地を這いつくばる鯨の威容に、まさか、と相手は息を呑む。
「あんな……おぞましいものが実用化されていたとは。統合機構軍、恐れ入る」
「しかし、進行方向にはポートホームの集積地点がある。よろしいのですか? 手を打たなくとも」
「わたしが手を打ったところで、英雄と持て囃される事もない。この身は既に死んだとされているのだから」
生命維持装置に繋がれた己の骨ばった肉体を、この時ばかりは――ディリアンは恨めしく思った事もない。
延命措置が問題なく稼働しているのを確認し、地面を融解させながら這い進む異形を目の当たりにする。
「……イミテーションモビルフォートレス。実用化されていたとは」
「魔獣、ですか」
「……貴官が乗って来たのも照合上は同じであった。わたしはしかし、大恩は返す性質だ」
「それは光栄だと、思ってよろしいのでしょうか。ディリアン・L・リヴェンシュタイン殿」
「どうとでも取って構わん。しかし、その命、わたしのためにあるのだと忠誠を誓ったからこそ、今ここに居るのだろう? 王族親衛隊所属……」
「――ヴィクトゥス・レイジ、特務大尉です」
傅いた相手にディリアンは高空船舶の中で空を仰ぐ。
「……あと数時間で、地球圏は最後の夜明けを迎える。宇宙と地上は断絶され、地球圏は三十年ほど後れを取る事だろう」
「それを止められるのでは?」
「傲慢になるものでもないよ。出来る事と出来ない事くらいはあるだろう、如何に王族親衛隊所属とは言え」
「討てと言われれば討ちましょう」
「逸るな、とも言っている。……《ティルヴィング》だったか。あんなもの、相手取るだけでもどうかしている。わたしの従僕となった貴官の手を煩わせれば、それだけで宇宙に上がる手順は増える」
魔獣を殺すのは他の誰かに任せればいい。
そう言外に告げたつもりであったが、そもそも魔獣は狩り尽くせるような生易しいものでもないはずだ。
恐らく、地上勢力は総力を並べても敵わないだろう。
それでも戦意だけは留める事が出来ず、要らぬ人死にばかりを増やすのは必定。
もう読めている戦局に、強力な駒を送る事もない。
「しかし、それでも抗う者達は居るでしょう」
想定外のヴィクトゥスの言葉振りに、ディリアンは鼻を鳴らす。
「あんな化け物相手に、立ち向かうと? 馬鹿馬鹿しい。死期が早まるだけだ。それに、相手は魔獣だぞ? ミラーフィーネとやらを搭載しているとすれば、現状のミラーヘッド機では勝利出来ない。それが分かっていて、立ち向かうのはそれこそ蛮勇と言う」
「……蛮勇でも、彼はきっと立ち向かう」
「……あんなものに死力を尽くす愚か者を知っているのか?」
「……少なくとも二名、ほど」
ヴィクトゥスの言葉繰りは読めない。
彼はそれを心待ちにしているのか、それとも馬鹿馬鹿しいと唾棄しているのか。
それさえも分からないのは仮面の向こうに輝く蒼い瞳が既に乗り越えてきた光を宿しているからだろう。
彼は何らかの特別措置を受け、今も格納コンテナに収まっている魔獣――照合名《トルネンブラ》を駆って来たはずだ。
「……貴官は何故、《トルネンブラ》を操ってわたし達、特権層を助けに来た? それが分からない」
「王族親衛隊はあなた方を守る剣であるのは自明の理でしょう? 私はその命に背くつもりはない」
「……そうか。そうであったな。貴官は思ったよりも賢明であっただけの話か」
そう結ぶとヴィクトゥスは高空船舶よりもたらされたアナウンスを聞いているようであった。
『間もなく大気圏を突破いたします。皆様におかれましては、シートベルトを着用し、数分間の間、席をお立ちになりませんよう――』
