オリ主が死んで周りが曇る話【新章開幕】 作:D.D.D_Official
タヌキイベントの入り方が分からない。
璃月孤雲閣。ここでは今、武闘大会が開かれようとしていた。無論、我らが旅人も参加する予定だ。
「旅人!景品はなんなんだろうな!ワクワクするぜ!」
パイモンがはしゃぎながら旅人に話しかけている。旅人もそれに応じて少しワクワクしていた。
全ての試合を終え、景品を受け取る時…事件は起きた。何と景品が盗まれたのだ。
慌てて追いかける旅人とパイモン。
「待てっ!宝盗団め!」
「へっ!誰が待つかよ!うおっ!何だこいつッ!いつの間に!?」
見ると、襤褸の着物を着た男が虚な瞳で宝盗団を止めていた。
「誰だか知らないけどっ、ありがとうっ!降星っ!」
宝盗団を倒すと、男は旅人にフラフラと近づいて来て景品を奪い取った。
「…ぁ……ぅ………」
微かに呻きながら男は景品を握りしめる。
「おいっ!折角取り返してもお前が奪ったら意味ないじゃ無いか!」
パイモンが文句を垂れる。旅人もそれに同感だった。
「ねえ、あなた何者?どうしてそんなに虚な瞳をしているの?答えて」
そう言いながら旅人が景品の神の目に触れる。その瞬間、神の目が煌々と輝き男を包む。
「あわわっ!旅人っ!どうしよう!」
「パイモン、大丈夫…この人、傷ひとつない…」
光が収まり、男が立ち上がる。
「……ここは…?拙者は一体…それにあの化け物はどうなったでござるか…?ッ!そうだ、宵宮殿…宵宮殿はっ!?」
突然慌て始めた男に旅人は困惑する。
「あの、貴方…大丈夫?どこか変な所打った?」
恐る恐る旅人が声を掛けると、男は旅人に向き直り姿勢を正して無礼を詫びた。
「あぁ、すまぬ…少々取り乱しておったでござる。拙者は楓原万葉。一応、侍でござる」
「「サムライ…?」」
二人の声が重なる。旅人とパイモンが頭上に疑問符を浮かべていると、遠くから北斗の呼び声が聞こえた。
「おーーーい!お前ら、無事かーーっ!?なんか、凄え光があったけどよーーっ!」
「大丈夫ーーーっ!北斗、万葉が目覚めたよー!」
北斗の大声に大声で返す旅人。走ってきた北斗が驚愕する。
「何っ?万葉が?頭に深い損傷があった筈なんだが…うおっ、本当に立ってる!」
「すまぬな、どうやら拙者が迷惑をかけていたよあでござるな。誠に辱い」
「あぁ、そりゃあ良いんだけどよ…アンタ、何があったらあんな風に怪我出来んだよ?」
北斗がそう訊ねると、万葉は苦い顔をして「相分かった…説明しよう」と言い、語り始めた。
「拙者は…拙者はかつて、友の復讐に燃える唯の侍であったのでござる。稲妻国では現在、目狩り令…即ち神の目を持つものから神の目を奪うと言うことをしているのでござるが、友がそれに反抗し死んだのでござる。今のままでは勝てぬと踏んだ拙者は、今より更に強くなる為に旅をしていたのでござるが…その時、あの憎き悪魔に出くわしたのでござる。その悪魔は黄金の髪に紅の瞳を持つ片手剣使いでござった。身の危険を感じ拙者はその悪魔に斬りかかったのでござるが…刀を、拙者の心ごと折られてしまったのでござる。その後半殺しにされた拙者は、とある女性に救ってもらうのでござる。その方は宵宮殿と言って、快活で優しい御仁でござる。宵宮殿に救われ、暫く宵宮殿の邸宅で過ごしていた時、また悪魔はやってきたのでござる。悪魔は卑劣な技を使い、拙者に宵宮殿と同士討ちをさせたのでござる。その後、怒り狂った拙者は悪魔に突貫したのでござるが…そこから先の記憶は、ないでござる」
長い回想話を聴き、パイモンは素直に恐れた。
旅人は紅瞳の悪魔に思案を巡らせていた。
(紅瞳…ロイの目も、紅かったな。何か関係があるのかも?)
北斗は納得したように頷き、「お前も災難だったなぁ!」と言いながら万葉の肩を叩く。
そこで旅人は、自分達が丁度稲妻国へ行こうとしている事を思い出した。
「万葉、わたし達は稲妻に行きたいんだけど…その方法を知ってる?」
その問いに北斗が答える。
「アタシの船なら、連れて行ってやれるぞ!行くか?」
「おおっ!流石北斗だな!旅人、オイラ達久々に運が良いな!」
そうして、旅人の稲妻行きが決まった。
◆◆◆◆◆
(蛍視点)
甲板の上で万葉とわたしで手合せをした。
数回剣戟を交わしただけでも万葉がすごい使い手である事がひしひしと伝わってきた。こんなに強い万葉を絶望させる程強いなんて、その悪魔とかいう奴はどれほど強いのだろうか?
