今回は救助チームの補足、理由付け、各世界の情勢のようなものです。読み飛ばしても構いません。
後半のは、短すぎるのもあれなんで、時間軸的にこの位置だということを示すために公式から引っ張ってきてます。
HS1は今回のオディウム戦以外終わっているものとし、現在はHS2に移行帰還、始まり頃らへんです。
「なん…だと…!? しかしこちらも……わかっている、急いでそちらに向かう。もう少し粘ってくれ」
「何事ですか」
「それが……」
自衛隊の一部隊を任せられている隊長は焦っていた。今入った連絡によると、オディウムという魔人の怪しい光に触れたゼクスや人間が朽ち果て絶命し、同盟軍の二割が死亡、戦闘不能になったらしい。連絡してきた隊員の声からもその恐怖が伝わってきた。
何やら様子がおかしい隊長に気づき話しかけてきたのは〈戦略の女神アテナ〉。プライドの高いブレイバー達を武力や恐怖以外でまとめられる数少ない一人である。また統率力や武力、戦術にも秀でているためブレイバーや人間からの人望も厚い。
「――というわけでして」
「なるほど。しかしこちらも」
「ええ、もともと予定していた難民救助ではありますが予想より数が多く難航しています。青の世界や緑の世界に近いところに住んでいたものはそちらに流れていったようですが、千葉、神奈川、埼玉、そして東京の者達は今日のために黒のゼクスの包囲網をかいくぐりこちらまで来た者達もいるとのことで」
そう、黒の世界の脅威にさらされているのはBPの近くにいる者達だけではない。カードデバイスの贋作を売る者達や、黒の世界に影響された暴力団、状況が状況だけにしかたなく犯罪に手を染めるものなど。関東は殺人や窃盗、誘拐、麻薬や銃器の密売など、犯罪の温床となっていた。実際、集たちが以前関東で戦った集団は人身売買チームの一つであった。
そういったものがどこに現れるかといったら、それはもちろん人の集まるところ。つまり黒のゼクスから逃れた者達のいる町に集まった。ゼクスだけでなく、人間にも怯えて過ごさなければならなかったこの三年間を思うと隊長の胸は痛んだ。
救助が難航しているのはそのためでもある。単に人が多く船に乗せられないなどと言った理由ではない。それも考慮して隊長達が出航してから大型の船を数隻こちらに向かわせ、それも無事到着している。
問題は殺人や密売など犯罪が船内で起こらないように一人一人身体検査などをしないといけないことだった。最悪の場合、ナイフや薬なら船に乗せても問題が起きればすぐに拘束するなり、船から降ろすなりすればいい。しかしカードデバイス、ゼクスは別だ。船内は逃げ場がない。カードデバイスは隠しやすい上に、使用制限は資格だけで年齢に縛られない。そのため小さな子供から杖を突かないと歩けない老人まで検査する必要があった。
「あとどれくらいで避難は完了しますか?」
「少なくともあと三時間……いえ、二時間で終わらせます。しかしこのゼクスの数……出航まではまだ時間がかかるでしょう」
船の周りにはゼクスがうろついている。それを無視しながら出航するわけにはいかなかった。
「……わかりました、私も出ましょう」
「ですがもしアテナ殿に何かあったら我々の指揮系統が麻痺することに……」
「私を誰だと思っているんですか? 心配せずとも無事に戻りますよ」
戦略の女神と謳われた伝説が今、戦場に降り立った。
――――――
復讐のために天使を狩る少女〈上柚木綾瀬〉とその相棒《四足の勝利者ズィーガー》。
闇にまぎれ天使を狩る彼女たちの名はすでに白の世界中に知れ渡っていた。
天使たちの激しい追撃にさらされた彼女は一時撤退を余儀なくされる。
だが、彼女たちを狙っているのは白の世界だけではなかった。
「敵から奪ったカードデバイスが、かなり増えたわね。
新しいゼクスを捕獲して戦力を増強すれば…次こそは!」
「嬢ちゃんよぅ。たまには『羽根付き』以外もやらせろって。
俺様の腕がなまっちまうじゃねェか」
そう言ったズィーガーの前に、突如として巨大ロボが立ちふさがる。
「そうそう、こういうのだ……よっ!!」
「え?」
一瞬にしてブロック片にされてしまう巨大ロボ。
「ンだよ、あっけねェ。……ん?」
「こんなところで黒のゼクスを見つけられるなんて」
「しかも上物だ。俺達は運がいい」
暗闇に光る鎌と町に響く回転音。
「何なの。あなた達」
「”天使殺し”さん。……とその相棒”四足足の勝利者”でしょ?
デネボラ様の研究には他世界のゼクスが実験体として必要なの」
「お前達ならば、デネボラ様へのよい土産になるというわけだ」
セクシーな少女とごつい装備のバトルドレスの男が言う。
「天使以外と戦う理由はないけれど……立ちふさがるなら容赦はしないわ!」
「くっくっく。いいぜェ、相手してやッから、来な! ポンコツ共!」
少女がカードを構え、黒豹が吠える。
「ギルタブ! フォーマルハウト! いくわよ!!」
「「おうっ!」」
復讐のために戦う少女は、さらなる修羅へと足を踏み入れる。