機動戦士ガンダムダレト   作:オンドゥル大使

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第147話「交差する焔」

 

 鎧じみたパイロットスーツに身を包み、サルトルの補助を受けていた。

 

『クラード。そのパイロットスーツは前回よりも最適化されている。少しくらいは接続時の痛みは和らいだはずだ』

 

「それなら、いいんだけれどさ。どっちにしたって痛みは消えないんだな」

 

『そう言ってくれるなよ。……こう言っちまうと何だが、《ダーレッドガンダム》は分からない事のほうが多いんだ』

 

「了解。不条理でも飲み込め、か。……まったく、俺らしくもない」

 

《ダーレッドガンダム》が格納デッキから移送されていく途中で、ピンクの髪を二つに結ったメカニックが接触回線を開いてくる。

 

『聞こえますか、《ダーレッドガンダム》のパイロットの方』

 

「……あんたは。トライアウトの、か」

 

『ティーチと申します。この機体に関して、一家言が』

 

「……それは出撃前に必要な事なのか」

 

『言っておかなければ禍根に成ります』

 

「……いいよ、言って。手短に」

 

『《ダーレッドガンダム》の性能を調整しておきました。ベテルギウスアームとの接続時に感じるラグを最小限に抑えるようにしておいたのでペダル少し軽いかもしれません。それと、内蔵されているブラックホール砲らしき兵装ですが、出力調整がそちらで可能になったのでご報告を』

 

「……有益だな。感謝する」

 

 自分が知らぬ間に爆弾でも括りつけられる、と判断していた相手は真面目腐った挙手敬礼をノーマルスーツ越しに送っている。

 

「……そうか。俺の取り越し苦労なら、いいんだがな」

 

『《ダーレッドガンダム》、リニアカタパルトボルテージに固定。出力を80に設定し、敵勢力圏への加速を行います。……クラード、準備はいい? 言ってしまうと、一気にアルベルト君達の戦局に割り込むって言う……ジェットコースターみたいなもんなんだからね』

 

 バーミットの警句にクラードは鎧のパイロットスーツの気圧を調整していた。

 

「今さら絶叫マシンだ何だって言う事でもないだろう。第一、俺はそんなの乗った事はないんだよ」

 

『まぁ、あんたに今さらジェットコースターがどうとか釈迦に何とやらだろうけれど、一応は言っておくわ。《ダーレッドガンダム》、出撃タイミングをエージェント、クラードに委譲します』

 

「了解。《ダーレッドガンダム》、エージェント、クラード。迎撃宙域に先行する!」

 

 リニアカタパルトの青い電流がのたうち、《ダーレッドガンダム》と共に胃の腑を押し上げる重力を感じさせて宇宙の内海へと出陣していく。

 

 加速度が並大抵ではないとの報告は嘘ではないようで、平時よりも星々の瞬きが行き過ぎていく。

 

 クラードはパイロットスーツ越しに感じるGに奥歯を噛んで堪えつつ、インジケーターを設定する。

 

「行くぞ。ミラーヘッドを展開して段階加速。一気に戦闘宙域へと突っ込む」

 

《ダーレッドガンダム》が蒼の残像を引いて分身体を生み出し、戦域へと自らを押し込んでいく。

 

 アルベルトの《アイギス》の改修機と《ネクロレヴォル》隊が交戦状態に入っていた。

 

「エージェント、クラード。介入行動に……何だ?」

 

 不意打ち気味の熱源警告。

 

 それと共に尋常ではない加速度で直進してくる機体名称が紡ぎ出される。

 

「《パラティヌス》……? 王族親衛隊が操る、手練れの機体だな」

 

 漆黒の王冠形状の《パラティヌス》がミラーヘッド段階加速を経て《ダーレッドガンダム》の射程へと踏み込んでくる。

 

 クラードは制動用の推進剤を焚かせ、敵影へと腰にマウントした迎撃用のビームライフルを速射していた。

 

