロ率を高める方法と知っている。

 

 だが、うまくいかない。

 

 色々な事が脳に絡みついて離れず、集中が持続しないのだ。

 

 自分を庇うような綾波の行動。

 

 不思議と懐いているペンペン。

 

 これは2度目ゆえの事象なのだろうか…?

 

『シンジ君、シンクロ率がブレブレよ。もっと集中しなさい!』

 

 ミサトの怒鳴った声が響く。

 

(そんな事……分かってるよ…)

 

 

 

 

 

第四話

 

 

 

 

 冬月は焦りを感じていた。

 

 第三の適格者のシンクロ率が一向に上昇を見せない。

 

 突発的にシンクロ率40%を叩き出した時は皆歓喜の声をあげたが、すぐに下降。今も4%〜7%の間を彷徨っている。

 

 これでは、次の使徒戦もまともに戦えないだろう。前回のような都合の良い暴走も起きるとは限らない。むしろ可能性は低いだろう。

 

 元から期待はしていなかった。ドイツの第二の適格者でさえ安定したシンクロに何ヶ月もかけたのだ。

 碇がおかしいのだ。自分の息子に期待しすぎている…否、中のユイ君に期待しているのか。

 

 シンクロテストが終わったことを確認すると、すぐにゲンドウの元へと向かう。

 ドイツの第二の適格者を呼ぶ意見具申をする為だ。…が、それを傷だらけの少女が遮った。

 

「…レイ君か。そこを通してくれないか?」

 

「…だめ。」

 

 相変わらずの無表情だが、そこにははっきりとした意思があった。

 

「…碇君のシンクロ率は私がどうにかする」

 

 冬月は驚いた。あの綾波レイが自分の意思で行動していることに。

 

「…分かった…君に任せよう。好きにやると良い。」

 

 彼は何を思ったか、この少女に少年を託すことにした。

 

 

 

 

 

 

 呼び鈴の音。来客だろうか。

 

 眠気に襲われながら起き上がると、時計を見て一気に目が覚めた。針は時刻が午前10時だということを告げていた。

 

 そして、やけに服が汗臭いと思えば、昨日着ていた制服のままだった。シンクロテストに疲れ、帰ってそのまま寝てしまったのだ。

 

 まずい、学校に大遅刻した。

 

 ともかく、今は呼び鈴に応える事が先と考え玄関へ。扉を開けるとそこにはまたしても包帯を巻かれた綾波がいた。

 

「………………」

 

「あ、綾波?」

 

 白い肌に、透明な汗をだらだらと垂らしながら、綾波はシンジと目を合わす。

 

 綾波の足元が綾波の汗で滲んでいる。相当長い時間ここにいたのだろう。

 

「…碇君、行きましょう。」

 

「ま、待ってよっまだ着替えが…」

 

「…?あなたはもうパジャマではないのに、何故着替える必要があるの?」

 

「え、えと…これは…昨日の服で…」

 

「…そう。じゃあ、ここで待ってる。」

 

「え…こんなに暑いのに?」

 

 外の気温は危険なほど高い。綾波の汗がその証明だ。

 

「……家、入りなよ。ここじゃ熱中症になっちゃうよ。」

 

 

 

 

 綾波に連れられて家を出た。やはり外は暑く、汗が噴き出てあっという間に制服はびしょ濡れになった。

 

 綾波の体に巻かれた包帯。汗で濡れているようにも見える。

 

「…えっと…綾波。怪我は大丈夫なの?」

 

「平気…」

 

 そういって綾波は、右腕の包帯を外してみせた。小さな痣があるものの、ほとんど完治していた。

 

「…じゃあそんな包帯…全部外したら?暑いだろうし……」

 

「…平気」

 

 綾波に手を引かれるまま、道を歩いていると、向かう先が学校ではない事に気がついた。

 

「あ、綾波?こっちは学校じゃないと思うんだけど…」

 

「…?今日は学校は無いわ」

 

「え」

 

「土曜日…今日は休み」

 

 なんだ、学校は休みだったのか。遅刻で焦っていたのが馬鹿のようだ。

 あれ?じゃあ綾波はどこに向かっているんだ?

