オリ主が死んで周りが曇る話【新章開幕】   作:D.D.D_Official

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今回はすこし長め。



転アビ 第二話

 

約1日歩き通して、でかい街に着いた。

ここは魔術街モルドスタッシュというらしい。

ゴシック様式の建造物が乱立していて、更に霧まで出ている。いかにも魔術師!って感じの街だ。

 

「ヘウリス様、何か良いものでも見つけられましたかな?ここに魔術師が何人正気でいるかはわかりませんが、彼らもきっとヘウリス様の来訪を喜んでいるでしょう」

 

「私ってそんなに凄い立場なの?異端の上に魔女だなんて、一瞬で迫害されそうなものだけど」

 

「何を仰いますか!貴女様の使われる【水の禁術】は生命の復活すら可能とする奇跡です!」

 

「でも、私は永い眠りについていたんでしょ?どういう事?」

 

「それは…」

 

ウォレアスは何やら言い淀んでいる。言えないことでもあるのかな?でも気になる!

 

オタクの好奇心は止められないゼ!

 

「話して、ウォレアス。私に何があったのかを」

 

「………ヘウリス様が言うのならば致し方ありません。では、お話しします」

 

そこから話されたのは、壮大な物語だった。

 

「・・・遥か太古、何も無い荒野に一人の王がいた。

王の名はバエル。神に裏切られ棄てられた忌み子。

バエルは荒野に希望を齎すため己の体を引きちぎった。

バエルの体は光を灯し、炎を生み出し、肥沃な大地を形成した。その後、バエルと同じように神に裏切られ、見捨てられた者たちが荒野に希望を求め集まってきた。

その中に、一人の女がいた。名をシエルと言う。

シエルは常に献身的であった。

バエルに傅き、身の回りの世話を甲斐甲斐しくした。

バエルは次第に、シエルに心を奪われていた。

数年が経ち、バエルとシエルの間に子が産まれた。

名を、マナと言う。マナは賢い娘だった。

世界に蔓延る神の力である元素以外の力を発見した。

それが魔力だ。

まつろわぬ力である魔力は、魔神たちに死を与えた。

そして時が経ち、マナに子供が産まれた。

7人の子供たちはそれぞれ名を与えられた。

カイン、グレイブ、ローズ、ヴォルフ、アビサル、アールヴ、そしてヘウリス。貴女です。

彼らはそれぞれマナから七つの力を分け与えられていた。

氷、岩、草、風、雷、炎、水の七つの力を得た子供たちはそれを民たちの為に使った。

カインは氷の龍を作り、街を守らせた。

グレイブは壊れない耕作機を作り、敵を駆除した。

ローズは不毛の土地に豊穣を齎した。

ヴォルフは風の吹かない地下に風を与えた。

アビサルは雷の怒りで悪人を成敗した。

アールヴは炉に火を入れ、金属を齎した。

ヘウリスは世界中に"平和な海"を齎した。

 

人々はそれを喜び、子供たちを祭り上げた。

その時は確かに、幸福に包まれていた。

だがある時、悪神であるロキがこの地へやってきた。

ロキは子供たちを騙し、

自らの母であるマナを殺害させた。

唯一それに賛同しなかったヘウリスは子供たちから裏切り者とされ、最果てのアルシオン魔術塔まで追い詰められた。

平和な世界を望んでいたヘウリスは深く悲しみ、その心を閉じてしまった。それにより、海は荒れ始め、渦の魔神オセルが誕生した。

ヘウリスの信奉者…ワシの祖先は必死に子供たちに抵抗したがそれも時間の問題であった。

何とかしてヘウリス様を生かす為、唯一の氷使いだったフリージア大老がヘウリス様を自らの命と引き換えに仮死状態にした上で凍結させたのです。

 

そして今、ヘウリス様がお目覚めになられた。

と言うわけです」

 

成る程……?つまりアレか。ロキとか言うのが全部悪いわけだ。ふざけんなロキ!死ね!

 

「…っていうか、そのロキとかいうのは死んでるの?」

 

「いいえ…奴めは雷神バアルをその妹バアルゼブルの目の前で衆目の前で陵辱し、その後行方を眩ませております」

 

雷神バアル…って、眞ちゃんの事!?まじかロキ、最低だな…マジで碌でもない存在っぽいな。

ていうか、ゲームでは大きな戦いで戦死したとしか聞いてないけど実際はこうだったなんてね。いずれゲームで出てくるのかな?

 

「悪神ロキは必ず打倒せねばならない敵です。我ら異端の信奉者も、ここ数十年はその事とヘウリス様の目覚めのみを研究しておりました」

 

「うん、必ず倒そう。そのロキって奴がこれ以上禍を広めない為にもね」

 

もし私の存在の影響で原作に影響があったら嫌だしね。ロキとやらに私の大切な原神ワールドは壊させないぞ!