 だが相手は即座に回避挙動に入り、視界を逃れたかと思うと直角に折れ曲がってまるで跳ね上がるかのようにこちらへと向かってくる。

 

「……《パラティヌス》とは言え、こんな性能……パイロットがミンチになるぞ……」

 

 しかしそのような懸念とはまるで想定外のところにあるとでも言うような無茶苦茶な軌道を描いて、敵機はビームサーベルを抜刀する。

 

 このままでは直撃軌道だ。

 

 クラードは短刀を引き出し、逆手で応戦する。

 

 干渉波のスパークが押し広がり、眼前で弾け飛んでいた。

 

「……こいつ……! 乗り手は前回の奴か……!」

 

『やるではないか! そうでなければ、我が怨敵には成り得ないとも!』

 

 接触回線越しの声が聞こえたのも一瞬。

 

《パラティヌス》が《ダーレッドガンダム》の腹腔へと浴びせ蹴りを見舞う。

 

 その衝撃波をコックピット内部で減殺させ、クラードは警告音声を聞いていた。

 

『警告。余剰衝撃波がアステロイドジェネレーターへの負担となっています。敵との距離を離してください』

 

「簡単そうに言う……! 剥がれないんだよ……!」

 

 短刀を振るい、相手を引き剥がそうとするも、その時には背後に回り込まれ、咄嗟の習い性で薙ぎ払う。

 

 途端、眼前でビームライフルを断ち割られていた。

 

 敵機が上下に交差させたビームサーベルの光刃が閃き、噛み切るか如く叩き割っていたのだ。

 

「……この距離なら、やれていたと言うのに……!」

 

 敵はわざと武装を潰した。

 

 それはつまり、こちらとの操縦技術では分がある事を示している。

 

「戦場で……! 余裕なんて浮かべているような奴から死ぬ!」

 

 クラードは短刀を背筋に担いだ大太刀と連結させ、そのまま双剣を払う。

 

 敵機はビームサーベルを逆手で翳して応戦し、もう片方の腕を伸ばして大上段より打ち下ろしていた。

 

 瞬時に制動用推進剤を発動させて敵の視野を眩惑させる。

 

 通常の眼であれライドマトリクサーの視野であれメインカメラは潰されたはずだ。

 

 その期を狙っての振り払い。双剣が敵機を引き裂かんとするが、相手はミラーヘッドの分身体を生み出し、あろう事か分身体を生み出す際のラグを用いて太刀筋を回避していた。

 

「ラグを回避運動に用いる……!」

 

『私はこれでも、有用な眼を持っていてね。少しばかり戦闘においては優位だと言わせていただく!』

 

 だがそんなもの、まるで針の糸を通すような活路のはずだ。

 

「……俺には見えていないものが見えているって言うのか。だがそんなもの……!」

 

 双剣を応戦の太刀で振るうも、それさえも予見したが如く、敵機は跳ね上がり、直上を巡ってから、脚部に格納されたビームタレットを速射させる。

 

 挟み込まれるように撃ち込まれた光条を、クラードは機体制御をわざと崩して回避し、持ち直した挙動で右腕の兵装へと手を伸ばさせる。

 

『化け物の誹りをする割には、君とて化け物のような挙動をする!』

 

「悪いが付き合ってはいられない。一体の敵に頓着すれば、戦場で足をすくわれるのは明白だからだ……! ベテルギウスアーム、起動……!」

 

 右腕が兵装に沈み込み、そのままアームを保持してベテルギウスアームを起動させる。

 

 蒸気を噴き出させ、鉤爪が現出し、その掌へと装填されたブラックホール砲の出力閾値が眼前のポップアップディスプレイへと照準される。

 

 真紅に染まった瞳の瞳孔でそれを操作し、適性値に振った暗黒重力磁場を拡散させていた。

 

 仕掛けようとしていた《パラティヌス》が気勢を削がれたかのように距離を取り、拡散重力磁場の網を抜けていく。

 

