「それで集はこれからどうするの?」
「ああ、実はな……」
俺はこれから救助作業をしながら関西に行くことを告げた。
「そうか、関西に……。
俺はもう少しここで働いてから行くよ。
みんなにあったらよろしく」
「ああ、お前が社畜になってるって伝えとくよ」
「この野郎」
俺たちは笑った。
久々に友達と会えたんだ、もっと話したいが時間がない。
「それじゃあ俺はもう行くよ」
「そうかじゃあな」
「ああ、元気でな」
俺は背を向けバスのある避難所の方向に行く。
「あ、そうだ。
集、お前はどうするんだ?」
少し離れてから呼び止められた。
「どうするって何を?」
「みんなにあってからだよ。
もし帰れるとして、集は帰るのか?
お前は異世界に憧れてたから気になったんだ」
そういえば考えたことなかったな。
「わからん。
お前はどうするんだよ」
「俺はしばらくここにいるつもりだけど、帰れるんなら帰るつもりだ」
「そうか……考えとくよ」
「ああ、できればみんな無事で帰りたいな」
「そうだな、じゃあ」
「ああ」
今度こそバスに向かった。
帰るか……もし帰れるとして、俺は帰るんだろうか?
この世界は生き抜くのは大変だけど、なかなか楽しい。
元の世界に未練がないわけじゃないけど、俺はこの世界を、ゼクスをもっと見てみたい。
帰るとしたら1年後か2年後か、はたまた10年後か20年後か……。
わからないけどこの世界にもっといたいのは確かだな。
こっちに来たやつら全員見つけたら世界観光でもしますかね。
しばらくして、無事バスのある地点まで戻った。
なんとか時間内に着けたな。
そうだ、紫炎に人攫いについて聞いてみるか。
少し探すと避難所の裏で紫炎を見つけた。
「おーい、紫炎」
「ああ、集さん帰ってきたんですね」
「ああ、今帰ってきた。
あー悪いな話の途中だったか」
声をかけたが紫炎は数人の男たちと話していた。
「いえ、今話は終わりましたから。
みなさんありがとうございました。
……それで、僕に何か用でしょうか?」
紫炎がそう言うとみんな避難所の方に帰っていった。
「人攫いの事について知っていたら教えてほしいんだ」
「人攫いですか……最近になって人攫いの被害が増えているとか。
ですが大体はBP周辺で起きているらしいので、犯人がディアボロスか人間なのかわかっていません」
「そうか、じゃあ黒い騎士を知っているか?」
「黒い騎士……トワイライトアッシュかクリミナルチェインのことでしょうか?」
やっぱり黒い騎士って言ったらそのくらいか。
「そうか、ありがとう」
「お役に立てたならうれしいです」
「それじゃあ俺は避難所に戻るよ」
俺は避難所に戻った。
そしてその日はゼクスの襲撃もなく就寝した。
「……ぉぃ……おい集起きろ」
「なんだよ月下香」
カードデバイスから月下香が声を出す。
「大きい声を出すな。
……誰かに見られている気がする」
真面目に聞いた方がよさそうだな。
布団の中に入り声を殺す。
(どういうことだ?)
(食事が終わった時から視線を感じる。
そしてそれはアタシたちだけじゃなくここにいる全員を見ている)
(それってもしかして人攫いの連中か?)
(わからん。だがここにいてもしょうがないだろう。何とかして外に出ろ)
(……了解)
トイレに行くふりをして外に出る。
外には自衛隊がゼクスの襲撃に備え寝ずの番をしている。
彼らにも見つからないように夜の闇にまぎれ移動する。
(ここまで来たら大丈夫だろう。アクティベートしろ)
(アクティベート)
俺は月下香を出した。
アクティベートすると少し光が発生するので注意が必要だ。
(今はどうなんだ?)
(ここは監視の目が少ない気がする。
奴らは避難所にいた者達を監視していたようだ)
(となると奴らは人攫いか)
(おそらくな)
(ならつぶしに行くか。
どこにいるかわかるか?)
(難しいな。ここは変な気が漂っていて場所までは分からん)
月下香の話では普通は気を読んで場所を特定するらしいが、ここら辺は怨念や負の感情などの念が渦巻いているせいでよくわからないらしい。ある程度近づけばわかるらしいが。
カードデバイスの中から外の様子がわかったのは気の流れを読んだかららしい。
(仕方ない、隠れていそうな場所をしらみつぶしに行くぞ)
俺達と人攫い屋の戦いが始まった。