オリ主が死んで周りが曇る話【新章開幕】 作:D.D.D_Official
あの後、リレアを連れて洞窟を出た私達は付近の状況を見る為、竜に守られる街ベルメスに来ていた。ここの人たちは珍しく怪物化していなく、元気そうに活動していた。
因みにウォレアスはついてきてはいない。
まぁ見た目がヒルチャールじゃねえ…。
「お嬢さん方!夕暮れの実いかが?」
「ごめんなさい、持ち合わせがないの」
「良いって!お嬢さん方、その身なりからしてどっかの貴族様だろう?貴族のご令嬢様に商品を献上するなんて、光栄な事だよ」
「そう…?なら有り難く頂くわ」
露天のおじさんから夕暮れの実を二つ貰った所で、ふとウォレアスに言われた事を思い出す。
「良いですかな?この街ベルメスは竜に守られている街。言わば、無信教のカーンルイア人とは違いこの街の住人は火竜モーグを信仰しておるのです。決して自らの出自を明かしてはなりませぬぞ。彼らからすれば、カーンルイア人の殆どは異端であり、その中でも特に異端である貴女の正体が割れてしまえば要らぬ事件を産むでしょう」
要するに、私の正体が異端の魔女だとバレなければ良い話だ。簡単だね!
酒場に入って情報収集をしよう。
「リレア、お酒飲める?私は飲めないけど…」
「フン、お子ちゃまね!」
「む。なら私の分も飲んでね?」
「あ、違…」
そうして席につき、エールを二杯頼み周りの言葉に耳を傾ける。
「花摘みの…」「竜の花嫁が…」「何だと!?」「…を独り占めとは!」「許せんっ!」「明日……」「そうだな」「しかし……怒りを…」「構うものか!」
ふむふむ、なにやら怪しげな会話をしている集団を見つけた。何やらすっごく怒っているようだ。前までの私ならビビって逃げていた所だけど…私はもう、前とは違う!
「ねぇ、その話…私にも詳しく聞かせてくれない?」
「………あ?誰だ。見たところ余所者だが…随分と別嬪みたいだが、すまんな。余所者に語るべき話では無いんだ」
「私、竜の花嫁を探してるんだよね。知らない?」
「何を言うかッ!竜の花嫁などいるものか!竜は皆の物だ!断じて独り占めして良い物では無い!」
今話してるおじさんとは違うおじさんから怒声が飛んでくる。おー怖。
「やめろモブルシ!あぁ、すまないね。最近、妙な噂が流れていて皆気が立っているんだ。許してくれ」
「ワタシ、その竜の花嫁の事知ってるわよ」
今まで静観を貫いてきたリレアが話に割り込んできた。何だろ?
「リレア、どう言う事?説明して」
「フン…これだから無知な奴は困るわね。いい?そもそも竜って言うのは100年に一度繁殖期を迎えるの。この街が出来たのは恐らくワタシが洞窟に入る前だから、この街が出来て110年以内なのよ。だから、100歳だと思われる火竜モーグは番を探しているってワケ。そして竜の性質的に光る物、美しい物が好きだから…そうね、ベルメスで最も美しい女が花嫁として拉致されるんでしょうね。
それに、竜の加護を受けた女は特に加護を与えた竜好みに育ちやすい。凡そ、既に御誂え向きの美少女が用意されてるんじゃない?」
おお、つまりアレか。光源氏って事だね。
いや、光源氏よりもタチが悪い。勝手に生まれる前から自分好みの花嫁を作るんだから。どうせ碌な奴じゃ無いに決まってるわ。
因みに、その考察を聞いたおじさん達は色めきだってどっかに行ってしまった。恐らくこれで独り占めするのでは無く、竜の意志だと理解したのだろう。竜の花嫁としてとんでもない高待遇をするに違いない。
その日は宿屋で部屋を借りてリレアと二人で寝た。
ウォレアスには悪いけど、リレアがモチモチしてるのが悪いんだ。ちっちゃくて可愛いのが悪いんだし。
◆◆◆◆◆
