Shadow Corridor 回廊に迷い込んだ1人の少女   作:楠崎 龍照

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徘徊者と化した男によって、奈落の底へと落ちた。
辿り着いた場所は、巨大な貯水施設の場所だ。
私は、どうやって貯水施設からの脱出を試みようかと考えた矢先、徘徊者と化した男との鬼ごっこが始まった。



5話 大食らい

 

 

 

 

 

 

私が落ちたところは、超巨大な貯水施設のような場所の水路だった。

水が穏やかに流れており、巨大な水門がいくつも並んでいた。

また、かなりの立体構造で上下左右至る所に水路があり、所々に超巨大なジャンクションみたいな場所もあって、かなりの見応えのある場所だ。

因みに下半身はびしょ濡れです。

まぁ、汗かいてたしちょうど良かったけど……。

この世界、水責め多くない?

 

「さて、どうしよう……下手に動いたら溺死待った無しだから……ゆっくり歩くしかないよね……」

 

バシャーン!!と後ろから、私の考えを否定する存在が落ちてくる。

まさか……やめてよ?

もうほんとに勘弁してよ?

と嫌な予感をしつつも、後ろを振り向くとさっきの男性だった徘徊者がいた。

ウニやまっくろくろすけを300倍ぐらい巨大にして口と能面を付けたようなその姿に、私は唖然とする。

 

『うっぅぅぅぅ……グウウウウアアアアアアアアアア!!!!!!』

 

それは苦しそうに大声をあげると巨大な口を開けて、こちらに迫ってきた。

 

「あ、これダメなやつ」

 

そう悟った私は、バシャバシャと水飛沫を上げながら懸命に走った。

全身が濡れるけど、そんな事を考慮してたら絶対に食べられてしまう。

死に物狂いになりながら全力疾走する。

後ろから男性の断末魔に近い雄叫びが聴こえてきた。

面なしの化け物よりは精神を削がれないが、それでもやっぱり色々と削れる。

 

「待って、これどうしたらいい!?」

 

走っていると水門が見えて、その近くにはレバーがあった。

そのレバーを下げると、私の後ろの水門が下がり道をふさいだ。

これであの徘徊者の時間稼ぎになる。

貯水施設の中に侵入するが、中は行燈が壁に掛けられており思ったより明るい。

暫くすると、あの徘徊者が水門を殴る音が聴こえてきた。

 

「ぶん殴ってる!?」

 

驚いている間に、水門が壊したであろう木材が砕ける音が耳に入った。

まぁ、あの結晶を壊すほどだ。

あの水門ぐらいどうということないのだろう。

私は内心、苦笑いをしつつ全力で逃げた。

道中にある水門を動かすレバー全てを下げてアイツの移動を阻害しつつ、水道を歩いていると、私が毎度使っているあの台座と鏡が見えた。

 

「よし!! あの鏡に触れて!!」

 

これで逃げ切れる!!

私は安堵しつつその鏡へと近づくが……。

 

 

─シャァァン!!!─

 

 

突如聴こえる鈴の音と共に、私の目の前にある鏡が消えた。

消えたというより、その場所の空間が別の物に変わったというほうが正しい。

行き止まりで鏡が置かれた場所はなく、長い廊下が続いていた。

 

「(あんのメスガキちゃんめぇ……)」

 

私は心でそう思いながら、全力で走った。

幸い、水門がいくつもあったので、迫り来る徘徊者を妨害はできた。

後ろから水門を殴る音が聴こえるがそれも結構遠い。

 

「ちょ、ちょっと……休憩……!」

 

結構距離を離せてると感じた私は、ここで一旦止まって息を整えようと考えた。

だが、あの少女はそれを待ってはくれなかった。

 

 

─シャァァン!!!─

 

 

再び鈴の音が鳴り響き、前方の長い直線状の廊下の奥から、あの徘徊者が迫ってきた。

 

「ちょっ!? それは反則でしょおおおおおお!!」

 