 

「ねぇ、綾波…どこ行くの?」

 

 一瞬ネルフかとも思ったが、道が真反対だった。この方向は…

 

「…芦ノ湖。」

 

「えっ…徒歩で⁉︎」

 

「他に方法、あるの?」

 

「そりゃまあ…電車とか…バスとか…」

 

「じゃあ…そうする」

 

 芦ノ湖。神奈川県第3新東京市にある、箱根山のカルデラ湖。さまざまなレジャー施設があり、休日は沢山の人々が訪れる。

 

 この日も例に漏れず、非常に混んでいた。

 

「…で、綾波」

 

「なに」

 

「ここからどうするの?」

 

「わからない」

 

「…………」

 

「…………」

 

 まあ、なんとなく察してたけど。

 空気が重くて辛くなってきたので綾波から視線を外すと、遊覧船が目に入った。

 

「…あれ…乗る?」

 

 別に乗りたいわけでも無いのだが、ずっとここで太陽に焼かれ続けるわけにもいかないので、冷房がありそうな遊覧船に誘ってみた。

 

「…ええ。」

 

 ネルフのパスと言うのは便利なもので、交通機関などは無料で利用する事が出来るのだが、遊覧船には当然使えない。

 

 綾波はそのことを知らなかったようで、お金を持ってきていなかった。なので完全にシンジの財布頼りである。

 だが、シンジは財布の中身が尽きるのを大して問題とは思わず、早くこの暑さから逃れたい一心で遊覧船に乗船した。

 

 船内は恐ろしいほど涼しく、汗が凍ってしまうのではないか、とも思えるほどであった。

 

 船が動き始めた。ゆっくりと窓の外の景色が変わっていく。となりの席に座った綾波を方をちらりと見ると、彼女の顔が目の前にあったので、少し驚く。

 

「わっ、綾波、近いよっ」

 

「…………外の景色…よく見えない」

 

「あ、じゃあ…席変わる?」

 

 

「…ちょっといいですか?」

 

 

「!」

 

 頭上から全く知らない女性の声がした。誰だと思い顔を上げる。

 

 …本当に見たことが無い人だった。赤い海で得た人類の記憶にもない人物。

 金色の瞳にやや褐色の肌、茶色がかったストレートの長い髪。歳は自分達と同じくらいに見える。

 

「君は碇シンジさんですよね?まさかこんな場所で遭遇するとは。」

 

「あなた誰」

 

 呆然とするシンジの代わりに綾波が問う。

 

「おっと申し遅れてしまいましたね。私はアキナ…"満月アキナツェッペリン"といいます。碇さん、あなたのことは鈴原君から知っていますよ。」

 

「鈴原君……トウジですか?」

 

「そうそう。サクラちゃんが…サクラちゃんというのは鈴原君の妹なんだけど。彼女あなたのロボットの戦闘に巻き込まれて左脚に大怪我しちゃってさ。鈴原君めちゃくちゃパニック起こしてたなぁ」

 

 畳みかけるような早口で人が聞いていないことを喋る。もはやそれは会話として成立しておらず、独り言が暴走している。

 

「…あなたは何をしに来たの」

 

「おっとそうだった。碇シンジ君。君の時間を少々拝借してもいいですか?」

 

「え…」

 

「よし、じゃあいきましょうか!」

 

「いや、ちょ…あのっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 彼女のペースに流されて、芦ノ湖からまた第3新東京の中心部に戻ってきてしまった。

 

(なんでこうみんなして僕を強制的に連れ回すんだ…?)

 

「さて、ここが目的地ですよ。」

 

 大きな白い建物。『国立病院機構第三新東京病院』と看板に書かれている。

ここは第三新東京市ではもっとも大きな病院だ。

 しかし、シンジはほとんどここに来たことはない。なぜならばジオフロント内のネルフの病院で全てが解決しているからだ。

 

「なにボーッとしてるんですか。いきますよ。」

 

 ついさっき初めて会ったばかりだと言うのに彼女は全く遠慮がなく、腕を強引に引っ張りシンジを病院の中へ連れて行く。その後ろを無表情の綾波が静かについていく。

 周りから見ればかなり滑稽に見えそうなものだ。

 

「さあ、着きましたよ。508号室。」

 

「えと…何をすればいいんですか…?」

 

「この部屋の中にサクラちゃんがいる。」

 

「え…たしかトウ…鈴原さんの妹さん?」

 

「そう。私の仰せつかった任務はあなたをここに送り届け、サクラちゃんと話させることだった!あのサクラちゃんからの頼みだし私も多少強引でも叶えなきゃと思ったのです」

 

「多少…?」

 

「ささ、入んな入んな」

 

 勢いに押されるまま病室に入ってしまう。中にはベッドに座り窓の外を眺めている少女がいた。年齢は小学校低学年くらいだろうか?振り向いたその顔には、トウジと同じ血が流れていることを感じさせた。

 

「…あなたが碇シンジ…さん?」

 

 ほんの少しの静寂を破ったのはサクラの方。質問にシンジは「はい」と答える。

 

「という事は…あなたが私を助けてくれたんですね。あの紫のロボットで。」

 

