主要人物回
客室には近藤勇と伊東甲子太郎の二人がいた。
「本当にお久しぶりです、近藤さん。
まさか、こうしてまたお会いできるなんて思いませんでしたよ?」
「いや、まさかお前がこうして生きていることを知って安心した。
まさかこの場所にいたとはな……!」
「ええ、私も一時彷徨っていましたよ?
ですがこの街……都市についてやっと生活面の安定化ができたのが救い。
あなたも存じての通り、私は今「御陵衛士」の総隊長を勤めており、この世界の人たちと亜人達を束ねています。
最も、あなた方新撰組の練度には劣りますけどね……?」
「何を言っている? 武力より智略と政務に向いたお前のことだ、上手くまとめているのだろう?」
「上手く……とは言い難いが、最も
「彼ら?」
「ここ海運都市の盟主さまです、近辺の領主さまや豪族と亜人の方々を束ねておられているのです」
「なるほど……以前石原殿が仰っていた盟約の件、それを持ちかけた?」
「左様、其方も知っての通り我ら同様に世界が混沌となっている。
平安時代の武士貴族に戦国時代の豪傑、そして世界の古代と中世近代の方々が入り混じった世界。
……未来、もとい明治大正昭和平成の民までも巻き込まれ、さらに混沌となってしまっている」
「…………」
「今やこの世界は当時の思想や野望野心は無意味無価値のもの。
生きるために身振りを改めなければならない、そのことについては流石の近藤さんも弁えていてよかった……」
「その言い方、まるでワシら新撰組が意地っ張りの猪の群れだと見ているのか?
……お前のその言葉を聞くのは何年ぶりだろうか?」
「いえ、あなた方のそのクソ実直で律儀なところは変わらないところを心配していましたが……柔軟に対応して安心しましたよ?」
「相変わらずなもの言いだな?」
「あなたも相変わらずでよかったよ。
……そういえば、あの方々は?」
「ああ、彼らなら……」
訓練場では釤之助たちと岩崎弥太郎たちがいた。
「がっはっはっはっはっ!!!
どうじゃあ!! ここにあるものは全部おんしらの住んどる都のものとは格が違うもんじゃろ!!!
飛行機やら鉄道というものは見事じゃが、ここにあるものはこの世界の物を進化させたものじゃあっ!!!」
訓練場には魔法の力で動かすものがたくさんあった。
魔法を使う人やそれを応用するものたちがいた。
魔法を使って空を飛んでいる者たち、魔法の力を宿した武具を巧みに使う者たちがいた。
「スゲェ……!」
「こりゃあすげぇや……!
海運都市っていうより魔法の都市みたいだね?」
「そりゃあそうじゃろう!! 魔法の仕組みを解明すれば、絨毯やザルでも箒で空を飛べる!
そして魔法で炎や雷や風を武器に込められることも造作もないっ!!
壺に水を湧き出すこともできる!! 魔法だろうと化学だろうと、使いこなせばどうということはない!!!
これをできる人間は現世界広しと言えど、この岩崎弥太郎以外はあるまいてっ!! はーっはっはっはっ!!!」
「へぇ〜年寄りにはこのざるがちょうどいいんか?」
「そうなんよ! 若い子は箒や絨毯に乗って飛ぶけど、あたしぐらいの歳になったらこのざるがいいのよねえ〜!」
「そうそう、腰に優しいし座り心地がいいからねえ?」
「あんた以外といい男じゃないか? どうだい? 最近新しい茶が入ってね?」
「いやあ、わしはただここを知るために来ての?」
「坂本、我らは茶を飲みに来たのではないのだぞ?
石原殿が盟主との待ち合わせの時間故にここにいるのだぞ?」
「わかっとるよ、近藤さんも積もる話もあるじゃろうて?
土方さんも、御陵衛士の人たちに会うたらどうじゃ?」
「…………さ」
「ん?」
「坂本龍馬……?」
「……おおっ! 弥太郎!」
「龍馬!? なっ何故お前がここにっ!?」
「何故って、この前一緒におったじゃなぁか!!
釤之助のことしか眼中になかったから気づかんかったじゃんか!」
「くぅ〜っ! よりにもよって、貴様がいることを見落としてなければ……!!」
「しっかしのう、ここいらのもの全部弥太郎の手がけたものなんか?
すっごいのう!」
「ええか! 龍馬っ!!! ここにあるもんは現地の者らの血と汗の努力のたわものなんじゃ!!
魔道学者と製鉄所! 製糸場等を設けて術研究所まで建てて!
魔道学校を建てて魔法使いを育て! 商業も鰻登りじゃあ!!
それをこの都市の経済を爆発的に潤ったんじゃあ!!
お前が数十年経って成せる業を、わずか数ヶ月と半年で達成したんじゃからなあ!!」
「そういえば、あんたあの黒の女王さまと白の女神さまと同盟を結ばせたんだっけ?」
「おお! よく知っとるの!」
「知ってるも何も、蔦屋通信であんたのこと話題になってたよ!」
「あの! 坂本さん!! 女王さまと女神さまはムッチムチのバインバインで弩級のエロさしてた!!?」
「いや、それは直接見ないとわからんって!
確かに実際居合わせたから、確かに弩級! でもこれは直に見ないとわからんぞ!!」
「ひっひっひっ! やっぱ男だねえ?
でも女にも憧れる女ってのは中々の別嬪さんなんでしょうね?」
「そりゃあ中々の別嬪さん、多分大枚叩いて力尽くでもってのが似合うぞ?
