機動戦士ガンダムダレト   作:オンドゥル大使

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第55話「世界を俯瞰する」

 

「……それにしたって、また掃除仕事なんて……馬鹿にされてるのかな? 入りますよぉー……って、ピアーナさん?」

 

 嘆息交じりにモップを片手に入った無人のはずの部屋で、ピアーナは本をうず高く積み上げてページを捲っている。

 

「カトリナ様、こんな場所で何を?」

 

「それはこっちのセリフですよ……。ここって空き倉庫ですよね? 書類資料が山積しているからって、仕事をもらったんですけれど……あれ? 服変えました?」

 

「お気づきになられましたか。さすがはカトリナ様ですね」

 

 くるりと一回転して見せたピアーナの服飾は以前に見ただぼだぼの服装ではなく、きっちりとその身体に見合っていた。

 

 銀色に近い生地に水色のラインが走っており、首には鈴の付いた赤いチョーカーが巻かれている。

 

「ポートホームで頼んだんです? でも、エンデュランス・フラクタルの制服に、だいぶ似ていますけれど……」

 

「特注品です。エンデュランス・フラクタルの既製品の制服に、わたくし独自のカスタムを施しました。首筋にあるチョーカー型のコネクターより、わたくしのイメージを抽出、リアルタイムで服の色調を変えられます。当然、サイズも自由自在」

 

 ピアーナがうなじを見せる。その陶器めいた白い首筋より覗いたチョーカーの機械的な意匠は襟首に接続され、瞬時にその服を変位させていた。

 

「うわっ……ラジアルさんの服とおんなじデザイン……」

 

「他にも出来ますよ? エンデュランス・フラクタルの広報情報は全て入っていますので、何でも着こなせます」

 

 胸を反らせてどうだとばかりに言ってのけたピアーナのファッションセンスは、何十年も宙域を漂っていたとは思えない先鋭さだ。

 

 次々に移り変わらせて、さながらファッションリーダーの佇まいでポーズさえも取って見せるが、如何せん、彼女本人は少女の姿かたちなので、脳裏を過ったのは「ちんちくりん」と言う感想であったのは我ながら少し手酷いか。

 

「……ピアーナさん、もしかして服飾のお仕事に適性があったんじゃ?」

 

 なんて、と半分冗談めかして言おうとして、彼女はまぁ、と紅潮した頬を掻く。

 

「……旧地球連邦に全身RMとして徴用される前には、そんな夢を見た事もありましたね」

 

 そうだ、彼女は望まずして全身RM施術を受け、そして実験動物相当の扱いを受けた。

 

 思わぬところで傷を抉ってしまったのではないか、と懸念を浮かべかけてピアーナはこちらの持つ掃除用具へと視線を向けていた。

 

「お掃除の仕事ですか。カトリナ様ほどのお方ならば、そんなものを跳ね飛ばしてしまえばよろしいのに」

 

「……そうはいかないんですよ。前回の戦闘でダイキが……知り合いがトライアウトに居るって言うんで、色々と込み入っちゃって……懲罰は免れたんですけれど、その代わりメカニックの手足には少しくらいはなってもらうって……レミア艦長はおかんむりで」

 

「ああ、ダイキ・クラビア。貴女の幼馴染との事でしたね」

 

「……何でそれを……」

 

 尋ねる愚を犯したがそれもある意味では当然。

 

 ピアーナはこのベアトリーチェの電子光学技師として情報を手繰っているというのならば、自分の「やらかし」の一つや二つは耳に入っているはずだ。

 

「カトリナ様。わたくしはレミア・フロイト艦長の方針に反対意見を述べるわけではございませんが、それは意外というもの」

 

「……私だって意外ですよ。高校時代から会っていないですから。幼馴染って言ったって、家がちょっと近かっただけで」

 

「家、ですか。カトリナ様のご家庭はさぞ高貴なご身分なのでしょう?」

 

「いえ、普通の一般家庭で。あ、でもただ、おじいちゃんだけは何だか、そんな中でも特別っぽかったなぁってのは覚えていますけれど」

 

