オリ主が死んで周りが曇る話【新章開幕】 作:D.D.D_Official
「お嬢!友達になってくれるお客人を連れてきたよ!」
場所は変わって稲妻城が木漏れ茶屋。トーマが奥へ向かって呼びかける。僕は緊張した面持ちでその様子を眺めている。やはり、神里綾華は幕府の狗では無いのだろう。
奥からトテトテといった足音が聞こえてきて、神里綾華が現れたのだろう。襖の向こうから声が聞こえてくる。
「あ、あのぅ…トーマ?その、お友達になってくれるという方は…?」
「出てきてくれたら分かりますよ、お嬢。かわいい女の子です」
「本当ですかっ!……あっ」
嬉しそうに出てきた神里綾華が僕の顔を見て顔を赤らめる。ほう、これは?
「あわわ…コホン!わたしこそが社奉行を司る神里家の長女!神里綾香であるっ!して、このわたしに何用かっ!」
「こんにちは、綾華ちゃん。私は魔妓阿、今日は貴女とお友達になりにきたの。私には、色々な記憶が無いのだけれど会うのはこれが初めてじゃ無い様な気がするわ。よろしくね?」
「あぅ…ホントニカワイイ…はいっ!じゃなくてうむ!相分かった!で、では…わたしと魔妓阿…ちゃんはこれからお友達だ!」
「はい、よろしくお願いします」
やはり…この娘、チョロいぞ。氷元素の女がチョロいのは最早定めなのだろうか?こんど研究してみよう。
「無事に友達になれたみたいで俺も嬉しいよ。お嬢、あの事は魔妓阿ちゃんに話すの?」
「…!いえ。お友達をそのような陰謀に巻き込む訳には行きませんから。それに、魔妓阿ちゃんの御付きの子…深沙さんのご家族に何かあってはいけませんから」
ほうほう。神里綾華は出会って間もない僕の事を友達として護ろうとしてくれている訳ね。ふーん…あっ!良いこと思いついた!
「さ、魔妓阿ちゃん。その、それで…わたし、したい事があるのですが…良いですか?」
「はい、良いですよ。何をしましょうか?」
「その、今よりもっと仲良くなる為に…何か、遊戯でもしませんか?丁度ここに、おはじきがあります。これで遊びませんか?」
「おはじき…ですか」
おはじきって何だ…?どうやって遊べって言うんだ。あれか?モン○トみたいに弾くんか。だったらモンスターいないとな。
「お嬢、そんな遊びより闇鍋をしましょう!闇鍋ならば誰でも楽しめます!さあ!さあ!」
「トーマったら…わかりました。やりましょう。食材はどうしましょうか。各自持っている物を出し合って入れましょうか」
待て。闇鍋ってアレだよね?あのトーマが失神する奴。やめろー!僕の胃は鋼じゃないんだー!
さて。入れる材料は…晶核、トカゲのしっぽ、カエル、ウミレイシで…
「全員入れた?よし!じゃあいざ実食!頂きます!ぐえええーーーーっ!」
「っ!?トーマ!?どうしたのですかトーマ!」
「これ…晶核じゃないか…!?噛んだ瞬間に水が噴き出してきたんだけど!?ゲホッゲホッ!」
やべ。さっき強く握りすぎて水元素込めすぎちゃった。さぁ、次は僕が食べる番だ。
「頂きます。グッ!?ゲホッゴホッ!?なん、ゲホッこれ…ッ!」
誰だ山椒魚入れた奴。マジでふざけんなよ!僕が言えた義理じゃねえや!
「つ、次はオラか…!頂きますっ!う、うめえ!こりゃあ…団子…だか…?」
チッ、当たりか。多分神里綾華の入れた物だろう。
「最後は、わたしですね。では!頂きます…っ!あら?これは…肉、ですか?しかし何の肉でしょうか。すこし甘いような不思議な味がします」
あ、やっべ回収忘れてた。
「フッフーン!実はその肉はオラが入れたモンだべ!前に魔妓阿様から貰ったお肉を燻製にして取っておいたんだべ!」
…どうしよ。深沙だけじゃなくて神里綾華にも宵宮食べさせちゃった。うーーーん!バレてないからヨシ!しかも後で気づいた時きっと曇るだろ!うん!
