Shadow Corridor 回廊に迷い込んだ1人の少女   作:楠崎 龍照

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歓喜する私を嘲笑うように鳴り響いた鈴の音は、私を奈落の激流へと誘った。

次に私が目を覚ましたのは、渓谷のような場所だ。
絶望していても仕方がない。
私は切り替えて、骸が流れゆく谷を進んだ。
だが、そこには、想像を絶する影が潜んでいた。


3話 骸流しの渓谷

 

 

 

 

 

まただ。

また、あのときの……。

 

視界が真っ白になって……。

 

私が見た光景……。

それは穏やかな川が急な鉄砲水によって……。

 

 

 

 

その瞬間、鈴の音がリリンっと聴こえた。

 

「う……むぅぅ……」

 

目を覚ますと、私の前に鈴を掛けた猫がいた。

私は起き上がり、目を擦って猫のほうを見ると、猫の姿はなかった。

 

「こ、ここは?」

 

私は頭を抑えながら、記憶を辿る。

確か……勾玉を納めた後に、床が抜けて……。

……。

どうやら、変なところに流れついたようね。

私は肩を降ろしながら、「アハハハー」と落胆と笑いが合わさった表情をする。

 

「仕方ない……行こう……」

 

ここで留まっていても、どうしようも無いと感じた私は早速辺りを見渡して、状況整理をしようと考えた。

渓谷……のような場所に無理矢理通路を作った感じの場所かな?

たくさんの蝋燭が立てられて、ヒグラシの回廊ほど暗くはない。

 

「……はぁ」

 

状況整理をし終えた私はため息をついた。

災難……。

その言葉が一番当てはまる……。

それと、どれほど気を失っていたか分からないが、服は乾いていて問題はない。

だが、リュックに入ってあった爆竹はふやけ、カメラは完全にぶっ壊れていた。

青い光る石は……まぁ使えるね。

 

「…………え!!?」

 

私はある物が無くなっていること気がついて、声を荒らげた。

目を丸くして、リュックに入っているものを全部出して絶望する。

おじいちゃんの形見であるライターが無くなっていたのだ。

 

……最悪です。

いや、最悪どころの騒ぎでは無い。

絶望だ。

ごめん、おじいちゃん……。

私は涙目になりながら、おじいちゃんに謝罪する。

 

不気味なことに大勾玉は確りと持っており、書かれた紙も乾いて無事だった。

 

「はぁ……」

 

もう一度ため息をつき、この渓谷を改造して作られたような場所を散策することにした。

壁は綺麗に削られ、木々で崩落しないように立てられていて、現代では絶対に再現できないような構造になっていた。

鉄製の扉を開けて、舗装されていないごつごつした床の一本道を歩いた。

途中小部屋があったのでその部屋に入り、棚にあった光石をリュックに入れる。

入れ終えた私は、部屋から出て歩き出した。

 

「え、これ飛び降りるの?」

 

私の前に道はなく、割と高い段差となっていた。

下を見ると湖のようになってはいるが、かなり怖い。

ジャングルジムの天辺から飛び降りるようなものだ。

 

「……怖いな……」

 

私は小さく呟いて、ゆっくりと降りた。

バシャンと水飛沫が飛び散り、下半身が水浸しになる。

 

「……ヒィィィ……ちべたいぃぃぃぃ!!」

 

あまりの冷たさに、私は走って湖から出る。

下半身がびしょ濡れになってしまい、全身が冷えるような寒さに襲われた。

私は肩を窄めて両手をプルプル震わせながら、舗装された道を進んだ。

少しだけ進むと2つに別れた道があり、1つは扉、もう1つは一本道となっている。

私は扉のほうに向かったが、扉は堅く閉ざされており開かない。

 

「……むぅ」

 

仕方がない……。

と、私は一本道のほうを進んだ。

いや、進む前に燭台に点っている蝋燭をぶんどって、キンキンに冷えた下半身を温めた。

 

「あぁ、あったかぁい……」

 

蝋燭の温もりを感じつつ、他の燭台にある蝋燭も拝借して温めながら進んだ。

少し進むと曲がり角があり、少し進むと再び曲がり角。

そして、また一本道。

徘徊者の気配がないのが少し不気味であるが、進んでいると、右側に下り階段が見え、暗くて分かりづらいが、その奥には鉄製の扉があった。

 

「……」

 

私はリュックから光石が入っている麻袋を持って、それを光源代わりにして鉄の扉に歩き、開けようとドアノブを持ったが……。

 

「開かない……鍵がかかってる……」

 

私は戻って階段を上り、私は進んだ。

真っ直ぐ進んだ先に、1つのレバーがあった。

 

「……」

 

他には何も無い。

もしかしたら、初めに見た硬く閉ざされている扉が開くのでは?

