ゼクスしたいよぅ……。
自分東北住みなもんで、愛知に行くこととかできないし、精々仙台とか東京が限度だけど、時間があれば大きい大会にも出てみたいですね。
「相棒、さすがだぜ!」
「HAHAHA!!
青の世界から離反した身とはいえ、まだまだ現役だからな!」
国道を赤や青、黄色などカラフルな色で構成されたバイクが走行する。
それに跨るのは基樹とアリス。
横のサイドカーにはまなかがいる。
そしてその上には空中を駆けるスコルに跨った集がいる。
「テクさんってホントに何にでもなれちゃうのね」
「私は変形・合体することを可能にし、戦術に幅を持たせるために作られたからな!
この通りバイクになることはもちろん、車や飛行機、さらには複数パーツへ分離しロケットパンチを撃つことも可能だ!」
スピードメーターの横にあるモニターから、やや暑苦しい声が発せられる。
「この調子なら今日中には福岡に着きそうだな」
「でも誰も武器完成しなかったのよねぇ……残念だわ」
「時間なかったし、しょうがない」
「だが武器がなくとも案ずることはない。
俺がついていればたとえ火の中水の中、どんな敵が来ようとこのクリムゾンハートが撃ち滅ぼそう!
HAHAHAHAHA……!」
集たちと並走するクリムゾンハートが空中を飛びながら笑った。
「ねぇ……そこの赤い人なんなの?
記憶違いじゃなかったら、自衛隊基地が襲撃されたときに見た気がするのだけど……」
「こいつはクリムゾンハート。
で……あれ?
なんでお前俺たちについてきてんの?」
「それは集が心配だから……というのもあるが、俺の役目が各世界の力関係の調整だからというのが大きいな。
先程、強大な黒のリソースの反応が見られた。
これ自体に問題はほとんどないのだが、これに対し他の世界が動き始めている。
黒のゼクスが目覚めるのはともかく、他の世界のゼクスがこの短期間に消耗してしまうと、今の世界間の力関係が崩れてしまう。
だから俺はその被害を適度に調整するために関東へ向かう。
というわけで、よろしく頼む」
空中を飛んでいるため会釈して挨拶する。
「なんだかよくわからないけど、そのスーツ、イカしてるな!」
「そうね。スケールが大きくてよくわからなかったけど、よろしく!」
「調整者とか中二心をくすぐる……よろしく」
世界のことや強力な黒のゼクスのことの深刻さをいまいち理解できていないのか、三人は笑って受け入れた。
「お、おう?
その……俺はどちらかといったら常識的ではないし、一般的に中二病と呼ばれる類の人間なのだが大丈夫か?」
「ふーん……具体的には?」
「戦闘中に技名を大声で言ったり、腕が疼いたりするな」
「「なんだ俺(私)達か」」
基樹とまかながハモリながら言った。
「俺だって自作の技を人前でやってた時期もあるし、まかなも預言書とか書いてたから大丈夫だ。
別に軽蔑したりしないぜ?」
「おおおお…………!
ここは本当に願いが叶う世界なのだな」
クリムゾンハートは声にならない喜びに、空中でもがく。
「お前らもうその話やめろな。
わい精神生命体やからそう言うの聞くとオーラ化とけるからな!」
「俺からも頼む……中三の夏休みを思いだして背筋がむず痒くなる」
スコルと集が、クリムゾンハートとは違った原因で悶え、抗議する。
「わかったぜ……っと、事故でもあったのか?」
基樹が指さす先には、通行止めのコーンが置いてあり、車もいくつか乗り捨ててあった。
「どうなってんだ……?」
「今調べてみよう。
…………ふむ、少し前にここら辺で騒ぎがあったようだ。
そして今はこの先で戦闘が起きているらしい」
クリムゾンハートは青の世界にアクセスでもしたのか、すらすらと言った。
「それで、この道行けるの?
できれば最短ルートで行きたいのだけど」
「むう……それがデータバンクには確かに情報があるのだが、俺の権限ではアクセスできないな……。
『
クリムゾンハートが唸る。
「なにそれ面白そうじゃない!
青の世界が自分の世界にも秘密にするようなことってなんなのかしら!?