神里綾華と話してたら日も暮れてきたので僕らは深沙の家に帰る事にした。丁度近かったしね。それにしても、今日は神里綾華から抵抗軍の話を聞く事が出来なかったな。まあ勝手に行っても良いんだけど、それだと悲劇のヒロイン感が薄れるな。折を見て聞いてみよう。
因みに、神里綾華には僕の過去(笑)を話しておいた。久々に分身を使って見に行くか。
さぁ〜て、楽しみだなぁ!
◆◆◆◆◆
(神里綾華視点)
わたしは先程新しく出来たお友達の魔妓阿ちゃんの話していた過去の話を脳内で反芻していた。
稲妻では見ない顔だが何処から来たのか聞いて見たところ、
「私は…わからないんです。どこから来たのか、なんでここに来たのかすら。唯一わかるのは、私の名前と、仲の良い兄と色々な事を教えてくれた先生がいた…それぐらいなんです。記憶を失う前の最後の記憶は……うっ!頭が…すいません、どこか靄掛かったように思い出せないのです。ごめんなさい…」
と言っていた。
そうか。そうなのか。魔妓阿ちゃんは恐らく、その立ち振る舞いや見た目の美しさから鑑みるに何処かの国の王族だったのではないでしょうか?それで、何らかの原因で稲妻に来たのかもしれない。
いや、深沙さんが語ってくれた魔妓阿ちゃんとの出会いの話から考えると魔妓阿ちゃんの祖国は既に亡く、最期の国を思い浮かべようとするとその余りに衝撃的な出来事を思い出させまいと記憶を封印しているんでしょう。
魔妓阿ちゃんはいつの日か祖国へ戻ってみたいと言っていました。ああ、何て運命は残酷なのでしょうか。思わず涙が出てきてしまいます。
「お嬢。もしかしてお嬢も俺と同じ考えに至ったのか…?」
「ぐすっ…ええ。運命とは何と非道い真似をするのでしょう…これではあまりにも彼女が、魔妓阿ちゃんが報われません…」
「……その分、俺たちが仲良くして…少しでも故郷の事を忘れさせてあげられるかな」
トーマが悔しそうな声を押し殺して震え声で訊いてきます。
「…ええ、きっと出来ます。して見せます…!わたし達で魔妓阿ちゃんの心をこの地に引き留めなければなりません」
「ああ、そうですね。お嬢!」
決意を新たにしたわたし達は彼女の輝かしい明日の為に策を練り始めました。
◆◆◆◆◆
(ロイ視点)
おお…素晴らしい…まさに理想的な反応だ…!
それが良い…!それが見たかった!
不遇の者を嘆きその哀れな境遇に表情を歪める顔!
そしてそれを何とかする為に努力した挙句裏切られる顔は、きっと世界で一番美しいだろう。
ああ、もう我慢できない!溢れ出るリビドーを抑えきれないよ!
僕は深沙の家からこっそり抜け出しファデュイの逢瀬中のカップルを発見した。よし、今宵は愉しむぞ!
「っ!?なんだ貴様は!俺たちがファデュイだと知っての狼藉…ぐあっ!?」
「ダニエルっ!お前えっ!よくも、やってくれたなぁ…っ!ブリンクッ!」
ハハハ!当たらないよ!喰らえ璃月仙流古式剣術!
「きゃあっ!?」
「マリィ!貴様ぁぁぁぁ!!!」
ファデュイの雷戦士が突貫してくる。だったらぁ…【完璧変装】♡
「ッ!?な、マリィの、顔に…」
そぉれ!モンド流元素斬撃!
「ぐはぁっ!!ひ、卑怯…な…!マリィ…逃げ…」
うん、ほっとけばこの雷戦士のダニエル君は死ぬな。よーし、蛍術師ちゃん…たしかマリィとか言ったかな?君はここで恋人がどんどん冷たくなっていく様を見るんだ。
「嫌っ!いやあっ!ダニエル!ダニエルぅ!お願い!目を開けて!嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
クフッ…クフフフッ!ああ、素晴らしい。存在価値の薄いモブですらこの反応なんだ…やっぱり、曇らせは最高だ。
そうして、僕は蛍術師の悲鳴を聴きながら優雅に晩酌と洒落込んだ。
他人の不幸は蜜の味。
なら幸福は何味なんですかね?
誤字を修正しました(2022/02/06)
深沙ちゃんの運命
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絶望して死ぬ
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曇っても苦しみながらも生きる