と思い、レバーを下にガチャリと下げた。

すると、硬く閉ざされているバゴンと扉が壊れ、神楽鈴の徘徊者が現れた。

しかも、私のいる場所かな向かってくる。

 

「f**k.........」

 

私は暴言を呟いて、どうするか思考する。

カメラはぶっ壊れて使えない。

爆竹はふやけて使えない。

その時、私は神楽鈴の徘徊者が音のした方に向かう事を思い出した。

そして、リュックには光石が大量にある。

 

「やるしか……」

 

私はリュックから大量の光石を取り出して、鉄の扉があった方に思いっきりぶん投げる。

投げた大量の石は、岩壁や地面にぶつかり物凄い音を立てて転がった。

数個が鉄の扉に当たって、耳を塞ぐレベルの金属音が鳴り響く。

 

「お願い、音のした方に行って……」

 

そして、私は再びレバーのある場所まで戻り、神楽鈴の徘徊者の動向を伺う。

神楽鈴の徘徊者は、濁った鈴の音を鳴らして近づいてくる。

だが、奴は階段を降りて、大量の光石投げた場所へと向かっていった。

私は心の中で大振りのガッツポーズをしつつ、全力で、木っ端微塵になった扉の先に向かった。

長い橋を渡り、私は死角の場所で一旦座り込み息を整えて、再びゆっくりと歩いた。

 

「ふぅ……」

 

しかし、渓谷内によくこんなものを建造できるよね。と感心してしまう。

現在技術でもこんな大掛かりな構造の物は作れない。

私はそう感じてしまう。

それほどまでに、私のいるこの建造物は凄かった。

 

「……?」

 

歩いていると、横道に階段があり、その奥から水の流れる音が聴こえてきた。

目の前には扉がある。

……。

私は、音のする方へ向かった。

すると道の横に水道があり、そこに水が勢い着けて流れていた。

 

「……」

 

水道沿いの道を歩いていると、奥から泣いている声が聴こえる。

 

「(アイツもおるんかい!!)」

 

私は心の中で怒りのツッコミをいれる。

音を立てないように、抜き足差し足忍び足で歩く。

一本道を歩くに連れて、泣く声は徐々に大きくなる。

 

「……」

 

私の目の前に1つの扉が姿を現した。

扉の向こうから、泣き声が聴こえる。

 

「……」

 

私はゆっくりと扉を開けた。

辺りを見渡すと、レバーの近くに泣き声の主がいた。

何であんな所で泣いてんねん!!

 

「……はぁ……」

 

私はため息をついて、リュックに入ってる残りの光石を全部、奥へと投げた。

カッカッカンと光石は青い軌跡を走らせながら、バウンドして奥へと音を立てて転がった。

 

『そこに、いるの? そこにいるの?』

 

その音に反応して、泣くのを辞めた泣き声の主はゆっくりと音がした方へと歩いていった。

 

「(よし!!つよい!!)」

 

私はガッツポーズをとりつつ、レバーに近寄って、それを下げた。

ガチャリと音が鳴る。

しかも割かし大きめの音だ。

私はビクッと驚き、反射的に泣き声の主の方を見た。

 

『……!!』

 

私の方に驚くべきスピードで走ってくる。

 

「どわあああああ来るなあああああ!!」

 

私は悲鳴をあげて、その場から走り出した。

扉を閉めて全力逃走をする。

これは不味い!!

後、アイツ、足早すぎ!!

私は走って来た道を戻る。

さっき来た水道をチラッと見た。

 

「って、流れてた水、無くなってるじゃん!!」

 

全力で走りながら、水が流れていた道を走った。

暫く走っていると、1つの小部屋があり、そこの棚に鍵があった。

 

「……アイツ来てないよね?」

 

ゆっくりと覗き込む。

あの泣き声の主はいなかった。

多分だが、追跡を諦めたのだろう。

そう思いたい。

私はゆっくりと警戒心を強めて、元来た道を進む。

階段を上り、扉を開けようとした。

だが、鍵が閉まっていたので、先程手に入れた鍵を使って開ける。

 

「な、何これ?」

 

少し進むバカでかい螺旋階段のような場所に出た。

この階段は木で作られていて、すごい恐怖を覚える。

彼〇島に似たような場面あった気がする。

 

「うわぁ、これ怖いわ……」

 

下を覗いて直ぐに顔を引っ込めた。

うん。

めっちゃ怖い。

お察しだ。

覗いたことを後悔しながら、別の意味で忍び足かつゆっくりと階段を降りた。

蝋燭が辺りに設置されていて思ったほど暗くはない。

しかし、ここまで蝋燭を立てるということは、普段誰か利用しているのだろうか……?

