Z/Xの世界で生き延びる!   作:よーと

41 / 124
 前の話の女の子は紫炎君の設定のために犠牲になったのだ。
 本当にすまんことした。
 もちろんアフターケアはばっちりだ。

 宗教的なとこはwiki参照。


39話「カトリック信者」

 「どうしたんだ紫炎?

  ってか朝から見かけなかったけど、どこ行ってたんだ?」

 

 「実は自衛隊の人たちと食料や救助を手伝っていたんですよ。

  それで帰ってきたら何やら事件が起きたらしいのでここに来ました」

 

 そういえば今日は食糧調達と救助者がいないか付近をパトロールするって自衛隊の人が言ってたっけ。

 紫炎はそれについて行ったから見かけなかったのか。

 

 「それで何があったのですか?」

 

 「ああ、実はな……」

 

 俺は人攫いが避難者に紛れて事件を起こしたことを話した。

 そして今は尋問中でこいつが組織のことを話さない、もしくは知らないことを話した。

 

 「そんなことが……それでこの人がその事件を起こした一人ですか」

 

 「ああ、こいつ以外は月下香がやらかしたせいで今は意識がない。

  まあ、やりすぎだが殺してはいないから」 

 

 本当にヤバかったんだよな。

 傷がひどい奴なんか腕がなくなってたりするし、でも殺さなかっただけいいか。

 

 「みなさん、この人のことは僕に任せてくれませんか?」

 

 「任せるってどうするつもりなんだ?」

 

 「改心するように説得するんです。

  懺悔すれば神は許されることを知ってほしいんです」

 

 「つってもよ、こーゆー奴らは何言っても無駄だと思うけど」

 

 「そんなことないですよ。

  実は、僕はカトリック信者なんです。

  カトリック教会には『ゆるしの秘跡』というものがありまして、ゆるしの秘跡は罪をゆるす恵みの手段なんです。

  聖霊のはたらきのもとに回心する人間の行為、痛悔・告白・償いなどですね。

  それにキリストの名によって罪のゆるしを与え、償いを定める司祭のゆるしです。

  ゆるしの秘跡を受けるためには、悔い改めと回心が不可欠で、そのうえで罪の告白と償いが必要になります」

 

 お、おう。

 いきなりそんなに言われても何も言えないよ。

 

 「僕は司教でも司祭でもありません。

  ですが、この人たちに罪を償わせ、改心させることは必要だと思うんです。

  ですから、どうか僕に任せてもらえませんか?」

 

 紫炎は真剣な顔をして言う。

 俺は自衛隊の人たちを見る。

 ……まあ、いいか

 

 「わかった。

  だけど無理すんなよ?

  こいつら犯罪者なんだからな」

 

 何かあって紫炎が傷ついたりしたら大変だしな。

 

 「大丈夫ですよ。

  僕だって一応ゼクス使いです。

  それにきっとこの人たちだって改心してくれます」

 

 「そうか、頑張れよ」

 

 「はい。

  あと申し訳ありませんがみなさんには外に出てもらっていいですか。

  『聴罪司祭には如何なる理由があっても守秘義務があり、例え司教に対してでも告解で聞いた罪について相談した場合  でも、告解した人の情報で人の特定が出来ないようにしなければならない』、さらに、告白によって知った罪について  の完全な秘密を守るように義務づけられていて、これに背けば大罪を犯すことになり、バチカンにしか解除出来ない厳  罰を科せられるという決まりがあるんです。

  もちろんこの人の罪は皆さん知っていますが、最低限のことはやりたいんです。

  事情が事情ですから、関係者の人たちには組織のことがわかったら話しますが、形だけでもゆるしの秘跡に沿いたいん  です」

 

 ……本気みたいだな。

 

 「わかった。こいつのことは紫炎に任せるよ」

 

 自衛隊の方を見るがみんな頷いている。

 

 「みなさん、ありがとうございます。

  きっと改心させて見せます」

 

 紫炎が深々とお辞儀をする。

 

 「ああ、頑張れ」

 

 俺たちはテントを出た。

 外に出て空を見ると、もう夕焼けだ。

 そろそろ夕飯の時間だな。

 避難所に戻って子どもと遊ぼう、そしてこのやさぐれた心を癒そう。

 

 

 

 

 

 

 飯はけんちん汁とご飯と漬物だった。

 けんちん汁って好きなんだよな。

 今食べてるのは具が少ないけど、具が多いけんちん汁は大好物だ。

 ご飯と合わせてもおいしいしな。

 漬物はこっちに来る前はあまり好きじゃなかったけど、集落にいるうちに普通に食べられるようになった。

 避難所には100人以上いるのにこれだけ食べられるんだから文句は言うまい。

 それに子どもと飯を食うと面白いしな。

 

 しかし、この中に敵がいるかもしれないと思うと警戒してしまう。

 俺が奴らの仲間を倒したのは知ってるんだろうし、俺以外にも知り合いに手を出される危険もある。

 しばらくは子ども達は目の届く範囲に入れておくことにしよう。

 

 「ところで翔、若葉ちゃんはどこ行ったの?」

 

 「若葉姉ちゃんはなんか知らない女の人のところに行ったよ」

 

 「それって高校生くらいの女の人?」

 

 「そうだよ」

 

 てことは俺が助けた女の子だな。

 俺も行った方がいいのかな。

 

 「てゆーか、そんなこと聞くってことは集は若葉姉ちゃんに気があるの?」

 

 ここにいる子どもの中では大人びた雰囲気の加奈が言う。

 

 「そんなんじゃねーよ」

 

 人攫いの仲間に捕まってないか心配しただけだ。

 

 「とか言いつつ実は気になってたり……」

 

 「そ、そうなのしゅうくん!?」 

 

 ああー、凜まで言い出したよ。

 顔を少し赤くしてテーブル越しに顔を近づける。

 

 「違うって」

 

 「集、すなおになりなよ」

 

 「しゅうにいちゃんってわかばねえちゃんがすきだったんだ……!」

 

 

 今度は星音と雅龍か……。 

 星空は普段俺にいじられてるからかここぞとばかりに攻めてくる。

 ニヤニヤしながら落ち着いた口調で話す。

 雅龍はまだ1年生だからか舌足らずな感じで言う。

 驚いた表情で、スプーン片手に固まっている。

 おい、飯こぼれてるぞ。

 

 「集、まだオレはみとめないからな!」

 

 翔まで……。

 

 「しゃーない、もう飯も食い終わるし遊びで決着をつけよう」

 

 デュエリストならデュエルで決着をつけるもんだが、こいつらはデュエリストじゃないし、子どもは鬼ごっことか体を動かす遊びの方が決着に納得がいくだろう。

 

 「わかった!」

 

 「しょーがないなあ」

 

 ふう、何とかなったな。

 翔はご飯を全部口に入れると走って行ってしまった。

 

 「もごもごもご! (先行ってる!)」

 

 はあ、まだ何やるか決めてないってのに……。

 てか、こうしてらんねえ。

 目の届く範囲に入れとくはずだったのに翔のやつ……。

  

 「はあ、お前らここで飯食ってろ」

 

 ここは人が多いしそう簡単に人攫いも動けないだろう。

 俺は翔を追って走り出した。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。