『面白い兵装を用いる……。だがその鉤爪……ッ! 二度も三度も通用するものではないとだけ言っておこうか!』

 

 掻い潜って両腕のビームサーベルを展開し、敵機は加速度を上げて向かってくる。

 

「……重力磁場への恐れがない……? こんなパイロット……!」

 

『怖がるだけ無駄だと言うものだ! 一度味わった恐怖をトラウマだと言うのは、それは弱腰だと呼ぶ!』

 

「来るのなら……容赦はしない!」

 

 ベテルギウスアームの掌底で敵機を重力の拒絶で押し潰そうとするが、相手は交差させたビームサーベルの粒子束の出力を上げて磁場をこの時、何と十字に掻っ切っていた。

 

「……俺の出力調整が甘い?」

 

『そう自在とはいかない様子。大仰な武装と言うのは、いつの世でも容易く運用とはいかないだろう! その無用の長物、いただく!』

 

 ベテルギウスアーム切断の挙動を取った《パラティヌス》だがその時にはビームサーベルの出力は減殺しており、弱まった粒子だけが装甲を叩く。

 

『何と!』

 

「もらった!」

 

 鉤爪が《パラティヌス》の半身を抑え込む。足掻かせる前にその装甲を内側より爆ぜさせ、重力波を撃ち込もうとして敵機はスモークを焚いていた。

 

「そんなまやかし……!」

 

『どうかな。重力磁場を拡散させるのだ、ならばその拡散粒子を阻害すればいい。ミラーヘッドの噴煙で』

 

 不意打ち気味に《パラティヌス》の像がぶれる。

 

 分身体を生み出し、そちらへと自身を転写していた。

 

 まさかそんな戦法は思いつきもしない。

 

 クラードは《ダーレッドガンダム》の鉤爪より高重力磁場を放出していたが、その時には転写された位置情報へと《パラティヌス》は転移している。

 

『ミラーヘッドの際に用いる粒子の特性を利用した戦術だ。ここまで私に出し惜しみもさせずに行使させるとは、やはり君は私の見込んだ、運命の人だとも!』

 

 最早、形骸化した分身体を鉤爪で引き裂くも、その時には敵影は離脱挙動に入っている。

 

『なるほど、それなりに楽しめた。君は、今のドレスでは踊ってくれそうにない。……私も本気を出すとしよう』

 

「撤退機動? なら、その隙間を縫って《ネクロレヴォル》隊を撃滅する!」

 

《アイギス》小隊が交戦している《ネクロレヴォル》の戦域へと、クラードは割って入っていた。

 

「攻勢は……こっちが上だ!」

 

 敵影が分身体を流転させながら交錯させ、火線を見舞う。

 

《アイギス》に後退させつつ、クラードは《ダーレッドガンダム》の右腕武装を掲げていた。

 

『ベテルギウスアーム、出力を調整。反重力バリアを構築します』

 

 ガイド音声を聞き留めつつ、《ダーレッドガンダム》の前面へと反射皮膜が構成されていく。

 

 紫色の重力磁場を散らせつつ、敵機の放った銃撃が反射していた。

 

《ネクロレヴォル》隊はその攻勢に心得たように距離を取る。

 

『クラード! こいつらはオレが抑える! お前は、エース機を!』

 

「いや、エース機は下がっていった。……どういうつもりなんだか知らないが、俺の強さを図っていたらしい。それにしたって、騎屍兵と打ち合うのは迂闊が過ぎる。《ダーレッドガンダム》で敵の銃撃網を反射させ、その隙を突いてミラーヘッドで牽制。出来るよね?」

 

『……誰に言ってやがる……! RM第三小隊、《アイギス》を引き連れてミラーヘッドを展開。機動力で敵の頭を押さえんぞ!』

 

 応! と相乗する声を通信網に聞きつつ、クラードは《ネクロレヴォル》の動向を眺めていた。

 

 騎屍兵達は下手な損耗を出すつもりはないらしい。

 