「大気圏突破、か。まさかこのような形で再び宇宙に舞い戻るとは」
「間もなく、世界は様変わりする。その瞬間に立ち会えないのは残念か?」
「……少し」
「俯瞰するのにも慣れておいたほうがいい。王族親衛隊所属となれば特に、な。我が方はモルガンと合流予定のはずであったが、当てが外れてしまったようだ。先んじてモルガンは宇宙へと飛び立ち、ランデブーは数時間遅れるとの報告があった」
しかし、その報告もどこか浮ついており、ディリアンは疑念を抱いていた。
モルガンに所属していたライドマトリクサー――ピアーナ・リクレンツィア艦長の報告が途絶えて数日。
作戦行動が遂行されていた可能性も低く、現状ではモルガンへと合流するメリットも少ないだろう。
「……わたしは、ただ単に一事を達成する事を望んでいたと言うのに」
「モルガンには優秀な騎屍兵が居ります。何の心配も要らないかと」
「騎屍兵団、か。それを操るものがRMの小娘だと言うのもどこか遊離した現実だよ。いや、性質の悪い冗談だと言うべきか」
「……私はそのような者達には敬意を表するべきだと思っております」
「歴史の裏側で動くような者達だぞ? 貴官とは正反対だとは考えているが」
むしろ、綴られぬ汚れ仕事を請け負う程度の者達だ。関わり合いは少ないほうが、この先は生き抜ける可能性が高い。
「私は戦士こそ常に称賛されるべきだとも考えています。それこそが、戦場で踊る心がけかと」
「どこかで聞いたような物言いをする。……そうだ、識者の理論とやらを振り翳していた者が居たな。確か、名前は……」
「グラッゼ・リヨン。歴史に翻弄された、とんだ敗北者でしょう」
「そうだ、グラッゼとやら。先の月軌道決戦では何やら不穏な動きがあったとも聞く。所詮、その程度に集約される人物であったのだろう。撃墜王の名前をほしいままにしていたとも聞くが」
「彼の者はその生き方にピリオドを打てなかった。その時点で敗北の帰結は必定であったのでしょう」
どうしてなのだろうか。
ヴィクトゥスは吐き捨てるようにグラッゼの事を語る。
戦友でもあったのだろうか。あるいは同じ戦場を駆け抜けた朋友か。
「……いずれにせよ、世界が焼け落ちる瞬間と言うのは、思ったよりも静かなものだ」
『これより、本船舶は衛星軌道ステーションにて、統合機構軍所属艦モルガンへと接続いたします』
アナウンスがもたらされ、ディリアンは頬杖を突いて遥か下方に堕ちた地表を見据えていた。
「せいぜい、終わりの時を綴るがいい、愚かしい者達よ。その身に赤い血が流れている事だけが、貴様らの誇りであろう」
《ティルヴィング》相手に、蛮勇を気取り立ち向かうか。
しかしそれは破滅への誘因に等しいと言うのに。
「失礼。御身を移送します」
「頼む。……この身一つ、満足に動かせぬとはな」
移動用の寝台に乗り込み、生命維持装置を起動させる。
脈拍は問題なく刻み、血流のブラックアウトさえも感じさせない最新鋭機器が意識をクリアにしていた。
精密機器の塊であるこの肉体でさえも自由ではない。
ディリアンはヴィクトゥスによって移送されながら、衛星軌道ステーションに陣取る紺碧の船舶を目の当たりにする。
「トライアウトブレーメン……道楽部門の者達がこの土壇場で追いついたか」
「ブレーメンには不明瞭なものが多いと聞きます」
「噂程度に踊らされるクチかね? ……実際、ブレーメンの連中は上手く立ち回ったほうだろうさ。統合機構軍との渡りをいち早くつけたのは彼らだと聞く。先の月軌道決戦において最終的な勝利者となったのは、な。……だが次は違う。勝利者の座につくのはわたしのような人間だ。他に邪魔をさせるものか」
