勇者史外典:男たちは自衛官である   作:栄光

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秋山守治17歳の思い出


外の世界
修学旅行


 2019年2月

 第15普通科連隊戦車隊は年始、訓練始めを終えて正月気分が抜け「機動展開訓練」に向けた準備期間に入っていた。

 機動展開訓練とは香川県(善通寺)や愛媛県(松山)から高知県や徳島県といった四国の端々に展開する訓練である。

 有事の際に道路をトランスポーテーションで移動し、現地で展開できるかどうか確認することが主な目的だ。

 今回は隊舎前で後方支援隊輸送隊(Tran)の大型トレーラーに戦車を積み込み、人員車の装輪装甲車(ダブリュー)に本部要員を乗せて徳島駐屯地へ進出、そこから阿南(あなん)市の海岸方面に展開するという内容だ。

 

「3科長、トレーラーはこことここを抜けて行けるか?」

「長さは十分だと思います、ただ戦車を積んだら軸重があるので通行許可が下りるかどうか……」

「そこは私に任せてくれ」

「中継地点は徳島駐屯地として、そこから戦車はどうする?」

「海岸を走り回るわけにはいかないから、下ろしたという“想定”でやるしかない」

 

 連隊長や幕僚たちがあれやこれやと検討し、あるいは訓練実施のため上級部隊や関係機関と調整を重ねているころ、シュウジら陸士は気楽なものだった。

 なにせ、市街地での訓練が主体であるから演習のような野営セットがいらないのである。

 中継地点の徳島駐屯地に着いて、そこからWAPCや3トン半に乗って海岸まで車両行進をすれば後は図上のお話と、予約している店で中隊の宴会をやって帰るだけだ。

 ようするに展開訓練を兼ねた部隊の慰安旅行的なイベントなのである。

 こういう訓練においての準備とは各装備の整備はもちろんのこと、有事の際に部隊と共に移動できるように荷造りをする。

 隊員個人の私物品などを一か所にまとめ、実家に送ったり、あるいは処分する物と分ける。

 安示は実家の住所を記した伝票をダンボールに貼り付け、殉職後に発送されるようにしていた。

 一方、シュウジ達のような身寄りを失った本土出身者の荷物はダンボールに入れて“処分”がほとんどで、出先で殉職した場合に遺品はそのまま処分することとなる。

 部隊の展開とは学校の遠足と違い「出先で戦って、()()」ことがあるというのを実感する瞬間である。

 課業外にやっているゲーム機も片付け、がらんとした居室から出てシュウジは勇者たちと電話していた。

 

「あさってから展開訓練で徳島に行くことになった」

「徳島ですか?」

「うん。温泉旅館じゃなくて外来宿舎に泊まりだけど」

「へーっ、タマたちはこの間、高松の温泉に行ってきたんだ」

「塩江温泉か?」

「シュウジ、温泉はいいぞぉ……温かくて、やわらかくて、ポヨンポヨンだ!」

「柔らかい?」

「タマっち先輩!」

「おっと口が滑ってしまった……お土産はあるのか?」

 

 勇者たちも休養のために温泉旅館に行ったらしく、つい数日前にひなたから戦車隊の安示あてに温泉まんじゅう数箱が差し入れで送られてきていた。

 班員たちは「若葉ちゃんともどもよろしくお願いします」というメッセージに、やっぱり大社の巫女さんはよく出来た子がなるんだなあと感心していた。

 

「売店で何か買ってくるよ、名物の徳島ラーメンとか」

「ラーメンはダメです!」

「若葉さんが、うどんについて語り始めてしまうので」

「ああ……じゃあ、たらいうどんにしておくか」

「たらいうどん?釜揚げうどんとどう違うんだ?」

「たらいに入ってる、あとダシの味?」

「麺類はNGです」

 

 冗談めかして徳島名物を上げたシュウジに、杏からストップがかかる。

 ラーメンはともかく、たらいうどんに至っては器がなければ、ただの徳島県産釜揚げうどん玉である。

 