「カトリナ様の祖父、ですか。お嫌いでしたのでしょうか?」

 

「とんでもない! 私ってばおじいちゃんっ子で、よく抱っこだとか色々ねだったなぁって……思い出しちゃいますね。ピアーナさんは、ご家族は?」

 

「……わたくしの家庭も言ってしまえば普通ですよ。ただ……父親はデザイナーでした。こうして、服なんかを見繕ったりするのに長けていて」

 

「じゃあ、生粋のデザイナー気質ってわけじゃないですか! どうりですごいわけで……」

 

「いえ、わたくしにはそのような素養、なかったも同然でございます。それに、わたくしは親不孝なのですよ。何十年も暗礁宙域を漂っていましたし、親より長く生きた子供なんて、ロクな事が……」

 

「ピアーナさん……?」

 

 顔を伏せたピアーナの気持ちを慮る前に、彼女はモップやらを指差して声の調子を戻していた。

 

「いえ、何でも。それよりも、ここをお掃除されるのですか? 使われていない部屋ですので、掃除なんて意味がないと思いますが」

 

「あ、いえでも……これも仕事っ! ですのでっ!」

 

 カトリナはモップと掃除機を携えて居並んでいる資料を眺めていた。

 

 どの本の装丁も並大抵ではない重圧を誇っている。

 

「……それにしても、今の時代に紙資料なんて、意味あるんですかね?」

 

「わたくしとしては助かります。電脳情報では十年前や二十年前のログは廃棄されている事も多々ありますが、紙資料はともすれば百年残る、遺産となり得るのです。ここ三十年間余りで起こった出来事を仔細に知るのには、本のほうが手っ取り早い事もありますので」

 

「……ピアーナさんは、本がお好きなんですか?」

 

「ええ、本は知見を豊かにしてくれます。加えてわたくしは全身ライドマトリクサー。情報としては有利に見えるかもしれませんが、同時に電脳化された決まったルートしか辿れないとお思いください。たとえるのなら、試験管のラットのようなもの。自由なようで世界の道筋は全て構築され、その全を完璧だと植え込まれている。わたくしは、そうでなくとも旧連邦の陣営に属していましたので、実験体のようなものです」

 

 何だかそれ以上は下手に立ち入れないような気がして、カトリナはモップを片手に一つの本を手に取っていた。

 

「著書『ムーンオブダレト』、ここにある蔵書ってダレトに関係する本ばっかり……」

 

「お陰で助かっていますよ。わたくしがアクセスし得る情報源には限りがありますが、こうして本のページを撫でる事で、当時の情勢がよく分かってくる。MFなる驚異的な存在は今日までのある意味ではパワーバランスを月軌道に構築して見せた。地球連邦と行政連邦……現在のトライアウトへの沿革と、そして統合機構軍。どれもこれも、現時点では閲覧制限がついているものばかりです。こうして本として綴じる事で、半永久的に残そうとしたのは先人の知恵でしょうね」

 

 ピアーナが読みふけっているのはここ三十年間に出回った資料であった。

 

 彼女からしてみれば空白の期間――自分を押し包む殻の向こう側の世界を知ろうとしているのだ。

 

「でも、私はちょっと本って苦手ですね。そりゃ、試験前の一夜漬けとか得意でしたけれど、基本的にデスクワークは苦手なので……」

 

「ではどうしてエンデュランス・フラクタルに? デスクワークの仕事は大いにあり得たはずでしょう?」

 

 本から顔を上げたピアーナの金色の瞳に、あまり嘘は付けないな、とカトリナはこぼしていた。

 

「……その、幸せになりたいんです、私」

 

「それは一般的な幸福論ですか?」

 

「……変ですよね。クラードさんにも変だって言われました。それどころか、不幸だけが過不足なく分配されるものだって」

 

 思い返すと、クラードは自分の幸福理論に対して、対立する理論を突きつけたかったのか、とも思ってしまう。

 

