オリ主が死んで周りが曇る話【新章開幕】 作:D.D.D_Official
申鶴と別れ、僕は璃月港へ着いた。やはり人が多いな!なんだかんだ言って、原神の世界に来てから山しか見てなかったから新鮮だなぁ!
とりあえず、凝光に会って璃月での便宜を図ってもらおう。凝光は僕を気に入っているみたいだったし、応じてくれるだろう。
僕は仙術で足場を作り群玉閣へと向かう。下が何やら騒がしいけど、気にしないでおこう。
そんなこんなで群玉閣に着いた。着いたは良いんだけど…
「貴様、何者だ!?群玉閣に何の用だ!」
「ここは招待された者しか来れない場所だ!出ていけ!」
「千岩軍を呼べ!」
なんか、阿鼻叫喚の騒ぎになってる。マズいな、騒ぎを起こすつもりは無かったんだけどな。一旦弁解して場を収めよう。
「落ち着け俗人、僕は留雲借風真君が弟子ロイ・マギアだ。天権凝光の紹介で三年程奥蔵山にて修行をしていた。通せ」
ヤバい。久々に普通の人と話したからなんか偉そうになっちゃった…それに、申鶴や鳥師匠の話し方が移って尊大な感じになっちゃったな。直さなきゃ。
「なっ…!留雲借風真君様の弟子だと!貴様、嘘をつくのは止めろ!」
はぁ…信じてくれないのか。まぁ良いや、押し通ろう。どうせ有象無象だ、少しくらい悪戯しても支障は無いだろう。
「信じないというのなら僕にも考えがある。仙術を以って群玉閣を地面に下ろすぞ?」
仙術に【地縛天墜】というものがある。効果は重力でモノを引っ張るってだけ。それを使えば群玉閣を地面に下ろす事もできるだろう。
「待ちなさい、貴方達は下がって」
今にも戦いが始まりそうな雰囲気の中、凛とした声が響いた。この声は…凝光か。
「凝光さん、お久しぶりです」
「ええ、久しぶりねロイ。うん、良いわね…とても良い。以前のような荒れ狂う力では無い、研ぎ澄まされた刃のように美しい力…やっぱり貴方を留雲借風真君に預けて良かったわ」
へえ、僕の力の本質が変わった事に気づくのか。金持ちってこんな事も出来るんだなぁ。凝光のおおよその狙いは強い私兵を持つ事にあるんだろう。だから僕を鍛え上げようとした。だけど、そうは行かない。
「そうですか。まぁ、まだ修行は終わっていないので貴女の下に着くことは出来ませんけどね」
「まぁ、そうなの。では、いつまで璃月港に滞在するのかしら?すぐ帰るなんて言わないわよね?」
こいつ…僕の意図を分かってるな?怖いな商人って…仙人並みに人の心読んでくるじゃん。
「僕は精神を強化する為に来ました。師曰く、『人の心を知らねば己の心を強くする事など不可能』と。故に…そうですね、半年程は居るかと」
「そう。では望舒旅館を手配しておくわ。フフッ、貴方が私のモノになる日が楽しみね?」
「ええ、僕も楽しみにしています」
そう言って、僕は群玉閣を飛び降りた。勿論怪我は無い。そんな事で怪我するなら僕はとっくに死んでいるだろう。何故なら、修行と称して何度も山から突き落とされたからだ。マジで許さねえぞクソ鳥が!
嫌な事を思い出しながら望舒旅館まで歩いていく。周りからの視線が鬱陶しいな…確かに、この顔は目立つし、空から落ちてきた人間に驚くのは当然だとしても見過ぎじゃないか?
「あ、あのっ!」
「…ん?何だい、お嬢さん?」
少し不機嫌になりながら歩いていると、どこかで見たような赤い髪の少女が声をかけてきた。うーん、誰だろう?
「あの、そのっ…!結婚してください!」
は?何言ってんだこのガキ…?
「一目見た時からから、あなたことが好きでした!おねがいします!」
ガキは翠の目を輝かせて僕に結婚をせがんでくる。困るなぁ…僕ロリコンじゃないんだけど…?まぁ良いや、さっさと断って適当に遇らおう。
「ごめんね、お嬢さん。僕は君が好きじゃ無いんだ。だから、結婚は出来ない。良いね?」
そう言うと、ガキは目を潤ませ始めた。泣くか?はぁー…めんどくせ、路地裏に連れ込んで殺すか…?
待て、今僕は何を考えていた。山に精神が汚染されている…。すぐに殺したがる申鶴に影響されてるな。何とか人の心を取り戻さないと。僕は修羅じゃない、曇らせ大好きお兄さんだ!