 すぐさま中距離戦に移り、ミラーヘッドの戦場を心得た距離を取る。

 

「……騎屍兵は二度も死ぬのは御免と言うわけか」

 

《ネクロレヴォル》のうち、一機が別行動を取る。

 

 その赴く先はブリギット艦であった。

 

「……こっちが制せないからって艦を狙うか。間違いの戦法じゃないな……。ブリギットの守りは?」

 

『それは、そいつはトライアウトジェネシスの連中の受け持ちだ』

 

「……手出し無用と言いたいわけか」

 

 一直線に向かっていく《ネクロレヴォル》へと、ブリギット艦より出撃した機影が応戦していた。

 

 紅色の色彩を誇る《レグルス》がミラーヘッドを展開し、《ネクロレヴォル》ともつれ合っていく。

 

『あれは……件のDDとやらの《レグルスブラッド》か……』

 

《レグルスブラッド》は《ネクロレヴォル》相手に臆する様子もなく、ミラーヘッドの分身体を両翼に生み出して銃撃網を走らせる。

 

 それは第四種殲滅戦に慣れた人間の動きであった。

 

《ネクロレヴォル》が撤退機動に移ろうとするのをアルベルト達第三小隊の《アイギス》が退路を阻む。

 

『逃がさねぇ! ここで撃墜するぜ!』

 

《ネクロレヴォル》はビームサーベルを抜刀し、アルベルトの《アイギスハーモニア》と打ち合う。

 

 干渉波のスパーク光が散る中で、直上より跳び蹴りを見舞った《レグルスブラッド》の威容に気圧され、《ネクロレヴォル》が装甲を弾けさせて後退する。

 

 その隙を逃さず、《アイギスハーモニア》が刃を薙ぎ払っていた。

 

《ネクロレヴォル》の脚部を切り裂いた一撃に、銃弾の雨嵐が機体を打ちのめす。

 

 次々と攻勢を奪われていく《ネクロレヴォル》を、《アイギスハーモニア》がミラーヘッドの体当たりで推進剤を吹き飛ばし、敵影の帰投を防ぐ。

 

『こいつはこのまま鹵獲する! 総員、包囲陣形を敷いて連携!』

 

『了解!』

 

 ユキノらの声が弾け、《ネクロレヴォル》をワイヤーで拘束していた。

 

《レグルスブラッド》が機体頭部へと銃口を押し当て、背後からはアルベルトが固める。

 

『これで王手って奴だ』

 

《ネクロレヴォル》からはしかし何の反応もない。

 

 自爆もあり得ると考え、クラードは鹵獲された機体からは距離を取り、追従してくるであろう敵勢を見据えていたが、騎屍兵隊は追跡を繰り広げて来るでもなく、モルガンへと撤退機動に移っていく。

 

「……友軍でも派閥でもあるのか? それとも、騎屍兵には仲間意識なんてものは希薄だとでも……」

 

 いずれにせよ、この時代で初めての騎屍兵の鹵獲だ。

 

《レグルスブラッド》の的確な射撃が両腕を吹き飛ばし、相手からの抵抗を奪っていく。

 

『悪いが抵抗するような気概は消えてもらう。こちらからしてみれば不明なだけの機体だ。命があるだけでもありがたいと思ってもらいたい』

 

《ネクロレヴォル》からの通信はない。

 

 まさか、自害したのか、とクラードは意識を振っていた。

 

「……そいつ、もし中に入っているのがRMなら、生体波長を調べるといい。バイタルがなければ死んでいる」

 

『忠告感謝する。RMに関しては統合機構軍が持っている分が大きい。我々からしても未知な部分も多いのだ』

 

 怜悧な声の持ち主にクラードは敵勢の陣形へと視線を振り向ける。

 

「……モルガンより来るのはMA《サイフォス》か。アルベルト、その機体じゃ不利だ。俺が前に出る」

 

『けれどよ! ……騎屍兵が撤退したんなら、オレらにだって……!』

 