 ピアーナは読書を続けながら応じていた。

 

「よいのではありませんか。だってカトリナ様の幸福論は貴女だけのもの。そこに懐疑心や、疑念を浮かべる事はあろうとも、その生き方を矯正する事は貴女自身以外には出来ないのですから」

 

「……ですかね。でも、クラードさんやバーミット先輩にはちょっと……みたいに言われちゃって……」

 

 頬を掻いて笑い話にしようとすると、ピアーナは本を閉じ、こちらへと歩み寄ってくる。

 

「生き方相手にどうこう、というのは誰であったとしても……たとえ偉人であっても介入不可能な部類。わたくしはこうして……全身RMとして生きる事を決めましたが、そこに他者の意思の介在や何者かの作為がなかったと言えば嘘です。では人間が唯一自由になれる場所とは何か。それはきっと、どう生きたいか、という展望だけでしょう。カトリナ様にはそれがある」

 

「……人生の展望、かぁ……」

 

 そこまで小難しく考えた事はなかったな、とピアーナがぴょんぴょん跳ねて本を戻そうとするのを手助けする。

 

 次の本を差し出そうとして、手に取った著書を目にしていた。

 

「『月のダレトの基礎設計理論』、著者はエーリッヒ・シュヴァインシュタイガー……聞いた事もない本もあるんですね」

 

「これは偽書ですね」

 

「偽書? 嘘の本って事ですか?」

 

「このエーリッヒなる人物の名前も嘘の著者の可能性が高いでしょう。ここにある本のうち、半数ほど偽文書が含まれていました。何故だか分かりますか?」

 

「……いいえ、見当も……」

 

「この来英暦には明かされていない情報、開示命令の出ていない情報がこの三十年だけでもとても多い。それもこれも、ダレトの出現時期と重なります。この著作なんて分かりやすい。奥付をご覧ください。この本の出版時期は百年以上前です。だと言うのに、ここ数十年間のダレトの草案を記されている」

 

 ピアーナの言葉に従って本の奥付を見やると、確かに百年近く前の書籍であるのが分かる。

 

「……でも、何で嘘の歴史書なんて?」

 

「為政者の眼を掻い潜るため、あるいは、この世界を見通す“何者か”から本来の意図を隠すため、など考えられます」

 

「……“何者か”……?」

 

「わたくしの電子ライブラリの中には百年近くのアクセス許可権限があり、このベアトリーチェからもたらされる情報との擦り合わせも可能ですが、それでもどこかで齟齬が生じている。この来英暦は、ともすれば何者かの作為によって歪められた……何かがある。そんな可能性すらあるのです」

 

「……でも、それって憶測ですよね?」

 

「どうでしょうかね。世界を欺く謎のアイリウムであるレヴォル・インターセプト・リーディングなるシステムに、先の戦闘で観測された《レヴォル》の制御リミッターである“マヌエル”。ともすればどれもこれも、知り得ない情報です。この来英暦そのものの秘密は、こうした現象の積み重ねで秘匿されてきたかもしれません」

 

 ピアーナは本を手に自分の読書スペースへとツインテールの黒髪を揺らしながら戻っていく。

 

 その背中を眺めながら、カトリナは開いた扉の向こう側から声を掛けられていた。

 

「……何やってんの。扉開けっ放しで」

 

「うわっ……! クラードさん?」

 

「どうでもいいけれどさ。廊下から水漏れているけれど、いいの?」

 

「えっ……あわわっ! モップの水置きっ放し……!」

 

「クラード。貴方も少しは読書を嗜むくらいは成されては? 《レヴォル》と話してばかりではなく」

 

「余計なお世話だな、お前は……その本」

 

「何か?」

 

「……いいや。気のせいか。見た事があったような気がしたんだ」

 

「気のせいでしょう。貴方の人生に本の叡智が差し込むとは思えません」

 

「……そうか。だろうな」

 

「クラードさん! モップの水集めるの手伝って……!」

 