「失礼を。騎屍兵の者達です」
ヴィクトゥスはモルガンより衛星軌道ステーションに降り立った喪服のパイロットスーツの一団へと挙手敬礼を返していた。
相手の先鋒も返礼し、声を発する。
『……ヴィクトゥス・レイジ……生きていたとは』
「失礼ながら、特務大尉が抜けている。しかし、そちらも無事でよかった」
『無事であるものか……! ピアーナ・リクレンツィア艦長の離反と、そして一部兵士の反抗……! どれを取っても、今、こうしている場合でさえもない』
「しかしそれを選んだのはそちらだ。……ゴースト、ファイブで、今は呼称しても?」
『もう戻れない亡霊の名前だ。私は迷わない。ゴーストの名称がそれに相応しいのであれば、そう振る舞おう』
覚悟を決めた声音にディリアンは割り込んでいた。
「何をしているか。貴官らは騎屍兵団として、最後まで戦い抜くのが誉れであろう。無駄口を叩いている場合でもないはずだ」
自分の言葉繰りにその時――騎屍兵の一員が驚嘆したのが窺えた。
『……そのお方は?』
「ディリアン・L・リヴェンシュタイン王族佐官だ。知らぬとは言わせんぞ」
高らかに名乗った自分に、ゴースト、ファイブの名前を取った相手は何やら確証めいた声を発する。
『……そうか、そちらが……リヴェンシュタイン家の』
「知っているではないか。王に連なる家系だ、よく憶えておくがいい」
『……ええ、二度と……忘れませんとも。ヴィクトゥス・レイジ特務大尉、我々はトライアウトブレーメンと共闘し、衛星軌道を守る任務を仰せつかっています。それもこれも、地上からの勢力を根絶やしにするために』
「……風の噂でしかないと思っていたが、やはり事象はそう動くか。となれば、既に張っていると見るべきだろうな」
『ええ。王族親衛隊所属、万華鏡、ジオ・クランスコールの先遣部隊は、既に』
「何だ、万華鏡が居るのか。ならば懸念も少ないだろう。特務大尉、わたしを運べ。ブレーメンの上層部に渡りを付けたい」
「……仰せのままに」
自動椅子を押すヴィクトゥスへと、騎屍兵団が離れたのを確認してからふんと吐き捨てる。
「……騎屍兵など。死の臭気が移ると言うものだ」
「聞こえます。余計な言葉は控えたほうがよろしいかと」
「余計? そう聞こえるかね、貴官も。わたしは王族佐官の身分だぞ」
「……いえ、肝に銘じておきましょう」
引き下がったヴィクトゥスの声を聞き留めつつ、ディリアンはこちらへと歩み寄ってきたトライアウトブレーメンの見目麗しい女性構成員と顔合わせをしていた。
相手はこちらの身分を分かっているのか、即座に傅く。
「これはこれは。リヴェンシュタイン王族佐官様、お久しぶりです」
「わたしとしても会えて嬉しい。君は……確かブレーメンの開発担当であったな?」
相手は微笑んで自分の骨ばった手へと口づけをする。
「私共としましても、リヴェンシュタイン様のお心添えが得られるとなれば頼もしいですわ。これから先、あなたを守る盾となり、矛となりましょう」
「うむ、よろしく頼む。して、完成しているのか? 話にあった、IMF一号機は……」
「こちらです」
先導する女性構成員の揺れる尻に、劣情を駆りたてられる。
やはり、色気がなければ生きていても甲斐はないと言うものだ。
やがて向かったのは大仰な扉の向こうであった。
格納デッキに収容されているのはMS七機分ほどある巨大な構造物である。
おお、と感嘆の息が思わず漏れていた。
「完成していたのだな! 《カルラ》が!」
「IMF01《カルラ》……リヴェンシュタイン様のお力添えにより、ロールアウトいたしました」