「う、うぅ〜っ!うわあああああんっ!」
ガキ…いや、少女が泣き出した。僕は修羅じゃない。と言っても、面倒くさいものは面倒くさい。無視して旅館行くか…
「そこのアンタ、あんまり子供をいじめなさんな」
「ッ!?」
急に背後からゾッとするような声が聞こえた。恐る恐る振り返ると、そこには笑顔を湛えた老婆…ピンばあやがそこに居た。
「お婆さん、僕に何か?」
「この子は…煙緋はね、三年前アンタを見た時からずーっと恋焦がれてたんだよ。少しは気持ちに応えてやったらどうだい?」
は?おい、このババア今なんて言った?煙緋だと?煙緋だと!?僕はこの世界では出会ってないキャラだ。知っているはずがない…いや、わかった筈だ。赤い髪、翠の目。この時点で煙緋と気づけた筈だ。くそっ!3年も原神やってないとすぐに出てこないな。
「……そう、ですか。ですが申し訳ありません。お断りさせて頂きます。僕にはやるべきことがあるし、それにその子はまだ幼い。今のうちから挫折を経験しておくのも一興でしょう?」
そう言うと、ピンばあやは眉を顰めた。これは…どうだ?襲ってくるのか?まぁ、勝てない相手じゃないから良いとしても周りを巻き込むのは良くないな。
「そうかい…酷い人だねぇ、全く…アンタ、孤雲閣で待っとるよ。アタシが勝ったら…要件を呑んでもらおう」
「…断る。と言ったら?」
「その時は、お前さんの存在が消えるだけさね」
怖えぇぇぇぇ!!!!何なんだよ、オイ!ふざけんなクソババア!ああ分かったよ!行けば良いんでしょ!?
「怖い怖い…なら忘れずに行く事にしますね。では僕はこれで。旅館を手配しているのでね」
そう言って僕はダッシュで逃げた。仕方ないだろう?あのババア圧が凄いんだもん。ただ、決闘はしに行かねばいけないな。僕の生活の安寧の為だ、ピンばあやには悪いけど今際の際を彷徨って貰おう。
◆◆◆◆◆
(煙緋視点)
憧れの人に振られてしまい、傷心中の私はピンばあやに連れられて孤雲閣に来ていた。一体、何が始まるというのだ?まさかとは思うが、璃月の法律に違反する事ではあるまいな…?
「煙緋や、アタシと奴の戦いを見ておくんだよ。きっとお前の役に立つ日が来るだろう」
ピンばあやは神妙な顔でそう言うと、遠くの方を睨んだ。私もそれに合わせて目を凝らすと、遠方から凄まじい速さで海の上を駆け抜ける変態…もとい私の思い人が居た。
私の思い人はピンばあやの前まで跳んで来た。やはりカッコいい…群青の髪は風邪を孕みキラキラ輝かき、紅い瞳はどこか闇を含んだ危うげな色をしていて色っぽい。あぁ、好き…
「来たぞ、ピンばあや…否、名も亡き仙人よ」
「アンタなら必ず来ると思っていたよ…修羅。アンタなら、アタシの渇きを満たしてくれるのかい?」
修羅?渇き?一体何の事だ。混乱しながら状況を見守っていると、修羅と呼ばれた彼が苦々しい顔で口を開いた。
「修羅と呼ぶのは止めろ。僕はまだ人間だ、勘違いするなよ耄碌した戦闘狂め」
修羅では無いのか?どっちなんだ一体…!
「若い子は酷い事を言うモノだね、アタシはまだまだ現役よ…アタシはただの修羅の成り損ない。修羅同士、仲良く殺し逢おうじゃないか?」
「黙れ。お前みたいな出来損ないが僕に勝てると思うな。早くかかって来い、時間の無駄だ」
修羅がそう言うと、ピンばあやが悍ましい笑みを浮かべながら突っ込んでいった。速い!私でも目で追うのがやっとだ!
「はぁ…遅いな。やはりこんなものか、つまらん」
修羅はそう言うと、目にも止まらぬ速さで…恐らく、剣を振るったのだろう。ピンばあやが倒れ込む。
「ピンばあやっ!無事か!?」
思わず駆け寄ってしまった。まずい、私は殺されないだろうか?嫌だ、こんな所で終わりたくは無い!
「ん?何だ、いたのかい煙緋。ハァ…血生臭いモノを見せてしまったな、すまない。子供には刺激が強すぎただろう」
「っ!貴方は、何者なんですか!?仙人であり槍の名手でもあるピンばあやを一瞬で倒すなんて…!」
「うん?自己紹介をして欲しいのかな?良いとも。僕はロイ・マギア、留雲借風真君の元で三年間修行をしていた者だ。よろしくね?煙緋」
顔を近づけられ挨拶される。か、顔が良い…!思わず顔が真っ赤になってしまう。でも、ロイは私を嫌いなんだ…。
「…ああ、好きじゃないって言った事を気にしているのか。あれは言葉の綾というやつでね、僕は君の事を余りにも知らなさすぎる。だから好きや嫌いと言った感情すら湧いて来ないんだ。ごめんね?」
なんだ、そうだったのか。なら、ゼロから始めれば良い話だ。
「わ、私はっ!煙緋!法律が好きだっ!よ、よろしく!」
「うん、よろしくね?さ、帰ろうか。ピンばあやはここに置いて行っても死にはしないさ。だってそういう風に調節したしね」
「その…手を繋いでも良いだろうか?」
キャーッ!言っちゃった!言っちゃった!恥ずかしい!
「うん、良いとも。それじゃ、舌を噛まないようにね!」
「えっ?」
ロイは私の手を掴むと、ぐぐっと踏み込んで…駆け出した。
「うわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!速い!!!!速すぎるぅうううううううう!!!!!!!」
「アハハハハ!楽しいねぇ!」
私の中の淡い気持ちと叫び声は璃月の海へ散らばった。
ピンばあやファンの皆様ごめんなさい。
死んでないからノーカン!
ピンばあやはかつて修羅に至りかけたが仙人であった為に至れなかったという設定です。
修羅について簡単に説明すると、冷酷で残忍な心を持った加虐趣味のクソ強殺戮人間です。人間しか成れない為、ピンばあやは至れませんでした。
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