私は踵を返し、再び閉めた水門を再び上げて、逃げようするが、この水門は下げるときは早いのに、上がるときはすごい遅い。

 

「いやぁぁ、早く上がれぇぇぇぇ!!!」

 

カラカラカラカラと鉄の音をたててゆっくりと上昇する。

その間も徘徊者は全力で迫ってきた。

私は水門を屈んで潜り、再びその水門を閉めた。

間一髪である。

 

「あっぶない……ホントにやばかった……!!」

 

後ろで水門を殴る音がするので、もし少しでも遅かったら殺られていた。

私は再び走った。

だが、そこで私は違和感に気づく。

これ、さっきの鈴の音の時に水路の空間を、別の水路の空間に入れ替えた?

全く道が違っていた。

閉めた筈の水門が全て上がっていたから確実だ。

 

「あの子、ルキアみたいな空間を操る能力を持ってる……」

 

宇宙神級の力を持っている事に若干の絶望を感じつつ、必死に逃げた。

 

「はぁ……はぁ……っく……」

 

私は少し歩いて息を整える。

だが、再び鈴の音が鳴り響く。

「休んではダメよ」とでも言われているようだ。

私の床が消えて落下した。

 

「あああああああああ!!?」

 

これ生きれる!?

私は咄嗟に両腕を広げ、少しでも空気抵抗を生み出して、落下速度を和らげようとする。

 

「っ!!?」

 

下が水だったおかげである程度、痛みは防げた……と思いたいのだが……。

それでも、激痛が私の足から全身へと伝わる。

 

「くぅ……!!」

 

叫びにならない叫び声を上げた私は、激痛が走る右足を抑えて歯を食いしばる。

 

「いっ……つぅ……!!」

 

あまりの痛みに涙が溢れてくる。

でも、そんなことをしている暇なんてない。

早く逃げないと、あの徘徊者が来てしまう。

痛みを伝う全身に鞭打って走ろうとしたとき、後ろの台座に鏡や赤い液体、鍵、それに何かの紙切れがあった。

 

「この赤い液体って……!」

 

あの男の事を思い出し、赤い液体を飲んでみることにした。

飲んでみると爽やかな酸味があって、サラサラとして飲みやすかった。

そして、体の奥から生命力が沸き上がってくるのを感じた上、足の激痛も一瞬にして引いていった。

なんて強力な飲み物……。

私は驚きつつ、横にある紙切れを見てみる。

さっと目を通して、鞄の中にいれた。

 

どうやら、日記のようで内容は……

 

 

 

日時不明

あの置き手紙を頼りにK達と出会い、行動を共にすることにした。

ここに迷い込んでおそらく2日は経っただろうか。

不思議なことに、ここにいると腹も空かないし眠くもならない。

開かずの窓からは夕日が差し込むが、いつまで経っても夜になる気配がない。

まるで時間が止まっているようだ。

 

日時不明

Kがイチカワに、煙草を一本分けて貰っていた。

でも、吸う気配がないのでKに聞いてみたら、無事に家に帰るための願掛けらしい。

身籠った妻と再開し、家に置いてきたお気に入りのライターで煙草を吸うまでは、絶対に死ねないんだ。と言っていた。

 

もうどれだけの間、この世界で過ごしたのか……。

私達4人は、死地を共にすることで堅い絆が芽生えているのを感じている。

 

 

「Kって言うのがさっきの人っぽいね」

 

完治した私は、再び走り出す。

何となく想像は出来ていたが、前方からあの徘徊者が落ちてきて、私を追いかけた。

 

「まぁ、そうなるよね!!」

 

私は開いている水門を通って、近くにあったレバーを下げて水門を降ろした。

 

「今のうちに! ……ってなにこれ!?」

 

私の目の前に映る光景に、呆気に取られた。

広大な貯水槽に、平均台レベルの細長い板を置いただけの道、というか橋が、私の前に広がっていた。

いや、これを道や橋と言って良いのだろうか?