「でかした! これさえあれば……最早どのような脅威でも恐るるに足らず! あの万華鏡でさえも殺し尽くすであろう、最高の技術の粋だ!」
両手を広げてその生誕を祝っていると、タラップに体重を預けている男が視線を振り向ける。
「……何者だ」
「失礼。王族親衛隊所属です。《カルラ》……いいえ、IMF01《ヴォルカヌスカルラ》の専属パイロットとなっております」
「貴様が、これのパイロットか。使い手なのだろうな?」
パイロットスーツを着込んだ男は恭しく頭を垂れる。
「無論、リヴェンシュタイン様のご健在あってこその実用化。私としてもこれを動かせる事に喜びを禁じ得ません」
「それはその通りだ。わたしが先回りして投資しなければ、トライアウトブレーメンは先細っていただろう。貴君らの繁栄はわたしの力なくしては実現しなかった」
「まことに……。して、そちらのお方は」
「……知らないのか? まぁ王族親衛隊同士でも、コネクションはないものか」
ヴィクトゥスは歩み出ると、こちらを一瞥していた。
「失礼を。私には《カルラ》のパイロットと話す事がございます」
「ふむ、では……」
ディリアンは女性構成員の尻を撫でる。
相手も心得ているのか、自動椅子を牽引していた。
「せいぜい長話をする事だ。わたしには少し所用が出来てね」
女性構成員に手を引かれ、格納デッキの片隅へと進んでいく。
最早、ヴィクトゥスや《ヴォルカヌスカルラ》の事などどうでもよく、目の前の悦楽を貪るのみであった。
「……よォ、生きていたんじゃねぇか、しぶといな」
「……その声、喋り口調も……忘れた事はなかった。――クランチ・ディズル。鏡像殺しがまさかIMFのパイロットだとはな」
互いに頭蓋を押し付け合い、やがて弾かれ合うように後ずさっていた。
「ここでの言い争いはやめねぇか? ミスター。どうせあんたもあのお偉方に飼われているクチだろうさ」
「……言い返せないのが辛いな。私としては、貴様のような悪は断ちたいところだが」
ディリアンがまさかIMFの開発に意見しているとは思いも寄らない。
否、そもそも今も地表を食い潰すIMF02、《ティルヴィング》とて何者かが開発情報をリークしなければ自分も宇宙に上がれていないだろう。
ディリアンの尻馬に上手く乗ったのは、何も目の前のクランチだけではない。
「なぁ、てめぇだって戦いしか居場所がねぇ、とんだ戦場至上主義者だろうさ。俺と喰らい合っても旨味があるかねぇ」
「そう問われれば黙認するしかあるまい。私はクラード君やアルベルト君に……顔向け出来ない事をしている」
ディリアンを知ったからには彼らの代わりに天誅を、とも考えていたが、自分の領分でもないだろう。
「へっ……! 上等な口を利く戦闘マシーンじゃねぇか。俺とお前に、差なんてあるかよ! なぁ! 識者の理論の持ち主さんよォ!」
「……正体が割れているならば、なおの事、私が口を差し挟むべきでもないな」
「黒い旋風も堕ちたもんだ。あんな色ボケ権力者に擦り寄って楽しいかよ。俺は戦場を選べるんなら、別にどうだっていいがな」
「……私は、戦うべき場所を常に追い求めている。その点で言えば、貴官と何の変りもない。ただ一刹那に踊る死狂いに過ぎん。だが、狂うに足る人物と仕えるに足る人物は選べるつもりだ」
「何をボケた事抜かしてんだか。どうせ、てめぇも人でなしだ。俺達は同じ穴のムジナなのさ。戦う事でしか意味なんて見出せねぇ、とんだ戦争中毒者だ!」
「かもしれない。しかし、貴官が私のように成れないのと同じく、私も貴官ほど堕ちるつもりもない」