 たらいうどんは徳島県阿波市土成(どなり)町(旧:御所(ごせ)村)の発祥の郷土料理で、木こりたちが吉野川に流れ込む宮川内谷川(みやごうちだにがわ)で獲れる“じんぞく”というヨシノボリ(ハゼ科)の魚のダシで作ったつけ汁に漬けて食べていたのが始まりである。

 釜で茹で、人数がいると取り分けるのも大変だということで大きな丸い桶状の容器に移して直接取って食べていたのを、戦前のある徳島県知事が「たらいのような器に入ったうどんが美味しかった」といったのがきっかけで“御所のたらいうどん”は有名となったのである。

 ところが近年、環境が変わり漁獲量が減ってじんぞくのダシを使うところも少なくなった。

 土産屋で買うような“たらいうどん”の魚ダシに希少となったじんぞくが使われているわけもなく、ぶっちゃけた話、香川県内のスーパーでも買える代物だ……。

 また隣接する県という事もあって、「うちのうどんのほうがおいしい」という()()()()もあるものだから、下手をするとプライドをかけた“うどん戦争”である。

 シュウジは前期教育中に広島出身者と大阪出身者の間で“お好み焼き戦争”が起こって険悪なムードになったため、区隊長よりお好み焼きと政治、野球の話はするなというお達しが出たのを思い出した。

 

「わかった、適当にお菓子選んどくよ」

「ほんとかっ!」

 

 電話の向こう側で球子が喜んでいる様子が分かる。

 

「若葉のやつ、旅館についてイキナリ『鍛錬だ』とか言い出してな~」

「いたいた、俺のクラスでも寝る前の筋トレだ!ってベッドで腹筋始めた筋トレ馬鹿いたわ」

「タマっち先輩は旅館探検だとか言って、あっちこっちに行くんですよ」

「やったやった、ゲームコーナーとか自販機コーナーとかいろいろ行ったよ。ホテルのロビーで置いてある新聞読んでみたり」

「そんなことしてたんですか……」

「知的キャラに見せようとして、意味もなくカッコつけてみたり。非日常感もあったしな」

 

 勇者たちの慰安旅行の話をしていると、球子の行動は中学生男子や高校生男子じみていて「あるある」と中学や高校生時代の思い出話をしてしまう。

 

「そういえば、シュウジさんは修学旅行ってどこに行ったんですか?」

「高校の時は北海道かな、札幌とか小樽(おたる)とか」

「北海道って、いいなあ。どんなことしたんですか」

「パークゴルフとか、アイヌ文化体験とか観光……小樽じゃクラスメイトの聖地巡礼に付き合ったり」

「聖地巡礼?」

「そう、()()()()の」

「恋愛漫画!それ、詳しくお願いします!」

 

 こうしてシュウジは高校の思い出を辿っていくのであった。

 

 2013年10月某日

 摂津大学付属城北(じょうほく)高等学校2年生は北の大地、道央にいた。

 伊丹空港を発ち、新千歳空港に降り立った彼らはアイヌ文化資料館、洞爺湖、有珠山の噴火跡と蝦夷富(えぞふじ)士のふもとの牧場見学、2日目はニセコでパークゴルフなどのアクテビティをして3日目に小樽観光である。

 2年3組出席番号2番のシュウジは帰宅部で、クラスの中でもいわゆる大人しいオタクグループにいるうちのひとりであり、ラノベやゲームが好きな少年だった。

 友達はというとゲーム好きな者、筋金入りのミリタリーオタク、アニオタの筋トレ馬鹿、コンピューターに強い者とクラスでもアクの濃い一団だ。

 ニセコの研修施設から2日目晩の旅館に向かうあいだ、窓の外には森と畑しか見るものがないからバス後方の運動部系グループはトランプやらカラオケやらしている。

 シュウジは持ってきていたラノベを読みながらうつらうつらしていた。

 

「今晩、落としてきたアニメ見ようぜ!」

「落とすって何を?」

「トレントで動画データ落としたのよ、メモリースティックに入れてるから」

「そういう事はスゲーなお前」

 