 

「……誰だよこんな階段作ったやつ」

 

私は悪態をつきながら階段を降りる。

そして、ようやく螺旋階段を降り終え、谷を回廊に改造したと言わんばかりの場所にたどり着いた。

木で橋を掛けたりと原始的ではあったが……。

しかし、その回廊の何処からか神楽鈴の徘徊者がいるようで、鈴の音が聴こえてきた。

 

私の前の台座に、あの鏡と……。なんか赤い液体が入った瓶が置いてあるけど、なにこれ?

瓶のコルクを抜いて匂いを嗅いでみると、酸っぱいレモンの香りがした。

 

「……」

 

それでも飲むのは躊躇してしまい、そのまま台座に戻した。

ここで自身の違和感に気づく、あれから何時間経ったか分からないが、喉が渇くこともなければ空腹に襲われることもない。

これもこの世界の影響なのだろうか……。

 

そう思いつつも、鏡に触れてこの場所から去ることにした。

 

 

視界が映えると、そこは水浸しの岩部屋についた。

岩の色を見るに先ほどいた渓谷の何処かのである事に間違いは無い。

 

「……」

 

私はキョロキョロと辺りを見渡し、棚に置かれた物を物色する。

端から見たら完全に泥棒である。

まぁ生きるためだし仕方ない事だと、自分に言い聞かせる。

 

「おー、いいのあるじゃん!」

 

私は懐中電灯と爆竹、フラッシュカメラを発見した。

ヒグラシの回廊の時とは少し形状違うけど、この持ち主ももしかして……。

無念の気持ちを抱きながら、歩みを始めた。

たが、床から奇妙な触手が生えているのを見て、立ち止まる。

 

「わー、何これエロー!」

 

私はちょっと変な想像をしてニヤけた。

……こんな回廊に来てまで何考えてるんだろう……。

そう思いつつ、触手を無視して歩きはじめる。

正直言ってこのまま触手に襲われたら襲われたでいいかな?と思ったのは内緒……。

 

……1本道を歩いていると、鉄の扉の前に、誰かが水浸しで倒れていた。

徘徊者……じゃない。

人だ。

 

私は走ってその倒れていた人へと駆け寄ろうとした直後、全身を伝う程の悪寒に襲われて立ち止まってしまった。

懐中電灯が明滅をはじめる。

すると、曲がり角から何か得たいの知れない影が現れて、その人を掴み連れ去っていった。

 

「……ちょっ!?」

 

私も走って追いかけた。

曲がり角を曲がるとそこは完全な洞窟だった。

そして、よく見ると無数の人骨が貯まってある。

その人骨は粉々になっており、原型と呼べる部分がなく、捻れていたり切断されていたりと、あの新聞で載っていた物そのものがここにあった。

私はこのおぞましい光景に目を背けながら、懐中電灯の明かりを着けて洞窟を進む。

進んでいると……。

 

 

─FOOOOOOOOOOOOOOOooooooooooo!!!─

 

 

「……!!!?」

 

洞窟の奥から、得たいの知れぬ奇妙な叫び声が木霊する。

私はあまりのことにビクッと飛び上がり、一瞬行くのを躊躇してしまう。

だが、目をこらすと奥に明かりが見えたので、そのまま進む事にした。

無論、先程の叫び声の事もあり、今までに無いほどの警戒心でゆっくりと進む。

奥の明かりの正体は灯籠であり、その灯籠の横に先ほどの人が倒れ伏してるのが見えた。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

私は直ぐ様駆け寄って、その人に話しかけるも返事はなかった。

よく見るとその人は女の子で私と同じくらいの年齢だった。

銀髪の綺麗な美少女だ。

その女の子の姿と顔を見て私は、あっ!と声をあげた。

路地で見かけた行方不明の青柳由良さんだ……。

 

「え、ちょっ……大丈夫ですか!!?」

 