突貫工事の方が、まだ良心的と言えるべきものである。

 

「……は? これを渡れと?」

 

嫌がらせも、度を越すと最早清々しい。

だが、ここで立ち止まっている余裕なんてない。

後ろから、あの徘徊者が閉じた水門を殴る音が聴こえてくる。

私は意を決して、この手抜き工事が可愛く思えてくる橋を渡った。

因みに下は水が溜まっているが、高さ的に落ちたら死ぬ。

高所恐怖症の人だったら、ここでゲームオーバーだろう事は火を見るより明らかだ。

ていうか、よくこんなものを創ったものだ。

 

「んっふ(笑)! これ、こーわ(笑)」

 

歩きながら苦笑する。

いや、もう笑って誤魔化さないと、どうにもならない。

余裕の笑いではなく、バカバカしくなった笑いである。

だが、後ろから水門のぶっ壊れる音が聴こえ、後ろを振り向くと、アイツが律儀に板の橋を渡って追いかけてきた。

 

「あいつも追いかけてくるんかい!」

 

なんだろう、物凄いシュール。

妙にお茶目さがあって、少しだけ緊張が緩和された。

 

「てか、アイツ平均感覚最強でしょ!?」

 

そんな事を口に出しながらふざけた橋を渡りきり、全力で走る。

だが、その瞬間……。

 

 

─シャァァン!!!─

 

 

と、鈴の音が鳴り響き、床が無くなった。

完全に油断していた私は、背中から落下する。

ヤバい。

咄嗟に、両手で頭を抑える。

 

「ごハァッ!?」

 

水があっても、高所からの落着の衝撃を軽減する事は出来ず背中から激突した。

 

「あ……が……ゲホッ!?」

 

背中に激痛が走り、私は口から液体を吐き出した。

そして、その痛みは全身に伝わって、私は悶え苦しんだ。

 

「あ゛ぁ……!!」

 

私は全身が水浸しになりながら、のたうち回る。

徘徊者がくるかもしれない。

だが、そんな事を吹き飛ばす程、私は痛みに支配されていた。

 

「い、た……い……!!」

 

涙を浮かべ、歯を食い縛って、痛みを必死に耐えようとする。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……ぐっ、ゲホッゲホッ!!」

 

口から赤い液体が出て、口内が鉄の味がする。

これは、ヤバいかもしれない。

 

「ゲホッゲホッゲホッ! これ……やば……ぃ……!!」

 

死という言葉が、頭に浮かび上がる。

意識が朦朧としてきた。

まずい。

 

「……ゲホッ、ゲホッ!! ……あれ……は……!」

 

赤い体液を吐きながら、私は目の前にある台座に気がついた。

台座には、赤い液体がある。

 

「……!」

 

頭痛、吐き気、朦朧とする視界の中で私は決死の力を振り絞り、台座へと近づいて赤い液体を飲み干した。

本当にビックリなのだが、この赤い液体を飲むだけで先程までの痛みが消え去り、意識もハッキリしてくる。

 

「何の成分が入ってるの?」

 

私は飲み干したフラスコのような瓶を眺めながら呟いた。

 

「あれ?また何かある……?」

 

私は台座に紙が置かれているのに気づき、それを手に取ってサッと目を通した。

 

 

日時不明

Kの由来は記者のKらしい。

安直で捻りがないな。とヒイラギがいうと、彼は「そうだな」と笑っていた。

 

Kは時折、酷く咳き込み辛そうにしているが、彼はいつものことだという。

だが、あの苦しみ方は尋常ではない。

彼の体が心配だ……。

 

 

日時不明

不思議な少女が現れて、Kに不気味な能面を被るように勧めた。

その面を被ると病が治り寿命が延びるという。

「そんな訳がない、怪しい誘いに乗るな」という私を差し置き、Kは自ら面を被ると、激しく身悶えた。 

イチカワとヒイラギが心配して駆け寄ったが、凄まじい力で一瞬にして殺されてしまった。

私は命からがら近くの穴に飛び込んだが、激しく体を打ち、もう動けそうにない。

何が何だか分からない……。

 

