いやー、主人公が自分で戦うときは一人称が使いやすいんですけど、集は自分では戦わないので三人称の方がよいのでは? という判断です。
あ、今回はまだ一人称が入ってます。
「なんだかいまいちな顔つきだね……まあいいさ。
前はしてやられたけど、今回はあの時みたいにはいかないよっ!」
「でも、勝つのはあたしだっ!」
俺が言い終わるのと同時に勢いよく駆けだした月下香は、七支刀を目にも止まらぬ速さで振り下ろすが、それを真希がトップスピードになる前に蹴り上げることで回避する。そのまま真希が第二撃を繰り出そうとするが、七支刀に電撃を流すことで回避させる。
今はまだ昼前、月下香が本調子になる夜ではないため、俺がリブートしていくことで疑似的に本調子にまで上げていく。幸いにもここはBP近くなのでリソースは豊富にある。おそらく俺のリソース技術次第で勝敗が決まる。
「お前ら、ここで戦うのやめろよっ!
ぶちのめすぞ!」
「やめとけ正樹。
彼女たちはチート能力の保持者に一大隊の隊長クラスの手練れだ。
いくら数の利があるとはいえ、無傷というわけにはいかないだろう。
むしろ怪我しないように退くのは我々の方だ」
「なんで僕たちが……」
「愚痴はいくらでも聞いてやるから……。
集、いざという時は呼んでくれ」
大和……いや、クリムゾンハートはブツブツいってる正樹をラプターに乗せながら言った。
意外としっかりしてるんだな。
「ああ、骨は拾ってくれよな」
「縁起でもないこと言うな。
では、しばし退くとしよう」
ラプターが羽ばたき、ギガンティックが森に退いてゆく。
クリムゾンハートも軽く敬礼した後、アメコミに走り幅跳びのようなことをしてから飛び去っていった。
「さあて、いっちょぶちかましますか!
リブート!」
「ふん、わかってるじゃないか。
ティンバーフォース!」
七支刀が電気を帯び輝き、使用者の基礎ステータスを上げると同時に、電撃を帯びた剣戟が地面を削りながら少女を襲う。
「当たったらひとたまりもなさそうだけど……当たらなきゃ意味ないねっ!」
だが少女の華奢な体で跳んだとは思えないほどの跳躍で剣戟を交わすとともに、一気に距離を縮めてくる。
「だが飛んだのは間違いだったな、さすがに空中で身動きはできないだろう!」
「くぅ!」
「お、おい!」
勢いのままに向かってくる真希を剣戟が襲う。
とっさにガードするものの、剣戟を受け、仰け反りながら吹き飛ばされて行った。
「心配しなくてもこれくらいで死んだりしないだろうさ」
「そんなこと言ったって……」
「それにしても不思議だね。
殴るのは型に嵌っているのに、今の跳躍はどういうことだい?
まるで戦い慣れてないみたいな、迷いがあるね」
それはそうかもしれない。
能力をもらってまだ間もないからとからなのか?
足運びや構えは空手やボクシングのような感じだが、さっきの跳躍は明らかに愚作だった。
「だからって剣戟を生身にぶつけるのはやりすぎだろ。
もう勝負着いただろうしこれで終わりに――」
「ま、まだだっ!」
「あ、よかった、生きて――ッ!」
さすがチートといったとこなのだろうが、今起きていることにいまいち理解が追いつかない。
彼女は両腕を切断されながらもまだ生きていた。
腕が転がっている。
血をまき散らしている。
そして切断された腕をくっつけている。
くっつけているというだけではまだ不完全だ。
少女は腕を再生させていた。
再生するといっても痛みがあるのか、顔を顰めながらも指を動かし確認している。
創作物では手垢の付くほど使われる『再生系能力』だが、実際に見ると理解が追いつかない。
知らぬ間に汗を掻き、後ずさりしていた。
ギガンティックがまだ近くにいるのか、体が震えている気がする。
……いや、そんなことはない。
もうとっくにあいつらは遠くに行っている。
これは恐怖なんだろうか……。
「まだ終わっちゃいない」
そう叫ぶと同時に砂埃を起こしながら駆ける。
「うッ!」
砂が目に入り、思わず目を瞑る。
早く目を開けなくては……!
目を開けると真希が伸ばしきった拳が月下香の左頬にめり込んでいるところだった。
月下香もさっきの光景にあっけをとられていたのかもろに受けている。
すかさず剣を振り上げるがバックステップされ躱される。
「いい顔になったじゃないか」
月下香は血を吐き、ニヤリと笑う。
ゆらりと。
一歩も動かないのに重心だけが下に落ちる。
「来な」
「絶対に負けられないッ!」
少女の叫びが森に木霊した。
サンホラのミュージックビデオが思いのほか力が入ってて感動しました!
感想&これを原動力にまたしばらく頑張れそうです!