Z/Xの世界で生き延びる!   作:よーと

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 感想ありがとうございます。
 
 活動報告の方で感想返ししときました。


2話「革ジャンを着た虎」

 「…ん」

 

 目が覚めると黒い革ジャンが見えた。

  

 (…誰かに背負われてるのか。)

 

 さっきまでひどい夢を見てた気がする。

 でっかい蜂に追われ、これまたでかい蟷螂に襲われ、そして二足歩行する虎に食われそうになるというとんでもない夢だった。

 (とりあえず礼を言わなきゃな…)

 

 礼を言おうと体を動かすとあちらも気づいたようだ。

 

 「おう、目が覚めたか」

 

 俺を背負っていた奴はこちらを向きそう言った。虎の顔で。

 

 「うわあああああああああああ」

 

 俺はそれを見た瞬間叫んでいた。とっさに逃げ出そうとしたが、がっちりホールドされているのか抜け出せない。

 それを見た虎顔の人は少し眉を下げていった。

 

 「おいおいそんなに怖がるなよ。まあ、慣れてるけどな」

 

 いやいやいや、目の前に虎がいたら誰だって怖がるよ。

 虎顔の人は続けてこう言った。

 

 「あとお前、ケガしてんだからあんまり動くなよ。もう少しで集落に着くからよ。そしたら手当してやるよ」

 

 それを聞いたとき俺は血の気が引いた。今この人? 集落って言わなかったか? こんな怖いのがまだいるのかよ!

 俺はさらに抜け出そうとジタバタするが無理だった。そして、下から威嚇するような鳴き声がしたので下を見ると大きな虎がこちらを睨みつけていた。暴れても死期を早めると気付いた俺は。静かに、小さくなり、考えるのをやめた。

 

 

 

 

‐‐‐

 

 「おい、着いたぞ」 

 

 あれから30分くらい経ったとき、そう声をかけられた。

 いつの間にか森を開拓して作ったような開けたところに来ていた。

 

 「おい! 帰ったぞ!」

 

 虎顔の人がそういうと、奥から人がやってきた。

 が、皆動物の特徴を持っていた。

 

 「タイガーさんおかえりー。あれー?後ろに背負ってる人は人間さん?珍しいねー。夢でも見てるのかな?」

 

 ウサギ耳を付けた着物の女の子が緑髪の犬耳少女の頬つねった。

 

 「痛くない。なんだ夢かー」

 

 「痛いわあほー!」 

 

 犬耳の少女が叫ぶ。

 

 「タイガーさんが帰ってきたぁ。遊んで、遊んで、遊んでぇ? ごろごろ」

 

 猫耳の少女が俺を背負ってるタイガーさん?にじゃれ付く。

 

 「うるせぇぞ、おまえら!」

 

 タイガーさんが吠える。

 

 「えっ!!タイガーさん!?た、食べない……で……」

 

 チーズを食べていたネズミっぽい女の子がおびえる。

 

 

 「おい、お前ら。誰かこいつの手当てしてやれ。」

 

 タイガーさんはそう言うと俺を降ろした。 

 

 「じゃあ私が手当してあげるよー」

 

 さっきのウサギ耳の少女が言った。

 

 「あっ、ウェアラビットちゃん。あたしもやるよ」

 

 こっちは犬耳の子だ。

 

 「ほら、お前も立てるだろ? こいつらについて行って手当してもらえ」

 

 俺は少し困惑しながらも少女たちの後をついていった。

 

 

 

 

‐‐‐

 

 連れていかれたのは、元いた世界の家より少し小さい一階建ての家だった。

 見た目は山小屋っぽいんだけど、中は女の子っぽい感じがした。

 

 「ここ私の家なんだー。

  薬持ってくるからどこか適当な場所で座ってて」

 

 そう言って2人は奥の部屋に行ってしまった。

 

 改めて、自分のことを考えてみる。

 今の俺は、転移してきたばかりで右も左もわからない。

 そして、なぜかライカンスロープの集落で手当てをしてもらうみたいだ。

 いや、なぜかは分かる。タイガーさんに助けてもらったからだ。タイガーさんありがとう。あなたのおかげで俺の命は救われました。怖がってすいません。後でちゃんと礼を言おう。

 

 と、そこまで考えたところで2人が戻ってきた。

 

 「はーい。まった? いまから手当してあげるからね」

 

 手当してもらうときに少し話をした。

 どこから来たの?とか、名前は?とか聞かれたが、名前だけ答えてあとはわからないとか思い出せないとかでごまかした。

 本当のことを言っても信じてもらえないかもしれないし、本当のことを言ったとしてそのことでいざこざに巻き込まれるのはごめんだからだ。

 

 そんな話をしてるうちにいつの間にか人間の、というよりこちらの世界のファッションの話になり、当たり障りのない話をしていたらついにファッションショーになっていた。

 

 2人が何度目かの着替えに入ろうとしたとき、ドアが開いた。

 

 「出てくるのが遅いと思ったら…おいお前ら、何してんだよ」

 

 「タイガーさんこの服どう?かわいい?」

 

 「話を聞きにやってきてみれば…」

 

 タイガーさんは呆れたような諦めたような顔をした。

 それを見たら、ああ、毎回こうなんだなと思わせた。

 

 「はあ~。まあ今日は俺の家に泊れよ」

 

 「あっ、ありがとうございます。えーと、タイガーさん?…」

 

 虎顔だけど名前はみんなが呼んでいるたいがーさんでいいんだろうか?

 

 「ああ、自己紹介がまだだったな。俺はウェアタイガーだ。こっちの二人はウェアラビットとウェアドッグ。おまえは?」

 

 「はい。俺は荒川 集です。さっきは助けてもらってありがとうございます」

 

 「ああ、俺のほうこそ怖がらせちまったみたいで悪かったな」

 

 「タイガーさん怖がられちゃったんだー。まあ、怖いもんねー。あはは」

 

 「虎だもんね」

 

 2人が茶化す。

 

 「うるさいぞお前ら。……まあ集のことを助けられたのは偶然なんだけどな。

  あの時は縄張りに入ったグローリーサイスを駆除するためにこの辺りを散策していたら

  グローリーサイスに襲われている集を見つけたって感じだ」

 

 「本当にありがとうございます」

 

 「いいってことよ。

  それで集、ただの人間のお前がなんであんなとこにいたのか聞きに来たんだが…

  こいつらに付き合ってたから出てくんのが遅かったのか。

  こいつらは話し出すと長いからな、基本スルーでいいぞ」

 

 「「タイガーさんひどい!」」

 

 「まあ、今日はもう遅いから今日は俺の家に泊まってけ」

 

 言われて気づいたが窓からさす日の光は赤みがかっていた。

 

 「ありがとうございます」

 

 俺はタイガーさんに連れられウェアラビットさん宅を後にした。

 

 

 

 

 




 

 投稿は基本毎日やる予定ですが、俺は高3になってしまったので時間が取れないときはペースダウンするかもしれません。
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