オリ主が死んで周りが曇る話【新章開幕】   作:D.D.D_Official

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ピンチに覚醒は主人公の特権

 

 

「知らない天井…じゃないッ!?し、申鶴さん!?何やってるんだ!?」

 

僕は気がつくと申鶴に膝枕されていた。いや、意味不明だ。なぜ生ける羅刹の申鶴がこんな事を?

 

「……やっと目覚めたか。あれから三日も寝込むなどどう言う了見だ?お陰で脚が痺れてしまう所だったぞ」

 

「ア、ハイ。すいませんでした…それじゃあ僕は鍛錬があるのでこれで…」

 

「待て」

 

僕が居た堪れなくなってそそくさと逃げ出そうとすると申鶴に引き止められる。勘弁してくれ、厄介ごとを起こすのは好きだけど、起こされるのは嫌なんだ。

 

「ロイ、お前は何故そのような力を得た?はっきり言って、今のお前には分不相応だ。常人ならば力が暴発し破裂して死ぬと言うのにお前は死んでいない。訳を話せ」

 

えっ、そうだったのか。このチート持ったら常人なら死ぬのか。つまり、神様がチートに合うだけの肉体を用意してくれたって事だ。ありがたい。

 

心の中で神様に手を合わせていると、申鶴が更に問い詰めてくる。

 

「お前の事を留雲借風真君は『神の子』だと言っていた。それは事実か?であるならば何故修羅を目指す。正当な修行を積み、真っ当な神になるのが常道であろう」

 

「申鶴さん、僕は…僕は、強くなります。成し遂げたい事があるからです」

 

「ほう?成し遂げたい事か。述べてみよ」

 

「それは…これより世界に訪れる壮大な物語、それはきっと悪い終わりを齎すかも知れない。僕はそれを予知した。故にそれを止めねばならない。だから、強くなりたいんです」

 

半分ぐらい嘘だが、本当でもある。いくら仙人やそれに類する物達が嘘を見抜けようとも、本当混じりの嘘は気づけまい。

 

「ロイ、貴様……。まぁ良い、貴様に何が見えていたかなど知らぬ。我は我の命を果たすのみ。だがロイよ、貴様が力を望むと言うのなら我を頼れ。我がお前に戦い方を教えてやる」

 

「えっ!良いんですか!?じゃあ、お願いします!」

 

「だからお前は修羅になど……え?」

 

言っていなかったが、僕は極度の負けず嫌いだ。一度打倒された相手には恥を捨ててでも勝ちに行く。申鶴のクセや力の本質を見切って、次こそ必ず完膚なきまでに勝ってみせる。

 

弟子入り出来ると言うなら願ったり叶ったりだ。

 

「では、早速明日から我が稽古をつけよう。今日はもう帰れ」

 

「嫌です!貴女に勝てるまでやります!」

 

「我儘な奴よ!良かろう、そんなに死にたいのならかかってくるが良い!」

 

さて、威勢よく啖呵を切ったは良いが、武器が無いのは痛いな。ならば…

 

「【水王顕現】ッ!僕に武器を与えたまえ!」

 

水王顕現を発動させ水の剣を呼び寄せる。タルタリヤの元素スキルを参考にした感じだ。水元素が集まっていき、水流を現したのような剣が出てくる。

 

「……ッ!それは…なんと凄まじい武器だ!何故初めから出さなんだか!」

 

「知らないね…!これは初めて試す技だから、制御ミスって死んでも知らないよ!申鶴ゥッ!」

 

「クク…フハハ…!よもやここまでとはな!良かろう!我を楽しませてみせよ!小童ァ!」

 

互いに啖呵を切り、駆け出す。精神が高揚していくのを感じる。目の前の強敵を前に僕の魂はどうしようもなく踊っていた。

 

おかしいな、僕はこんなタチじゃなかったんだけどな。チートの効果とかかな?まぁイイ。オレなら……勝てるゼ!

 

「む…童、貴様…ロイか否か!」

 

ナンダ、バレたのか…じゃない!どう言う事だ!?僕は一瞬乗っ取られていたのか!水王顕現は精神に影響を及ぼすと言うのか。

 

それに気付いた次の瞬間、

僕は真っ白な世界に飛ばされていた。

 

 

「な…!?これは…!」

 

『オイ、主よ。言いたイ事があル』

 

目の前には、紅い瞳を輝かせ水色の髪を他靡かせる僕…のそっくりさんが居た。

 

「主?と言う事はお前は僕が貰ったチートのどれかだな。どれだ」

 

『はァ?お前、オレを散々使っておいてそリャあねえよ。オレは水王ダ。知らねェなんて言わせねぇゾ?』

 

水王、か。確かに沢山使った覚えがあるが…それで怒っているのだろうか?

 

『主、初対面の奴らが出会った時何するか知ってルか?』

 

何だろうか。挨拶…とかかな?