 ファイル共有ソフトでDVDなどの動画、ゲームを“割った”データをダウンロードしてPSPで再生するといった著作権法上まずいことが学生の間で横行していた時代だったのだ。

 池澤はこういった割れサイトを使ったり、PSPにカスタムファームウェアというチートが使えるプログラムを組み込んだりするのが得意で、皆からは尊敬の眼で見られていた。

 

「アニメってなんだよ」

「『最終兵器彼女』……北海道といえばこれだよなあ」

「この間、学校に持ってきてた漫画か」

「それそれ」

「さすが池ちゃん!」

 

 アニメが多少古かろうが外国語の字幕が入っていようが娯楽のほぼない夜を過ごすよりはマシだ。 

 池澤の提案にワッと沸くオタクチーム。

 テレビの使用こそ許されていたものの、山の中の研修施設のテレビは地方局のよくわからない番組しか映らないから無いも同然だった。

 

「今回は一般客もいるらしいから、先生も巡回しないらしい」

「夜中にドアガチャガチャやってたら通報ものだよな」

 

 初日の晩は貸し切りの研修施設という事もあって教師が巡回に来るため、大人しくしていたのだ。

 

「夜の点呼が終わったら朝までぶっ通しだ!」

「池澤、上映会の準備は十分か?」

 

 元々上映会をやるつもりだったのか、テレビモニターにつなぐAVケーブルやら準備は万端だ。

 

「おう」

「____ついてこれるか」

 

 池澤の徹夜上映会宣言にゲーム好きの赤城が乗った。

 彼の好きなゲームはモンスターを狩ったりとかそういうゲームではない、アドベンチャーゲームあるいはノベルゲーと呼ばれる、テキストを読むタイプのゲームだ。

 赤城がよく落としたエロゲをCDに焼いてくれと頼み、その報酬として池澤もあまたのゲームをプレイしているのだ。

 シュウジもPSPのゲームの改造などで池澤に世話になり、グッズの購入に赤城と共に日本橋に出向いたりと仲良くやっている。

 

「今夜はオールか……」

 

 こうして旅館に着いた修学旅行生一行は晩飯をとり、旅館自慢の大浴場に入浴し翌日の小樽市内自由行動に備えて休息をとるのだ。

 風呂から上がると夜の点呼までの間は自由時間という事もあって、各々好きなことをしている。

 シュウジと赤城はジュースを買いに自販機コーナーに行くと言って部屋を出ると、本館と別館をつなぐ渡り廊下を歩いていた。

 時代劇で見るような木張りの床に、淡い色の壁紙が和風を強く感じさせる。

 

「せっかくの旅館なんだし、探検しよーぜ」

「赤城、ゲームコーナーは立ち入り禁止だぞ」

「わかってるって、でもせっかく雰囲気がある旅館なんだし」

「スニーキングミッションか楽しそうだな、俺も同行する」

 

 後ろから体操服の上にタイガー迷彩シャツを着たミリタリーオタクの小林がやってきた。

 好きな映画は『グッドモーニングベトナム』で通学カバンに“Born to kill”と落書きしているナム戦を中心としたミリオタだ。

 

「軍曹も来るなら、セイバーも呼ぼうぜ」

「セイバーは部屋で腕立てしてるよ、一日でも欠かせたら取り戻すのには三日かかるんだってさ」

「さすが剣道部最強」

「いや、『茶番だ』とか『筋肉イェイイェイ』とか言わないかな」

 

 シュウジ、赤城、そして軍曹こと小林は旅館探検をすることとなった。

 そのころ同室の池澤とアニメオタクの“セイバー”こと竹本は部屋でくつろいでいるようだ。

 女子風呂を覗きに行くとか、コッソリ自販機で缶ビールを買うなどという公共の福祉や法律に反するようなことはしない。

 三人は旅館の中を単に歩きまわり、ロビーでカッコつけて普段読まないような新聞をこれみよがしに読んでみたり、大浴場付近で湯上り姿の女子の一団を見てドキッとしたりもあったがおおむね何事もなく時間は過ぎていった。