「せいぜい、薄っぺらなプライド振り翳していろよ。あんたは結局、戦いに至上の意味を見出す以上、俺と何にも変わりゃしねぇ。どうせ、あの貴族サマの理解を得たほどだ。汚い真似もしてきたんだろうさ」
「……言い返せんのは、やはり厳しいな」
ヴィクトゥスはクランチと向かい合い、今も起動の時を待ち望んでいる魔獣を仰ぎ見る。
「《ヴォルカヌスカルラ》……まさしく魔の獣か」
「いいツラぁしてんだろ? 俺が最後の最後、英雄に成るに足る面構えの機体だ。……あんたは、何に成りたい? あの貴族の金魚の糞してんだ、最終的な展望くれぇは聞かせてもらいたいねぇ」
「何も」
短く返答した自分にクランチは眉を跳ねさせる。
「何だと?」
「何も――望んではいない。私はある者の生き方に感動させられた。ならば、この力、剣たる生き様は、彼の者に捧げるべきだ。最早、ヴィクトゥス・レイジでもなければ、敗北者でしかないグラッゼ・リヨンでもない。私は――私の信じる志のために一振りの剣となろう」
こちらの言葉にクランチは額を抱えて哄笑を発する。
「……とんだサイコ野郎だったって事か! 俺が見間違えていたみてぇだな。あんたは人でなしで……なおかつヒトである事をやめようってのかい!」
「……ヒトである事がこの世に執着するしがらみであると言うのならば……私は容易くそれを乗り越えよう」
「笑わせてくれるぜ。イカレが一人じゃなくって安心したよ。ああ、でも、ある意味じゃ元々一人じゃねぇか。騎屍兵とか言う死んだ身分の連中がうろついてる。あいつら、マトモじゃねぇぜ」
「分かるようだね、彼らの持った覚悟も」
「覚悟ぉ? おいおい、ナマ言っちゃあいけねぇな。あいつらは、もう戦場以外に行き場所なんてねぇ、とんだ場末の生き様……いいや、死に様ってのを描くだけだろうが。モルガンってのもなかなかに舞台が整っていていい。魔女の名前を帯びて、あいつらは戦場を、喜んで前を行ってくれるってんだ。なら、俺のやり口は一つだろうが」
「……感心しないな、そのやり口は」
「うっせぇよ。どうせ、戦場なんざ、生きて結果を示し続けるか、死んでそこまでの二者択一の世界でしかねぇ。俺も、あんたも! 真っ当なようでとうにその感覚は死んでんのさ! だから、こんな世界の土壇場で宇宙まで上がって来られた! だが他の連中は違うだろうぜ。地表を這うしか出来ないウジ虫野郎共は三十年は地べたに縫い付けられたまんまだ」
ヴィクトゥスはその一翼を担うであろう、《ヴォルカヌスカルラ》の威容を今一度目に焼き付け、それからクランチへと言葉を投げる。
「……私はそこまで傲慢でもないよ」
「どうかな。あんたも俺も、戦場の嗅覚ってもんで生きてる。だから、このタイミングで宇宙に上がって来られた。誇っていいんじゃねぇか? 俺達は狗さ。それも、血と硝煙に酔う、咎狗ってもんだ。なら、狗は狗らしく、使われて生きようじゃねぇの。ただまぁ、最後の最後、その牙が誰を貫くかまでは、分からねぇだろうがな」
肩を叩き、クランチは助言して立ち去る。
「そろそろいいんじゃねぇか? 早漏野郎の相手をしているのも、ブレーメンの強度RMの連中の仕事だろうからな」
ヴィクトゥスはその言葉を受け取ってから、拳を堅く握り締める。
「……笑えよ、クラード君。あるいは軽蔑するかもしれないな。戦いと、そして引き継いだ意志のために、今拳を振るえぬ弱い私を。だが、力を手離すわけにはいかないのだ。最後の最後、堕ち行く宇宙の真っ只中で、君と踊るためには、少しの汚れくらいは引き受けよう」
ヴィクトゥスは呼吸で意識を確かめ、それからゆっくりと歩を進めていた。