「《サイフォス》のミラーヘッドジャマーはもう対策されている可能性が高い。次も同じ手が通用するとは限らない。俺ならあいつのジャミングをすり抜けて攻撃出来る」

 

『……騎屍兵を殺さずに鹵獲するほうに集中しろって?』

 

「言わないで分かっているのならそれに越した事はないだろ。そうしてくれ」

 

『……了解』

 

《アイギス》部隊が退いていく中で、《レグルスブラッド》がこちらと並び立つ。

 

「……下がれって言ったはずだけれど」

 

『それは《アイギス》部隊にだけのはずだ。私に下がれと言われた覚えはない』

 

「……物は言いようって感じだ」

 

『戦場の感覚を知りたい。特に、そのガンダムにはな』

 

「……何、下手な勘繰りをしたって、俺にだってこいつははかりかねている。分かった風な事は言えない」

 

『いや……ガンダムには何かと……因縁がある』

 

 その言葉でクラードはようやく、その声の主が三年前にベアトリーチェを攻撃した人間の一人である事に気づいていた。

 

「……貴様……」

 

『そちらが勘付いたという事はこちらも、と思ってもらいたい。……別段、ガンダムだからと言って今さら敵対するわけでもなし』

 

「……じゃあ邪魔にならない程度に援護を。後ろから撃たれるのは趣味じゃない」

 

『……尽力しよう』

 

 互いに弾かれ合うように《サイフォス》へと挟撃を仕掛ける。

 

《サイフォス》は鬼面の装甲を拡張させてミラーヘッドジャマーを張り巡らせていた。

 

 構築したミラーヘッドのジェルを凝固させたツルが円弧を描き、《サイフォス》へと光背のように編み出される。

 

「……まるで絶対者って感じだ」

 

『《レグルスブラッド》、ミラーヘッド受諾失敗。やはり敵は手を打ってきている』

 

「アルベルト達を下がらせて正解だったな。俺が先行する。《ダーレッドガンダム》、システムを展開。レヴォル・インターセプト・リーディング、発動」

 

 浮かび上がっていくシステムの瞬きを視野に入れつつ、クラードはミラーヘッドの段階加速を経て《サイフォス》の射程へと潜り込む。

 

 敵機は出力の高いビーム兵装で固めているが、その砲門はどれもこれも精密さに欠ける。

 

《ダーレッドガンダム》がベテルギウスアームの鉤爪を奔らせた時には、敵機もクロー装備で応戦しようとしていた。

 

 その長大なクローを膂力だけで押し潰し、次いで重力磁場を伝導させ内部に収まるパイロット達を焼き尽くしていく。

 

《サイフォス》から蒼い光が凪いだのを関知し、クラードは敵機の至近距離で重力による圧死を行っていた。

 

 コックピットブロックが粉砕され、装甲を散らせる《サイフォス》の機体に乗り移り、こちらへと照準を向ける砲塔を叩き潰していく。

 

 鉤爪の切断で引き裂き、粉々になった《サイフォス》を蹴ってモルガンへと肉薄せんと推進剤を焚いたが、その時点で《ダーレッドガンダム》の射程圏よりモルガンは逃れていた。

 

 甲板部に《ネクロレヴォル》を配し、こちらへと応戦弾幕を張っている。

 

「……鹵獲したのは一機だけ。他の損耗は《サイフォス》の一機で手打ちか。なるほど、ピアーナらしい、合理的な判断だ」

 

『ガンダムのパイロット、ミラーヘッドジャマーが消えた。我々も帰投するとしよう』

 

「ああ、構わないが……遺恨はないのか。お前らの仲間を俺は大勢殺してきただろう」

 

『……そんなものはあの委任担当官殿が蹴散らしてくれたよ』

 

「……カトリナ・シンジョウが? 何をやったんだ……」

 

 完全に想定外の言葉に面食らいつつ、クラードはオフィーリアの放つガイドビーコンを目にしていた。

 

 

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