あれに挟まれたら天国が似合う、それくらいスゲェ!」
「……って、聞いとんのかわりゃあっ!!」
和気藹々な空気に包まれるものの、一方……。
「やれやれ、アイツらの呑気な空気は俺には好きになれん……」
「……土方さん!?」
「む? ……藤堂!?」
「はいっ! 覚えていらしていたんですね!! 土方さん!!
この「*1藤堂平助」! 離れていても新撰組の魂は磨きをかけています!!」
「……相変わらずだな?」
「いえ……えっと、土方さんだけですか?」
「いや、他のやつも来ている。
今はここに夢中だがな?
都の留守に原田と*2源さんたちに任せてある、沖田は病の予防の名目上リハビリに通っている。
近藤さんはお宅らの大将と客室にいる」
「そうですか……」
「おおっ! 平助!!」
「平助か?」
「永倉さん! それに一さん!!」
「ぬおおっ!! 本物の平助じゃあ!!
生きとったんか!!」
「生きてって……何言ってるんですか!?
こっちは死に物狂いでしたんだから!!」
「だろうな? お互い苦労したものだな?」
土方と斎藤たちもかつての仲間との再会に喜んでいた……。
海運都市のとある海岸にて……。
「…………」
「楠木? どうした?」
「いや、かつての源平の壇ノ浦はここに似た海の上で戦ったんだろ?
すげぇよな? 義経って潮の流れを読み取ったんだろ?
勝つためなら水夫長と漕ぎ手を射殺すように言ったんだろ?」
「真っ向勝負で戦う時代だ、お前の時代の戦いから戦国の世から鉄砲というものが出た。
それからだ、銃器が主力の世となった。
我らは彼らにとって時代遅れの武者の様なものだ、だがこの世界は全ての時代の戦い方が入り混じった世界だ。
我らも戦い方を学ばなければな?」
「そういうものなのか、*3新田?」
「そういうものだ、我らもあの空の雷によって異世界に飛ばされたのだ。
天皇も奴も未だ行方不明……。
我らの成すことは海運都市の将兵として務めることだ、現に
「……だよな? 悪いな、変なことを言って?」
「いいんだ、それより……」
「……ん? マッカーサーから何か?」
「そうだが……これより‘飛龍’に向かう」
「飛龍? あの鉄のボロ船?」
「ああ、実は盟主様が仲間を集めているの知ってるな?」
「ああ知ってる……それが?」
「……喜べ、我らの知るものだ。
会いに行けばわかる」
「???」
空母に訪れた楠木正成と新田義貞。
そこには山口多聞とマッカーサー元帥が立っていた。
「来たか、二人とも」
「なんだ? 俺たちをここに呼んだのは」
「仲間を発見したのと、新しい戦力が手に入った。
その二つだ、ここで落ち合う予定でね?」
「ここで……ああ、確か二人は空母を作ったんだっけ?
海上戦力の増強の為にペガサスやグリフォン等を海の上でも戦える様にしたんだっけ?」
「それでもここの兵器の前ではその場しのぎでしかない、もといこの世界の住民たちの見合う戦い方を教授させただけだ」
「…………」
「……どうやら、来たようだね?」
二人の目線の先にはグリフォン隊が現れた!
「あれは……!」
グリフォン隊は飛龍の甲板に着地した!
「ぬっはっはっはっ! どうだ!! 俺の操縦業を!!」
「はっーはっはっはっ! 私はついに空を飛んだぞ!!」
「空……飛んで……慣れない……!」
「ここが……! しかしなんでここなんだ?」
その隊の中には菅野直とジャック・チャチールとスキピオ達がいた。
「おおっ!! お前があのマッカーサーか!!」
「君のことは聞いているよ? ‘マッド・ジャック’?」
「多聞だ……! 本物の多聞だ!!」
「菅野君だね? 偵察隊の話で君のことは聞いているよ」
世界大戦時の軍人達はある種の再会を喜んでいた。
「なんだよ、彼らの方か……」
「……スキピオ殿? 大丈夫か?」
「これが大丈夫に見えるか? 空を飛ぶ獣……グリフォンを何度乗っても慣れないんだよ!!」
「高所恐怖症疑惑が浮上しているぞ?」
「軽い鎧を着て、なんとか乗れる我らからすれば慣れれば気持ちがいいが……」
「お前達の様に戦線の最前線に突撃するサムライとは違うんだよ!!!
……とまあ、それは置いといて。
二人とも、
「ん?」「なに?」
グリフォン隊の中から3人の人間が現れた。
「……でぇっ!?」
「お主らっ!?」
「……初めまして、というべきでしょうか?」
「新田義貞……楠木正成……!」
「おおっ! 二人とも、無事だったのか!!」
室町時代の初期、同じ時代に生きて戦った者たちの邂逅によって当事者達は呆然となっていた……。
今は御陵衛士の幹部となっている。
新撰組唯一の砲術士
射撃や大砲の扱いにおいては優れている。
源さんというのは愛称である
鎌倉幕府を倒した武将の一人
建武の新政時代、足利尊氏が新政の過ちを訴えて行動するもその行動は後醍醐天皇たちに反感と恐怖によって朝敵認定されてしまう。
その後、楠木正成の案を用いて足利軍を倒そうと計ったが権力への固執と兵法の無知によって真正面での戦になる。
しかし結果は大軍の前に楠木正成と共に自刃する。
鎌倉襲撃時に暗殺されてしまい、悲劇の最期を遂げてしまった。
今作では座敷牢の中から異変に巻き込まれる。
そして目が覚めた時は何故か小田原貞宗一派と保科党がアマゾネス達に締め上げられている中にいた。
ジャンプ本誌でその名を知ったものは多いであろう。
今作は鎌倉滅亡の最中に巻き込まれた二人は無事諏訪大社に仲間を集めて勢力を確保する。
次回
海洋都市
案内と襲撃!?