私はこのまま、ここで死ぬのだろうか……。

 

 

 

と、書かれていた。

私は何も言わずに紙をしまって、再び走り出す。

相当、下に落ちたようで、辺りは真っ暗だ。

私は光石を提灯代わりにして、真っ直ぐの道を歩こうとした。

 

 

─シャァァン!!!─

 

 

地下水路に鳴る神楽鈴、奥から接近する徘徊者。

更に言うと、後ろの台座の空間も変わり、別の空間に差し変わっていた。

 

「まぁ、そうなるよね!!」

 

私は大声で喋りながら、予想以上に入り組んだ、地下水路を全力疾走した。

所々に水門とそのレバーがあり、通った水門を降ろして阻害しつつ逃げた。

しかし、逃げた場所に助かるところがあるのか不安があった。

一本道ではなく迷路のような場所だ。

私は不安を抱きながら走っていると……。

 

 

─リリン!!!─

 

 

透き通った鈴の音が鳴ったと思えば、私の目の前に光の玉が現れた。

それはゆらゆらと浮遊しながら、目的の場所を指し示すように移動し始めた。

 

「信じるべきか……いや、信じよう!!」

 

私は、一瞬戸惑ったが、それについて行く事にした。

罠の可能性があるけど、もし罠なら空間転移やらなんやらをして仕留めるはず。

それに後ろからあの男の断末魔が聴こえてくる。

最早深く考えていられなかった。

 

「……どこに連れていくのかな?」

 

光の玉はこの複雑な回廊を熟知しているかのように移動し、到着した場所は丹塗りの大広間だった。

行灯が何個も付けられており、明るい場所だった。

そして、その奥には台座があり鏡が置かれていた。

光の玉が示した場所はここだったのだろう。

 

「よし、信じてよかった!」

 

しかし、私が近づくと再びその場所が無くなり、奥には水が流れ落ちるだけで、何もない場所になった。

 

「マッジか!?」

 

それでも光は真っ直ぐ進み、そこで止まった。

後ろを振り向くとあの徘徊者が近づいてくる。

え、やっぱ騙された感じ?

 

「……!!」

 

私は無駄に構えて戦う姿勢をとった。

もう、何でもいいから一方的に殺られるぐらいなら戦ってやろうと思った。

しかし、その心配はなかったようだ。

光の玉はあの徘徊者に突撃し徘徊者を薙ぎ倒した。

しかし、それにより徘徊者は壁に叩きつけられ、その衝撃によって天井が抜けて、私の頭上に巨大な瓦礫が落ちてきた。

 

「……ウッソでしょ!?」

 

私は頭を手で覆い踞った。

しかし、その瓦礫は私を潰すことはなかった。

あの徘徊者が私の上に浮いて、私から瓦礫を守ってくれた。

 

「ちょっ!?」

 

そして徘徊者は床に倒れ……。

 

「おい……。無事か……?」

 

あの男の声だ。

 

「お前を殺そうだなんて……すまないな……」

「え、えぇ、大丈夫です。貴方の方も大丈夫ですか?」

 

私がそういうと、男は「何とかな」と一言。

そして、口元から煙草を取り出して「なぁ、そのライターで火をくれないか?」と言った。

私はライターで男の口元にある煙草に火を着けた。

 

口の大きさを見たら、その煙草は非常に小さかった。

それでも喫煙をして「あぁ、悪くない……」と呟いた。

背中に突き刺さった瓦礫が非常に痛々しい。

 

「あの、どうして……そこまでして私を?」

 

私の問いかけに男は「そうだな……」と言った後にこう言った。

 

「面影があるんだ……。向こうの世界に置いてきた妻のな……」

「え? それって……」

「俺の妻……。つまり、君の祖母さ……」

「!?」

 