今度は大きな声で訊ねるがやはり返事がない。

どうやら、もう手遅れのようだ。

冷たくなっていた。

 

「……」

 

なんとも言えない感情が押し寄せてくる。

そして、その青柳さんの亡骸の側に紙が落ちてあるのに気が付き、それを手に取った。

ボロボロだが、買い物のリストが書かれてあった。

リンスやシャンプー、お菓子。

一番下に美術で使えそうな綺麗な石と書かれてあった。

 

「……」

 

私は由良さんのそのメモを手にとって、ここを出ようと心に決めた。

そして、さっきの鉄の扉がある場所に戻ろうとした。

 

「……!!?」

 

しかし、戻ろうとしたその瞬間、凄まじい殺気が後ろから感じ取れた。

私はすぐに後ろを振り向くと地面からおぞましい女性が悲鳴を上げながら現れた。

 

 

─アアアアアアアアアアア!!! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!─

 

 

普通の人間では出せないであろう悲鳴に、私はあまりの恐怖で全身に鳥肌が立った。

 

 

─アアアアアア!!! アアアアアアアアアアア!!!ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!!─

 

 

しかも、その女性を見つめていると、頭と耳がキーンっとして視界が赤くぼやけてくる。

私にはわかった。

こいつ、他の徘徊者とはレベルが違う。

私は全力でその場から離れた。

 

 

「くぅ……!!」

 

私は必死に走る。

しかし、あの化け物は、おぞましい悲鳴を上げて迫ってきた。

あの声を聴くだけで、精神が削られるような感覚に襲われる。

 

 

─ァァァァァァアアアアアアア!!!!! アアアア!!!!! アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!─

「……うぅ……」

 

あまりの恐怖に涙を流しながら、必死で水道を走り続けた。

声が近づいてくる。

このままでは確実に追い付かれてしまう。

何か策はないかと頭で巡らせていると、石に躓いて転倒してしまった。

 

「いっ……つぅ……!!」

 

痛みに耐えつつ起き上がると、目の前に古いカメラがあった。

リュックの蓋を閉めていなかったようで、転けた拍子に飛び出たみたいだ。

私はその古いカメラを手にもって迫り来る化け物にシャッターを押した。

フラッシュが炊かれ、その目映い光は化け物を呑み込む。

 

 

─FOOOOOOOOOOOOOOOooooooooooo!!!??─

 

 

さっきとは違う驚いたような悲鳴をあげて怯んだ。

チャンスだ。

そう思った私は、痛いのを我慢して全力で走り始めた。

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!!」

 

化け物との逃走をして暫くが経過する。

最早、私がいまどこにいるのかわからない。

そんな中、私は丹塗りが施された大きな廊下にたどり着いた。

だが……。

 

「え、そんな……」

 

私は立ち止まり、絶望の表情をした。

建物が崩れており行くことが出来なかったのだ。

完全に詰んだ。

 

 

─アアアアアアアアアアア!!!アアアアアアアアアアア!!!アアアアアアアアアアア!!!─

 

 

化け物が悲鳴を上げながら近づいてくる。

視界が赤くボヤけ、頭と耳がキーンと強くなってゆく。

あぁ終わりました。

皆、ごめんね……。

私は目を瞑り、死を覚悟した。

 

 

─アアアアアアアアアアア!!!!

……………………。─

 

 

 

「はえ?」

 

化け物の悲鳴が聞こえなくなり、恐る恐る目を開くと、視界が色が消えたように白黒になって、そして化け物の動きが止まっていた。

違う。この世界の時間が止まっているんだ……。

私は思った。

ディアルナが助けてくれたと。

だが、それは違ったようだ。

壁から梯子が降りてきて、私は疑心暗鬼になりつつも梯子を使って上へと登った。

 

 

 

 

登り終えると、奥に誰か座っているのが見えた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……!」

 

その人は酷く息を切らしていて苦しそうだった。

私はその人に近づくと……。

 

「止まれ! それ以上近づくな……!!」

 

男の声。

私は少したじろぎながも、質問を投げかけた。

 

「え、あ……。えっと、貴方が助けてくれたのですか?」

「あぁ……」

 

私の問いに、男は私の方を振り向くことなく、そう返事をする。

 

「だが最初に言っておく、君と馴れ合うつもりはない」

「そう、ですか」

「君に聞きたいことがあっただけだ」

「??」

 

男は、1つのジッポライターを取り出して、私に訪ねた。

 