 9時に晩の点呼が終わればPSPを部屋のテレビにつなぎ、動画を再生する。

 うっすらと内容を知っている者、全く知らなくて初めて見る者、全編見た者も敷いた布団の上に寝そべり、あるいは部屋の端に設けられた広縁の椅子に腰かけながらテレビ画面にクギ付けだ。

 先生に隠れてこっそりと見るというスリルと、友達と集まって同じアニメを見るという非日常感がいいスパイスとなって楽しんでいた。

 

「こっちのシュウちゃんは彼女いないんだよなあ」

「竹本君もやろ」

「秋山、小生には黒猫という嫁がいるのさ」

「アニメじゃないか」

「サーセン」

「リアルで“俺の嫁宣言”はじめて聞いたよ」

 

 鍛錬を欠かさずにやるという筋トレ馬鹿な面とアニメオタクという一面の同居する“城北剣道部最強の男”、竹本は体を鍛えるタイプのオタクである。

 

「札幌空襲、ブラックジャック(Tu-160)かな。要撃遅くね……千歳はどうなってんだ」

「俺達も最終日、札幌観光だよね」

「せっかくだし、時計台と地下街行こう!」

「それが狙いかこのチョイス!札幌、電気屋行こうかと思ってたけど」

「電気屋だったら日本橋でもいいやろ、まあ、アテもなく歩き回るならそれもいいと思うけど」

「池ちゃんが言うなら仕方ないな」

「明日の小樽はココとココだ……」

 

 小林がミリタリー視点で見て、シュウジは自分と同名の主人公にむず痒いものを感じながらもストーリーを見ていた。

 みなが夢中になってきたくらいで、アニメのデータを持ってきた池澤がモデルとなった地を巡る聖地巡礼計画を見せたのである。

 自由行動という事で渡されていた地図を広げて、行くポイントを指さす。

 

 そして翌朝、バスは赤レンガ倉庫の並ぶ運河のほとりで止まって自由行動タイムとなる。

 クラスメイト達がガラス館や廃線跡の遊歩道に散っていく中、小樽の街をぬけてバス道を歩いていく。

 

「ここ自転車の二人乗りで登るのはきつくね?」

「そりゃバス通学になるよな」

「頂上まで、ひとっ走りどうだ?」

「タケ一人でやれ!俺らはきっついわ」

「そうか……」

 

 住宅街の間に伸びる“地獄坂”というおそろしげな名前のついた坂道の先には商業高校があり、そこから山へと入って展望台へと向かう。

 アニメ通りの風景に感動しながらも、一行は曲がりくねった山道を行く。

 道なりに進むと分岐路があり、トイレ休憩しようと道なりに進むとシュウジたちはあるものを目にする。

 

「本の中に生首?」

「コワッ」

 

 本を象った石碑の中に青い顔をした青銅の頭があり、ぎょろりとした目がこちらを見ている。

 

「小林多喜二の文学碑……小林多喜二って」

「アカ……プロレタリア文学の作家で特高にボコボコにされて死んだ人」

「軍曹、そういわれると余計に怖いんだけど」

 

 小林の解説を聞くと、風雨にさらされ緑青で染まった顔がもの言いたげに見えてきてシュウジは目線をそらす。

 

「あっ!かにこうせん!」

「かに光線……ビームでも出すのか」

「ゲームであったな、浮いてるの救命ボートと一緒に部品を拾うと作れる」

「現国の授業でやった、『蟹工船』だろ」

 

 シュウジはうっすらと著書を思い出し、赤城がボケてみせると池澤はPS2の艦船を作るゲームのネタで答え、竹本がツッコむ。

 5人がいつもの流れをしたところで、木々の間の小径を通って旭展望台に向かう。

 白く塗られたコンクリで出来た小さな展望台からは小樽の街と海がよく見えた。

 漫画の主人公とヒロインがたびたび訪れていたスポットだけに、周囲を歩き回ってみる。

 

「ここでシュウジとちせちゃんがねえ……」

 