 

『名乗り合いだろうガ!常識ねェのか?』

 

「何で僕の力如きにわざわざ自己紹介する必要があるのさ。君たちは僕の道具なんだから黙って使われてよ」

 

『マジかヨ…ここまで破綻してルなんてな。聞いたかヨ、胡蝶』

 

「胡蝶?【胡蝶幻影】の事か。そいつも僕に刃向かうというのかな?全く、道具の癖に烏滸がましいよ」

 

そう言うと、どこからか啜り泣く声が聞こえてくる。次の瞬間、僕は吹っ飛んでいた。

 

『テメェぇぇぇぇ!!!!』

 

「何をするッ!くそッ、そんなに名乗って欲しいならとくと聞け!【僕の名はマギア】ッ!貴様らの主だ!【従え】!」

 

すると、荒れ狂う水王と啜り泣く声は止まり目の前に畏まった様子の男女が土下座していた。

 

『我、水王ヴェルガリス…汝ロイ・マギアに従う』

 

『我、幻惑天聖胡蝶…汝ロイ・マギアに従う』

 

そう宣言され、僕の意識は現実へと戻る---

 

 

 

「はっ!?ここは!」

 

「一瞬立ち止まったので何だと思ったら、気絶をしていたか。やはり今日は帰れ、ロイ。お前は疲れている」

 

全身から溢れんばかりの力を感じる。今ならなんでも出来そうだ。手始めに能力を全開放してみる。

 

「なッ!?これは…ッ!ロイ、貴様何をした!」

 

木々が根元から吹き飛び、山が抉れるように削り取られていく。これが水王顕現の真の力…その威圧だけでこれまでとは!

 

「フフ、フフフアハハハハ!素晴らしい力だ!申鶴、今なら君にだって一度たりとも負けたりはしないだろう!行けえ【水刃】!」

 

さっき作った水の剣を大量に精製し申鶴に向けて飛ばす。だが、流石は羅刹。この程度苦でも無いように全て弾かれる。ならば次は…!

 

「【胡蝶幻影】ッ!偽物の刃だ、果たして見切れるか!?」

 

胡蝶幻影で創り出した偽物の刃を混ぜ、再び飛ばす。それをも防ぐ申鶴。これもダメか!なら次は目に見えない攻撃だ!胡蝶幻影で水刃を隠し飛ばす。

 

「見えぬ剣か…笑止ッ!この程度の小細工で労されると思うたか!愚か者!【仰霊威召将役呪】ッ!」

 

とうとう申鶴が元素スキルを使ってきた。僕の剣が全て凍らせられる。不味いな、ここまでとは。調子に乗りすぎていたな。

 

そこで僕は、水の膜を用いた光の屈折攻撃をする事に決めた。水王顕現の力でどこを狙うかは指定できる。喰らえ!何重にも重ねられ増幅された光の柱を!

 

「【天誅】ッ!」

 

「なっ!」

 

申鶴のいた場所に光の柱が突き刺さる。ふぅ、と一息ついてからことの重大さを失念していた。

 

まずい、これは死んだか?申鶴がいないと群玉閣の再建が出来なくなる上に留雲借風真君に嫌われる可能性がある。そうなれば僕の野望である主人公組に合流が出来なくなる。それだけは避けないと。

 

「し、申鶴さーん…?生きてますかー?」

 

呼びかけるも返事は無い。あぁ、やってしまった。死んでしまった。どうしよう…今から怪力なんて手に入れられなさそうだしなぁ…

 

「死んでは…おらぬ…」

 

「ヒュッ!?」

 

突然足首を何者かに掴まれる。まさか…

 

地面から申鶴の手が生えていた。というか、申鶴が地面に埋まっていた。マジか、当たる寸前に地面に潜ったのか!?え、エグい…申鶴を不意打ちでも倒せる奴居ないんじゃないかな?

 

「ふむ…今のは中々良かったぞ。ロイよ、成長したな。だが、その程度では我は殺せぬ。だが此度の戦いは貴様の勝ちだろう。見ろ、我の槍を。根元から折れてしまった。これでは治すほかはあるまいよ。故にお前の勝ちだ」

 

よっしゃあ!僕の望んだ形での勝利ではないけど、勝った!羅刹の申鶴に勝てた!やったあ!

 

「だが、それはそれとして修行はつけてやるぞ。お前はまだまだ詰めが甘過ぎる。これより三年間みっちり鍛えてやるからな。覚悟せよ」

 

あ、はい。

 

「全く…我の一張羅をめちゃくちゃにしおって。罰としてロイよ、貴様の鍛錬はこれから半裸で行うように」

 

「ファッ!?夜の璃月がどれだけ寒いか知ってて言ってるんですか!?」

 

「当然だ、楽では罰にはならぬからな」

 

 

こうして、僕と申鶴とクソ鳥の修行ライフは始まった。

 

どれが見たい?

  • 魔神戦争で沢山愉悦!
  • カーンルイア動乱でどさくさに紛れて愉悦!
  • モンド戦役でアビスとの熾烈な闘争!
  • 璃月山中で仙人組と刻晴と戯れる!
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