「このライターに見覚えは?」

 

男が持っていたジッポライターは、私が無くしたものだった。

それを見た私は、噛み付くような勢いで男に言い放った。

 

「それ!! 私のお爺ちゃんの形見です!! 返して下さい、お願いします!!!」

「なるほどな……」

 

私の声に、男は納得したように頷いて立ち上がった。

 

「ほら、もう無くすなよ」

 

私の方にライターを投げてきた。

男は焦げ茶色の昭和風のコートを着ており、随分時代錯誤な姿をしていた。

声から察するにまだ20代ほどなのに。

 

「ありがとうございます!……!!!?」

 

私は男性の顔を見て驚いた。

あの徘徊者と同じ能面を被っていた。

男性は私の反応に気づいたのか「ん? 俺の顔が気になるか?」と言った。

私はすかさず「は、はい」と答える。

 

「呪いのようなものだ。彼女に会えば、君もすぐにわかる」

「彼、女?」

「彼女は冷酷で残酷な化け物だ。この世界から出る方法を知るとしたら、彼女だけだろう。普段は道が閉ざされていて、会うことはできないが……。君ならば話は違う」

「えー、と……それはどういう?」

「……ついてこい」

 

私は男の後を付いていくことにした。

そして、滝の流れる場所に着いた。

タンスや棚、台座が置かれており、焚き火跡もあることから、ここはあの男性の住み処的な場所なのだろう。

棚には先ほど見た赤い液体が入った瓶が置かれていた。

他にも勾玉や沢山の本、紙やペンがあった。

 

「そこで止まれ」

「はい」

「あそこだ」

 

男の指差す先には少し遠いが鳥居が見え、さらにその奥に屋敷らしき建物が見えた。

 

「最奥の部屋で、彼女が君を待っている。直接出口を聞きに行くなら、止めはしない。だが、一つ忠告しておく、彼女の口車には絶対に乗るなよ?」

「あ、はい」

「彼女について知りたければ、そこにある紙切れをやる。残っているのは、そのページだけだ。他のページは散り散りになってしまってな……」

「あ、ありがとうございます」

「その水晶も持っていけ、俺の力を閉じ込めてある」

「は、はい、えっと、あなたは?」

 

私が男に訊ねた時……。

 

 

─FOOOOOOOOoooooooooooo!!!!!!─

 

 

「……!?」

 

あの化け物の声が後ろから響きわたる。

 

「ちっ、あの面なしの怪物は、お前を追っている。他の徘徊者とは一線を画している得たいの知れない奴だ。死にたくなかったら、早く行け!」

「は、はい!! すみません、ありがとうございます!!!」

 

私は男性に礼を言って、紙切れと水晶をバックに入れて、あの屋敷へと向かった。

向かう前に、男に赤い液体が入った瓶について訊ねた。

どうやら、あの瓶は精神を安定させて、傷を治癒する力があるようだ。

それを聞いて、今度から飲もうと感じた。

 

 

「そういえば……」

 

向かっている最中に、男性から貰った紙に目を通した。

 

まず一枚の紙の内容が、勾玉について。

 

要約

どうやら、この世界には何かのエネルギーが満ちており、勾玉はそのエネルギーが蓄積されて出来ているようだ。

この力で重要な扉を開けられる。

他にも何かに利用できると思われる。

 

 

そして、少女について書かれた紙。

ページは3とかかれてある。

 

要約

それから時は流れ、誰もが少女のことを忘れていたある日。

幼子を連れた女性が山から下りてきた。

見たことのない美しい女性だったが、その人並み外れた雰囲気は誰もが覚えていた。

かつて厄介払いした少女だ。

村人は幼子は誰だろうと不思議に思ったが、村の男の誰にも覚えがなく、ますます気味悪がった。

 

「あの子は人の子なのか?」

「もしかしたら人の子ではないかもしれない」

「山神様の子か、それとも得たいの知れない何かか?」

 

様々な憶測かま飛び交った。

 

出所は不明だが、幼子が危険な神通力を使ったと噂が広まった。

母が過去に神通力を使い村人を不安にさせたことも村人は覚えていた。

噂が噂を呼び、親子は化け物と呼ばれ影で恐れられるようになった。

 

 

 

「……」

 

私は何も言わずにそれをリュックにしまった。

 

そうこうしているうちに、巨大な屋敷が目の前に見えてきた。

 

 

 

 

 

 

続く

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