地中の太陽が沈み、夜になる。
その日、竜によって栄えた街は滅びを迎える。
竜は独り、愛する者の亡骸の前で蹲る。
亡骸、と言えどもそれは最早人間の形を留めてなど居なかった。人の業によって殺された女は男達に嬲られ、四肢をもがれ、美しかった顔は見る影もないほど破壊されており、竜の目の前で挽肉にされた。
「おお竜よ!貴方を惑わす売女は処分しておきましたぞ!ですのでどうか!どうか我らをお守りください!」
あろうことか、そんな事まで宣ってくる始末。
竜は激怒した。
必ず、全ての人間を消さねばならぬと決意した。
その夜、一つの街は消し炭と化した。
◆◆◆◆◆
朝起きたら、窓の外が火の海でした。
「………ってなるかぁ!!何これ!?どうなってんの!?」
慌ててリレアを見ると、苦々しい表情をしている。
「自業、自得なのよ……全部…」
遠くを見ると、街に火を放つ竜に閃光を浴びせるヒルチャールが居た。あ、ウォレアスだ。
綺麗だな〜と場違いなことを考えながら戦いを眺めていたら、あっという間に決着がついてしまった。当然、ウォレアスの勝ちだ。
急いでウォレアスの元に向かう。
「ウォレアス!怪我はない?」
「おおヘウリス様!ワシなら無事ですぞ。それよりも、この街ですが………まぁ、救わなくて良いでしょう。クズばかりですので」
「クズ…?それってどういう…」
「ギャオオオオオオオオオオッッ!!!!!」
瞬間、竜が吼えた。
「なっ…!?確実に殺したはず…!まさか!ガヴィルと同じ事が…!?ヘウリス様、戦闘準備を!」
「待ってよ!状況が渋滞しすぎて理解できないっ!」
『さぁ、憎いだろう?モーグ。人間が憎いだろう?ならば目の前にいる魔女を殺せ。その女がいるからエクレールが死んだんだ。さぁ、立てよ。火竜モーグ…いいや、怨嗟の魔神モーグ!』
どこからともなくロキの声が聞こえたと思った次の瞬間、強い衝撃と共に私は壁に激突していた。
「ッ!?ぐ……」
『アハハハハ!原初の魔女とあろう者が、無様だねえ!?いけモーグ!殺せえええっ!』
「させるか!『No.003』【凍結】!」
モーグの出した炎弾が凍っていく。そのままのスピードで凍った炎弾は私の近くに突き刺さる。
「リレア殿も加勢を!『No.327』【雷鳴激震】」
「わかったわ!【星呼びの秘術】ッ!」
地面から雷がモーグに突き刺さり、異界の星空からソラ色の隕石が降り注ぐ。だけど、モーグは止まる気配はない。
「もう、なん、なのよ…!訳わかんないんだよ!『みんなみんな、死んじゃえ』ッ!」
私を中心にして黒色の閃光が放たれる。それは無差別にその場にいた命を刈り取っていく。
「なっ、これは…!『No.000』【不可侵領域】!リレア殿、中に!」
『オイオイ…嘘だろう?ここまで、ノワールの力を引っ張ってくるなんて、どんな悪夢だ…マズいね、ボクは退散するとしよう。モーグは惜しいけど、死ぬよかマシさ!』
誰も彼もが悲鳴をあげる間も無く命を散らしていく。
いや、違う。私が、殺してるんだ。
ああ、とても、目が、痛い。
人間は愚か
内心リレアちゃんは「変な知識与えなきゃ良かった」って後悔してます。
用語解説 黒神の閃光
黒神ノワールの使徒のみが使える13の絶技が1つ。
その閃光は触れた者の命を刈り取り、術者の物とする。
発動に対して代償は必要ない。
しかし、その力に溺れる者は多く、それこそが代償なのかもしれない。
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璃月七不思議、黒い剣士の謎
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