 

_____________________

 

 

魔術街モルドスタッシュを暫く散策していると、遠くから悲鳴が聞こえた。

 

「何っ!?この悲鳴は…あっちね!」

 

「ヘウリス様!お待ちくださいっ!」

 

悲鳴の方へ走る。

この建物の向こうからだ!今助けるぞう!

 

「け、けが、穢れ!穢れ血!アタシに近寄るなぁっ!アタシは学院の主席魔術師ローレンスなのよっ!?嫌、嫌、嫌ぁぁぁぁっ!」

 

「███████████████」

 

見ると、そこには涙目で杖を構えながら懸命に抵抗する美少女と八対の腕に様々な武器を持った怪物がいた。

 

「っ!その子を離せ!」

 

「██████████!」

 

その怪物はこっちを見ると、

ニィと笑い美少女に覆いかぶさる。

 

「い、嫌ぁっ!【裁きの剣】っ!【流星雨】っ!【叡智の強撃】っ!嫌、嫌、嫌ぁ!ア"ッ!?ギィィィヂィィイイガァァァァァッ!!!!」

 

「そんな…人間を、食べてる…」

 

「███████████っ!█████!」

 

怪物の持つ盾が蠢く。盾の中央から人の顔が出てくる。その顔は、先程の美少女の顔だった。

 

「ひぅっ……!?」

 

思わず腰を抜かしてしまう。遠くでウォレアスの叫ぶ声が聞こえる。目の前に怪物が迫ってくる。あぁ、死ぬ。死んじゃう。嫌だ、嫌だ。

 

「ヘウリス様ぁっ!させるか!【邪悪なる炎】ッ!」

 

「██████████ッ!?!?」

 

「ぁ……?」

 

目の前の怪物は炎に包まれのたうち回っている。

一体…誰が…?

 

「ヘウリス様!一旦離脱致しますぞ!ワシに掴まって下され!」

 

「ウォ、ウォレアス!?助けてくれたの!?掴まれば良いのね!?」

 

「しっかりと掴んでいてくだされ…!【転移/記録地点】っ!」

 

_____________________

 

気がつくと、図書館らしき場所にいた。

私はどうやら気をやってしまったらしい。

 

「お目覚めですかヘウリス様!」

 

「うん…ごめんね、腰が抜けちゃって」

 

「仕方ない事です。ヘウリス様が幾ら水の力を持つとは言え、目覚めたばかりなのです。戦い方を忘れていても仕方がない事です」

 

「ごめんね……本当にごめんね…」

 

折角神からチート能力を貰ったというのに、使えないんじゃ私はただの役立たずだ。そんなの、嫌だ。

どうにかして使う事は出来ないのかな?

 

「うーん……詠唱が必要なのかな?こんなのかな?〈我が手に銀、我が杖に水。汝三大元素の安寧を齎す者よ、今一度我が呼びかけに答えよ〉とか?」

 

試しに厨二病の時に考えたオリジナル詠唱を唱えてみると、次の瞬間。目の前に巨大な水の塊が現れた。それは次第に人の形を取っていき、深い海の色をした女性を模った。

 

「我は水精ウェンディーネ。やっと会えたな、愛しの主よ」

 

「え」

 

「おお!ウェンディーネを呼び出したのですか!流石はヘウリス様!」

 

「え」

 

「我が主、水の支配者ヘウリスよ。命令を」

 

「え」

 

私がフリーズしていると、水精…ウェンディーネが命令を催促してきた。えっと、そうだな…そうだ!ウェンディーネにさっきの怪物を倒して貰えばいいんだ!

 

「ウェンディーネ、怪物…えっと、名前なんだろう」

 

「ワシが答えましょう。彼奴は穢れ血の貴公子。奴の頭部の紋章と纏っていたボロ布から判断するに、穢れ血と怪物化の影響で他者を吸収するようになった貴公子ガヴィルでしょう」

 

よく知ってるな。ウォレアスは何年生きてるんだろうか。

 

「ありがとう。ウェンディーネ、穢れ血の貴公子を倒してくれる?」

 

「承った。征くぞ主」

 

そういうとウェンディーネは私を引っ掴むと穢れ血の貴公子の元へ連行した。

 

「待ってよ!?私弱いんだから戦ったら死んじゃうよぉ!」

 

「我がいるから大丈夫だ」

 

「そう言われてもなぁ…来たよ」

 

前方から穢れ血の貴公子が目を輝かせ8本足で歩いてくる。きもい。あれホントに元人間?

 

「他愛もない。【深淵水撃】」

 

「██████████ァァァ!?!?」

 

うわぁ。今の一撃で肉体の三分の一が消し飛んだ。

 

「フン、意外とタフなものだ。それ、もう一撃」

 

「██████████!!!!!!!!」

 

あ、穢れ血の貴公子が消し飛んだ。弱くね?