 若干関西弁のイントネーションが混ざった声。やはりトウジの妹であるのだと実感する。

 

「僕なんか…全然…怪我させちゃったし…」

 

「兄はああ言ってますけど、碇さんが気に病むことじゃないですよ。あの時碇さんのロボットが出てきてくれたからこそ、これだけの傷で済んだんです。あの時碇さんのロボットがあの化け物を突き飛ばしてくれなかったら…建物ごど崩れて下敷きになっていました」

 

「………」

 

「兄は誤解してるだけです。話せばわかってくれます。あなたは私を助けてくれた恩人です。…それが言いたかっただけです」

 

 小学生とは思えないほど精神年齢の高いサクラの文言に驚きつつ、シンジは少し安心した。

 

「ありがとう」

 

「え、なんで碇さんが感謝してるんです?」

 

「僕はなんのために戦うのか、君のおかげで少しわかった気がするよ。」

 

「…そう…?ですか…」

 

「…ところで…あの満月さんっていうのは誰なんですか…?」

 

「アキナの事?」

「はい」

 

「…昔から近所に住んでる変なお姉ちゃんです。ふらっと現れてはすぐ消える…よくわからない。…でもいい人です。よく可愛がってくれました。」

 

 

 

 

 

 

 病室を出ると待っていたのは綾波だけで、さっきの女の子はもういなくなっていた。綾波が言うところによると、僕が病室に入った後すぐにいなくなったらしい。

 

 外はもう夕日で赤く染まっていて、つい先ほどまで朝だったのに、と時間の流れの速さを感じていた。

 

 ぐぅ、とお腹が鳴った。そういえば朝に軽食を食べたきりで何も食べていない。

 

「碇君」

 

「…何?綾波…」

 

「お腹空いているなら…何か食べるべきだと思うわ。」

 

「い、いやそんな事ないよ!」

 

 反射で否定する。なんだか恥ずかしいからだ。

 

「嘘。お腹が鳴った。本で読んだ事がある。空腹を感じた際の現象」

 

「………」

 

「そこにレストランがあるわ。何か食べましょう」

 

 

 

 

 

 

 夕飯時だからだろうか?ファミレスは順番待ちがあるくらいには混んでいた。待ち時間があるので綾波と何か雑談でもしたいが話が続かないのは前からずっとわかっている事だ。

 

 ミサトさんに帰りが遅くなることだけ携帯で伝えておき、メニュー表を見る。

 

 これといって食べたいものがあるわけでもないので適当にミートソーススパゲティでも食おうか、と決める。

 

 ふと視線を上げると、綾波が眠いのか船を漕いでいた。

 

「…綾波…?」

 

「……なに」

 

 半開きの今にも眠りそうな目でこちらに反応を返す。

 

「綾波は何が食べたい…?」

 

「…………カレー」

 

 しばしの間を置いた後、綾波が答えた。そのタイミングでちょうどレストランの席が空き、従業員に案内される。

 

 注文を伝え、届くまで待っていると自分まで眠気に襲われてきて、机に突っ伏して2人とも寝てしまった。

 

 

 

 

 

 

 眠ってしまい多くの時間を浪費した結果外は真っ暗になり、まだ数が足りない街灯頼りで家に帰ることになった。

 

「綾波、これは僕の独り言みたいなものだから聞き逃してもらって構わないんだけど。」

 

「………」

 

「今まで僕は父さんに褒められたくて戦ってきたけれど…だめだった。それじゃ大切な人は守れなかったし…全部失った」

 

「…………」

 

「だけど今日…サクラちゃんと話して…自分の役目をはっきりと思い出せた。僕は他人を守る。もっとエヴァに上手く乗って、守らないといけない。」

 

「……………」

 

「違う…守りたいんだ。僕は。」

 

 

「それが僕の…戦う理由だ」

 

 

 

 綾波と別れ、ミサトさんとの家に戻る。ミサトさん、皿洗いはきちんとやっただろうか?酔い潰れてやってないとかないだろうな、そんなことを思いながら、シンジは三日月の下を駆けていった。

 

 

つづく

 




クソ時間かかりました
かなり強引だし展開は纏まってないけど日を跨ぎまくって文章書いたらこうなりました。許して…

誤字あったら躊躇なく報告してくれ

ちなみに本来はこれのリメイクのつもりでした↓
https://syosetu.org/novel/252745/3.html

シンエヴァのブルーレイがとうとう出るらしい。買う??

  • 僕が買います…!
  • アマプラあるし別にいらん
  • 貧乏人ですたすけて
  • あぁアスカかわいいよアスカ!!
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