紅い瞳で強い人…まるでロイの様に感じてしまう。もう、忘れようと思っても忘れる事が出来ない。
わたしが困っていた時は笑顔で助けてくれて、どんな苦境に置かれていても必ず救いに来てくれる。風魔龍を倒せたのも、遺跡をくぐり抜けられたのも全部ロイが居てくれたお陰じゃないか…!
そう考えると、どうしても忘れる事が出来そうにもない。そのことをパイモンに伝えたら
「いつまであんな糞野郎の話をしてるんだ!?アイツはオイラを殺そうとしてきたんだぞ!ようやく死んでくれたんだ、喜びこそすれ悲しむ事は無いぞ!」
と、酷いことを言っていた。わたしはそれが悲しくて、何とか誤解を解こうと必死になったが無駄だった。
そのような事を考えていると、ふと万葉がわたしに何を考えてるか訊いてきた。わたしは、ロイの…わたしの、大切な人の事。と言うと、詳しく教えてほしいと言ってきたので、説明してあげた。
「ロイは…ロイ・マギアはね、優しくて大っきくて…それでいて強い人だったんだ…彼はモンドに来たばっかりのわたしを暖かく迎えてくれた」
「ほう、ロイ殿とは大層見上げた御仁のようだ」
「うん、そうなの。わたしが困ってる時はいつでも助けてくれた。わたしは、助けてくれる時彼が見せる頼もしい背中が好きだったんだ…。それで、良く頭を撫でてくれたんだ。紅い瞳を愉快そうに歪めて『許せ、蛍…』と言って「待つでござる」…うん?」
「今、紅い瞳…と言ったでござるね?もしやその御仁、あの悪魔めかも知れぬ。いや、まさかそのような事は無いと信じたいでござるが…」
「何言ってるの、万葉。ロイは…ロイはね。死んじゃったの。わたしが、殺したから…」
それを聞くと、万葉の目が大きく見開かれてわたしを糾弾するような視線になる。当然だ。恩人を自らの手にかけたのだから。軽蔑されて当然、失望されて当たり前の事をしてしまったんだ。わたしは。
「それは…何とも…すまぬ、辛い事を訊いてしまったでござる…面目ない。だが、それには理由があるのでござろう?拙者には、其方がそのような事をする御仁とは思えぬ。訳を、話してくれるでござるか?」
「うん、話すよ……初めに違和感に気づいたのは、凝光がエウルアやベネットを璃月に召集した時だった。普段モンドと璃月の関わりは殆ど無いの。だけど、モンドの騎士であるエウルアを呼んだ事は違和感しか無い者だった。そして、もう一つ。玉衝…刻晴が仕事を休んだって言う知らせを聞いて、これはあり得ない。と思ったの。暫くして、刻晴がフラフラと街の外へ行くのを見かけたの。急いで追ったんだけど、追いつけなくて。急いでパイモンに人を呼んでもらって私は元素視覚で刻晴を追ったの。そしたら……」
「そしたら…?何でござるか?」
「ロイが、ロイが刻晴を刺している所を見たの」
「何と…!?それは…」
「刻晴はロイに憧れの感情を持っていた。けど、ロイはそれを一笑して『憧れは理解とは最も遠い感情だよ…』と言ったの。当然困惑した。それと同時に激怒した。ロイは、そんな事を言う筈が無いから。きっと誰かに操られているのだと思った。そしてその予想は正しかった。その直後、ロイは自身がファトゥス12位だと正体を明かした。あとで同じファトゥスのタルタリヤに聞いたけど、ファデュイには他人の肉体を乗っ取る奴もいるらしい。それを聞いて確信した。やっぱりロイじゃなかったんだって。それで、わたしは…」
「ロイ殿を、救ったのでござろう?優しい死によって。旅人、其方が落ち込むことでは無いでござるよ。寧ろ、旅人はロイ殿を救ったのでござる。案ずるな、でござる。それに、拙者の敵…悪魔とはかけ離れた人物である事は確定的でござる」
「そう…?なら、良かった…でも、そうね…もし仮にその悪魔がロイなのだとしたら…今度こそ…」
わたしは月を見ながら独りごちる。
稲妻に淡い期待をかけて。
蛍chanはロイに父性もとい頼りになる兄の幻覚を見ている節があります。
兄のように慕っていた男が女みたいな見た目になって人殺しまくってたらどうなるんでしょうね。
珊瑚宮心海は死ぬ?
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キュートな心海は天才的な頭脳で生き延びる
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ゴローが来て助けてくれる
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死ぬ。現実は非情である。