うそ、私こんなのにビビってたの?

なあんだ、初めからこうしとけば良かった。

 

「油断するな主よ。まだ生きているぞ」

 

「へっ!?そんな馬鹿な!」

 

よく見ると、ウェンディーネの攻撃によって出来たクレーターから人影が出てくる。

 

「ハァ……ハァ…異端の魔女風情が、無礼であろう…!オレは、穢れ血の貴公子ガヴィルであるぞ!おぉ、オレに力を与えし神ロキよ!もっとだ、もっと寄越せ!」

 

ロキ…?穢れ血の貴公子はロキに力を貰っていたの?

なんて奴だ…早く倒して原作を守らないと。

 

「ヴグ…オ"オ"オ"ッ!ア"は"ァァァ!!」

 

穢れ血の貴公子は呻き始めると自分の目を引き抜いた。

 

「うわっ、キモ!何あれ!?」

 

「主、奴を今までの雑魚と考えてはならん。奴は最早穢れ血の貴公子に在らず。悪神の使徒ガヴィルとなったのだ」

 

「使徒…」

 

見る限り、とても苦しそうだ。呻きながら辺り一面に無差別に攻撃している。止めなきゃ。

 

「ウェンディーネ、なんとか出来ない!?」

 

「すまぬが、我では殺しきれん。奴の体内にある核を破壊しなければ奴は無限に復活し続ける。何か、貫く物が必要だ」

 

ちっ、使えねえな。なら、私が何か唱えれば…ワンチャンあるかな?よーし、そうなったら…厨二病全開で行くぞっ!

 

「詠唱するっ!私を守れウェンディーネ!」

 

「了解した」

 

「行くぞ…!〈全ての母たる海よ、その全能を我に与え、我に力を!第七魔術祖ヘウリスがこの場全ての水に命ずる!全ての子らは一堂に会し、我が敵を…打ち砕きたまえ!〉」

 

ガヴィルはウェンディーネの足止めを喰らいながらもこちらに突貫してくる。だけど、ガヴィルの攻撃より私の詠唱の方が早かった!

 

「いっけええええっ!」

 

大気中の水分が集まり、巨大な水圧を生む。

水圧はガヴィルを押し潰し、捻り、消滅させた。

 

これで…終わりだ。

 

「やった……の?やった!やったー!」

 

「流石です!ヘウリス様!ワシが出る暇も無かったですな!」

 

「うむ、流石は我が主だ。これくらい出来てもらわなくてはな」

 

「スゴイ!」「ヘウリス様!」「バンザイ!」

 

口々に称賛される。でへへ、照れるな。

 

それにしても、ロキはどこにいるんだろう?

絶対見つけ出して倒してやるからな〜っ!覚悟しろ!

 

 

「ぅ……あ…まだ、だ…!オレは、まだ!」

 

「嘘っ!?まだ生きてんの!?しぶといなぁ!」

 

ガヴィルは下半身と核を失った状態でなお立ち上がった。なんてガッツだ。早く倒さないと。

 

「ロキっ!オレに、力を…!」

 

ここまで来ると、いっそ哀れに見えてくる。

するとその時、どこからともなく声が聞こえた。

 

『なぁんだ。ボクが力を与えてやったのに負けたのか。じゃあもう、死んでいいよ』

 

「は!?ロキ!待て、ロキ!裏切ったな!オレとの約定はどうなったのだ!ふざけるな!ふざけるな!馬鹿野郎っ!あぁ、身体が!崩れていく!だ、誰か…!誰でもいい!助けてくれ!オレはまだ、死にたくない!死にたくな……」

 

そう言って、ガヴィルは塵になって死んだ。

これが、悪神の手を取った者の末路だと言うの?

こんなの、あんまりにも酷い。

 

 

この一件で私は、必ずロキを倒すと決意したのだった。




用語解説 穢れ血
魔神の子メイセルの血を引く者達を指す。
かつて魔神の子メイセルはその異端故追放された。
その後メイセルは多くの者と子を成し、異端の血を広めた。
カーンルイアにおいて魔神の血は明確な「穢れ」であり、禁忌とされた。

用語解説 水精ウェンディーネ
始まりの水から生み出されたエネルギーが集合し、意識を持ったもの。
通常、魔神や人間には従わない。彼女はテイワットの意志にのみ従うのだ。
ヘウリスは中に黒神ノワールの加護を持つ者がいる為、ウェンディーネはそれに従うのだ。

用語解説 詠唱
原初の魔術は現代魔術と違い、複雑な詠唱が必要であった。
これを簡略化したのがウォレアスである。
ヘウリスがノワールより授かった能力は、「詠唱の自由作成」である。
また、詠唱が長ければ長い程威力や範囲は増す。

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  • カーンルイア動乱(主人公はロキ)
  • 璃月七不思議、黒い剣士の謎
  • 転生したらアビスだった件
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