男の言葉に私は驚きのあまり、声がでなかった。

私が言葉を失っている中で、彼は話を続ける。

 

「俺は、昔ここに迷い込んだとき、病で先が長くなかった……。それでも、身籠った妻に会いたい一心で出口を探した……。そして、あの化け物の少女に会ったんだ……。彼女は永遠の命をくれると言った。そして、俺は藁にもすがる思いでこの面を被った……。だが、その代償は大きかった……」

「……」

 

私は涙目の状態で、彼の話を聞いている。

 

「面を被った瞬間、とてつもなく大きな力が体の奥から沸いてきてら意識をぐちゃぐちゃに掻き回されて訳がわからなくなった……。そして気づいたら、一緒に出口を探していた仲間を皆殺しにしていたんだ……。それ以来、何十年経ったのかもわからない。俺はずっと、たった1人で機会を伺っていた……。沸き上がる力を押さえつけながら……自我を失って、また誰かを傷つけるのではないかと怯えていた……」

「……」

「だが、やっとだ……。やっと……あいつらの分まで、あの化け物に一矢報いてやることができた。君のお陰だ。最後に君の名前を聞いてもいいか?」

「アリス……岸谷、アリス……」

 

私は涙を流しながら、そう名乗る。

私の名を聴いた彼は、少し微笑んだ。

 

「アリス……。ありがとう」

 

彼はゆっくりと浮かび上がる。

その様子は力が無く、限界を感じ取れた。

 

「……そろそろ限界みたいだ……。今度自我を失えば、もう二度と自分を取り戻すことはできないだろう。君に……アリスにあえてよかった。この面も悪いことばかりじゃなかったな……」

 

ふふっ、微笑んだ彼は崖へと身を乗り出す。

私は涙を流して制止する。

 

「待って!! 行っちゃダメ!!」

「そのライター、俺の一番のお気に入りだった……。もう無くすなよ……」

「お爺ちゃん!! 行かないで!!!」

「次は……拾ってやれないからな……」

 

おじいちゃんは、滝から奈落の底へ落ちた。

 

「お爺ちゃああああああん!!!!!」

 

私の大声は滝の流れ落ちる音でかき消され、底は暗くお爺ちゃんの姿を見ることは出来なかった。

 

「……おじい……ちゃん……」

 

私は涙と鼻水をボロボロと零すが、それも滝によって流されていく。

私は膝をついてボロボロと泣いた。

泣き続けた。

 

 

 

 

「……生きて……生きて帰らないと……」

 

私はお爺ちゃんの為にも、絶対にここから出ようと心に決めた。

お爺ちゃんがぶつかった壁を見ると壁が崩れて道ができていた。

私はそこに入ると、台座の上に猫が座っていた。

前々からみた猫だ。

私を見ると鈴を鳴らしながら移動する。

 

「着いて来いって事なのかな?」

 

私は猫が進んだ道を通ると、そこは船着き場のような場所についた。

1つの船が止まっており、辺りは行灯や灯籠で照らされて、どことなく千○千尋○神隠しを彷彿とさせた。

 

そして、その船の先に猫がチョコンと座っているのが見え、私もその船に乗ろうとした。

 

「ん?」

 

私は、奥の方に戸があることに気づいた。

その戸を開けようとしたが、鍵がかかって開けれなかった。

 

「鍵、鍵……」

 

私は持っていた鍵を取り出して戸を開けると、そこには池があって板で橋がかけられていた。

私はその場を渡ると、そこには般若のお面が掛けられた、あのヒグラシの回廊で見たそれと似たような場所にきた。

そして、そこには同じように大きな勾玉があった。

私はそれを手にとって鞄の中に入れた。

 

「これ、何に使えるの……?」

 

私は謎のまま船着き場に戻り、猫がチョコンと座っている船に乗った。

すると、船は不思議と動き始めた。

木で作られた船なので、誰かが漕がないと動くはずがないけど、最早この世界でそれを言っても無意味だよね。

 

 

 

 

 

 

続く

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