「あんたの仕事だろ。じゃあ片付けまでやっておくといい」

 

「く、クラードさぁん……!」

 

 困惑しながら浮かび上がった水の球を押し止めようとする自分を他所に、クラードは何事もなかったかのように道を折れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「積み荷は《エクエス》十二機。それに新型機、《オムニブス》を三機。それと新型機の追加装備が諸々……。かなりの手土産でしょう、タジマさん」

 

 本社組にそう言われても、タジマは営業スマイルを崩さずに応じる。

 

「これは仕事ですので」

 

「それにしたって、エンデュランス・フラクタル戦闘艦、ベアトリーチェへの補給にしてはやり過ぎなくらいでしょう。要りますか? こんなに《エクエス》ばかり」

 

「新型機の規格上、《エクエス》が合うのです。それに、軍上層部ではやはり《レグルス》は渡したくない様子でしたので」

 

「《マギア》もでしょう? ミラーヘッドのお膝元の機体は我々に流すわけにはいかないとでも言われているようですね」

 

 本社組の混じったシャトルの中でタジマは柔らかい椅子に深く腰掛けて隣で皮肉を飛ばす社員を見やる。

 

「ですがこれで……少しは月航路までの時間が絞れるでしょう。過積載だとラグランジュポイントで検閲を受けなかったのが今は安心材料です」

 

「相手方は統合機構軍に借りがありますから。そこで止めていれば外交問題に発展しかねません」

 

「……しかし、解せませんね。月のダレト……開いてからと言うもの、ここまで大規模な戦闘もなかったはず。デブリの暗礁帯に入るなんて」

 

 シャトルは静かに、それでいてデブリを機敏に避けて航路を取っている。

 

「少し前に、MFの襲撃があった区画ですね。まぁ、そっちに関して言えば月艦隊がどうにか抑えてくれる領域でしょう。旧地球連邦政府もそれだけは躍起になりたい。どうしたって、最早利権はないのですから」

 

「……それにしても、死の臭気が濃い場所ですね……」

 

 一呼吸つくと隣の社員が気を利かせる。

 

「飲み物を持ってきますよ。そうすれば地球圏の陰鬱な空気ともサヨナラです。なに、如何にお偉方連中でも、ここまでは追ってこられませんよ。もう月の重力圏も超えましたし、後はコロニー、シュルツへの合流ルートですね」

 

 飲み物を取りにシャトル後部へと流れて行った社員の背中を見送ってから、タジマは窓の外へと視線を移す。

 

「……我々を拒みますか。MF……月のダレトを護る聖獣達は」

 

 だが、現在地は既にMFの攻撃射程から安全圏に逃れている。

 

 ノーマルスーツの着用義務もなく、シートベルトに度々感じる振動も、今は心地よい。

 

 ふと、そう言えば護衛の《マギア》が離れていったな、とタジマは感じていた。

 

「……デブリ帯では思わぬ事態に遭遇しかねない。地球連邦の《マギア》はないほうがいい、か」

 

 それも急造のコストカット品だ。《マギア》の正規品との違いは機動力にある。

 

 機動力とミラーヘッドを殺した《マギア》など、ただの木偶の坊だ。

 

 タジマは背もたれへと深呼吸と共にリクライニング機能を使おうとして、不意打ちの衝撃によろめいていた。

 

「何が……!」

 

『わ、我が方へと取り付いた機体を確認!』

 

『敵方認証不明! アンノウン機です!』

 

「……アンノウン? この時代に……?」

 

 衝撃波がシャトルを激震する。

 

『上に取り付かれたぁ!』

 

『護衛機は何をやっているか!』

 

「……先ほど連邦の《マギア》が下がっていったのはこれか……!」

 

 苦々しいものを感じつつもタジマはノーマルスーツに袖を通し、ヘルメットを被る段になって後部座席に乗り合わせていた本社組が次々と悲鳴と共に射殺されていったのを目にしていた。

 

 それなりに護身術の一通りは叩き込まれた本社組がほとんど無抵抗にしてやられていく様は現実のそれとは思えなかった。

 