行ってみましょっ!」
「のわっ!
いきなりアクセル回すなよーーーー!」
テクさんバイクがアリスによって急発進する。
「あっ!
あいつら……クリムゾンハート、追いかけるぞ」
「ふっ、何があろうとも、俺がいればなんとでもなるさ」
――――――
「うわ……ひどいな」
集がそう言うのも無理はない。
道路はまるで怪獣にでも踏まれたかのように割られており、道沿いの店は何かが衝突したのか拉げている。
そして進むにつれて道についた血痕が多くなっている。
「ふむ、見た目からしてゼクスの仕業だと思うが、リソースの反応がないな。
もしかするとチート持ちの仕業かもしれん」
クリムゾンハートが周りの情報から、冷静に分析する。
「ならここから離れた方がいいんじゃないか?
ったくあいつらどこ行ったよ」
「……ん、なんか聞こえるで。
……この先でそのチートさんと戦ってるみたいや」
スコルが耳をピクピク動かし、少し警戒気味に伝える。
「ッ!
クリムゾンハート!」
「ああ、急ごう!」
――――――
「うおっ! グ……」
「相棒ッ!」
大剣によって切り裂かれたテクネチウムが、バラバラと音を立てて崩れてゆく。
「あーあ、せっかくメタルフォートレスとやれると思ったのに雑魚だったか……残念」
大剣を担いだ銀髪の青年が、落胆したような声を出す。
彼の前方には基樹とテクネチウム、アリスと兎月がいるが、全く余裕そうな雰囲気でいる。
「くそ……このっ!」
「もう君に用はないよ」
その彼の後ろから血塗れの少女が拳を振り上げるが、空しくも胸から腹まで切り裂かれ崩れ落ちる。
「ぐ……ぁぁ……」
「あれは……!」
崩れ落ちた少女、真希は先程まで戦っていたのか、再生能力があるにもかかわらず傷だらけであった。
「ちょっ……!
卯月!」
「いけない!
奴は危険だ!」
「ちょっと止めないでよっ!」
アリスが真希を襲った男に向かおうとした時、クリムゾンハートが制止する。
「奴の周りにリソースが渦巻いてる。
そしてあの少女が一方的にやられていることからして、奴もおそらくチート持ちだ!」
「だからって……!」
「あのさー……御取り込み悪いんだけど、かかってこないならこっちからやっちゃうけどいいかな?
もう
はあ……強い奴だと思ったら紛い物でがっかりだったんだ……。」
「ぐぅ……!」
青年は真希の腹を蹴ってそう言う。
「あたしはまだ……」
「いや、君は負けたんだ。
その証拠にほら、君の自慢の再生力がほとんどなくなっている。
君は神様に見捨てられたんだよ」
青年は血を吸いピンクに染まった髪を弄りながら、つまらなそうにそう言い放った。
「そんなはずは……勝てばあの時に戻らなくていいって……!」
「それが無理なのは君が一番よく知ってるだろう?
オレと会っちゃったのは運が悪いと思って諦めてくれ」
「い、いやだ!
だってまだ負けて……ダメ、やだ!」
真希が自分に言い聞かせるように呟くのと同時に、真希の体から煙が発生し、体に変化が訪れた。
「やだ……!
まだやれるから……お願い神様……」
煙が徐々に晴れ、少女の姿が露わになる。
「それは変化していたのが解けたというよりは、戻ったと言った方がいいのかい?
まあ、どちらにせよ、もう戦闘は無理だろう」
真希の体からはもう血は出ていない。
しかし、その姿は凄惨なものであった。
真希の左半身は火傷の跡があり、さらに左の腕の肘から先がない。
「さて、大人しくなったとこで、そろそろ始めようか」
「……集、俺が奴を引きつけてるうちに彼女を助けろ」
「わ、わかった」
クリムゾンハートが激走し青年に近づく。
「ふふっ、今日は退屈しないで済みそうだ……!」
次は一応通常通り17日に更新するつもりですが、それ以降も通常通りになるかは現時点ではわかりません。ただ、こうして更新日を伝えていこうと思います。
追記:本当に申し訳ありません!
0時更新は無理そうなので、午後8時過ぎに更新します。