 池澤が感慨深そうに言うのを聞き、一同は昨晩に見たアニメの中の濡れ場を思い出してなんとも小恥ずかしい気分になった。

 

「おい、()()の方のシュウジは反応すんなよ」

「してねーよ」

「ホントかよ」

「うるせえ、これだからエロゲ脳は」

「そういう赤城も顔が赤いが……」

「この話はやめだやめ!……そうだ、ここの下って道が続いてるんだよな」

 

 照れ隠しとばかりに赤城はシュウジをいじる。

 竹本に突っ込まれると目をそらして、展望台の下に続く森の中を指さした。

 

「軍曹、この森の中って降りていけそう?」

「サバゲフィールドの森くらいだから十分いけそう」

「じゃあ、森の中を降りていこうか」

「ただ降りるのもつまらん、誰が一番先に麓まで下りられるか勝負だ!ビリがおごりな!」

「あっ!タケの野郎きったねえ!」

「下りなら負けるかぁ!うおおおおお!」

 

 言うだけ言って急に走り出した竹本に続くように制服に革靴姿で斜面を駆け降りるシュウジ、赤城、池澤、小林。

 こうして、木々を抜けボサを突っ切って旭展望台を降りた5人は海鮮料理を食べたりガラス館に行ったり、スイーツを買いあさったりと小樽を満喫したのであった。

 

「とまあ、北海道に行ける平和な時代だったよ」

「タマもいくら!ホタテ!カニの海鮮丼、食べたかったぞ!」

「タマッチ、四国でもおすすめ店あるから日曜にでも行こう!」

「おう!」

 

 修学旅行の話を聞き終えた球子と杏の反応は対照的だった。

 旅館冒険や自由行動中の話で球子が「楽しそうだな」と言うものだから、シュウジはついテンションが上がって語りすぎてしまった。

 一方、杏は修学旅行先での甘酸っぱい経験、他校生徒との一期一会のラブロマンスなどの要素がいつ出てくるのかとワクワクしていたので拍子抜けといった感じだ。

 

「シュウジさん、恋愛要素って?」

「モテない男子高校生に恋愛要素なんてあるか」

「そんなぁ……」

「わかった、今度丸亀城に送るから、『蟹工船』」

「おい、シュウジ、あんずが凄い顔してるゾ」

「ごめん、オチが弱かったか?ちゃんと漫画のほう送るわ……」

「そうじゃなくて、男の子ばっかりなのに何にもなかったんですか!」

「勇者の女の子たちと変わらねえよ、恋愛要素はエ……ギャルゲとか漫画しか」

「小説は?」

「ラノベは読んでたけど」

「なんだ、シュウジもタマたちとおんなじだったんだな」

「そりゃ退屈なくらいに“フツー”の高校生だったからな、特別な力もなんにもない」

 

 そこまで言ってシュウジは思う、特別な力があるといってもまだ中学生の女の子なのだ。

 旅行先でははしゃぎたくなるし、ゲームにのめり込んじゃうのもあるし、山があれば登りたくなるものなんだろう……と。

 勇者たちとの長い電話が終わると寒空に消灯ラッパが響き渡り、隊舎の外にいたシュウジは廊下の電気を落としながら、パタパタと小走りで居室に戻ってベッドに横たわる。

 

 その日の晩、二人に話したせいか高校の時の夢を見た。

 学校があって、両親や友達がいて、大阪の街並みが広がっている平和な夢だった。

 これといって目立つものがあったわけでもなく、趣味といってもちょっとラノベを読んでアニメを見るだけの地味目な普通の高校生で、退屈な日常だと思っていたあの頃の夢だ。

 今はその平和が、どこまでも続いていくと信じていた退屈な日常がなによりも恋しかった。

 




修学旅行回、旅館の解放感とともに記憶に残るよね……という話。


深夜のビデオ上映会、作者は友人にエヴァの旧劇場版を見せられて何とも言えないまま2日目を迎えました。
そして小樽の聖地巡礼をすることに付き合ってくれた同じ班の二人に感謝。
今年の7月3日でテレビアニメ放映から20周年という事に時間を感じる。
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