 男の社員が最低限度の動きで肉薄し、拘束術を叩き込もうとしたのを掻い潜ったのは、たった一人の小さな矮躯を先頭とした集団であった。

 

 背格好は小さいながら先鋭化した動きで本社組の社員を一蹴し、直後には迷いなく引き金が引かれている。

 

 トリガーにかかった指先は細いのに、殺意だけがいやに明瞭だ。

 

 その人物は今しがた自分の隣に座っていた社員を撃ち殺し、次いで自分へと視線を振り向けていた。

 

「……撃つな。いや、撃たないでくれ」

 

 両手を上げて無抵抗の意思を示す。

 

 椅子の傍には抵抗用兼自決用の拳銃が仕舞われていたが、今は使わないほうが賢明であろう。

 

 すぐに集団に囲い込まれ、歩み寄ってくる相手にタジマは沈黙を返す。

 

 小さな影は顎でしゃくって手段を指揮し、シャトルのコックピットへと誘導していた。

 

『……シャトルの行き先はコロニー、シュルツのままだ。いいか。ギリギリまで生かしておけ。そこから事の次第を思い知らせる』

 

 真正面の人影から放たれた声はどこからどう聞いても少年か、あるいは少女のそれで、まるで戦闘の吐息を感じさせない。

 

 だが自分は知っている。

 

 エンデュランス・フラクタルの暗部たる、エージェントの存在を。

 

 だから、年かさだけで判断は出来ない。

 

 鈴を転がすような声の主はてきぱきと指示を出した末に、自分のヘルメットへとこつんと銃口を据えていた。

 

『エンデュランス・フラクタルのタジマだな?』

 

「……目的は、積み荷ですか」

 

『正解、と言っておこうか。あんなものを積まれたまま、ガンダムと合流されるのは困るのでね』

 

「……ガンダム……?」

 

 聞いた事のない機体名称に当惑していると取り巻き達が戻ってきて自分へと拘束を施す。

 

「……我が社に何か恨みでも?」

 

『恨み節をあなたにぶつけたってしょうがない。そうだと言っているかのようだ』

 

「……その通りのはずだが」

 

『安心するといい。他は殺してもあなたは殺さない。それくらいの矜持はある』

 

「……矜持だと……」

 

『失礼した。名乗っていなかったな』

 

 目の前の人物はヘルメットを外し、気密を確かめてからそれを脱ぎ払う。

 

 麗しい金髪を流した少年とも少女とも取れる気品高い目鼻立ちを持つ相手は、碧眼で自分を見据える。

 

「……王族親衛隊勤務、ヴィヴィー・スゥ少佐である。あなた方を始末すべく、ここに馳せ参じた。これは特務である」

 

「……王族親衛隊……。まさか、件の親衛隊が動いたとでも言うのか」

 

「事態は一刻を争う。エンデュランス・フラクタル。その手荷物を検めさせてもらう」

 

「……殺す事はなかった」

 

「あなた以外は全員殺せとのお達しだ。相当に恨みを買っているらしい」

 

 怜悧な眼差しを注ぐ相手に射竦められるのを感じつつ、ヴィヴィーへと取り巻き達が報告する。

 

『少佐。やはり積み荷は《エクエス》十二機ではありません。あれはダミーです』

 

「やはりか。では睨んだ通り……」

 

『ええ。あれはMF、《フィフスエレメント》。その外装骨格でしょう』

 

「五番目の聖獣を飼っていたとはな。エンデュランス・フラクタル」

 

「……そこまで秘密に精通している人間を私は知らない……。本当に親衛隊なのですか……」

 

「言ったであろう? 王族特務だと。私達は絶対に、あれを完全体にしてはならないのだ。コード、《レヴォル》。……この次元の、ガンダム」

 

 後半部はまるで忌々しいものを睨むかのように、ヴィヴィーは言ってのけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七章 「策謀の宇宙で〈ガーデン・オブ・ステイン〉」了

 

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